光の四妖精   作:松雨

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空を飛ぶ『楽しさ』と『嬉しさ』

 前世の頃から理想としていた、暖かみのある家族。

 

 図らずとも、輪廻転生によってそれを手に入れることとなった僕は、流石に当初よりは落ち着いているものの、3日経った今でも興奮自体は完全に冷めていなかった。

 

「本当、幸せそうだよねー。メノ」

「うん、幸せだよ。()()()()

「ふふっ。それは何よりだわ」

 

 僕やスターが作った料理やお菓子、人里で3人が買ってきたかもらってきた食べ物を食べながら、皆でワイワイ騒ぐ食事の時間。

 

 一転、家の敷地内で理不尽に怯えることなく、自由に過ごせる安寧と静寂の時間。

 

 ふかふかベッドに寝転がり、僕を家族にしてくれた3人に心からの感謝をしながら、翌日の幸せな生活に備えて眠る時間。

 

 場所が変わっただけで、基本やっていることは普通に生活を送るだけなのだけど、一緒に暮らしているのが前世のあの人たち(家族)ではなく、今世のサニーたち(家族)に変わるだけで、圧倒的に楽しさが違う。

 

 こんな日々がいつまでも続いて欲しいと、心の底から願った経験なんて初めてだ。

 

「皆は、僕との日常生活はその、どうかな……? まだ短いし、完全には慣れてないとは思うけど……」

「ふふっ。楽しいわ、とってもね!」

「サニーと同じだねー。確かに、完全には慣れてないけど、すぐに気にならなくなるわ」

「うん。元々、サニーやスターと初めて会った時だって、たった数日で慣れたし」

「そっか……えへへ、ありがと」

 

 勿論、転生先となった幻想郷は完全にとは言わないものの、一般常識に囚われない場所であると、3人から聞いている。

 

 加えて、僕の身に起こった性別・種族の変化によって起きた、ある種の戸惑いや違和感はまだ残っている。

 

 何なら、あまり考えたくはないものの……悪意の有無や強弱に関わらず、誰かに襲われたりすることが全くないとは残念ながら言い切れないから、どうにか頑張って適応できるだけの力はつけておきたい。

 

(サニーとスターとルナに、迷惑ばかりかけられない。けど、今はまだ……)

 

 無論、種族的には結構強い方らしい僕に備わる『妖力』の扱い方、3人にも備わっている『程度の能力』の有無調査、幻想郷での問題解決の手段として用いられる『弾幕ごっこ』の練習、これらは一朝一夕で解決する問題ではないと理解している。

 

 しかし、この問題を解決しさえすれば、最低限自分の身を守れ、3人の足手まといになることを避け、逆に助けとなれるのだ。ちょっとばかし、焦りが出てくるのもおかしくはないはず。

 

「あっ、そうなの? 魔法の森じゃ飛べないんだね」

「正確には、()()()()()()()()()()()()()()よ。だから、鳥とか羽持ちの虫みたいな生き物には全く関係ないわ」

「そう。家の結界領域から出た瞬間、墜落しちゃうから気をつけて。後、練習をする時は誰かに声をかけて欲しい」

「分かった。もとより、僕1人での練習はちょっと不安だし、するつもりはまだなかったけど」

 

 なお、妖精に最初から備わっている飛行能力に関しては、記憶喪失でも余裕でどうにかなるだろうと、ルナが言ってくれていた。

 

 個人的に空の旅は怖いけど興味もあり、本能的に飛べそうな気がしていて、なおかつ飛行能力が特段珍しくもない幻想郷では、特殊な場合を除けば必須に近い技能だろう。

 

 転生初日に感じていた不安や恐怖が大分和らいできた今、僕がどこまで飛べるのかを確認するには、良い日かもしれない。

 

「何なら、少しお試しで練習してみる? ちょうど皆も居るし、いざと言う時に動けるわ!」

「……ならお願い、サニー。スターとルナも、少しだけ大丈夫?」

「勿論、大丈夫よ」

「右に同じく、時間は有り余ってる」

 

 頭の中でそう考えていると、表情などから僕の内心を察したらしいサニーに、試してみるかと提案されたので即了承、早速飛行練習(確認)を始めることとなった。

 

「よし。じゃあ、まずは飛行に必須な妖力を感じるところから! 正直、妖精ならこれさえ出来ればもう成功したも同然、後は意思とイメージの持ちようで、メノなら最低でも私と同じくらいは飛べるわ!」

