光の四妖精   作:松雨

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妖精たちの弾幕ごっこ(後編)

「うわわっ、ルナ!? いつもより遥かに容赦ない……!」

「そりゃそうだよ、メノ! 今日のあなたを見て、いつもの練習モードじゃ失礼だと思ったから! サニーもスターも、観客席で頷いてた!」

 

 モリオンとの弾幕ごっこを終え、それから少しの休憩を挟んですぐにルナとの弾幕ごっこを始めた僕だったけど、いつになく真剣で本気な彼女に押されていた。

 

 サニーたちに、5分の1の確率で勝てるようにはなってきたとは言え、それはあくまでも練習モードの中での本気の話。

 ルナが、サニーやスター、チルノ一行と戦う時の真剣モードの話ではないのだ。

 

 当たり前だけど、真剣モードの1番下でも練習モードの本気を超える強さになる。この戦いのように中間辺りになると、今までなら戦いがギリギリ成立するくらいに持ち込むのが精一杯ではあった。

 

 それから何度か試しでやったことがあるけど、案の定全然勝ちの目すら見えてこなかったために、ルナは今まで抑えていてくれていたのである。

 

「えへへ。僕、ルナに認めてもらえたんだ、サニーとスターにも……! なら、期待に応えなくちゃね!」

「わぁ、速度も軌道も更に上がってきた……やっぱり、急に才能が開花し始めたのかも?」

「ううん、まだまだ実力は途上……だけど、ここまで来れたのもルナを含めた皆のお陰だよ、ありがとねっ!」

 

 しかし、今はそれをルナは躊躇いもなく止めた。つまるところ、サニーやスターと近いレベルの相手として僕を認め、真剣に向き合ってくれている証拠に他ならない。

 

 この場で叫びたくなるくらいに嬉しくて、泣きたくなるくらいに幸せだからこそ、僕も全力でそれに応えなければならないだろう。

 

(あわわわ……んにゃっ!?)

 

 皆と行った数々の練習に加えて、モリオンとの実戦で経験値を更に稼ぐことができたけれども、その程度ではルナの真剣モードは撃ち破れない。

 

 多少実力は向上した実感はあるけど、それでもルナは僕の弾幕を涼しげに避ける一方、僕は自身に備わっている飛行能力を駆使して、まあ避けれていると言うところまで、持ち込めている状況なのだ。

 

「むぅ、やっぱりルナは強いなぁ。だったら……命光(めいこう)『暖かなルミナス』」

 

 そして、動きを読まれて迫り来る弾幕に自ら突っ込む形となった僕は、この戦いで先に1枚目となるスペルの宣言をルールに則り、宣言を行う。

 

 僕の2つ目のスペルであるこれは、一部を治癒回復の力が織り成す光景を元にしている。

 

 どこからともなく現れた、僅かに黄色がかった淡くて白い光の(弾幕)が、白い尾を残しながらルナに迫らせる。

 

 で、残された白い尾はランダムなタイミング、ルナが弾幕を避けている時も容赦なく、尾と平行な方向に低速の弾幕と変化して進んでいく。

 

 その間、僕は淡い黄色と白色に光る羽から、大小様々な弾幕やレーザーを発射してルールに抵触しない程度に隙を潰すのだ。

 

「このスペルは……っと! メノ、何もかもがこの間よりも凄くなってる」

「サニーたち、チルノ一行、魔理沙……弾幕ごっこの練習に付き合ってくれた皆のお陰。妖精として生まれ落ちた時に定まった僕の素質もあるかもだけど、何よりもこれが1番」

「そう? 謙虚だね。強くなったんだから、ちょっとくらい自慢してもメノを知る私たち相手なら、誰も不快には思わないのに」

 

 その結果、流石にルナもさっきよりかは回避に余裕がなくなり、僕の方はルナの放つ弾幕を、比較的余裕を持って回避できるようになった。

 

 けれど、それですら攻めきるには至らないから、本当にルナは強い。僕が弱いと自分で言ってるも同義なのだけど、大好きな家族が強いのは僕にとっては嬉しいし、幸せに思えることなので問題ない。

 

「ふふ、あははは……! 本当、ルナは優しいよねっ!」

「わぁ、メノが大声で笑ってる……良かった、ホッとしたよ」

 

 なお、このスペルの弾幕やレーザーに使われるエネルギーの大元は大自然であり、それ故に加減が中々に難しいスペルでもある。

 練習試合では、うっかり作った不可能弾幕でサニーやスターに酷く痛い思いをさせたり、ルナを結構泣かせたり、魔理沙の大切な箒を壊してしまったり、本当に色々とやらかしていた。

 

 その時々に大泣きしながら謝り倒し、完成させることを固く誓って何とか許してもらった時は、凄まじい重荷が降ろされた感覚が冗談抜きでした覚えがある。

 

 とは言ったものの、良く考えたら弾幕ごっこ中の怪我や物の破損は仕方がないし、故意に痛め付けたりとかじゃなければ謝る必要なんてないと、皆から言われていた。

 

 何なら、泣かせたルナに必死に謝り倒してから少し経った時、当の本人にいつものよしよしをされながら、優しく「大丈夫、私はもう気にしてないよ」と声をかけてくれたのだ。

 

 むしろ、痛い思いをさせてるのは私の方と悲しそうな表情をしていたから、今度はこっちが「痛い思いをするのなんて織り込み済み」と、本心から言って安心させるなんて一幕、実に心が暖かくなるやり取りと言えよう。

 

「うわっ、ちょっとこれはまずい! 月光『サイレントフラワー』」

「来た、ルナのスペル……」

 

 僕のスペルが中盤に差し掛かってきた頃、少しずつ弾幕に押されてきていたルナが、遂に1枚目のスペルを宣言する。

 

