光の四妖精   作:松雨

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最後のパーティー(前編)

 お説教されても仕方ないとか考え、約束を破って耐久スペルを使っておきながら、いざ眠り(気絶)から覚めた時に魔理沙とアリスの表情を見た瞬間、緊張と恐怖のせいで僕は酷く取り乱し、散々迷惑をかけてしまった。

 

 ルナに関しては、単に弾幕ごっこを全力でやっていただけで全く悪くないのに、勝手に取り乱した僕を落ち着かせるためか、わざわざ謝らせてしまう始末である。

 

 普通だったら、約束を故意に破るわその挙げ句に酷く取り乱すわで、しばらく怒って口を利いてくれなくてもおかしくはない。何なら、見捨てられる可能性すらあっただろう。

 

 にも関わらず、側に居てくれたルナも魔理沙もアリスも、何だかんだであっさりと笑って許してくれた。

 

「あっ、メノだ! あの時はヒヤッとしたけど……うんうん、普通に元気そうで良かった!」

「まさか、メノが耐久スペル持ちだったなんてな! あたい、色んな意味でびっくりだ!」

「もうっ! 凄く綺麗だったけど、途中で気絶するくらいなら使っちゃ駄目だよ! 皆心配してたんだからね、メノちゃん!」

「……メノウ、こうなるって分かっててやったの? もしそうだとしたら、単なる大馬鹿者だよ。あたしもスフェも、どれだけ焦ったと思ってるのさ」

 

 そして、僕がそうなっていたとは露知らず、眠ってる間に時間が過ぎ、パーティーがもうすぐ始まるから行こうと、声をかけに来たサニーとスターにエントランスへ連れられて行ったら、チルノやピースを筆頭に友達が皆して声をかけにきてくれたのだ。

 

 その中でも大ちゃんとラルバ、モリオンとスフェは、僕を見るなり瞳を潤ませながら声をあげ、強い怒りを露にしてきた。

 ノーゼに至っては、凍てつくような怒りの視線を僕に対して向けてきたけど、至極当然の反応だ。呆れて口を利いてくれなくなったり、見捨てたりしなかっただけ温情がある。

 

 加えて、霊夢や霖さんは淡々と諭すような叱り方、あうんやリリーは大ちゃんたち寄りな感じで怒りながら、心配していたことを伝えてくれたのだ。

 

(こんなに思ってくれてるのに、僕はいつもいつも……!)

 

 思っててもらえてたことによる嬉しさ、優しい皆を怒らせた不甲斐なさや怖さやらが入り交じり、またしても涙が出てくるけど何とかこらえ、甘んじて受け入れた。

 

 本来なら、最終的に優しく許してくれるにしたって、それとこれとは別で色々言いたかったであろう、ルナに魔理沙にアリスの分もあるのだから。

 

 いや、今からでも言いたいことがあれば言っても良い。全部僕の身から出た錆なのだし、全て甘んじて受け入れると伝えよう。

 

「ぐすっ……ごめん、皆。今回は、分かっててやった僕が全部悪いし、弁解の余地だって全くないもんね。怒られても仕方ないよ。だからサニーたちも、魔理沙とアリスも、この際だから言いたいことがあれば言って」

「じゃあ……あのスペルは完成するまで実戦では封印。それに限らず、他の時に気絶するレベルの無理はしないと固く誓って! 破ったら、今度こそ厳しいお説教するわ!」

「大切な友達だからこそ、気が進まないけどこうやって私が怒ってるんだよ、メノちゃん。そうじゃなきゃ、早々に見切ってるからね」

「勿論だよ、皆。全身全霊を以て、気を遣い続けるって誓うから」

 

 それにしても、皆との約束を故意に破って心配させるという、凄まじく悪いことをしてしっかり怒られているにも関わらず、緊張と恐怖を感じつつも何かこう暖かな気持ちになってくる。

 

 きっと、ただ理不尽に怒鳴り付けるような怒り方ではなく、程度の差こそあれ僕を大切に思ってくれているからこそ、それが怒りという形で出てきているからだろう。

 

(次やったら、今度こそ見捨てられるかもしれない……!)

