相対していた私はおろか、サニーやスターも今日披露されるまで知らなかった、メノの
ピースのそれに勝るとも劣らない、美しさと強さを高い水準で併せ持つが故に私も追い込まれ、あのまま続いていれば負けていたかもしれない。
そう思えるくらいに、想いのこもった耐久スペルだったと断言しよう。
「まさか、あれで未完成だったなんて」
「そうなんだよ、ルナ。あれは強力だけど、負担もデカいからまだ実戦で使うのは止めておけって言ったんだけどなぁ。何で使ったんだ? 私らの言うことを無視するような奴じゃないのにさ」
「えっ……」
「確かにね。メノの性格を理解した上で協力した私たちにも責任はあるし、例のトラウマの件もあるからあまり強くは言えないけど……目を覚ましたら、軽くお説教しましょう」
「あはは……うん。まあ、そうなるよね」
しかし、この耐久スペルの作成に協力した魔理沙やアリス曰く、メノに対しては負担が大き過ぎるとの理由で使用をまだ禁じていたらしいと判明、同時に私の心はズキッと痛む。
何故なら、メノが2人からの忠告を破ってまで使った理由に、明らかな心当たりがあるからだ。
(ある意味では私のせい……)
戦っていたあの時にされた、「ルナは、僕が強いと嬉しいと思ってくれる?」との問いに、単純に嬉しいとだけ答えてしまった。
私やサニーやスターがメノのした行動を褒めると、メノは例えその行動が大変で辛かったとしても、体調があまり良くなかったとしても、その時の文言次第では次も同じくらい褒められようと、本能的にその行動を取ってしまう可能性がかなり高くなる。
現に、その性質のせいでメノは耐久スペルを使用し、その高過ぎる負担に耐えきれなくなったために、私たちの部屋のベッドですやすやしているのだし。
しかも、殺到していた私の弾幕でもう治っているとは言え怪我をさせ、皆からのお説教コースまでも確定させてしまう。
最悪の場合、弾幕ごっこイベントが終わった後のパーティー中も眠りこけ、参加できない可能性すら出させてしまったのだ。
(……)
魔理沙やアリスとの約束を破ったメノも、確かにいけない。サニーやスター、私との約束も同時に破ったことにもなるから尚更だ。
だけど、今回に限れば私がメノに対して、約束どうこう言う資格なんてない。むしろ、一緒にお説教されるべきだと思っている。
だって、さっきの弾幕ごっこもメノは自分が勝ちたいから無理をしたのではなく、私が喜んでくれるのが嬉しくて仕方ないから、ちょっと無理をしてみたってだけ。
多分、無理してまで強くならないで欲しいとさっきの問いに付け加えるか、察されないように態度で示すかしていれば、きっと使わなかっただろうから。
「ルナ、さっきから挙動不審だぞ。どうかしたのか?」
「魔理沙、アリス。お説教はしないか、もしするならメノには軽くで、きつめなのは私にお願い。あの子が約束を破ったのは、私のせいでもあるから」
「ん? ルナのせいって、一体どういうことだ?」
「えっと、実は……」
そんなことを考えていたからか、挙動不審になっていたらしい。不思議がった魔理沙にそう声をかけられたので、私はその辺も含めて全てを話す。
すると、2人は合点がいったような感じで、「やっぱりか」とか「まあ、そんなところでしょうね」とか言いながら頷いた。どうやら、その時点で証拠はなかったものの、私が原因なのではと考えていたようだ。
(ほっ……良かった。メノ、ちゃんと信頼されてた)
これならば、メノは起きた後に注意されることはあっても、辛いお説教をされることはないだろう。
「まあ、メノが強くなるのは嬉しいことだしな。リスク込みで協力した私らにも責任はあるってことで、私はルナにもメノにも説教はしないでおくぜ」
「私も同様の考えよ。それでも、軽く注意はするけどね。ただし……ルナ。あの子にとって、あなたは傷ついた心を癒してくれる、愛する家族の1人。発言次第で何でもしかねない危うさがあるから、次からは気を付けなさい」
「無論、そこは分かってる。同じ間違いは2度と起こさない気概で行くよ」
そして、私はアリスからお説教とまではいかないものの、意思がこもった心に染み渡る注意を受けた。厳しく怒っても良いくらいだったのに、何だかんだで優しめな2人である。
勿論、そんな2人の優しさにつけこむことがないように、これからはしっかりと気を付けていくつもりだ。
「んにゃあ……あっ」
で、ああだこうだと3人で会話を交わしながら、眠るメノの様子を見守ること2時間半、喜ばしいことに予想よりも遥かに早く目を覚ましたのだけど、様子がかなりおかしい。
私と言うよりは魔理沙とアリスの方だけど、2人を視認するなり身体がぶるぶると震えだし、琥珀色の瞳から大量の涙が流れ、息遣いが目に見えて荒くなる。
加えて、メノが水の力を使った時と同等の強さで、部屋全体を羽の輝きが青い光で照らす。これは耐えられる程度ではあるものの、結構強めに緊張と恐怖の感情を私へ与えてくる。
この様子だと、2人も似たような感覚を味わっていることだろう。
「なあ、アリス。こんな状況で軽くだとしても、説教したらヤバかったんじゃねえか?」
