押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話)   作:デュアン

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紅葉先輩の例のシーンに関しては書くか迷ったんですが流石に触手2回目はくどいと思ったのでカットしました。
そのうちR18版を作ろうと思ってるのでその時に書くかも


決戦前夜

 Aグループ勝者、サブカル同好会。

 Bグループ勝者、魔法研究倶楽部。

 

 多くの者の予想ではAグループなら鈴蘭親和率いる魔法総合球技部が、Bグループならば菊花伊織率いる魔導研究部や睡蓮紅葉率いる魔法剣道部が勝利すると考えられており、まさかこんな名前が並ぶとは思いもしていなかった。

 それもAグループにおいては未だかつてない程の激戦が──それも一回生同士で繰り広げられ、Bグループにおいては全ての相手チームを凌辱するという何とも名状し難い展開である。前者は兎も角、後者には学園の講師達も複雑な表情をせざるを得なかった。

 

 そもそも「相手チームを凌辱してもいい」というルール自体がかつての十華族同士の諍いの置き土産、負の遺産なのだ。

 表向きは「戦場においてそういった事が発生する可能性もある為」としているが、ならば軍隊の訓練で強姦される事を想定した訓練をするのかと言われればしないし、何より常人より遥かに強力な魔法師が捕まってあまつさえ凌辱される様な事態など殆ど発生しない。

 

 かつて十華族同士の決闘において相手により多くの恥を与える為に凌辱した事があった。その時の立会人は身分の差もありそれを止められず、この行為によってあわや内戦にまで発展しかけたのだ。

 それを仲裁する為に、当時において最も力を持っていた柊家が先程の"表向きの理由"を持ち出して無理矢理収めたのだ。それでも菊花家は余りにも人道に反するとして猛反対していたが……それは兎も角。

 しかしながら、それがなまじ納得できてしまう理由だったが為に事が済んだ後もルールの抜け穴として残ってしまい、現在に至るまで悪しき慣例となってしまっている訳である。

 

 だが流石に、今回の櫻島絵良は度が過ぎる。菊花伊織、そして睡蓮紅葉。二人の次期当主を衆目の中凌辱したのだ。これには両家も怒髪冠を衝く勢いであった。

 それに対して、櫻島家は「負ける方が悪い」の一点張り。事実ルール違反ではなく、前例もあるとなればあまり表立っては批判出来ず、ただただ水面下で家同士の関係が絶対零度まで冷え込んでいくのみであった。

 

 だからこそ、両家の目は否応なしに魔法研究俱楽部の対戦相手──サブカル同好会に向く事になる。

 だが、決勝戦はメンバー一人ずつの個人戦であり、そうなると部長である絵良の相手は同じく櫻島家の炉欄という事になる。

 確かにAブロック決勝戦において穏矢佳奈、八手鈴奈、織主芽有とトリプルキルを決めた彼女ではあるが、その全てが奇襲でありそれは即ち正面から戦う力はないという事に他ならない。実際、八手に関しては奇襲で一度仕留め損ない、正面からの戦いでは殆ど歯が立っていなかった。仕留められたのは八手の意識が山落としに向いたからだ。芽有に関しても咲良との戦いで瀕死であった。

 であれば、否応なしに正面からの戦いを強いられる決勝戦で炉欄が絵良に勝つ筋は皆無。

 

──仮に炉欄が絵良に勝利すれば、この問題はかなり簡単になる。勘当されたとはいえ同じ家の人間が責任もって敗北を与えた事になる訳で、そうなれば──かなり無理筋だが、"自浄作用が働いた"と解釈できない事もない……かも。

 

 両家はそんな事を考えつつ、まあ無理だろうと絵良が勝利して炉欄をこれまで通り凌辱した後にどのようにしてこの問題を処理するのかを考え始めたのだった。

 

 

──────

───

 

 

「──という訳で、決勝戦の作戦会議を始めるぞ」

 

 部室棟、サブカル同好会部室兼炉欄自室。

 Aブロック優勝を祝した祝勝会を(何故か魔法混合遊戯部も巻き込んで)散々行った後の夜の事だ。一晩中優勝の余韻に浸る事が出来ればよかったのだが、明日には本当の決勝戦がある。あまり悠長に構えてはいられない。

 

 それに、相手も問題だ。

 

「うう……こ、怖いっす……わ、私もあんな目に……」

 

 私は自分の身を抱き締めて震える。

 そう、私達が戦う相手──Bブロックの優勝者は魔法研究俱楽部。これまでの対戦相手を悉く触手で凌辱してきた今学園で最も悪名高い部活だ。

 咲良が一緒ならばよかったが、決勝戦はメンバーが一人ずつ戦う個人戦。彼女におんぶにだっこという訳にはいかないのだ。

 

「安心せい、雲雀よ。触手を操っておるのは絵良だけじゃ。襲われるとすればワシじゃからな」

「そうなら安心……じゃないっすよ!? ろ、炉欄先輩、今からでも部長を変える事とかって出来ないんすか……?」

「そ、そうでござるよ! 拙者、先輩があ、あんな風にされている所など見たくないでござる」

「そう、です……私なら、確実に勝てる……いえ、勝ちます」

「先の試合負けてたじゃろ。試合とはいえ油断はいかんぞ」

「う……はい」

 