 

 だからこそ、こんなにも優しい皆を怒らせたり、泣かせたりしてしまった僕の罪はこの上なく重たい。

 

 それを自覚した上でも約束を守れないようであれば、僕はもうどうしようもない奴なのだから。

 

「さてと、色々言うのはこれでおしまいにしようぜ! 沢山美味しそうな食べ物が来たしさ!」

「確かにそうだね。メノちゃん行こう……ふふっ。ほら、ハンカチ貸してあげるから、涙拭いて」

「うぅ……大ちゃん、ありがと。怒らせちゃったのに、こんなに優しくしてくれるなんて……幸せな妖精だよ、僕は」

「相変わらずの涙もろさだよねー。何しても喜んでくれるから、こっちも何でもしたくなっちゃうわ」

「ははっ! 本当、メノは良い性格してる奴だぜ」

 

 で、次はないとの心持ちで強く決意を固めてこの話は一旦おしまいとし、咲夜やメイド妖精さんたちによる準備が済んで始まったパーティーを、皆と思う存分楽しもうと気分を変える。

 

(わぁ……! 美味しそうっ!)

 

 ということで、最初に僕はエントランスに置かれていたテーブルへと運ばれてきた、美味しそうな香りを漂わせる和食や洋食の数々へと目を向けることにした。

 

 咲夜や料理担当のメイド妖精さんたちが作る料理やお菓子のレベルは、何度味わっても飽きが殆んど来ないくらいには高い。

 

 同じく料理上手な霊夢やスターも絶賛する程と言えば、2人を知る人妖はきっと興味をそそられることだろう。

 

「ん~! これ美味しいよリリー! 一口食べてみて!」

「へぇ、どれどれ……わぁ、このオムライス凄く美味しいわ! 流石、メノが美味しいって思うものだから外れじゃなかったねー」

「もう、買いかぶり過ぎだよ。食べ物の好みなんて人それぞれ……僕たちは妖精だけど、そこは同じなんだから」

「あははっ! 確かに食べ物の好みは各々違うけど、こと料理に関してはメノかスターを信用しとけば、絶対に間違いないってのはもうあたいたちの共通認識だぞ!」

「ちなみに、私や霊夢も同じ認識だ。それに、メノの作る料理は凄い美味いから、仮に有料になっても食べたいって思う気持ちは変わらんだろうな」

「魔理沙……僕は、家族や友達からお金は絶対に取らないつもり。お願いしてくれたら、料理くらい喜んで作ってあげる。何でも良いよ」

 

 そして、美味しい食事は食べるのが好きじゃないとか、お腹がいっぱいとかじゃない限り、基本的には口に入れた人の気持ちを幸せなものに変える力がある。

 

 今もそうだけど、スターがいつもおやつに作るクッキーを食べた時、サニーやルナが料理本を見ながらでも作ってくれたお味噌汁を食べた時、必ず笑顔になるくらいには幸せな気持ちでいっぱいになるのだ。

 

 というか僕の場合、例え味があまり良くなかったり変わったものだったとしても、家族や友達が僕のために作ってくれたという事実だけで補正がかかり、幸せで満たされるタイプの妖精だ。

 

 勿論、味の感想を気遣いなく聞かせて欲しいと言われれば、正直に答えたりはするけど、万が一美味しくなかった時に落ち込む姿を想像してしまい、できるだけ正直かつ傷つけない言い方をするのにどえらい時間がかかってしまう。

 

 結果として、それまでに僕の反応を見て察され、より一層落ち込ませる悪循環に陥るから、今はすぐに伝えられる練習を密かに魔理沙と行ったりしている。

 

「あらあら、全員かなり楽しんでくれているようね。それに、元気そうで何よりよ、メノウ」

 

