光の四妖精   作:松雨

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抱いた『信頼』

 見た目はほぼステレオタイプの魔法使いさんだけど、快活で一緒に居たら楽しそうな人。

 

 僕の性格と前世での経験上、初対面の人との対面がかなり苦手なのを抜きにした場合に、僕たちの家にやって来た金髪の女の人へ抱いた第一印象である。

 

「いらっしゃい、()()()! 別に邪魔だなんて思っていないわ!」

「そうか? なら良かった。ところで、ルナの後ろに隠れてる妖精は見たことないな。新しい友達か?」

「いいえ、仲間(家族)よ! とある場所で倒れてたところを保護した後に色々あって、仲間にしたの!」

「そうそう。本人じゃないから詳しくは言えないけど、本当に可哀想な子なんだよねー」

「保護、可哀想な子……だからか。見知らぬ他人に、相当警戒心を抱いてるのは」

「ええ、多分ね! だから、声をかけるのは当分後にして欲しいわ!」

 

 そして、サニーやスターとのやり取りを見続けていると、あの人(金髪の女の人)が『魔理沙』さんであり、あらゆる場面で親しくしている友達だと判明した。

 

 家に居る時の会話の中でもかなりの高頻度で名前が登場し、話している時とっても楽しそうにしている光景を何回か目にしているから、2人がニコニコなのも納得でしかない。

 

 ともなれば、話しかけに行きたい自分の意思を押し殺し、僕の側についててくれているルナが「あの人間は信頼できる」とか、「メノを害するような輩じゃない」と安心させるために声かけしてくるのも、当然の摂理だろう。

 

 それなのに、「でも、私たちが親しい人だからって、無理して仲良くなろうとしなくて良い」と、更にルナは僕を気遣ってくれる。

 

(初対面時のサニーたち程じゃなくても……あの人なら、信頼して良いかも……?)

 

 ここまでの流れに加えて前述の第一印象も相まり、魔理沙さんに対する警戒感や緊張感は不思議なくらいに薄れていき、今なら話しかけられても返事を返すくらいはできそうだ。

 

「ん? 羽の色が……魔理沙。さっきはああ言ったけど、もし気になるならちょっと話しかけてみる?」

「そりゃまあ、サニーの仲間って言うなら挨拶くらいはとは思ってたが、良いのか? 確かに、さっきよりは警戒されてない気はするけど」

「大丈夫よ! メノの羽の色を見れば話しかけても良いって、一目瞭然だもの」

「……なるほどな。さっきみたく青色の時は駄目で、透明になれば問題なしと」

 

 無論、いずれはサニーたちくらいに、魔理沙さんと仲良くなるつもりである。

 

 しかし、種族が妖精ではなく人間だからか、はたまた性格などを含めた相性の問題故かは分からないものの、3人と打ち解けた時間よりは普通にかかりそうだ。

 

「よろしくな。私は人間の魔法使い、霧雨魔理沙だ」

「うん。僕は、テルースメノウ。えっと……お姉さんが魔理沙って人間さんだったんだね。あなたとならその……ちょっとだけ、お話しても良いよ」

「おぉ、少しは信頼してもらえたってことか? そいつは光栄だ」

 

 最初はそう考えていたのだけど、魔理沙さんと自己紹介を含めて簡単な会話を交わしていく内に、僕はその考えが間違いだったかもと思い始めた。

 

 第一印象は言わずもがな、声のトーンや表情、目線を身長の低い僕に合わせてくれるなどの気遣い、3人がかなり好意的だと言う要素も勿論ある。割合で表すとするなら、8割くらいだろう。

 

(やっぱり、この人なら……)

 

 ただ、魔理沙さんと一緒に会話をしている時、更に緊張感が流水に流されていくかのように少しずつ和らぎ、それに伴って固まっていた身体がほぐされていく感じがしたことも外せない。

 

 言わずもがな、サニーやスターやルナ(今世の家族)と居る時のそれとは比べ物にならないけど、前世を含めた僕が出会った赤の他人の中ではかなり居心地が良い方である。

 

 これ単体だけで、残りの2割を埋めていくくらいには大きかったけど、流石に初対面で親しげに話せるようになる程、緊張感が和らぐことはない。

 あくまでも逃げ出したい欲求が沸かず、会話()続けられるようになるだけなのだ。

 

「ところで、せっかく来たなら家に上がって、ゆっくりお話しましょう。残り物になっちゃうけど、メノの作った『オムライス』とスターの『コーンスープ』もあるから」

「おう、そうさせてもらうぜ! しかし、スターはともかくメノも料理作れたんだな」

「そうなのよ! スターも絶賛するくらいに美味しいわ!」

「スターが絶賛? なら、咲夜(さくや)や霊夢、妖夢(ようむ)級の料理人じゃねえか。凄いな」

 

