毎日一話更新なので、寝る前にこっそり楽しんでもらえたら嬉しいです。
『英梨々』はちゃんと育っているでしょうか?
6月の梅雨のある日のこと。
「できたみたい」
英梨々が俺の部屋に入りながら、お腹のあたりをさすっている。
その日は何か特別な日ではなかったけれど、俺の人生においては大きな転換期になったように思う。
一言で表すなら「けじめ」ってことになるのだろうか。
どんなことでも「けじめ」は大事だ。学校を卒業するのも、大人になったら働くのも、好きな彼女を幸せにするために結婚するのだって「けじめ」だ。
俺と英梨々の関係性は昔からあまり変わらないようで少しずつ進展している。たぶん。
お互いの家を行ったり来たりしながら、一緒にアニメを観たり、ゲームをしたり、英梨々の描くマンガを手伝ったり、あるいは勉強にしたり・・・
子供の頃から繰り返してきたことだ。
俺は大学1年生の18歳。英梨々も18歳で別の大学に進学している。俺は進学校の卒業生らしくそこそこ名のある大学に滑り込んだが、英梨々は美大へ進学を決めた。
それは今は関係ないか。
高3の夏休みあたりから、英梨々とイチャイチャし始めて、なんとか一線を超えようとお互いに努力したものの、結局夏が過ぎ、冬が過ぎ・・・3月20日の英梨々の誕生日を迎えた。
それから、春休みにひたすらがんばったことは認めよう。まるで今まで何を我慢していたのか?と思うぐらい励んだ。ほぼ毎日数回。サルのように。
英梨々は『大丈夫』だと言っていた。
俺はよくわからなかったのでそれを信用していた。なにしろ英梨々は絶対に付けたがらなかった。
「はぁ?なんでゴムとエッチしなきゃならないのよ」という理屈だ。どこぞの宗教でも入っているのだろうか。
そういうわけで、心当たりがありすぎる。俺は顔をあげて英梨々を見つめ、
「ほう?もうできたのか、ほれ、見せてみろ」と、手を差し出した。さも『仕上がった原稿をみてやるよ・・・』という感じで。
「検査薬はまだやってないわよ」と静かに答えた英梨々はベッドに腰をかけた。
そこまで露骨に言われたら、もう言い逃れできない。英梨々は俺に妊娠をアピールしている。だが、焦ってもしょうがない。できちゃったもんは認めるしかない。
「一応・・・念のために聞いておくけど・・・子供?」
「こども」
「・・・俺の子・・・だよな」
「冗談でも怒るわよ?」
「だよな」
ふぅ・・・。18歳になったばかりの大学1年生。将来はそこそこ明るいのだろうか。一応、普通の大学生よりは稼いでいる。なんならすでに下っ端サラリーマンぐらいの収入はある。けっして安定はしていないが、ラノベ紹介サイトの運営も順調だし、コツコツアップデートしているゲームのダウンロード数も地味に伸びていた。
それに英梨々は売れっ子絵師な上、実家も裕福だ。同人マンガも売れている。なんなら俺の作ったゲームが売れているのは英梨々が絵を描いているからとも言えなくもない。
要するに経済的には問題はないのだ。経済的には・・・
窓の外は雨がシトシトと降っている。ぼんやりと外を眺める。英梨々はじっとベッドに座ったままだ。
今日の英梨々は緩やかなお嬢様系のワンピースを着ている。淡い水色で襟元や袖口が白いレースがついている。
家にいる時はツインテールをやめてストレートに髪をおろしていることが多い。後ろでまとめていないので、金色の長い髪はベッドの上に広がってキラキラと輝いている。閉じた足から見えそうで見えない下着の色が気になる・・・
18歳になった英梨々はまだあどけない少女の趣が残っている。こんな清楚な(中身は完全に腐っているが)お嬢様然とした英梨々が、あんなことやこんなことするのは毎回信じられないが、エロ同人作家なだけあって、けっこう貪欲だ。
ちょっとバカなことを考えただけで悶々としてしまう。とにかく最近は『やるべきことをやってからヤる』事にしている。そうしないと作業が遅々として進まないからだ。
今日は夏コミュに出品する同人原稿を描いているところだ。
「で、俺はどうすればいい・・・」
「自分で考えなさいよ」
「と・・・とりあえずドリンクいれてくる。何か飲むか?」
「そうね・・・じゃあ、酸っぱいものでももらおうかしら」
