言うまでもなく、レミリアが主催する冬の妖精お泊まり会は、今後何十年何百年続くであろう妖精生活の中でも、幸せで楽しい思い出として僕の記憶に永く残り続けるイベントだったと断言できる。
だけど、どれだけ幸せで楽しいイベントだったとしても、期間が有限である以上いずれ終わりが来るのは、至極当然のことと言えよう。
何でこんなことを考えているのか。それは、お泊まり会がもう今日と明日だけしかないからだ。
サニーたちとのんびりしたり、チルノ一行と外ではしゃいだり、
「あははっ! 結構緊張してるね、メノ!」
「うん。やっぱりさ、何でも1番最初って緊張するよね。サニー」
「ふふっ、確かにね! それに、これが初の実戦だもの。緊張するのも無理ないわ!」
「加えて、沢山の妖精たちやメノの友達も見てくれてる訳だから尚更だよー。私たちとの練習、役立つことを祈ってるわ」
「頑張って、メノ。サニーやスターと一緒に、観客席から応援してる」
そして、お泊まり会終了前日の今日と言えば、僕自身も参加する弾幕ごっこイベントを内包したパーティーがある日だ。
僕以外だとサニーたちにチルノ一行、二大妖精長やモリオン、自信家のメイド妖精さん5人を加えた、総勢17人が弾幕ごっこイベントに参加するらしい。
時間の都合上1人につき2回、自分で選んだ好きな相手と戦う方式。
同じ相手とは基本的に連続で戦えず、2人相手を選ぶ必要がある。
1戦につき使用可能なスペルカードは1~3枚、先に使いきった方の負け。
何枚使うかは戦闘前に決め、始まった後に増減させるのは不可能。
時と場合により、主催者側で戦う相手の調整をすることを留意しておく。
トーナメント方式で戦う訳ではなく、こんな風に友達同士で集まって遊ぼうよって感じのノリで行われる。
ちなみに僕が戦う相手は、順に表すとモリオンとルナとなる。誰とやろうか考えていた時に、まるで図ったかと言わんばかりのタイミングで、楽しんでやろうよとお願いされたので決めた。
ルナに関しては、妖精の中でも弾幕ごっこが非常に強いため、僕では勝率がかなり低いことは承知している。
練習に付き合ってくれた時の試合で使ったスペルの数々、僕よりも遥かに経験が高い点、他にも色々な理由があるけどこの2つが大きい。
勿論、今早速相対しているモリオンの方も、ルナに比べれば強くないかもしれないけど、だからと言って僕の勝率が高いとは言い難い。
僕よりも妖精歴が長く、力は特段強い訳ではないものの、レミリアを含めた紅魔館の面々から手ほどきを受けているため、弾幕ごっこの経験値が高いのが理由だ。
「しろちゃんとの弾幕ごっこ、ドキドキするなぁ……あっ、わたしスペルカード2枚しかないから、2枚でお願い!」
「うん、分かった」
でも、それを言ったら僕だって、サニーたちやチルノ一行のみならず、お泊まり会中はやっていないけど、始まるまでは魔理沙にみっちり教えてもらっていた。
何なら、霊夢からも回数は少ないながら、実にためになるアドバイスをもらったりもしている。
多少の不利くらいだったら跳ね返し、最低でも良い勝負をして然るべきだろう。そうしたら、きっと皆を楽しませた上で褒めてもらえるのだから。
「しろちゃん、心の準備は良い? それじゃあ……行くよっ!!」
咲夜の能力で広げられ、パチュリーの結界内に作られた観客席から皆にじっと見られる中、モリオンが飛んでから数多もの弾幕を作って発射してきたことで弾幕ごっこが始まった。
事前に妖力の全身循環を終わらせていたため、即座に空中へ飛び立って先制攻撃を避けれたから良かったけど、やはり約1秒のインターバルは大きい。
どうにかしようとほぼ毎日四苦八苦してはいたものの、現状どうにもならなかったし、むしろ飛行時に発生する尾を引くキラキラが強くなる。
更に、妖力循環するだけで羽からキラキラを纏った霧のようなものが出始め、余計に目立つ羽目となる結果になってしまったのだ。スターが「盾みたい……? けど、神秘的になったねー」と褒めてくれたから、とっても幸せな気持ちにはなれた。
しかも、羽が1cm大きくなってうっすらと不思議な紋様が浮かび、物理的な強度まで僅かながら増す始末である。
ただし、サニー曰く「感触は柔らかい」と言ってたから、魔法が何かが自動で発動して防御力が上がったのだろう。
これらの結果から、インターバルを縮めるのはどう足掻いても無駄だと流石の僕でも分かったので、今日以降は止めるつもりだ。
余裕をもった作りなのと、根元の太さはほぼ変わっていなかったお陰で、アリス特製の服やもらったルナの服が着れなくなる事態は回避できたものの、続ければ着れなくなるか着にくくなる可能性もゼロではないのだし。