 家の庭で更にやり取りを続け、サニーの一声で家の中に魔理沙さんを招いた僕たちはリビングの椅子に座り、スターが保管庫の料理を温め直している間、のんびりと話を続けていく。

 

 内容としては、3人がいつもしていると言う世間話が3割、新しい仲間である僕の紹介を含め、僕に関係のあるものが7割となっていた。

 

 当然だけど、実は前世は酷い人生を送ってきた中学生男子でしたとか、話せば()()()転生を察させてしまう恐れがある事柄については、怖いから言わない。

 そもそも、サニーたちにすら言ってないことを、魔理沙さんに言うはずがないだろう。

 

 ただ、それ以外であればある程度ぼかしを入れるだけでどうにかなるため、聞かれたら別に隠すこともなく答えていた。

 

「マジかよ、流石に酷すぎるだろ……そりゃあ、そんなことされてたならあの警戒心も納得しかないな」

「でしょ!? もうね、メノがされてきたことを考えると、腹が立って仕方ないのよ!」

「そうそう。だから、()()()()私たちが優しくするだけで泣いちゃうくらい喜んでてね。本当、心が締め付けられる思い」

 

 結果、僕に対してではなくてもサニーやルナを怒らせるか悲しませてしまい、せっかく来た魔理沙さんの気分すら落とす羽目になってしまった。

 

 僕のことを家族だと、心から思ってくれている故の振る舞いは非常に感動的で、泣きたくなる程に嬉しい態度であるのは間違いない。

 

 だが、そのせいで皆を取り巻く雰囲気が、どんよりと重くなるのは違う。その原因となった話をした僕が何言ってるんだとは思うけど、皆にはいつも通りにしててもらいたいと思っている。

 

「はいはーい。重たい話はその辺にしておいて、温め終えたから食べましょ。オムライスは2人分、コーンスープは全員分あるけど……」

「オムライスは魔理沙に、私たちはコーンスープ1杯だけで良いわ!」

 

 そう考え、雰囲気を元に戻すべく思考を巡らせ始めたタイミング、スターが温め終えた料理をテーブルに運んできたお陰で、重たかった雰囲気は一瞬で霧散、朗らかな雰囲気の中行われるのんびりお話タイムが始まることとなる。

 

(どうかな、どうかな……? 口に合えば良いけど……)

 

 1回冷ました後に温め直した残り物とは言え、今日のオムライスは洋食の中でも相当得意な方だ。

 失敗は当然しなかったし、万が一があってはならないと味見も僕がしっかりとしているから、美味しくは作れているはず。

 

「あの……魔理沙さん。僕が作ったオムライス、どうかな……?」

「こいつはヤバい。作りたてじゃないのにマジで美味い。中身もそうだが、卵のふわふわ感が特に凄いと思う」

「……僕を、褒めてくれてるの?」

「当たり前だ。むしろ、褒めるところしか見つからないぜ」

 

 内心ビクビクしながら様子を伺っていた僕であったけど、魔理沙さんが美味しそうにオムライスを頬張る光景を見て、それが杞憂で終わったことを理解する。

 

 しかも、僕を気遣ってか多少表現が大げさではあるものの、3人みたいに心から僕の料理を褒めてくれたことも同時に、魔理沙さんが見せる瞳と雰囲気と仕草から理解した。

 

「おっ、また羽の色が変わったぞ? ルナ、こいつはどうなんだ?」

「薄いピンクと紫交じりは、相当嬉しく思ってる証拠。泣きそうに見えるかもだけど、心配しなくていい」

「そうか……普通に、褒めただけのつもりなんだがな」

 

 幻想郷に来てから、会う妖精さんや会う人間さんはいい人ばかり、理不尽を振り撒いてくるなんてことはなかった。

 

 そりゃあ、まだ4人目なんだから偶然連続でいい人に会っただけかもしれないし、これからその嫌な人に会うことになるかもしれない。

 

 何なら、人間さんや僕たち妖精を襲うような妖怪さんが現れ、酷いことをされる可能性だってあると、サニーたちからも話を色々と聞いている。

 

(……)

 

 ただ、そもそも前世では理不尽の嵐。リラックスできた一時はあっても、サニーたちや魔理沙さんのような人と会った記憶なんてない。

 

 だから、例え幻想郷で前世と同等かそれ以上の理不尽に襲われたとしても、この4人さえ居れば時間がどれだけかかろうと、間違いなく乗り越えられる。

 

「メノ。それだけ辛くて、苦しい壁を乗り越えて来れたお前は凄い奴だよ。良く頑張ったな」

「……うん!」

 

 魔理沙さんから、サニーたちから贈られたそれに次いで心に染み渡る一言をもらった僕は、心の中でそう強く思った。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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