「まだはやいよねぇ!?」
「いつそうなるか知らないんだから、しょうがないでしょ」
「・・・別に欲しくなってからでいいだろ・・・」
俺は部屋を出て階段を降りていく。急に言われたので混乱する。父親になるという実感がまったくわかない。その前に結婚が先か。結婚・・・
「結婚だとぉ!?」
俺は、自分で考えて、自分で独り言を言って、自分で驚いた。
英梨々と結婚。
まぁ・・・それはいい。でも、ちと早い気がする・・・
キッチンで何を作るか悩んだ。カルピスは酸味があるが酸っぱくはない。コーラもなぁ・・・
冷蔵庫を開けるとレモンがあった。コーラにレモンを添えるか。
キッチンのあちこちの引き出しを開けてレモン絞り器を探し出した。包丁でレモンを半分に切ると爽やかな香りが広がる。
グラスにレモン絞り汁とはちみつをひとたらし。ソーダで割ってから氷を二つほど入れてかきまぜた。もう1つのグラスには氷はいれずおく。
グラスを二つもって階段を上がり部屋へと戻る。
※ ※ ※
部屋に戻ると、英梨々が服を脱いでキャミソール姿でベッドにペタンと足を曲げて座っていた。光沢のある水色のキャミソールに小さな胸で少し膨らんでいる。両手を太ももの間に挟んで、なんだかモジモジしていた。
「・・・ほれ、はちみつレモンソーダ」
「・・・ありがと」
俺はグラスをテーブルの上に置いた。
「氷ありとなしがあるけど、どっちがいい」
「あり」
英梨々に氷入りのグラスを渡した。氷のない方を一口飲んだ。甘さ控えめで作りすぎたか、甘味はほとんどない。酸味はほどよかった。
クッションの上に座って英梨々に背を向ける。英梨々をまともにみたら理性で止められそうにない。今日は真面目な話しのようだ。なら、なんで英梨々は脱いでいるのだろう・・・?
「倫也ぁ~」
なんか甘えた声だ。
「なんだ?」
「しよっ」
・・・英梨々が発情するようなことがあっただろうか。俺もつい春休みの事を思い出してしまったし、妊娠報告からエッチを思い出してしまったが、英梨々もそうだったのかもしれない。
「できないだろ」
「なんでよ」
「おまえな。妊娠初期はしちゃだめなんだぞ」
「そうなの!?」
「当たり前だろ。安定期に入るまではエッチはしない方がいいんだぞ」
「あんたなんでそんなこと知ってるのよ」
「保健体育で習ったろ」
「習うわけないでしょ」
英梨々がベッドから降りてきた。俺の横を通る。純白のショーツはレース模様だ。鼠径部のふくらみのウエロさといったらヤバイ。そこからスラリとした細い脚が露わに伸びている。英梨々は小柄だが足は俺と同じぐらい長い。解せぬ。
白皙の肌は手入れがいいのか、すべすべしていて非の打ち所がない。
英梨々は下品に胡坐をかいてクッションに座った。キャミソールの肩からブラの白いヒモがちらりと見えている。光沢がある生地のせいでブラジャーの色は透けては見えなかった。ついついじぃーと目線を固定してしまう。押し倒したい。
「あら、おいしいわね」
英梨々がはちみつレモンソーダを一口飲んだ。薄い唇は透明のリップが少し塗ってあるだけだ。
悶々としているせいか、いつもよりも口元がエロくみえる。
「英梨々。俺考えたんだけど」
「何を?」
「結婚しよ」
「だが、断る」
「ちょっと待て!?断るのかよ」
「倫也、バカなの?死ぬの? いいかしら。プロポーズっていうのは一世一代、全身全霊をこめてするものよね?なんで、そんな『醤油とってくれ』みたいなニュアンスでいうのよ」
「いや、だって子供が・・・」
「あんたね。きっかけはなんでもいいわよ。でもまかりなりにも恋愛シミュレーションゲームを制作しているんだから、人の心を痺れさせるような誰にも負けないプロポーズをしなさいよ」
「おおう!?」
ふむ。言っていることは一理ある。あるのか?
プロポーズの仕方ってダメ出しくらうものなの?
「そんなことよりも倫也~」
「そんなことぉ!?」
「しよっ」
「さっきダメって、おふぅ~」
英梨々の華奢な左手が俺のアレを触ってきた・・・
こ・・・こうして、あうっ・・・俺のプロポーズ大作戦がぁあああぁん。
(了)
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