光の四妖精   作:松雨

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イベント参加のお誘い(後編)

「おぉ……ふむ、僕に何か用かい?」

 

 霊夢やあうん、魔理沙にパーティーの招待状を無事に渡すことに成功した後、僕たち6人は次に魔法の森の香霖堂へと向かい、商品棚の掃除をしていた霖さんに声をかけていた。

 

 中に入った時、霖さんは僕たちを見て少しビックリしていたように見えたけど、まあ当然であろう。

 

 こんなに大人数で押し掛けることなんて滅多にないし、珍しいと言うかシャーネットが居る分、初めての組み合わせなのだから。

 

(……あれ? 凄く物が減った?)

 

 それにしても、この間サニーたちと遊びに来た時に比べたら、香霖堂の中にある物の数も目に見えて減っている。数日の間に、頑張って整理整頓をしたのだろう。

 

 確かに、これ以上集めても保管場所はどうするのと思うレベルだったから、流石に中々物を捨てられない霖さんも重い腰を上げたようだ。

 

 もしかしたら、僕やサニーたちが整理してみたらと何気なく言ったその一言が、ちょっと効いたのかもしれない。

 

「おうよ! 簡単に言っちまうとな、香霖をパーティーに招待したいんだと。レミリアが発起人だが、誘いたがってるのはメノの方だ」

「パーティー? 発起人がレミリアってことは、紅魔館でやるのかい?」

「ええ。最初はそんな予定はなかったのだけど、思いつきで香霖以外にも何人かの招待を決めたのよ。で、その話をしたらメノウが相当嬉しかったのか、私よりも誘いたがってるって訳」

「うん。霖さんが、あんまり賑やかな場所が好きじゃないのは、分かってる。分かってるけど……楽しめるなら、一緒に楽しみたいなって気持ちが強くてさ……ねえ、霖さん。終わったら、何かお礼するからお願い」

 

 今は関係のないことについて思考を巡らせつつも、僕は心を込めて霖さんにお願いを持ちかける。

 

 僕のように大分特殊な事情がある訳ではないけれど、性格的に賑やかところが好きじゃない霖さんにとって、結構あれなお願いであることは理解している。

 

 僕で言うならば、1人でお出かけをしろとお願いされているようなものだから。

 

「……分かった。メノがそこまで言うなら行こうじゃないか。この間、色々と片付けてもらったお礼も兼ねてね」

「ほ、本当に!?」

「嫌だったり無理ならそう伝えてるし、君に上げて落とすような嘘はつけないよ。ところで、他にも何人か誘ってるらしいけど、誰を誘ってるのかな?」

「えへへっ! えっとね、霖さん以外だと霊夢にあうん、魔理沙にアリスの4人だよ。後は、アリスの家に行ってお願いするだけなの」

「なるほど。僕を含めて、妖精と一定の交流関係のある人妖を誘っている訳か……それにしても、そんなに僕が行くのが嬉しいのかい?」

「うん、とっても!」

 

 レミリアの話や僕のお願いを聞いてる時も、聞き終わってからも、腕を組んで真剣な表情で考え込んでいたから凄く不安だったけど、最後には霖さんは行くと決めてくれた。

 

 霖さんの前に誘って頷いてくれた霊夢やあうん、魔理沙もそうだけど、皆がみんな究極に優しいから、本当に幸せ者だ。

 

(皆の好きな料理を作ってあげたり、家の掃除とかをやってあげたりするのが、対価の釣り合う恩返しになるかな……?)

 

 確かに僕は、皆のことが大切な存在だと思っているからこそ、自分の立ち振る舞いのせいで嫌われることのないよう、常日頃から気を遣っている。

 完璧ではないにせよ、それに近い水準は保てている自信はあるから、お陰様で印象は悪くはない。

 

 もし、少しでも気を抜いてやらかしてしまおうものなら、待っているのは考えたくもない最悪のルートだ。

 

 信頼を積み重ねるのは大変でも崩すのは一瞬との言葉があるくらいなのだから。

 

「さてと、9日後の昼間だったね。メノ」

「そうだよ! 待ってるからね、霖さん!」

「勿論。心配せずとも行くから、安心して待ってるといい」

 

 そして、無事に霖さんからも了承してもらうことに成功した僕たちは、最後に残っているアリスに招待状を渡して、パーティーへの参加をお願いするために香霖堂を出て、アリスの家へと歩みを進めていく。

 

 身体が軽くなって活力が漲り、まるで他の妖精さんたちのように元気いっぱいで、はしゃいで遊びたい気分が僕に生まれてきているけど、間違いなくこれは普段よりも幸せなお陰だ。

 

「しろちゃんの羽、濃いめの桜色になってる!」

「わたしのかみのけとそっくりのいろ……なんで、うれしそうってはねをみてわかるの? かおじゃなくて?」

「この子にはね、自分の感情が羽の光の色として出る性質があるからよ、シャーネット。分かってるとは思うけど、今はとても幸せで嬉しいって感情ね」

「香霖はメノにとっては大切な友達の1人。だからこそ、自分の誘いを受けてくれたら嬉しいよねー」

「だろうな。てか、別に私が居る必要もなかったか? 元の面々でも問題なさそうだったし」

「ううん、そんなことはないよ。ちゃんと、魔理沙が居てくれた意味はあるから」

 

