押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話)   作:デュアン

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朝っぱらからなんですが閲覧注意です。


部活対抗戦 -サブカル同好会VS魔法研究俱楽部(後編)-

「咲良、ようやったの」

「まあ……」

 

 一分にも満たない試合が終わり、私は控え席に戻る。

 炉欄先輩が私の頭をポン、と優しく撫でる後ろで雲雀と小冷はドン引きしていた。流石に十五個も落とすのはやりすぎだっただろうか……でも芽有の事もあったし多少慎重過ぎるくらいの方がいいだろうと思ったのだ。

 何はともあれ、これでポイントはこちらが一点、相手が二点。額面だけ見れば相手が有利だが、もう試合は部長戦しか残っていないので条件としては互角。ここで炉欄先輩が勝てばこちらの勝ち、ただそれだけ。

 

『そ……それでは最終戦です! これちゃんと盛り上がるかな……ま、まあ兎も角櫻島炉欄選手対櫻島絵良選手!! まずは炉欄選手、入場してください!』

「炉欄先輩、後は頼んだ、です」

「うむ、任せておけ。ああ、先程言った事はやってくれたかの?」

「もう終わってる、です。後は先輩が……」

「流石咲良じゃ、仕事が早いの。では行ってくる」

 

 そうして彼女がフィールドに出る。

 私達の会話を聞いていた雲雀が首を傾げて訊いてくる。

 

「何かやったんすか?」

「それは──」

 

 私がやったのは、相手の不審な気配の元を探る為に必要な下準備。これをやった上で、炉欄先輩が必要な行動をやってくれれば今回の件にケリを付ける事が出来る。

 だが、私のやった事を聞いた二人は顔面蒼白にし、小冷などは掴みかかってくる。

 

「そッ、そんな事をすればっ、もし炉欄先輩が失敗した時、あの人は──!!」

「安心してください……もしもの事があれば、私が割り込む、です……ああ、ルール違反とかは、大丈夫……」

 

 私は杖を取り出して抱え、席に座る。

 それでもまだ何か言いたそうな二人に、私は言う。

 

「私達の予想が正しければ……相手は、そもそもルール違反で、失格。どのみちこちらの勝利、です」

 

 

 

「フフフ、覚悟は済ませてきたのかしら? ねえ、炉欄」

「覚悟とは誰の、何の覚悟なのじゃ?」

「決まっているじゃない! お前はこれから愚かにもお前を尊敬する後輩達や、これだけの人数の前で無様にも犯されるの。骨の髄まで蹂躙して、四肢を一本ずつ引き千切って、最後は紅葉みたいに首を絞めて殺して上げる」

 

 フィールド上にて炉欄と相対した絵良が両手を大きく広げてまるで演説するかの様に言い放つ。その目は妖しく光り、狂気に満ちている。果たして炉欄を映しているのかも分からない。

 そんな様子の彼女を見て、炉欄は静かに言う。

 

「絵良、分かっておるのか? お主がやっている事は櫻島の品位を酷く落としておる……特に菊花などはどれ程怒っているか分からんぞ。国を危うくして、お前()は一体何を考えておる?」

「あら、そんな事。家を捨てたお前には関係ない事でしょう? それともまだ戻りたいのかしら? 小さい頃からやってきた躾が足りなかった?」

 

 家を捨てた──それは正確には間違いだ。正確には名も無き格も低い土着神としか契約出来なかった炉欄を櫻島側が見限ったのだから。なので炉欄は家からの援助も無く、寮にも入れず学園側からデフォルトで貰える俸給と部室を頼りに生きる事を強いられている。

 しかし炉欄に櫻島に戻るという選択肢はない。彼女は幼い頃から大人からは虐待を、子供からは虐めを受けていた。咲良に任せる事なく敢えて自分が戦うという選択をとったのは私怨も入っている。

 

 だが、最早そんな事はどうだってよかった。彼女は魔装に身を包み、固有兵装である琴の爪先を絵良に向けると、口角を上げながら言い放つ。

 

 

「──覚悟しろよ、絵良。お前は今日、()に負ける」

「──やれるものならやってみなさいよ」

 

 そうしてこれまでにない程に険悪になった二人の間に、若干嫌そうな顔をした実況担当の生徒がマイク片手に降りてくる。

 彼女は少し震えながらまず絵良にマイクを向ける。

 

