押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話) 作:デュアン
まあ自分でも常識改変のエロ漫画みたいだなって思いました
それは 服と言うには あまりにも(布地が)少なかった
少なく 纏えぬ 軽く そして 大雑把すぎた
それは 正に ただの痴女だった──
という訳で、あれよあれよという間に着せられてしまいました、マーリン魔法学園の制服。日本の制服もだいぶアレだなーって思っていたけれど、これに比べれば宇宙服にも等しく感じるだろう。
いやだってもう"服"じゃないもん。なんだよ上半身隠すのがリボンだけって。下半身もクソ短い前垂れだけだし、後ろから見たら尻しか隠れてないよ?
だが、そんなエロゲでもあまり見ない様な服であるにも関わらず寒いとかそういうのはない。寧ろ快適なくらいだ。そこは魔法で何とかしているのだろう。ヒラヒラするのも魔法で何とかしてくれたらいいのに。
「……」
ちらり、と横を見る。そこでは同じく着替えている祈里がおり、彼女は一見すると平然を保っている様に見えるがその実頬は紅く染まっている。流石の彼女でもこれは恥ずかしいのだろう。
「フーッ、やっぱりこっちの方が落ち着きマスねー」
「嘘でしょ……」
一方のレフィナはそんな事をのたまっている。英国女子怖すぎる。これが紳士の国ってマジ?
「とっても似合っているよ。どうだい? 日本の物よりも動きやすいし魔素の吸収効率も良いだろう?」
「えっ、あっ、はい。ソッスネ……」
と、そこに先程迎えてくれた生徒会長のエルーブルーがやってくる。それに私は曖昧な返事しか返す事が出来なかった。
まあ確かに動きやすい事は動きやすいし、ほぼ全裸なのだから魔素の吸収効率はほぼ理論値だ。実利を考えて作られた服なのは痛い程分かるが……着るのが思春期の少女だという事は考慮されていない。
私がモジモジしている中、祈里は恭しく胸に手を当て頭を下げる。
「お気遣い感謝しますプリンセス・エルーブルー」
「えっ、あ、か、感謝します」
彼女の言葉に私は慌てて頭を下げる。
そういえば彼女は王族だった。イギリスの最高権力者の一人──十華族よりも怒らせるとマズイ相手。
「ハハハ、苦しゅうない苦しゅうない。まあ慣れないだろうけど、暫くしたらそれの素晴らしさに気付く筈だよ」
そうかなあ……?
「日本より遣わされました、桃園家息女の桃園祈里です。皆様、二ヵ月という短い間ですがよろしくお願いいたします」
スラスラと自己紹介を終える祈里。彼女は特別な訓練を受けているから当然なのだが、私もああなりたいものだ。
すう、はあ。深呼吸をして口を開く。同じく日本より来ました織主芽有です、同じく日本より来ました織主芽有です……よし、行くぞ──
「おに゛ゃ゛ッ゛」
噛んだ。
『アンタねえ……』
「……織主芽有ですよろしくお願いします」
恥ずかしさを紛らわせる様に一呼吸で捲し立てる。脳内から豊姫様の呆れた様な声が、隣からは祈里の呆れた様な目線が、前方からはポカンとした目線がそれぞれ突き刺さる。やめろ、私をそんな目で見るな。
私は後ろに立っていた教師に言う。
「せき、席はどこですか」
「ん? 今のが自己紹介か? もう少し何か言う事はないのか?」
「契約神は豊玉姫様好きな食べ物はゴボウの天ぷらスポーツはあんまりやりませんはい」
「ええ……まあいい。メアリーの席はそこ、イノリの席はそこだ」
彼女が指し示した席に足早に向かう。
別にたかだか噛んだだけだ。こんな事くらい一時間もすれば皆忘れる。忘れてくれ。だから席に座ってホームルームを受ければ全て終わり──
ペチン。
「……はい?」
だが、そんな思惑は淡く潰える事となる。