 軽く叱責され咲良が言葉を詰まらせる。

 まあそれは兎も角、先の試合で油断して撃ち落とされた私が言えた立場ではないが、ハッキリ言って炉欄先輩が絵良に勝てるとは到底思えなかった。

 しかし部長は部長と戦うと既に決まっている。ならば今からでも部長の座を咲良に一時的に渡し、彼女に戦ってもらう方がこちらとしても安心だ。

 

 だが、彼女は微笑みを崩さずに返す。

 

「いいや、絵良はワシが倒す。これはワシがやらねばならんのだ。安心せい、策ならあるわ」

 

 

──────

 

 

 皆が寝静まり学園内の灯が殆ど消え、空に瞬く星々が鮮明になった頃。心愛は一人夜の学園内を歩いていた。その姿に以前の様な覇気はない。

 自らの口に生えた牙、そして──今朝、目覚めたら頭部から飛び出ていた小さな角。美玖は困惑しながらも受け入れてくれていたが、結局彼女は一日中部屋に閉じこもり、誰も居なくなったこの時間にようやく出てきたのだ。

 

「パパ……ボクは……」

 

 自分が一体何なのか、或いはこの時点で既に勘付いていたのかもしれない。

 しかし、それを認めてしまえば自身のアイデンティティが崩壊してしまいかねない。

 

 

「──やあ、心愛ちゃん」

「──ッ、み、見ないでっ!!」

 

 

 と、そこで上方から声がかけられる。それがよく聞き覚えのある物であったからこそ、心愛は慌ててその場に蹲り額と口を隠す。

 だが、そんな様子を疑問に思う事なく声の主──心愛に裏の武術を教えた銀髪の少女は彼女に近付く。

 

「試合、残念だったね。まあでも仕方ないよ、独断専行に心の焦り。しかも相手はあの朝露咲良だ」

「……」

「ま、たとえ冷静に戦っていたとしても勝てたかどうかは分からないけどね」

 

 彼女は説教をしに来たのだろうか、至って平然としている彼女に対して心愛はほんの僅かに安堵する。

 だが、続けて彼女が言った言葉に心愛の心臓は跳ね上がる。

 

「ああ、あと僕はもう知っているから態々隠さなくてもいいよ」

「っ、な、なんで」

「僕はいつでも君達を見てるからね」

 

 それに彼女は絶望した。自分が今最も見られたくない物を見られてしまっている訳だ。

 だが、顔を青ざめさせる彼女に少女は微笑む。

 

「人と違うからって何だというんだい? 人が人ならざる力を振るうこの時代に牙や角がある程度の事で一体君は何を悩んでいるんだ?」

「っ、で、でも」

「受け入れられないかもしれないって? 君の同室ちゃんは受け入れてくれてるだろう?」

「でも、美玖ちゃんだって」

「見えない物を見ようとするのはやめておいた方がいいよ。所詮君の視界はその双眸に映る物しか存在しないのだから」

 

 少女は月を背に大きく手を広げて話す。

 心愛が瞬きをする度にその姿が変わる。黒人の青年、白髪の少年、ローブを纏った骸骨、無貌の化け物、そして少女へと。

 

「どんなに悼ましい生まれをしていようと、人は人さ。君は自分の父親から受けた愛が偽物だと思うのかい?」

「それ、は……」

 

 少女の言葉は心愛に"父親(直哉)"との記憶を想起させる。

 幼い頃研究所暮らしだった心愛だが、来る必要もないのにほぼ毎日直哉は会いに来ていた。誕生日や記念日には必ずプレゼントを贈り、どんな下らない悩みでも聴いてくれた。

 その裏にどんな意図があったのかは分からない。或いはそれら一連の行動はただ単に彼女を懐かせる為にやっていただけなのかもしれない。

 

 それでも──直哉は間違いなく、彼女の"父親"であったのだ。

 そうして涙を零し始めた彼女に、少女は一枚の紙を渡す。

 

「それでも尚、君がその僅かな葛藤を無くしたいと思うのなら明日の朝にその場所に来るといい。そうすればきっと、君が進むべき道が見えてくる筈さ──」

「あっ、待って……」

 

 心愛が止めるのも聞かず、少女の姿は闇に溶けて消える。

 残されたのは心愛と、彼女の持つ一枚の紙。そこには学園外のある場所を示す地図が描かれていた。




次回、死闘

書き忘れていた部分を加筆しました。
具体的には『それを仲裁する為に、当時において最も力を持っていた柊家が先程の"表向きの理由"を持ち出して無理矢理収めたのだ』の後に『それでも菊花家は余りにも人道に反するとして猛反対していたが……それは兎も角。』を追加しました。

多分5秒で終わるので高評価お気に入り登録よろしくお願いします。

本のタイトルどっちがいい?

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