押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話)   作:デュアン

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"ショックカノン"

──ふと、自分のルーツについて考えてみた事がある。

 

 『私』とは、『フェニシア・フィレモスフィア』とは何なのか。

 魔族に襲われたフィレモスフィア村でヴィロリアに拾われ、名付けられた人間の少女。それが私。ともすれば、私はただの人間であるという事になるし、自分でもそう信じている。

 

 でも、本当にそうなのか?

 かつて私は勇者の剣に拒絶された。皇帝曰く、それは厄災そのものである証左らしい。

 

 魔法を幾つも使いこなせる様になった頃、自分について調べてみた。

 ふとした思い付きでそれを掬い上げてみた所──山が消えて巨大な湖になってしまった。あの時咄嗟に魔法で抑え込まなければレインフォートという星はこの世から消えていただろう。

 魔法とは別のチカラ、それが私の中にある。それが魔力が無い事に対する対価なのか、或いは全く関係無いのかは未だ分からない。

 ただ、一つだけ言えるのは、この力は非常に危険な物であるという事だ。

 

 

 超高密度の何かを取り出し、ありとあらゆるモノを吸い込む力。私はそれで爆裂魔法を吸い込み、自分の糧とした。

 その代償として腕と地面の一部も吸収されてしまったが本当に安い物だ。寧ろこれだけで済んだ事を喜ぶべきだろう。

 

 自分が一体何者なのか、それはまだ分からない。

 でも、かつて私は『フェニシア・フィレモスフィア』であり、今は『朝露咲良』──それだけは何があっても揺るがない。

 

 

 さあ、魔力は補充出来た。

 あとは奴を倒すだけだ。

 

 

──────

 

 

「彩芽、10秒だけ、命をください」

「分かりました」

 

 魔女様の言葉に私は即答し、真祖へと向き直る。

 彼女がそう言うのならば、私が10秒もたせれば倒してくれるという事だ。無限に回復してくるアイツでも倒せる手段があるのだろう。それが何かなんて関係ない。私は彼女を信じている、それだけだ。

 

 黒い炎に包まれた真祖が動き出し、黒の中で紅く輝く双眸がこちらを射抜く。

 

「"主神之大権"、"仰天道地"!!」

「二度も同じ手にかかると思うか!! "獄炎(ヘルグレンズ)"」

 

 私が魔法を発動させると、奴はその身をダミーの魔力でコーティングする事で耐え抜き、無数に飛来させた剣は赤黒い炎で焼き尽くしこちらに突き進む。

 瞬きもしないうちに繰り出された血の刃をこちらも太刀で受け止め、続けざまに斬り結ぶ。

 

「──"陽に塗れた雷の子よ、火の星にて希望を捧げたまえ"」

 

 背後では魔女様が何やら呟いており、その体内で魔力が渦巻いているのが分かる。

 詠唱、つまり魔法を発動させようとしているという事。私はそこまで耐え忍ぶ!

 

「"冥界にて散り大地に蘇る。天の覇者を墜とし地の雄を灰へ"」

「先程何をしたのかも今何をしようとしているのかも知らんが所詮は無駄な足掻きに過ぎん!! 貴様ら下等生物如きに……この真祖が負けるものか──!!」

「くっ……!!」

 

 奴の手に力が入る。

 ここまでの疲労が祟ったのだろう、私の太刀が弾き飛ばされ一時的に素手となってしまい、奴はそんな私を放って魔女様へと向かおうとする。奴も彼女が何かしようとしている事は理解しているのだ。

 

 残り五秒。

 

 

『──其方ならば出来る。己の感覚を信じるのだ』

 

 

 脳裏に声が聞こえてくる。

 そうして伝わってきた感覚を、私は無我夢中で再現させる──

 

「──神域」

 

 

「『天日隅宮(アメノヒスミノミヤ)』!!」

 

「チッ!?」

 

 刹那、展開された結界が私と真祖を囲む。

 

「一つ!!」

 

 噎せ返る様な霧が奴を絡め取り身動きを封じる。

 

「二つ!!」

 

 奴を取り囲む様に無数の砲身が現れ、そこから砲弾が放たれ奴を爆炎に包み込む。

 

「三つ!!」

 

 視界を埋め尽くす程の深紅のレーザーが奴を貫く。

 だが、ここまでしても奴は死なない。レーザーの雨に晒されながらも奴は吠える。

 

「ッ、舐めるなァッ!!!」

 

 剣を振るい結界が崩壊し、私を激しい頭痛が襲う。どうやら無理矢理結界を崩壊させられるとこうなるらしい。

 だが、問題はない。

 

