光の四妖精   作:松雨

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強く固めた決意

 サニーたちと親しいだけあって、僕にも変わらず優しく接してくれた魔法使いの魔理沙さん。

 この人を加え、急遽行われたプチ食事会が盛り上がって終わった後、食器の片付けを済ませた僕は再びルナと外庭に出ていた。

 

 途中の会話で妖力の扱いや弾幕ごっこのやり方、僕の能力の有無についての話が出た時に、「メノが嫌じゃなきゃ、私が付き合ってやるぜ!」と、魔理沙さんがサニーみたいな笑みを浮かべながら言ってくれたからである。

 

 とは言え、弾幕ごっこを行うにはまず最初に、妖力の扱いがある程度上手くなる必要がある。

 

 また、さしもの魔理沙さんも一朝一夕で、僕の能力の有無を確定させる芸当は不可能らしいけど、当然の摂理だろう。

 

「魔理沙さんは妖力を使えない……なのに、僕の妖力の使い方を教えてくれる……? 魔力と妖力って、名称が違うだけでほぼ一緒?」

「まあ、そんな認識で間違いないな。つまり、魔力の扱い方は妖力の扱い方に応用できるんだ。まあ、多少調整は必要だが」

「そう。しかも、魔理沙はあの霊夢に迫る実力を持つ人間(魔法使い)。メノも、早い内に()()()()()と思う」

「だろうな。パッと見チルノくらいはありそうだし、上手く行けば……って、随分責任重大じゃねえか」

 

 なので、今日からしばらくの間は、基本中の基本となる妖力の扱いについて、4人に教えられながらマスターしていく方針に話し合いで決まった。

 

 都合良く、練習していく中で能力の片鱗みたいなのが現れれば良いなとも思ったけど、世の中そう簡単には行かない。

 何なら、その辺はやることがあるからと家の中に居るサニーとスターも含め、皆からの助けを借りつつのんびりやれば問題ない。

 

 個人的な焦りを除けば、急がなくてはならない確固たる理由が今現在、一切合切ないのだから。

 

「さてと、メノ。身体に流れる魔力……お前の場合は妖力だが、こいつに関しては分かるか?」

「うん。水みたいに流れてて、ポカポカした不思議なもの。サニーたちのお陰でこれを噴射して飛ぶと、とっても速く空を駆けられるようになったんだ」

「そう。それに、妖力の精密な操作による急加速に急停止、急旋回もお手のものだった」

「へぇ……本能的なものとはいえ、そこまで扱えるなら話は早い。いわゆる『弾幕』もこんな風に、そいつを使って生成するもんだからな」

 

 と、ひとまず能力云々については頭の片隅に置いておく。

 

 デモンストレーションとして魔理沙さんが星型の弾を、ルナが青や紫を基調とした色の弾を自分の周りに生成し、沢山浮かべる光景。

 および、同時に行われる難しくてもためになる説明を聞く方が、今は重要なのだ。

 

(わぁ、綺麗なお星さま……ルナの弾幕も、色とりどりで綺麗だなぁ……)

 

 それにしても、ふわふわと周りに浮かぶ色とりどりの星の弾幕……心奪われる程の綺麗さもさることながら、内に秘められた妖力(魔力)も、普通ではないと良く分かる。

 

 明るい今ですらこれなのだから、きっと真夜中に見たら相当綺麗に違いない。

 

 無論、ルナの弾幕だって形こそ普通ではあるものの、配置の巧みさや綺麗さで言ったら全く負けてはいない。

 

「初めてなんだよな? 弾幕を私やルナみたいに、大量かつ即座に生成するってのはまあ難しいだろうから、まずは1つだ。手のひらに、妖力を球状に集めるようなイメージで1度やってみてくれ」

「……分かった、やってみる」

 

 で、2人に見守られながら手のひらに向けて、泥団子を作るイメージで身体を流れる妖力を操ると、それは徐々に目に見える形で僕の眼前へと現れ始める。

 

 手のひらから出たキラキラがくるくると回り、密度が増してくると透き通るような水色と黄緑色が調和された淡い輝きを放ち始め、最終的には不思議な紋様がうっすらと浮かぶ球体が完成した。

 

(よしっ、できた!)

 

 大きさは僕の手のひらとほぼ同じだけど、魔理沙さんはもとよりルナの弾幕に比べれば、それに秘められた『力』は小さい。

 違ったら恥ずかしいけど、初めてなら上出来な方ではあるまいか。

 

「……どう?」

「初めてにしては文句なしだ。しかし、綺麗な弾幕だな」

「確かに、心が癒される色合いの光と紋様だと思う」

「えへへ……本当に? ありがと」

 

 なお、2人にとっても今僕が生成した弾は及第点だったらしいので、恥ずかしい思いをすることはなかった。

 

 しかし、喜ぶのは良いにしてもこの程度で気を抜くのは早い。

 

 弾幕ごっこをするのなら、ルナや魔理沙さんのように沢山の弾幕を1度に出すのは勿論のこと、それをお互いに空中を飛び回りながら、ルールを守りつつ放って当てるところまで行かなければならないのだ。

 

 たった1つの弾を生成するのに3()0()()()()もかかっては、弾幕ごっこが成立などするはずがない。

 

「弾幕ごっこをするならともかく、身を守るって意味じゃ完全に威力不足だな。当たり前だが」

「でも、初めてだって点を考えれば上々じゃない? ちゃんと飛ばせた上で、木に当てられてるから」

「そりゃそうだ。私だって初めての時は散々だったし、練習を重ねてこそ今がある訳だしな……メノ、1人の時の練習をするのは良いが、無理だけはするなよ?」

「うん……分かってる」

 