何しろ、席に向かっていた私に不意に手袋が投げつけられたのだから。それをやったのはプラチナブロンドで縦ロールの典型的なお嬢様といった様相の少女。
「あら、知らないの? メアリー、私は貴女に決闘を申し込みますわ!」
「え、え、なんで?」
「
と、そこで私は思い出す。そういえばこれは原作通りの展開だ。
原作でも自己紹介を終えたばかりの快人に白手袋が投げつけられる。新参者へのある種の洗礼として、投げつけたのは目の前にいるような貴族令嬢。
「私の名はシャルロット! フェリーチェトルク伯爵長女にして偉大なる女戦士オイフェの契約者! さあメアリー、貴女はこの決闘を受けますの?」
「え、あー……」
正直に言うと面倒臭い。これから私は快人も咲良も無しで原作のイギリス留学編のイベントをこなさなければならない訳だ。色々な陰謀やら策謀やらが張り巡らされている中で少しでも目立つのはやめておきたい。目の前のシャルロットは兎も角、エルーブルーなんかは(バカみたいな恰好をしているが)輝夜会長に負けず劣らず曲者なのだから。
うんうんと唸っていると、後ろから軽く小突かれる。見ると祈里が囁いてくる。
「ん、受けるべき。掴みは大事」
「えー……」
「自己紹介で失敗したんだからそのくらい我慢して。ん、私達は日本の代表としてここに来てる」
「うう……」
そこを引きあいに出されるともう黙るしかない。私は仕方なくシャルロットの目を見て返答する。
「……分かりました。その決闘、お受けします」
戦いという物に興奮するのはどこの国でも同じらしい。それが異国の人間相手ならば尚更だ。
決闘を了承した直後、私は『
フィールドに出ると途端に会場内の客達が沸き立ち、空間を揺るがす程の歓声が上がる。イギリスでは決闘はしょっちゅう行っている筈なのだが……恐らく、私との勝負は随分前から予告されていたのだろう。既定路線という訳だ。元から断る道など無かったのだ。
さて、石畳のフィールドでシャルロットと向かい合う。相手の魔装は両手両足に鈍い黄金色の鎧を纏い、胴体は白と金の混じった様なビキニアーマー、そして長大な槍という様相。制服よりも遥かに健全な姿である。
「我が名はシャルロット! 偉大なる女戦士オイフェの加護を受けし者なり!」
「わ、我が名は芽有。偉大なる……」
『あなたもう少し大きい声で言って頂戴よ。折角私の名前がエゲレスに知らしめられる良い機会なのに』
慣れない口上でボソボソと喋っていた所を豊姫様に苦言を呈される。エエイ、大きな声を出せばいいんだろう出せば。
「我が名は織主芽有!! 偉大なる女神豊玉姫の滅茶苦茶凄い加護を受けし者なり!!」
『滅茶苦茶凄いって何』
私のヤケクソ口上にシャルロットはニンマリと笑い、槍の先端をこちらに向ける。
「その意気や良し! 正々堂々威風堂々、心行くまで戦い抜こうではありませんか!」
「お、おうおう! やってやろうじゃねえかこのヤロー!!」
そうして口上は終わり、カーン、と鐘が打ち鳴らされる。
──次の瞬間、私は相手が投げた槍に貫かれた。
「チッ、"激流槍"!!」
それは限定的な未来予知。それを変えるべく私は幾つもの水の槍を生み出し相手の槍を迎撃する。
それらは狙い通りに槍に当たり、破壊こそ出来ずとも軌道を変える事に成功する──
「まだ駄目なの!?」
だが、次の瞬間にはまたも死ぬ未来が投影される。あの槍はまるで意思を持っているかの様に縦横無尽に動き、こちらの心臓を正確に貫いてくるのだ。
私は浮かび上がり、足裏ウォータージェットの勢いも借りて槍を避ける。だが幾ら避けても槍先は永遠に私を向き続けている。どういう魔法だこれ。私は脳内の原作知識を探り続け──やがて、一つの結論に至る。
「ゲイボルグだこれェ!!」
ゲイ・ボルグ。それはケルト神話においてクー・フーリンが使ったとされる槍。名前だけ知っているという人も多いだろう、これは日本においても有名であり、特に有名なのは『一度狙った獲物は逃さない』というやつだろうか。