「わぁっ! 凄い、凄いよしろちゃん! わたしの弾幕、全部避けられちゃってる!!」
「……モリオンだって、僕の弾幕全部避けてる。だから凄いよ」
「しろちゃんよりはギリギリだし、やっぱり凄いって!」
ちなみに、僕の方も急加速や急減速や急旋回、自慢の視力と聴力までも駆使してモリオンの色とりどりな弾幕を避けつつ、合間を縫って攻撃を仕掛けているものの、今のところ当てられてはいなかった。
れっきとした弾幕ごっこであり、例え当てて怪我をさせたりしても問題ないとは言え、友達に痛い思いをさせかねない行為であることに間違いはない。
参加する以上、覚悟はしっかり決めてきたはずと思ってたけど、無意識にセーブでもしている……いや、違う。僕の実力が足りないか、モリオンが強いか、もしくは両方だからだ。
(……モリオン、ごめんね)
こんなことを考えてしまうのは、ひとえに僕が無意識レベルで油断していて、なおかつ自惚れていたから。
モリオンのみならず、他の皆に対しても大変失礼な考えであると自覚できた僕は、取り敢えず今は心の中で謝った。
勿論、勝ったにせよ負けたにせよこの弾幕ごっこが終わった後に、ちゃんと謝るつもりである。
「むっ! そろそろ当ててあげるから覚悟してよね……
上下左右斜めと縦横無尽に空中で、体力のことも考えて最小限の動きで回避し続け、移動した先に飛んできた青色の弾幕を宙返りで避けていると、エントランスの天井付近に多数の魔法陣が展開されたことに気づく。
(モリオンのスペル、凄い……!?)
そして、数秒もしない内に眩い白色のレーザーが地面に向けて照射、いくつかは僕を狙い撃ちする軌道で向かってきた。
同時に、鳥の羽根を模した黄金の弾幕がゆらりゆらりと降ってきたかと思えば破裂、水面に石を投げた時のような波紋と例えるべき形で周辺に拡散してくるものだから、空中での行動に支障をきたす。
「うっ!? おっと……ふぅ、落ちずには済んだ」
「やった!」
それでも何とか凌ぎ続けたは良いものの、絶妙なタイミングで照射されたレーザーを避けきれず背中に3発が直撃、撃墜されかけるも何とか堪える。流石はモリオン、やりにくいスペルだった。
しかし、純粋な力の差があったにせよ、直撃した時に衝撃は来ても痛みが全くないなんてこと、あり得るのだろうか。
まあ、霊夢や魔理沙と僕、もしくはレミリアと僕くらいの実力差があれば、その辺は別なのだろうけど。
「痛くなかったけど……ルールだもんね。モリオン、行くよ……寂符『静かなる水の囁き』」
なお、弾幕ごっこそのもののルールに、避けきれずに直撃をもらった場合はスペルを宣言、自身のスペルの発動中に
だから僕も、未だ発動中のモリオンのスペルに対しての警戒を高めつつ、そのルールに則って大いなる水の囁きを弾幕ごっこに落とし込んだ、魔理沙やアリスの協力もあって完成したスペルを宣言した。
「モリオン……僕は当てるよっ!!」
「うわぁ……わっ!? 綺麗だけど、何か妙に弾幕が避けにくい……」
これは、エントランス全体を淡い水色の光で覆い、時間経過か弾幕の接触で弾ける水の泡をランダムに生成し続け、動きを阻害しつつ時折羽から水属性の白色レーザーを発射すると言うものだ。
本来の
また、回避不可能な弾幕は禁止とのルールに抵触するのを防ぐため、水の泡と弾けた後の水弾は透明度を少し抑え、淡い白色の光を発す性質を持つ。
弾幕の美しさを重視する弾幕ごっこには、まさにうってつけのスペルと言えよう。
「痛たた……しろちゃんのスペル、綺麗だったなぁ。勝負途中なのに、うっかり見入っちゃったよ」
「あっ。その、えっと……ごめん」
「あはっ、気にしなくていいよ! それよりも、がっつり当てられちゃったから、わたしが2枚目宣言しなきゃだね!」
発動させた結果として、途中で
(……えへへ)
その時、観客席に座っていた魔理沙の表情が一瞬視界に入ったのだけど、凄くニコニコして頷いていた。
流石の僕でも、この状況下で何を言ってるのか聞き取るのは殆んど無理だったけど、喜んでくれているのは確か。嬉しくて、より一層やる気が漲ってきたのも当然のことだと思う。
「わたしの根源……顕現せよ!
そして、元気一杯な声でモリオンが2枚目のスペルを宣言したのだけど、その瞬間に起きた現象に僕の警戒心は一瞬にして、最大限まで高まることとなる。
ここまで読んで頂き、感謝いたします。現状、本小説は今話を含めて6話、最大10話で完結とする予定でいます。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