押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話) 作:デュアン
「これは……グロリアードからの招待状?」
神聖暦2199年10月3日。
旅を続けていた私達の元に一通の手紙が届けられる。天空の島の紋章による蠟封はそれが確実にグロリアード王家からの物である事を証明していた。
今、世界を守る為に活躍している勇者一行を労いたい──その言葉は、私達にとって嬉しい物だった。
神聖レイン帝国から手配されて数年、個人単位で感謝された事はあっても公的な者達から感謝される事はなかったのである。そこに来てのこの手紙、沈んでいた皆の心を温めるには充分であった。
それが、破滅への道標であるとも知らずに。
──────
───
─
その日、私と彩芽は皇居の外に散策に出かけていた。
表向きの目的は食料や医薬品の確保。医薬品は備蓄が乏しくなった為、姫星の能力で食料は出せるものの明治から大正にかけてのマズ……時代に即さない物ばかりであり、現代の缶詰などが欲しくなったのだ。
そして本当の目的は──真祖である。
今日は私が奴にダメージを与えてから丁度一週間。想定では魂へのダメージが完全に治癒する時期であり、攻撃を仕掛けてくる事が予想される。それをおびき出したいのだ。なので私は出来る限りのフル装備、彩芽も拳銃だけでは心もとないので乃木から軍刀を借りている。
問題は、私の無限が未だ戻っていない事。出来る事ならば無限が戻ってから対峙したかったのだが……そうもいかない事情がある。
「
「はい……恐らく奴も、それを使えると思う、です」
名前からも分かる通り、巨大な爆発を起こす魔法である。
高位の魔法使いしか扱う事が出来ず、恐らく真祖であれば戦術核並みの威力を出す事が可能だろう。仮に私が皇居に残っていた場合それを使ってくる可能性が高い。
戦術核並みの威力があるのなら外に出ていても同じだろう、と思われるかもしれないが、恐らく単独行動をしている相手には使ってこない。何故ならばこの魔法、デフォルトの起点が自分自身であり使用すると恐ろしいまでのダメージを喰らってしまうのだ。そして奴は、力押しでどんな相手にも勝てるが故に魔法技術を伸ばす必要性を感じていない。
無論魂に係るダメージではないので死ぬ訳ではないだろうがそれでも回復にはそれなりに時間がかかるだろう。そこを殺しきれなかった私達に狙われる可能性を考えれば、自分自身で斬り殺しに行った方が確実だ──そう考える筈だ。
だからこそ、私達は皇居の外に出る必要があったのだ。
「それって、魔女様も使えるんですか?」
「ええ。でも、滅多に使わない、ですよ」
彩芽の問いに私は答える。
そもそも私が使う攻撃魔法といえばショックカノンがあるし、範囲攻撃がしたいならショックブラストを使えばいい。
まあ一応、ショックブラストを遥かに超える範囲攻撃魔法も持っている。爆裂魔法の原理を使った魔法なのでまあ私オリジナルの爆裂魔法と言ってもいいのかもしれない。名前もそのままだし。でもきっと、地球上でそれを使う事はない。使うのが私といえども地球が消える。私が慣れていない"奥の手"を使わなければならないからだ。
「奥の手……?」
「極力使いたくない、手段、ですね」
「それってどういう物なんですか?」
「それは──」
と、私がそれについて告げようとした、その時だった。
ギィン!!