 だからだろう。いつも大切な友達と居る時のふと感じた幸せを表す際、僕の背中の羽が見せる桜色よりも濃くなっていたのは。

 

 ちなみに、僕の感情に呼応して羽が発する光には、視認した近くの人妖さんたちに同様の感情を想起させたり、気分の変化を促す効果がある。

 

 桜色(ピンク)なら特別な幸福感、青色なら不安や緊張、黒茶色ならリラックス、透明ないし白色なら普通の楽しさや喜びという感じだ。

 

 今の僕の羽は、強めの桜色の光を発している。だからこそ、皆がほんの少しいつもよりも幸せそうにしているのだ。

 

 勿論、視認した近くの人妖さんが元々抱いている感情を完全に打ち消した上で塗り替えたり、心に永続的な影響を及ぼす程の強い効果はない。霊夢や魔理沙、レミリアからもお墨付きはもらっている。

 

 もし仮に、そんな洗脳じみた効果が僕の羽が発する光にあったならば、幻想郷の守護者である霊夢に今頃、退治なり封印なりされていることだろう。

 

 むしろ、それに気づいた時点で僕が自ら退治や封印を望み、依頼しに霊夢の下へと迷いなく向かうし、それが無理なら自滅を試みる。

 

 大好きな家族や大切な友達の心を無自覚に破壊する、これ程恐ろしくて罪深いことはないのだから。

 

「えへへっ、アリスー!」

「あらあら。随分とテンションが高いみたいね、メノ。そんなに沢山引き連れて、どうかしたの?」

「うん! えっとね、実は……」

 

 頭の片隅でそんなことを考えつつ、アリスの家へと到着してすぐに僕は、高まる幸福感のままにレミリアより先に話しかけ、同じような説明をティータイム中のアリスに対して行う。

 

 霊夢とあうん、魔理沙と霖さんにも了承してもらったのだから、アリスにも是非来て欲しい。一緒に楽しくて幸せな一時を過ごしたい。

 そんな強い思いからか、気づけば普段の僕らしからぬ大きな声で、強い意思を込めて熱弁してしまっていた。

 

(……あっ)

 

 ハッとしたものの、案の定アリスどころかレミリアたちにも驚かれる始末で、非常に恥ずかしい。と言うか、これが強制していると思われたら最悪である。

 

 説明して、お願いしてるだけの僕がそう思われるだけならまだマシだけど、企画者のレミリアも巻き添えでそう思われるのは本意ではないし、申し訳が立たない。

 

「熱量が凄まじいわね、メノ。ちなみにだけど、私の返事は『はい』よ。あなたがここまで必死にお願いしてくるなんて珍しい……いや、初めてだしね」

「わぁ……!」

 

 しかし、アリスはそんな僕を微笑ましいものを見るような目で見ると、他の4人と同じように来てくれると言ってくれた。

 

 この瞬間、お泊まり会終了の前日に限って僕の家族や友達が全員勢揃いし、楽しくて幸せな一時が過ごせると確定した訳だ。嬉しくて、涙が止まらなくなる。

 

「ははっ。相変わらず可愛いやつだぜ、メノは。何もせず、ただ一緒に居てやるだけでこれでもかと喜んでくれるから、居心地良いんだよな」

「そうね。だからこそ、こうしてお願いされた時に聞いてあげようって思えるのよ」

「どれだけ軽い親切とかでも、必ず近い内にお返ししてくれるもんねー……ほら、メノ。ハンカチ貸してあげるから、涙拭いて」

「ぐすっ……ありがと、リリー。帰ったら、洗って返すね」

 

 そこへ更に、こんな僕の様子を見ていた皆が、とっても暖かい言葉をかけてくれたりするものだから、幸福感はもう最高潮である。

 

(……えへへっ)

 

 今から9日後の昼間、僕を含む妖精さんたちで弾幕ごっこをやった後、エントランスで行われるパーティーが楽しみで仕方ない。

 

 サニーやスターとは家に居る時みたいにワイワイはしゃいで、ルナとも妖精さんたちの喧騒を背景に、飲んだり食べたりを楽しむ。

 

 チルノや大ちゃんにイタズラで驚かせられたり、ピースやリリーにちょっかいを出されたり、ラルバとは逆におどかしに行ったりする。

 

 霊夢やあうん、魔理沙や霖さん、アリスとはとにかく一緒に会話を交わしたり、料理を食べたりしながら楽しむ。

 できるなら魔理沙以外からも、弾幕ごっこの結果次第で存分に褒めてもらったりもしたい。

 

 勿論、紅魔館の皆とも同じようにその日を存分に楽しむつもりで、僕はいる。名もなきメイド妖精さんも含め、このお泊まり会中に程度の差こそあれサニーたちの助けも借りつつ、皆と交流を重ねていくにつれて仲良くなれたのだから。

 

「あっ、そうだ。実はね、レミリアからお願いされていたメノの特別仕様のメイド服がついさっき完成したのよ。スターの分もあるし、ついでだから持って帰ってくれる?」

「うん! もう用事も済んだし、ちょうど良かった」

「相変わらず仕事が早くて助かるわ、アリス。報酬は後で私が持っていくから待ってて」

 

 こうして、誘いたかった全員から即座に了承を得ることに成功し、招待状を渡し終えた僕たちは外出する理由もなくなったため、紅魔館へと戻ることを決めたのだった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ

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