「あ、あの~、折角の決勝戦最終戦なので試合前に一言頂けたらな~、と思うんですけど……」

「あら、そうね……」

 

 絵良は少し考えた末、観客席に顔を向ける。

 

「皆よーく見ておきなさい! あの落ちこぼれの哀れな痴態を!!」

うわ……あ、ありがとうございました~……そ、それでは炉欄選手、一言どうぞ」

 

 彼女のその言葉に、炉欄は控え席の方を向いて大きな声で言い放つ。

 

「咲良、雲雀、そして小冷!! 我が愛しき子供らよ、しかとその目に焼き付けよ! 宵闇の過ちの顛末を、白き恐怖の悦楽を、瞳に映りし一夜の夢を、身に宿りし結末を、そして──」

 

 炉欄は最後に、絵良を睨み付ける。

 

「──眼前の者に、悍ましき快楽を」

「フン、何よそのポエム。馬鹿じゃないの」

「で、では~……」

 

 そうして実況者がそそくさとフィールドから上がる。

 

 カーン。始まりの鐘が鳴り響いた。

 

 

「さあ行きなさい、私の触手達!!」

「……」

 

 開始早々に絵良が地中から大量の触手を生み出す。

 粘液滴る木の触手は線虫の様な不快感しか生み出さない動きで炉欄へと向かっていく。そのスピードはこれまでの試合の中で最も速く、会場全体が諦念と悲鳴に包まれる。

 

 だが、そんな状況下において炉欄は避ける素振りすら見せず、ただそっと近くにあった岩に腰掛け、琴を持ち──

 

 

 チャン

 

 

「なっ!?」

 

 一度弦を引き、軽快な音が鳴る。それだけで高速で向かっていた触手達は一斉に動きを止め、塵となってその場に崩れ落ちる。

 そんな光景に驚いたのは絵良のみならず、この場に居る、私を除いた全ての者がそうだった。

 

 

 チャン

 

 

「なっ、何よこの腕! ちょっ、離しなさいよ!!」

 

 二度目。

 その音と共に、絵良の足元から六本の手が伸びてきて彼女の脚を掴む。

 妙に太く、まるで赤子の様なその手はベタベタと絵良の脚を触り、気味が悪くなった彼女は触手を生み出して引き剥がそうとする。

 

 

 チャン

 

 

「──うっ、ぷ……おえっ、けほっ、おええええっ……!?」

 

 三度目。

 突如として絵良は酷い吐き気に襲われ、跪いてびちゃびちゃとその場に胃の中の物を撒き散らす。どういう理屈でそうなったのかは分からない。ただ、やった犯人は分かっている。

 絵良は憎悪に満ちた顔を上げ──そして、息を呑んだ。

 

 

 チャン

 

 四度目を鳴らすと共に、ゆっくりと瞼を上げていく。

 普段は糸目として隠されている瞼の下──ドス黒い血の様に虚ろに光る双眸が、絵良の苦痛に歪む顔を映し出す。

 それだけではない。いつの間にか黒く染まっていた炉欄周辺の空中にも六つの深紅の瞳が現れ、それらが全て絵良を捉えて離さない。ぞくり、と不気味な寒気が肌を刺す。

 

 ぎゅう、と何かが腹を圧迫する様なこそばゆい痛みに襲われる。それに押し流される様に膀胱から尿が溢れ出て、内腿を通って地面に染みを作り出す。

 

 

 

「ひっ……」

「ろ、炉欄、せんぱい……?」

 

 そんな様子に慄いていたのは控え席の雲雀と小冷も同じだった。

 雲雀は小さく悲鳴を上げて私の裾をぎゅっと掴み、小冷は信じられない物を見た様な声を漏らす。まあ、普段の炉欄先輩を見ていたら到底想像出来ない魔法である事は確かだ。

 まず、試合前に私達に向けて言っていた言葉。あれはそう見せ掛けているだけの"祝詞"である。だが恐らく、それに気付いた人物は私以外居ないだろう。何しろ祝詞を発する際に起こる筈の魔力反応が、私ですら意識しなければ気付かない程に隠匿されていたからだ。

 ルール上は試合前の魔法発動は反則になるが、それを判定するのはあくまでも審判。その審判が何も言わなかった(気付けなかった)以上問題にはならない。

 そして、祝詞(詠唱)を聴き入ってしまった絵良は試合開始時点で既にその体を支配されてしまっており、今に至る。

 

