押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話) 作:デュアン
やっぱり作品は投稿する前に少し置くべきですね
「……なるほど、貴方が私を見出したのね」
『ーーー』
現世と常世の狭間、明るくも暗い場所──『契りの間』の中で、少女と異形は対峙する。
桃色の髪をした少女の方はどこか諦念すら感じさせる、生きているのかすら定かではない様な浮遊感漂う状態。その身長は年齢に反してかなり低く、身体は骨しかないのではないかと思われる程瘦せ細っている。
異形は全身を紫色の汚泥で覆い尽くした巨大な猪であり、蛇であり、鴉である。それら全てが不格好に絡み合った様な、生物とも呼べない何か。視界に入れるだけで生理的嫌悪を呼び起こすそれを、しかし少女はじっと見つめている。
「貴方、喋れないの?」
『ーーー』
「そう……ある意味、私も同じかもしれないわ」
異形が発する声どころか音とすら認識しかねるそれを、しかし少女はまるで理解しているかのような素振りを見せる。
そして彼女は異形に近付き、汚泥を被る事も厭わずに身体を密着させる。
「貴方が私を見初めたのは正解だわ。全てを失った貴方と、零から始まる私。これ以上ない程にお似合いじゃない」
『ーーー』
「ええ、だから力を貸して。私はいつか、必ず──」
──────
───
─
「え……」
「何あれ……」
会場内が困惑とざわめきに支配される。
当然である。炉欄が琴を弾いたら絵良が出産したのだ。それもただの子供ではなく、どう見ても人間ではないそれを、である。
到底教育機関で起きてはいけない光景ではある。だがこの時点で審判はストップをかけなかった。この出産した胎児そのものが"炉欄の魔法"である可能性があったからだ。要するに、他人の身体を介して自身の眷属を生み出す──あまりにも悍ましい魔法だが、過去にはそんな魔法も実在している。櫻島家はどうなっているんだと教師が頭を抱えるだけで済む。
だが、仮に炉欄が関わったのが"出産"だけで"胎児"には関わっていないのであれば──これは、学園を揺るがす大事件である。
さて、一転して渦中の人となってしまった炉欄は、自らが掴んでいる赤子を投げ捨てる。
字面だけ見るととんだ虐待であるが、果たして赤子はその身に余る身体能力を発揮し、二本足で地面に降り立つと流暢に話し始める。だがその表情は苛立ちを隠せていない。
「この雌が……一体何をしやがった」
「ほざく前にその滑稽な姿をどうにかしたらどうじゃ? やり辛くて堪らんわ」
「戯言を……」
冷ややかで虚ろな深紅の瞳に赤子が映る。すると赤子は顔を顰めたままその身体を成長させる。
僅か数秒で、生まれたての胎児は身長三メートルはあろうかという筋骨隆々の男へと変化する。その肌は人間としてはありえない程に白く、目は蒼く、口には牙が、額からは角が生えている──魔物の一種、
「ヌシは土着神の本質を知っておるか?」
「ああ? 急に何を言って」
「土着神は人々の信仰によって生み出される神、という事になっておる。じゃが本来は、その土地の厄災を鎮める為に意図的に生み出された架空の存在。人々がそれに向ける感情は信仰などではなく──恐怖」
彼女の周囲に三つの青い火の玉がふわふわと漂い、それに彼女は優しい目線を送る。
「人々がその恐怖を信仰であると信じた瞬間から、土着神は初めて"神"となり得る。では、その人々が消えたら?」
火の玉が消え、彼女は大鬼の目を真っすぐに見据える。
「名前はおろか、人々が何を畏れていたのかすらも分からなくなった……信仰によって保たれていた知性はとうに消え、崩壊した神性のみで構成される存在──祟り神と化したそれとワシは契約した。神特有の能力は殆ど無いが、神の本質さえ理解出来ればその源たる"祟り"を操る事が出来る様になる」
「……何が言いてえ」
「ヌシも気付いておるのじゃろう? "祟りは伝播する"──ヌシ本体、そしてヌシがこの学園の生徒達に植え付けた種98人分、その全てを今ここに無理矢理集めたという訳じゃ。もう少し
「ッ……!!」
炉欄がやった事は、その実意外と単純だ。