 無論、だからと言って無理をしてまで練習をするつもりは、僕には一切なかった。

 

 魔理沙さんに忠告されたこともそうだけど、何よりサニーに「何であれ、無理は()()()しては駄目よ! したら怒るわ!」と、強い口調の中にも家族を想う心から来る忠告を、既に受けているからである。

 

(ゆっくりのんびり、頑張るぞー)

 

 僕にとって、既に居なくてはならない大切な家族と化したサニーからの、家族(仲間)を想うが故の強い口調での忠告、聞き入れないなんてあり得ない。絶対にあり得ない。

 

 仮にそれを無視し、無理に無理を重ねた結果僕の身に何か起ころうものなら、サニーだけでなくスターやルナへ精神的なダメージを与え、笑顔を奪い去ってしまう可能性すらあるのだ。当然の摂理だろう。

 

「2人ともー! 色々やってる途中で悪いけど、メノを借りてくわ!」

 

 心の中で決意を固めつつ、両手に1つずつの弾幕を生成してみたり、色や大きさなどを変えてみようと試み続けていたその時、家の中から出てきたサニーが大きな声で呼び掛けてきたことに気づく。

 

 僕を借りてくと言っていたけど、一体何をする気なのだろうか。

 

「ほらっ! メノ、早く行きましょ!」

「えっ……ちょっ、引っ張らないでサニー!? そんな慌てなくても、僕は逃げないって!」

「まあまあ。スターからも早く呼んできてって言われてるし、何より私が見せたいって思ってるものがあるから!」

 

 思考を巡らせつつ、魔理沙さんとルナにちょっとごめんと言ってから呼びかけてきたサニーの元に向かうと、彼女はニコニコしながら僕の手を掴み、特段上機嫌だと分かるくらいの軽快な足取りで、僕の部屋となる予定の場所へと向かっていく。

 

 状況からして、まず間違いなく僕の部屋が内装を含めて完成している。でなければ、わざわざ僕をこんな形で呼び出し、その上でこっちまで連れて来る理由がないのだ。

 

(どんな感じになってるかな~。ふふっ、楽しみ!)

 

 完成を楽しみに待ってて(何もしなくても良い)と言われていたから、作業のお手伝いはもとより、見に行くことすらしていない。

 

 だけど、わざわざ自分たちの時間をふんだんに使い、大変な思いをしてまで整えてくれた部屋、見る前から何もかもが最高だと分かる。

 

 万が一……いや、億が一不満点はおろか、ちょっとした違和感ですらあろうはずがない。

 

「じゃじゃーん! どう? メノのために、3人で頑張っちゃった! ルナは今、魔理沙と一緒だけど」

「結構時間かけたし、気に入ってもらえると嬉しいなー。でも、取り敢えずこうしたってだけだから、自分なりにアレンジしたければしちゃって大丈夫よ」

「そうそう! 何て言っても、メノの部屋だからね!」

 

 案の定、サニーが開けた扉の先にあった光景は、僕の予感通り最高のものだった。

 

 ふかふか枕と掛け布団が設えられた、寝心地の良さそうなベッド。

 

 比較的白めの木壁に調和する色合いのカーペット、テーブルや椅子を筆頭とした家具に、服をかけるクローゼットや私物をしまう収納スペース。

 

 少し小さめの本棚が2つに各種筆記用具、読書灯と思わしき魔法道具、窓際にある複数の花が植えられた植木鉢、他にも過ごしやすいようにと各所に施された工夫の数々。

 

 これを見て、僕が来る前はホコリだらけで汚かったと言う、物置小屋も同然だった部屋の1つだったとはとても思えない。

 

「ぐすっ……最高のお部屋だよ、2人とも。ルナにも後で、言っとかないと」

「ふふっ、相変わらずの反応。頑張った甲斐があったわ!」

「ここに来てから『幸せ』をもらってばかりで僕、いつか恩返しできるかな……?」

「それを言うなら、私たちだって『幸せ』と『楽しさ』をもらってるわ。メノと一緒に、笑ったりふざけたりできる日々って名前のね! スターもそうでしょ?」

「まあね。普通に過ごしてくれてるだけで、図らずも恩返しになってるってやつよ」

 

 この時点で既にうるっと来てるのに、会話の中で更に2人が嬉しいことを言ってくれるものだから、もうこらえるのは無理だった。

 

 今までの慣れか別の理由か、流石に大声をあげて泣くまではいかなかったけど、頬を伝う涙は量と勢いを少しだけ増し、まともに喋るのも難しくなってしまう。

 

(ああもう、涙が止まらないよぉ……!)

 

 これで、僕は改めて思った。この先の妖精生活を健やかに過ごすには、他の何よりもサニーたちが必要不可欠だと。

 

 もし、何かがあってサニーたちが居なくなってしまったとしたら、その時は僕の心は修復不可能なレベルで壊れて終わるだろう。考えたくはないけど、それだけは間違いない。

 

「……ありがと」

「「どういたしまして!」」

 

 だから僕は、僕が無理なくできる範囲で3人が幸せで楽しく過ごせる土台……大地となり、支えていこう。

 

「あのさ。取り敢えず、魔理沙さんとルナのところへ戻っていいかな……?」

「ええ! 練習、無理ない範囲で頑張ってね!」

 

 心の中でそう固く決意を固めた後、待たせているであろう2人の下へ僕は戻っていった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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