 恐らくこれが先輩の言っていた"策"なのだろうが……

 

「炉欄先輩……貴女は……」

 

 この魔法に隠された()に、或いは既に気付きかけていたのかもしれない。

 

 そのあまりにも悍ましい、彼女の秘密に。

 

 

 

「……ひっ、なっ、なんで……うぷっ、おえええっ」

 

 六度目の音。ここで漸く絵良は自らの身体の変化に気が付いた。

 クラクラと眩暈がする中、彼女は魔装で大きく露出させた腹回りが少し膨らんでいる様に思えたのだ。それも太っているだとか、その様な感じは殆どしない──かつて家で、何度も見た物。

 

 チャン

 

「あっ、くぅぅぅっ……う、そ、どうして……」

 

 七度目が鳴ると、腹は更に膨らんでくる。同時に胸も張り、双丘の先端部分の布が濡れる。

 この時点で絵良は自分がこの先何をする事になるのかを理解してしまっていた。どういう理屈でそうなるのかは分からないが、余りにも状況証拠が揃い過ぎている。

 

 チャン

 

「うっ、ぐぅ……や、やめなさい! 炉欄、やめろ、がっ、あああああっ!!?」

 

 腹が更に膨らみ、下腹部に膨らみに沿う様にして赤い稲妻の様な線が無数に生まれる。

 その急激な身体変化には当然苦痛も伴っており、彼女はそれに耐えながら炉欄に向かって叫ぶ。

 

 だが、炉欄はただその虚ろな瞳を向けるだけ。手は止める事なく、九回目の音を鳴らす。

 

「あああああっ!!? かっ、はっ……お、ねが、い……や……め……」

 

 この時点で、腹はまるでバスケットボールよりも二回り大きい程にまで膨らんでおり、股から零れ落ちる体液と胸から滴る液体、そして吐瀉物で地面は酷く汚れている。

 最早虚勢を張る事すら叶わなくなった絵良はか細い声で懇願するが、炉欄が動きを止める事はない。

 

「あっ、ぐうっ……ううっ、やあああっ、ああああっ……!!」

 

 やがて耐えられなくなった絵良はぐちゃりとその場に仰向けに倒れ込み開脚する。

 自らの恥部を晒してしまっている訳だが、彼女自身自らの腹の重みでまるで内臓が押し潰されるかのような激痛が走り、悲鳴を上げるが最早のたうち回る事すら叶わない。

 

 そして。

 

 

 チャン

 

 

「ああああああああっ!!!??」

 

 

 十度目の音と共に、彼女は甲高い悲鳴を上げる。

 大きく膨らんだ腹が蠢き、開脚された足の間からブシュウ、と液体が溢れ、直後に一本の白い腕が裂け目を突き破る様にして飛び出てくる。

 

 その腕が何やら動く中、立ち上がった炉欄はそれに近付く。

 そしてその腕を掴み、一気に引き抜いた。

 

「────!!??」

 

 言葉にならない叫びが絵良から出て、直後白目を剥いて失神する。身体をピクピクと痙攣させ、腹はいつの間にか萎み、股はだらしなく開かれている。

 だが、この時点でそんな無様な様相を呈している彼女には誰も注目していなかった。何しろ──

 

 

「……」

 

 絵良の股間から引き摺り出したそれ(・・)に対して会場内からどよめきと悲鳴が走る中、彼女はただ冷ややかな目を送るのみ。

 

 

──それは、身長50センチ程の赤子であった。

 シルエットだけを見れば人間だと思うであろう。だがその肌は到底人間の肌ではあり得ない程白く、口には牙が生え、そして額には小さいながらに角が生えている……

 

 

「……大鬼(オーガ)

 

 

 私はその名を呟きながら、一回戦で戦った少女の事を思い出していた。




炉欄先輩 裏技 ヤバい

Q.なんで出産なんて超絶ニッチな事させたんですか?
A.この後のストーリーでそれが割と重要なキーワードになるからです

あとskeb始めました。なんかやって欲しい事あったらどうぞ((キャラ名)の立ち絵書いて、とか。質には期待しない方がいいです)
https://skeb.jp/@AsyuryCrosford

大金星なので高評価お気に入り登録お願いします

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