出会いは全くの偶然ではありながら、まるで運命に導かれるが如く私たちの仲間となった僕っ娘妖精、テルースメノウ。愛称はメノ。
彼女は妖精どころか、他の人妖まで範囲を広げてみてもそうそう居ないであろう、地獄みたいな過去を抱えている。
詳しい話は聞いていないけど、12日前家に来た時から今に至るまでの様子を見ていれば、本人に直接聞かずとも分かる。
例え分からなくたって、メノのことを考えればこちらからは、とても聞けたものではないけど。
「おはよう、スター。今日も起きるの早いね」
「ええ、おはよう。まあ、それを言うならメノの方が断然早いと思うけどねー。見る限り、3時半~4時頃に起きた感じ?」
「うん。どうしても、目が覚めちゃって……あっ。料理とかお掃除は、
「分かってるわ。羽の色を見れば一目瞭然だし」
私たちの中でも1番の早起きで、料理や掃除を筆頭とした家事を本能的に、かつ高水準でこなせる力も、元々は自身を守るためも同然の理由で身に付いたもの。
ちょっと
少しは和らいでいるけど、時々幸薄そうだなと思ってしまうのも、言動の節々や仕草に加えて過去の経験により構成された性格が、大きく影響している。
「でも、たまには……いや、朝くらい毎日のんびりしてるだけでも構わないわ。メノに、そんな役割を期待して仲間にした訳じゃないから」
「ふふっ……ありがと。何度でも言うけど、こんな暖かい家族の一員になれた僕は、とっても幸せ」
勿論、何はともあれ大切な仲間に変わりはないし、それ故にふと私たちに見せてくれる暖かい笑顔が、とても印象に残るのだ。
きっと、普通の人妖や妖精並に他人からの
そのためならば、私に出来る限りのことをしていくつもりである。サニーやルナも、同じか似たような思いに違いない。
「おはよー! メノ、今日の朝ご飯は何かしら?」
「サニーはオムライス、ルナは希望通りのモーニングトーストだよ。コーヒーは苦めで良かったよね?」
「うん、ありがとう」
「凄いわね! 何となく、食べたいって思ってたところなの!」
「そっか、良かった。スターは、甘い卵焼きで大丈夫?」
「勿論よ。いつもありがとう、メノ」
しかし、私自身はもとより、2人もメノが用意する料理の美味しさに、完全に虜になっている。
言わずもがな、技術力を得た経緯がどうであれ、腕前が達人の領域に達しているからであろう。
ただ、リクエストしなくても心を読んでいるのかと言わんばかりの確率で、その日その時に食べたいと思った料理が、結構な量出てくることも大きな要因だ。
(今度、メノに秘訣を聞いてみようかなー)
無論、万能ではない故に外してしまう時もあるみたいだし、直前で私たちの気分が変わることもない訳ではない。
とは言っても、味に関してはどれも私たち好みで、そもそも絶対に食べたいものがある時は前もって伝えているから、外されたとしても全く問題はない。
ここに居る私たち3人、たかがその程度のことで怒ったり、せっかく作ってくれた料理を目の前で捨てたり、果てに暴力を振るうような虫酸の走る輩ではないのだから。
「ねえ、皆。もし、僕が『お願い』をしたとしたら、聞いてくれるかな……?」
すると、何を思ったか急に食事を中断したメノが私たちに向けて、恥ずかしさと不安が入り交じったような表情を見せつつ、問いかけてきた。
お願いと言っても、人や状況に応じて色々ある。
まあ、メノのことだからぶっ飛んだ内容ではないだろうけど、何せ彼女の方からお願いをしてくるなんて、初めてのことだ。必然的に私を含め、全員の気が引き締まっていく。
「ええ! それで、どんなお願い?」
「気が向いた時で良いから、僕の頭をまた……その、撫でて欲しい。昨日してくれた時、凄く
「あーっ! その先は何となく分かっちゃったから、言わなくて良いわ!」
「……うん」
しかし、されたお願いは何とも可愛らしく、それでいて手間もお金もかからないものだったため、全員が一気に拍子抜けする。
メノの心を癒し、地獄だった過去のせいで枯れた心を復活させるため、色々と試した中の1つなのだけど……正直、ここまで反応が良いとは予想外だ。
(この程度のお願いすら、気軽にできてない……本当、メノを痛めつけた輩が、それ相応の報いを受けてることを願うわ!)