相手が契約しているのは女戦士オイフェ。彼女はクー・フーリンの恋人であり、ゲイ・ボルグの所有者の一人であるという説もある……つまり、この槍はどこまでも私を追ってくる。ならば。
「"神域『月華龍宮』"!!」
刹那、私の周囲に膨大な海水が溢れ、同時に竜宮城が生成される。それを見た観客席から感嘆の声が漏れる。一回生で神域を使えている事に驚いているのだ。
だが、こんな物であの槍を止められるとは思っていない。神域の結界強度を"外部からの衝撃"と"槍の刺さる地点"に集中させ、耐えている間に自らの両手を前方で上下に合わせ、魔力を集中させる。結界内の海水がその周囲に集まっていく。
やがて、ピキリ、と結界にヒビが入った瞬間。
「"
その声で周囲に漂っていた海水が手の周囲を回転、指先に集中し、一瞬巨大な水泡が膨らんだかと思えば細い水線となって目にもとまらぬ速さで空間を突き進む。
それは結界を突き破ってきたゲイ・ボルグに丁度衝突する。
もし、あれが本物のゲイ・ボルグであれば破壊する事は叶わなかっただろう。だが、今目の前にあるのは所詮人の身を介して投影された紛い物──ならば。
「──がっ!?」
私が放った水光線は槍を砕き、その先に居たシャルロットをも貫いた。空中で躱している間に射線をコントロールしていたのだ。
そうして彼女は血を吐き光の泡となって消える。カーン、と鐘が打ち鳴らされ──
『勝者、織主芽有!!』
私の勝利が告げられたのだった。
やった、勝った。いやまあ原作でも快人は勝ってたけどさ。アレは確か疑似的な心臓を作り出して槍を騙したんだったか。でも私にはそんな事出来ないので素直に正面から撃ち勝てた事が嬉しい……
……アレ、留学結構楽しいな? 私はここまで抱いていたイギリス留学への恐怖を少し和らげたのだった。
──この時の私はまだ気づいていなかった。
私は原作を知っているからこそ、思い込んでしまっていたのだ。一つの原作の章が終わるまで、その先の章には突入しないだろう、と。今はイギリス留学編、その先の話まではまだまだ余裕があるだろう、と。
まさか私がイギリスに居る間に原作における最重要イベントが発生するなんてこの時の私は思いもよらず、原作イベントが殆ど発生しない平和な学園生活を満喫してしまっていたのである。
これにて閑章は終わりです。次話からは三章に入ります。
コミティアに向けての作業とか卒論とかで忙しくなるので次回がいつになるか分からないので取り敢えず閑章の登場人物のイギリス制服バージョンでお茶を濁します。
正直この制服描いてる分には楽しかった。パーツが少なくてすぐ描けるし。でもやっぱり常識改変物のエロ漫画ですねこれェ
【挿絵表示】
何度でも宣伝
来年の1/19にインテックス大阪で行われる関西コミティア72に出店し、本作の一章部分を再構成して本にしたものを売る予定です。
表紙挿絵はデュアンが描き、文庫サイズ386ページの物を1000~1500円くらいで売る予定です。
再構成の内容としては、ハーメルンのそのまま本にすると視点がぐっちゃぐちゃになって読みづらいのでそこらへんを整理したりしています。なので多少読みやすくなってる(はず)です。
無配とかも作るかもしれないのでよければ来てください。サークル配置とかは決まり次第また連絡します。
あと、本のタイトルは現状の『バッドエンドの〜』ではなく『押してダメなら吹き飛ばせ』になると思います。長すぎて文庫サイズだと色々無理が出てくるので短くしました。
本のタイトルどっちがいい?
-
押して駄目なら吹き飛ばせ
-
押してダメなら吹き飛ばせ
-
押して駄目ならぶっ飛ばせ
-
押してダメならぶっ飛ばせ