 サニーたちやチルノ一行、魔理沙たち5人とワイワイしたり、ちょっかいを出してきた妖精さんにお返ししたりと楽しく過ごしていると、ほんのり顔を赤らめたレミリアに声をかけられた。

 

 右手にはぶどうジュース……じゃなくて、左手の赤ワイン(お酒)と書かれたラベルが貼られたビンを見る限りだけど、それらしき液体が入ったグラスを持っていたから、そこそこな量飲んでいるらしい。僕たちに負けず劣らず、相当楽しんでいる。

 

 一緒についてきていた咲夜は飲めないのか、レミリアが酔い潰れた時に備えてかは分からないけど、表情を見る限りではお酒を飲んでいないようだ。

 

「うん。レミリアと咲夜にも、心配かけちゃったよね。ごめん」

「……この様子だと、もう大丈夫そうね。咲夜」

「そうですね、お嬢様。お説教も妖精たちにされたみたいですし」

 

 で、当然の流れではあるけれど、友達の2人にも心配をかけたことへの謝罪を行う。

 

 やはりというべきか、レミリアも咲夜もあの時の光景を見て心配してくれていたようで、元気になった僕を見て表情がかなり柔らかくなったのを目にし、改めて反省と約束を守り通す意思を心の中で固める。

 

(えへへ……)

 

 ただ、耐久スペルの強さや美しさの面では、ワイワイ騒いでいた時にサニーたちから言われたように、とても凄いと褒めてくれたから、嬉しさと幸せのあまり泣きそうになってしまった。

 

 まあ、それと同時に気絶しないように改良や練習を重ね、しっかりと完成させなければいけないと忠告は受けたけど、当たり前だ。勿論、2人の前でも固く誓う。

 

「レミリア? えっと、赤ワイン……? これを飲めってこと……?」

「飲めというか、飲んでみないかって感じね。それはそうと、結構美味しいわよ! ところで、お酒を飲んだ経験はあるかしら?」

「ううん、ないけど……」

「なら、まずはこれくらいにしておくわ! 初めてでいきなり沢山は、誰であろうと良くないもの!」

「あ、うん。でも、これ結構高そうなのに……」

「ふふっ、メノウがそんなこと気にしなくても良いのよ!」

 

 すると、レミリアは何を思ったか未使用の小さめなグラスに赤ワインを3割程度の量入れると、僕に手渡して飲んでみてとニコニコしながら言ってくる。

 

 前世では年齢的に飲むことは不可能であり、サニーたちが家にお酒を置いていないこともあり、今世でも好きだったお茶ばかりを飲んでいた。なので、僕は飲酒が未経験だ。

 

 ちなみにだけど、サニーもスターもルナも僕がまだ生まれる前、博麗神社の宴会や紅魔館でのパーティーで飲んだことがあるらしい。というか、僕の友達は全員少なくとも1度は飲んでいるとのこと。

 

 人里に住む人間の子供とかならいざ知らず、今世の僕は魔法の森に住む妖精の1人だ。人間じゃない。

 つまり、ここが幻想郷である以上、自分の体調とか気分とかが許す限りなら、好きなだけお酒を飲むことができる。

 

「うーん……それくらいだったら良いんじゃない? ねえ、スターもルナもそう思うでしょ?」

「サニーの言う通りだねー。勧められて気になるんだったら、1回飲んでみても良いと思うわ。もっと飲むか、もう飲まないかはそれから決めれば良いし」

「うん。私も、メノの好きにして良いって思う。ただし、初めてだから一気に飲まないこと。まあ、初めてでなくても一気飲みは全くおすすめしないけど」

 

 それでも、初めてなのに何も言わずに飲んでみて何かあったら困るという訳で、一応サニーたちへお伺いを立てたんだけど、笑顔で許しを得ることはできている。

 

 なので、前世の人間的常識から来る緊張感と、どんな味なんだろうと純粋な好奇心から来るワクワク感を得ながら、レミリアに注がれた赤ワインを僕は一口飲んだ。

 

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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