まあ、メノの立ち振る舞いや本人からされた話より、他種族はおろか同族からも好意を向けられることはなく、むしろ悪意ばかりを向けられていたことは分かっている。
だから、少しの善意にすら反応が良くても何らおかしな話ではない。
しかし、性格とか能力に大きな問題があるならまだしも、私たちと居る時のメノはとても穏やかで優しく、一緒に過ごしていてとても楽しい妖精だ。
こんな子のどこに、悪意ばかり向けられるに値するような問題があるのだろうか。いや、1つもない。
「とにかく、その程度ならお安いご用よ! 2人も、たまにで良いから応えてあげて!」
「勿論。まあ、状況次第じゃ無理な時もあるわ」
「言わずもがな。何なら、今やってあげても良い」
当然、可愛らしいこのお願いを断るに足る理由はなく、私を含めた3人全員が二つ返事で了承した。
「ほら、おいで。よしよし……こんなんで良い?」
「んにゃあ……えへへ。ありがと、ルナ。サニーとスターも、僕のお願いを聞いてくれて、ありがとね」
そして、流れでルナが早速頭を優しく撫でてあげると、メノはこの上なく嬉しがっていると誰でも分かる、輝く笑顔を見せてくる。
たった10日で完全回復する程、心に負ったであろう傷は小さくない。場合によっては、数十年単位で時間が必要となるだろう。
頭ではそう理解できているものの、ルナに頭を撫でられてご満悦なメノの様子を見れば、完全回復もそう遠くないかもと、思わざるを得なかった。
「そう言えばさ、今日ってメノの練習は休みよね?」
「うん、そうだよ。でも、それがどうしたの?」
「えっとね、もし良ければなんだけど……私たちと一緒に、香霖堂へお出かけしてみない?」
すると、この中で1番早く食事を終え、チルノの能力で作られた氷を溶かした水を飲みながら楽しんでいたサニーが、唐突にこんなことを言い始めた。
確かに、メノの初めての外出先としては私たちと親しく、男の人ではあれど性格も比較的穏やかな香霖のお店は、うってつけと言えるだろう。
「香霖堂……霖之助さんが居る、魔法の森の入り口近くにあるお店だよね。僕が行っても大丈夫、かな……?」
「勿論よ! 私たちが保証するわ!」
「そっか……」
妖力の扱いについても、魔理沙の本格介入と本人の信念の強さが功を奏し、ひとまずは量よりも質を高める方針の元、想定を遥かに上回る勢いで上手になってきている。
特に、1番最初に出したあの綺麗な弾幕に加え、羽から出せるようになった水色レーザーの威力は、当たれば万が一の際自分で自分の身を守ることができる、最低限のラインに到達しているのだ。
とは言うものの、威力以外の要素に関してはまだ難があるため、外出時には常に気を張ることが必須だけど、全く苦ではない。
何なら、それ込みでもメノと一緒に外へ遊びに行くことが、楽しそうに思えている。
一応サニーやルナにも聞いてみたけど、「苦な訳ないでしょ? 愚問だわ」と、即座に言い切った。まあ、仮にそれを苦に思ってたら外出の提案などしてこないだろうし、確かに愚問だったと思う。
「凄く緊張するけど、サニーたちと一緒なら……うん。行ってみたい」
「本当に? ありがとう、メノ! さてと、食べたお皿とかを片付けて準備を済ませたら、皆で早速行きましょう!」
なお、サニーからのお願いに対してメノが、ほぼ考える素振りを見せずに了承してくれたため、4人で香霖堂へ出かけることが決定する。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