「な、なんだッ!? この魔力は!!」

 

「"永遠の宙を駆け、数多の敵を撃ち穿て"──」

 

 もう、10秒経った。

 先程の爆裂魔法を遥かに超える魔力反応に真祖は驚愕し、咄嗟にその場から離れようとする。

 

──隙だらけだ。

 

「"魂今拍子(こんこんびょうし)"」

「なッ」

 

 光の縄が奴を絡め取り動きを封じる。

 真祖はすぐさま拘束を解くが、もう遅い。

 

 

 そして彼女は杖を向ける。

 

 

「──"ショックカノン"……!!」

 

 

 刹那、白い閃光が辺りを覆い尽くす。

 爆発音にも似た轟音が鳴り響き、青白い光芒が逃げようとしていた真祖を包み込む。

 

 私は見た。光に当てられた所から奴の表皮が潰れ、溶けていく様を。

 私は見た。直接命中していない指先の一片に至るまで跡形もなく蒸発する様を。

 これまで見た事のない凄まじい威力の攻撃。ここまで魔女様の言伝でしか知らなかったその攻撃は、私の想像を遥かに超える物だった。

 

 その光は真祖を呑み込むとそのまま空間を貫いて突き進み、空を覆う分厚い雲をも貫く。冷やされて固まっていた水が瞬時に蒸発し、これまで陽を遮っていた雲が晴れる。明るい陽光が摩天楼を照らす。

 

「あ……」

 

 だが、それに感動している暇はなかった。

 そもそも何故雲が出来ていたのか。深淵祖龍(エンシェントドラゴン)がいたからであろう。そのドラゴンは巨大な肉体をうねらせ、咆哮を上げる。

 全長30キロはあろうかという巨体。以前見た時は恐怖で動けなくなったが、今ならば……!

 

「ッ……あ、あれ?」

 

 発起して攻撃しようとした瞬間、私はその場に倒れ込む。

 身体が少しも動かない。まるで山でも乗せられているかの様にピクリとも動かせない。

 

 そうこうしているうちにドラゴンはこちらに口を開け、喉元に火を貯めている。

 まずい。動け、動け、動け!!

 

 

「あれ、動けた」

 

 そう念じていると突然淡い光に包まれて身体が軽くなり、勢いよく立ち上がる。

 到底動けそうになかった所を何故か動ける様になったので困惑しつつもドラゴンへ向けて攻撃しようとすると、いつの間にか私の前に立っていた魔女様がそれを制止する。

 

「……彩芽、休んでいる、です」

「どうし、て……?」

 

 それに異議を唱えるも、私の視界に映ったある物に思考が停止する。

 魔女様の右腕が、ある。先程消し飛んだ筈のそれが。しかも魔物の物ではなく人間の綺麗な華奢な手だ。

 それだけではない。今、魔女様が持っている杖は先程まで使っていた小さな物ではなく身長程もある巨大な物になっている。

 

「遅くなって、すみません……」

 

 気付けば、魔女様や私の身体に出来ていた細かな傷や疲労が全て消えていた。

 先程の淡い光のお陰だろうか。今思えばあれは、以前皇居で使っていた回復魔法と同じ見た目をしていた──

 

 ある一つの"答え"に辿り着こうとしている私を置き去りに、彼女は冷静に杖の先端をドラゴンへと向け、呟く。

 

 

「あとは、私がやります……!!」

 

 

 そう言うと彼女の周囲に数え切れない程の魔法陣が出現し──

 

「"ショックカノン" "百連装"」

 

──そこから一斉に先程の青白い光芒が放たれた。

 それらは捻じれながら空間を突き進み、やがてドラゴンの全身に着弾。激しい爆発を起こしその巨体を消失させる。あれ程絶望感のあったモンスターが、一瞬で塵も残さずに死んだ。

 

「"ディア・ヴィロリア" "拡散(スペイズ)" "ラージヒール"」

 

 それだけではない。

 次に彼女が杖を天に掲げると、そこから雷鳴にも似た轟音と共に巨大な閃光を放ち、それはしばらく進んだ後に空中で無数の光線へと拡散、雨の様に東京に降り注ぐ。しかしそれは東京の大地を傷付ける事はなく、代わりに視界の隅で魔物に命中し消し飛ばしていた。

 そしてそれが終わると共に淡い光が東京全体を包み込む。これは後から知った事だが、この時に皇居に居た怪我人全員が完治したらしい。

 

 

「……これで終わり、ですか」

 

 

 全てが終わった後、彼女はぽつりと呟いた。




やっと……やっとだ……

無限さん、タイミングが良いのか悪いのか分からない

本のタイトルどっちがいい?

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