彼女が契約した神は信仰を失い祟り神となっており、意思疎通を図る事すら不可能であった。魔装や固有兵装は初めての契約空間で彼女自身がとある方法で作り上げたのだ。
しかしながら魔装や固有兵装があっても魔法が無ければ意味はない。事実、入学当初の彼女はただ魔力による身体強化しか出来ない存在であったのだ。そこで目を付けたのが"祟り"である。
祟りは伝播する性質がある。それを応用し、自身の魔力強化を音に乗せて伝播させバフを、逆に祟りに含まれる負のエネルギーを伝播させてデバフを、そして自身の体験を音と祝詞で伝播させて出産魔法を、という風に独自の魔法を作り上げたのだ。言ってしまえば、彼女は本質的には咲良と同じ様な魔法師なのである。
そして更にその出産魔法に祟りを付与し、絵良の胎内から血脈を辿って学園内の全ての大鬼という存在をここに無理矢理集めたのだ。
大鬼の種を植え付けられていた生徒達は、その全てが一瞬目眩に襲われていた。その一瞬で胎内の種と犯された記憶を全て抜き取られ、今では自分が何をされたのかなど何も覚えていない状態になっている。
炉欄は未だ背後で倒れている絵良にちらりと視線を送る。
「絵良やその
「ぐ……だが残念だったな」
「ほう?」
少し唸った大鬼はなんとか表情に余裕を取り戻し、ニヤリと笑う。
「ここは夢想の世界。たとえ今ここで俺が死んでも現実で死んだ事にはならねえぞ」
「一理あるの。じゃがヌシ──」
「──一体いつから、ここが夢想空間じゃと錯覚しておる?」
「何を……ッ!? 馬鹿な、何故、一体いつから!?」
彼女の声に大鬼は一瞬困惑するも、すぐに自らの置かれている状況を把握して焦燥を滲ませる。
それに対して彼女は事無さげに答える。
「ワシの試合が始まった時からじゃ。咲良に頼んで夢想鍛錬所の機能を一時的に停止させておいた」
「そッ、そんな」
「危険と言われればその通りじゃが、ワシは我が後輩の事を信じておるのでな」
試合前に炉欄が咲良に頼んでいた事、それは夢想鍛錬所の夢想機能を秘密裡に停止させる事であった。本来であればそんな事は不可能なのだが、咲良は圧倒的な技術でそれを実現させた。
だが、それを知った小冷が咲良に掴みかかった事からも分かる通り、これは極めて危険な行為である。もし仮に炉欄の策が効かなかった場合、彼女は現実空間で取り返しのつかない事をされてしまう事になるのだ。勿論そうならない様に咲良は常に待機していた訳だが、それでも万が一の事はある。
だが、そのリスクも承知で炉欄はこの作戦を実施した。全てはこの時の為に。
それを理解した大鬼はすぐに踵を返して逃げようとする。
「正しい選択じゃな。じゃが──」
「がっ」
刹那、大鬼の四肢が消失し、彼はその場に放り出される。
それをやったのは咲良だ。彼女は彼が逃げようとした瞬間にテレポート、ショックカノンで四肢を消し飛ばしたのである。そして彼が逃げられない様にプロテクションで全身を覆っておく。
「咲良、ようやった」
「はい……」
強大な大鬼を捕まえた。だがそんな事に対しての感傷は何もなく、咲良はただ複雑な表情で炉欄を見つめる。
その顔が意味する所を理解した炉欄は柔和な笑みを浮かべ、咲良の肩に手を置く。
「そんな顔をするな。ワシまで悲しくなってしまうではないか」
「っ……」
「ワシは今が一番幸せじゃ。何しろお主らが居るのじゃから」
フフ、と笑う彼女に対して、しかし咲良は顔に暗い影を落とす事しか出来なかった。
オーガは女子生徒の養分を吸って最初の二メートルから三メートルまで成長していますが、本来の計画が完了していればこれよりも遥かに大きくなっている予定でした。
因みに該当女子生徒の記憶は消したんじゃなくて抜き出しただけなのでその時の記憶は全部炉欄先輩の脳に入ってます。
追記:会場内の女子生徒が気絶→一瞬目眩に変更しました。
あとふと気になったので人気投票します。
下のアンケートから答えてください。(ただし咲良は除いてます)
5秒で終わるので高評価お気に入り登録よろしくお願いします。
本のタイトルどっちがいい?
-
押して駄目なら吹き飛ばせ
-
押してダメなら吹き飛ばせ
-
押して駄目ならぶっ飛ばせ
-
押してダメならぶっ飛ばせ