 弾幕で構成された、多種多様で綺麗な花をエントランスの戦闘範囲に生成、それが時間経過で散っていくことで攻撃とする、単純明快な感じだ。

 

 しかし、単純明快だから油断して良いスペルなどではない。ルナが使うものだし、何よりも今は真剣モードの中間(ハードモード)辺り。

 

 現に状況は拮抗、やや僕が不利かと言えるところまで押し戻されている。僕の実力がサニーたちと同等まで上がれば、こうはいかなかっただろうし。

 

「いくらメノでも、そう簡単に私は追い越させない!」

「だよね! 僕とて、簡単にルナを追い越せるなんて考えちゃいないよ!」

 

 掠りながらも避け、宙返りや急加速・旋回・停止などを駆使して当たらないように立ち回ながらも、ルナが発した一言を聞いて少し思考を別の方へと巡らす。

 

(ルナ……僕はね、ルナたちと一緒が良いんだよ)

 

 ルナは、いずれ僕が自分やサニーとスターを追い越すと想定しているみたいだけど、僕自身としてはそこまでの強さは今のところ、全く求めていない。

 

 正確に言えば、強ければ強いに越したことはないけど、それならサニーたちも一緒に同じかそれ以上に強くなって欲しいと、言い表すべきか。

 

 勝手な僕の想像であるとは理解しているけど、強さが僕1人だけ飛び抜けたら、何だか家族関係が嫌な方に変わってしまいそうで……怖い。ただひたすらに怖い。

 

 僕の方が弱いか、もしくは対等である力関係を保つのが、この幸せな関係を維持するのに最も優れていると、そう直感めいたものを感じて仕方ないのだから。

 

「えへへ……ルナ。僕はね、ルナが僕より強いと嬉しいの」

「そうなの?」

「うん。ルナは、僕が強いと嬉しいと思ってくれる?」

「勿論、家族が強いのは嬉しいこと。ただ、ちょっとした対抗心みたいなのはあるから、簡単には追い越させないって言っただけ。何と言うか、色々と矛盾してるよね。私」

 

 しかし、ルナは僕が強くなることに喜びを感じている節がある。それに、1枚目のスペルもルナに時間切れによって攻略された。

 であれば、驚かせようと思ってひっそり魔理やアリスと練習していたあのスペルを、今ここで宣言することとしよう。

 

 モリオン戦で使ったスペルはもとより、ルナ戦で使ったスペルよりも比べ物にならない程に負担は大きいから、この後の皆の試合を見ることができなくなる可能性が高い……いや、使えはするけどそもそもスペル自体が改良前だから、確実と断言しても良い。

 

 だから、終わった後にサニーやスターのみならず、まだ使わないでと念を押してきた魔理沙やアリスからも、厳しく叱られること間違いなしだろうけど、この際それでも構わない。

 

 だって、今相対しているルナが僕に()()()()()()()()()のだから。煌めく瞳で僕を見て、微笑むルナの期待を裏切れるはずなどないのだ。

 

 そう考えたからか、僕の心の中にくすぶっていた迷いは霧散した。例えるなら、雲1つない青空と言ったところか。

 

「そっか。それならきっと、これで喜んでくれるよね、ルナ……」

「えっ、一体何を――」

「『儚き妖精の理想郷』」

 

 宣言をしてからすぐに妖力循環の強度を上げ、キラキラを纏う霧が背後だけでなく僕の身体全部を覆うと、迫り来たルナの弾幕が全て届く前に弾かれ、消滅していく。

 

 特殊なものも含めれば霊夢に魔理沙、レミリアにフラン、ピースも持っている、いわゆる『耐久スペル』に分類されているスペルになるため、時間切れまで粘る以外に選択肢がなくなるのだ。

 

「耐久スペル……? まさか、メノがこんな隠し玉を……うひゃぁっ!」

「これが、僕の全身全霊だよ、ルナっ!!」

 

 それから、時間を置かずに僕の背後へ、弾幕により再現された我が家のある大樹を出現させ、大自然のエネルギーを帯びた水色や黄緑色や白色の大小様々な弾幕、レーザーを雨あられのように解き放つ。

 

 威力はともかく、規模も密度も僕の持つ他2つのスペルと比べれば段違いだけど、これが高負担なことを考えれば現時点では、手放しに優れているとは言い難い。

 

「ねえ、ちょっとこれ……痛たっ!? あわわわ、ルールだから致し方ないね……月符『ルナサイクロン』!!」

「っはぁ……流石に、凄いね!」

 

 でも、初披露の耐久スペルだけあって想定外だったらしく、ルナを追い詰め、レーザーの連続被弾からのスペル宣言をさせることには成功している。

 

 このまま、耐久スペルの時間切れとなる約1分半後までに、スペルブレイクさせることができれば僕の勝利。

 

 逆に、このスペルを1分半被弾なしに耐え抜かれれば、もう僕に宣言できるスペルがなくなるため、ルナの勝利。

 

 ちょっと息が上がってきたけれど、ここまで来たら最後までやり遂げよう。勝つにしろ負けるにしろ、どのみちこれを宣言した時点でお説教は確定なのだし。

 

『これ以上は……メノちゃん、ごめんね』

「あっ――」

「ちょっ……メノ!?」

 

 ただ、制限時間まで残り半分を切った刹那、ウルの声が頭に響くと同時にスペルが強制的に解除され棒立ち、そこにルナのスペルによる弾幕の嵐が殺到、撃墜されると言う事態の発生により、最後までやり遂げることは不可能となってしまう。

 

(無意識に……無理、し過ぎたのかな……ごめんね)

 

 そして、咄嗟にスペルを解除したルナによって、ギリギリ受け止められてからすぐ、僕の意識は強烈な眠気によって途切れることになる。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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