「──お出まし、ですか」
飛ばされてきた強烈な斬撃を抜刀して受け流す。
今度は彩芽も怯みこそすれ怖がることはなかった。代わりに私共々斬撃を放ってきた相手──真祖を睨み付ける。
奴はその紅い瞳にこちらの姿を反射させ、尊大な態度で話し始める。
「大胆なものだな、あの場から離れるとは。命乞いでもしようと思ったのか?」
それは虚勢か、或いは自身への信頼か。この状況において、未だ彼は自身の圧倒的優位を確信している様だった。人間など吸血鬼の前では下等生物でしかない、それが彼にとっての常識なのだ。
だが──その常識も、今日ここで終わる。否、終わらせる。
「いえ、ただ……訊きたい事があっただけ、です」
「何?」
私は薄く口角を吊り上げ、奴に向かって言い放つ。
「あなたの葬式は、何教で出せばいい、です?」
「ーーーッ、殺す!! 粉微塵にしてやるぞッッ!!」
奴は無数の青筋を浮かせこちらに飛び掛かってくる。
挑発は済ませた。これで奴の目的は私の抹殺になる。皇居には向かわない。
そうして怒り任せに繰り出された攻撃を剣で受け流し、その隙に彩芽が死角から軍刀を振り上げる。
「そんな物がッ!!」
奴は身を捻らせて斬撃を避けるが、そこにパンパン、と銃弾が放たれる。刀を持っていない方の手で彼女が撃ったのだ。
光の航跡を残しながら突き進むその銃弾を奴は避けなかった。その数発の小さな弾よりも私の方を脅威だと判断したのだろう。奴の頭に二つの穴が空く。
パチン。そこで彩芽が指を鳴らす──
「!?」
直後奴の頭が破裂する。
弾道に残された自身の魔力を導火線とし、銃弾に込められた魔力を急速に膨張させる──魔力操作のみでなんとか魔法じみた事をしたいと思った彩芽が昨日と今日で習得した技術である。その理論は彼女に話した爆裂魔法と同じであり、ある意味では魔法を使っているといっても過言ではない。
さて、奴の脳漿が飛び散っている、この好機を逃す手はない。
「"
私はどす黒いナイフを出現させ、奴の心臓に突き立てる──
「うわっ!?」
「っ……!」
だが、それは叶わなかった。
ナイフが突き刺さる直前、奴は自らの身体を無数のコウモリに変化させたのだ。それらは私達の間をすり抜け、少し離れた場所で一体化する。
そうして実体化した奴は顔を顰めながら言う。
「迂闊であった……まさかそれ程まで技術を伸ばしていたとはな」
「お褒めに預かり光栄ですよ……っ!!」
パパパパパパン、と瞬きをする間に銃口から無数の弾が散布される。
バンプファイアと呼ばれる技術だ。半自動拳銃を疑似的にフルオート化する手法であり、それによって彩芽は今の一瞬で全ての弾を撃ち尽くした。
それと同時に私は箒を取り出し奴に向かい、彩芽はマガジンを換えながら別の方向に走り出す。その間に無数の弾は壁に反射し上下左右全ての方向から奴に向けて飛来する。
「チッ……!!」
今度は当たりに行く様な真似はせず、奴はレイピアを振るい全ての銃弾を斬り裂く。奴の魔力にあてられて彩芽の込めたものが霧散する。
だが、その動きは大きな隙となる。私はその間に奴の懐に潜り込み剣を振るう。それは奴の服を僅かに斬り裂くに留まり、振り抜いた私に向けて奴が蹴りを繰り出す。
「ふっ!」
今の私は箒に二本足で乗っている。それを操り、ふわりと浮かび上がって蹴りを避けつつ奴の上部から杖を向ける。
「"リグラ・グレンズ"」
「ぐあッ!?」
漆黒の炎が奴の身体を包み込む。
私は箒を蹴り燃え盛る奴の身体を粉微塵に斬り裂きつつ黒いナイフを突き立てる。
「!!」
だが、効き目が薄い。どうやら予め魂を防御している様だった。
そうして私に出来た一瞬の隙をつき奴が剣を振りぬいてくる。
パン、と音が鳴りその剣を彩芽の放った銃弾が弾く。その間に私は箒に掴まり僅かに距離を取る。
その後も何度も私達は剣を打ち鳴らし続けた。
近距離の私と中距離の彩芽。私は箒を足場にして縦横無尽に動き回り相手を翻弄し、その隙をついて彩芽が銃を撃つという攻撃方法。だが奴も押されてばかりではなく、やがて慣れてきたのかこちらの攻撃が当たらなくなっていく。
そして。
「「──ッ!!?」」
ゴウッ、と奴の身体から深紅の風が放出される。
それは可視化される程の魔力の塊。ただ膨大な魔力を放出するだけ、そんな力技も私達を一瞬怯ませるだけの効果はある。
その隙を活用して狙ったのは──
「かっ」
「魔女様っ!!?」
私の胸元にレイピアが突き刺さり彩芽が悲鳴を上げる。
咄嗟に心臓は避けたが、それでも重要な臓器は傷付いている。燃える様に熱い胸、込み上げる血。
奴が口角を吊り上げる。一方で手は止めず、そのままレイピアを上部へと動かそうとする。私の頭を両断したいらしい。
流石の私でもそこまでされると死んでしまう。
でも、普通に対応しようとしても恐らく私が奴の腕を引き千切るよりも私が死ぬ方が早いだろう。
くそっ、奥の手を使うしかないのか、こんな所で。でも、そんな事をしたら皆が……
私が葛藤している間にレイピアは喉元まで振り上げられ──
「魔女様を……ッ」
「離せェェェェッ!!!!!」
──私は、一つ目の賭けに勝った。
次回、死闘
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