「適当に言ってるみたいでごめん。でも、私たちにとっては当たり前だったから……」

 

 とは言え、飛行能力は妖精に生まれた瞬間から備わっている力の1つ、サニーの説明が大分ふわっとしているのも当然のことである。

 

 何なら、前世故に全く飛んだ経験のない僕でさえ、妖精となってからすぐに()()()()()()()()()()()()と思う程、本能が強いのだから尚更だ。

 

(この、身体の中で流れるポカポカした『何か』が妖力かな? えっと、意思とイメージの持ちようって言ってたから……)

 

 故に、妖力とやらをほんの30秒程度の極短時間で感じることに成功したのも、自明の理と言えるだろう。

 

「ひゃっ……う、浮いたぁ!?」

「「「おぉ……!!」」」

 

 で、その後すぐに妖力を全身に高速循環させ始めると、僕の身体が約1秒経ってから宙に浮き、上昇をし始める。

 

 どんどん地面との距離が遠くなり、下方に居る3人が小さくなっていくことに対する恐怖感は、いざと言う時に助けが入ってくれる確信があってさえ、完全には消えないと思っていた。

 

(僕、空を飛んでる……飛べるようになったんだ……!)

 

 しかし、他人や道具の力を一切借りないで、自分の力のみで空中に浮けたことに対する達成感。

 それに付随して、3人の手を煩わせず一緒に幻想郷中を飛んで回れることへの嬉しさ、およびワクワク感。

 

 ほぼ同時に生じてきたこれら2つの感覚が相乗効果を発揮、燻っていた恐怖感を完璧かつ速攻で打ち消してくれていたのだ。

 お陰様でパニックを起こし、結果としてとてつもなく痛く苦しい思いをしなくて済んだのだから、ありがたい限りである。

 

「あははっ! サニー、僕の飛行はどう!?」

「やっぱりね……速さも器用さも、全く問題ないわ! それに、飛んでる時の羽から出る、尾を引くキラキラがとっても綺麗よ!」

「えへへ、ありがとー!」

 

 ある程度の高さまで浮いてからは、通常の加速減速に加えて羽からの妖力噴射による急加速や急減速、身体や羽の向きの細やかな調整による優れた機動性の維持、まるで昔から飛び慣れているかのような飛行も行うことが可能となった。

 

 勿論、家の周りに張られているらしい、魔法の森の影響を防ぐ結界範囲内での飛行練習なので、一定の制限はかけられている。

 

(危ない橋は、()()()()()渡らない。これをモットーにしとこう)

 

 それに、いくら本能的に高度な飛行能力を備えてはいても、だからと言って他の人や妖怪さんたちに飛行能力で勝てる訳ではないのは、理解しておかなければならない。

 

 僕が、3人の言う『霊夢(博麗の巫女)』さんや、幻想郷の上位者である『大妖怪』レベルに強いか、匹敵する存在だったならまだしも、全体として見れば弱い方なのだから。

 

「よっと。まさか、ここまで行けるなんてびっくりしたよ」

「メノ。私の言った通り、余裕でどうにかなったでしょ?」

「うん。これでもう、飛行に関しては不安なんて、僕にはないかな」

「だろうね。後は弾幕ごっこや妖力の扱い方、能力の調査・扱う練習とかだけど、飛行みたいに余裕じゃない(個人差が激しい)から気長に行こう。私もサニーもスターも協力するにしたって、無理は禁物だし」

「分かった」

 

 しかし、僕が飛んでいた時にサニーが言っていた、()()()()()()()()とは一体何なのだろうか。実に不思議である。

 

 僕の妖力が特殊な性質を持っているのか、周辺の環境が偶然キラキラの発生条件を満たすからだったのか、はたまた別の知り得ぬ理由から来ていたものなのかは、正直分からない。

 

 ただまあ、何にせよ下の方から見ててくれてた3人の体調、周囲の草花や家でもある大木への悪い影響が見られないのであれば、こちらとしてもその辺は全然構わない。

 

 何なら、サニーが褒めてくれるくらいには、尾を引くキラキラとやらは綺麗なものみたいだし、このまま様子見で行こう。

 

「おーい! 暇だから遊びに来たんだが……って、悪い。私は邪魔だったか?」

 

 そんなこんなで、最初はお試しのつもりで実行した飛行練習を止め、3人と僕の今後についての話を楽しみながらしていたこの時間は、家への来客である金髪の女の人の登場により一時中断されることとなった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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