「そうね。もしかしたら、注意しただけでも……取り敢えず、約束を破ったことに関してはこれでもかと謝ってるし、もう解決ってことにしましょう。この様子だと、下手したら罪悪感から自分を傷つけかねないわ」
「だな……という訳で、ルナ。今の状況だと私やアリスが先に何か言ったら多分逆効果だし、先発でどうにかしてくれないか?」
「うん、了解」
間違いない。メノは今から、禁じられていた耐久スペルを使ったことに対して、魔理沙とアリスに厳しいお説教をされると思い、凄まじい緊張と恐怖を感じている。
同時に、心が過剰に傷つかないための防御反応が働き、それでも打ち消しきれなかった『感情』を魔法的な光という形で排出、ここまできてようやく話せるまでになった。
ただし、それはメノ自身も分かっていながら、約束を破ってしまったとの強い罪悪感から来る過剰なまでの私たちに対する謝罪と、「お願い、見捨てないで」と悲痛な叫びを繰り返すだけ。
とてもじゃないけど、お互いに会話を交わすどころではない。まずは落ち着いてもらうことから始めなければ。
「ほら、もう大丈夫。ちゃんと心から謝れたから、2人もニコニコしてるでしょ? 大切な友達であるメノがあんなになって、凄く心配だったから真剣な表情をしてただけ。だから、見捨てるなんて絶対にありえない」
「ルナ……」
「むしろ、私の方こそごめん。こうなったのも、メノに無理をさせるようなことを言った私のせい――」
「違うっ……! ルナは、何も悪くないから、謝らないで!」
「ふふっ、やっぱり優しいね。これだから、2人もメノのことを気に掛けてくれるんだよ」
「そうそう。私はな、メノと友達……いや、家族同然の関係を築けて良かったと思ってるぜ。だから、これからもよろしくな!」
「私も同じよ。だって、一緒にいると楽しい子って思えてるもの」
「魔理沙、アリス……ぐすっ……ごめんね。ルナも、迷惑かけてごめんね。僕の言葉なんて信用ないかもだけど、その……これ以上はもう、約束を破らないから」
いつものようにしっかりと抱きしめ、涙を拭いてあげたり頭をよしよししてあげたりしながら、優しく言葉をかけ続けること10分弱、部屋全体を照らしていた青い光は嘘のように収まる。
身体の震えも止まり、とめどなく流れていた涙も同じく止まり、荒かった息遣いや声の震えも元に戻った。取り敢えず、落ち着かせることには成功したようだ。
それにしても、今日はいつになく感情の変化が激しかった。無理をして疲れきったのに加えて、約束を破った負い目があるにしても、果たしてここまでなるものなのだろうか。
今回のこれは実に不思議であり、原因は謎に包まれていると言っても良い。だから、近い内に調べておこうかと私は思った。
「やっほー! えっと……うん、メノの調子は良さそうで良かった! まあ、羽の輝きを見ればすぐに分かることね!」
「あっ、サニー。スターもだけど、何かとってもご機嫌だね。良いことあったの?」
「聞いてくれる!? 実はね、メノが眠ってる間に弾幕ごっこイベントが終わったんだけど、私2回とも勝ったのよ! しかも、チルノとピースに!」
「とまあ、サニーったらずっとこんな調子でねー。あっ、ちなみに私は1勝1敗。チルノには負けたけど、大ちゃんには勝ったわ」
「わぁ……! ルナもそうだけど、サニーもスターも流石だよ。僕が勝手に無理さえしなければ見れたのに……きっと、凄く心配かけちゃったよね。約束も破っちゃったし、2人とも。本当にごめん!」
そして、何とかメノに落ち着いてもらい、むしろ羽の輝きが桜色になってきたところで、部屋の中に随分とご機嫌なサニーとスターが入ってくる。
私がずっと見ているから大丈夫と言っても、ちょくちょく様子を見に来てくれるくらいにメノのことを心配していた2人だから、元気そうにしているこの子を見た瞬間により一層ご機嫌になった。
だからと言って、私の言葉を聞いて様子を見に来なかったチルノ一行や霊夢、あうんに香霖が心配していなかった訳ではない。
むしろ、何かあったら絶対に知らせろと言わんばかりの表情を見せ、サニーやスターと同じくらい心配してくれていたのだ。
(ふぅ……このタイミングで良かった)
だからこそ、後20分くらい様子を見に来るのが早かったらと思うと、恐ろしくてたまらない。ほぼ確実に混乱し、下手したら喧嘩が始まっていたかもしれないのだから。
「ええ、確かに凄く心配したわ! でも、過ぎ去ったことをくどくど言っても仕方ないし、反省してるなら取り敢えずおしまいね、メノ!」
「そうだねー……サニーの言う通り、その話はこれでおしまい! パーティーの準備ももうすぐ終わるみたいだから、皆で今すぐ行きましょ!」
そして、私が見ていなかった間の弾幕ごっこで勝利したことを含め、色々とご機嫌に話してくるサニーやスターから、いつの間にかパーティーの準備が終わる寸前の時間になっているから、皆で行こうと言われる。
もう少しだけゆっくりしていこうかとも思ったけれど、身体も心も完全復活したメノが凄く乗り気で、魔理沙とアリスもそれなら行こうとの意思を見せてきたため、私もそれに乗っかる形で頷き、すぐにエントランスへ皆で向かうことが決まった。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