押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話) 作:デュアン
wikiは三章エピローグ直前に投稿します
「お二人はここでお待ちください」
皇居に無事入る事が出来た私達は早々に自衛官に囲まれ、春子と引き離されてとあるテントの中に案内される。
椅子と机があるだけのテント。迷彩柄なので恐らくは自衛隊のそれなのだろう。私達を案内した自衛官は今は部屋の隅で立ってこちらをじっと見つめて警戒していた。
「わ、私達これからどうなっちゃうんでしょうか……」
彩芽が不安そうに訊いてくる。春子と出会った時の皇宮護衛官の対応を思い出しているのだろう。先程から自衛官の視線が私の手と目にチラチラと向けられているし、同じ様な対応をしてくる可能性もある。
だがまあ、仮に追い出されるとしても私だけの筈だ。彩芽は何処からどう見ても普通の人間だし、それを追い出す程非情でもあるまい。
と、そんな事を考えているのを察したのか彼女がジト目になって言う。
「ま、魔女様が追い出されたら私も付いていきますからねっ!」
「ここに居た方が、安全、ですよ」
「それでもですよっ!!」
ぷりぷりと怒る彼女。
そんな事をしていた時、天幕の一部が上げられて自衛官が入ってくる。階級章は未来と同じ、白線が二つと星が一つ──少佐だろう。彼は私を見ると言う。
「君が例の、箒で飛び回りながら魔物を剣で斬り飛ばしビームを撃っていたという"魔法使い"だね。私は第一師団第1普通科連隊第4普通科中隊長の山南秀次三佐だ。現在はここの指揮官代理も務めている」
どうやらここの事実上の軍最高責任者が直々に赴いたらしい。
だが、それよりも私は彼が発したある単語に意識が向く。
「"魔法使い"という事は、ここにもいる、ですか?」
「ああ、その通りだ。その
と、彼が話している最中。
「──あーし以外のまほー使いが来たってマ!?」
ドタドタドタ、とやかましい音を立てて近付いてくる足音。直後勢いよく天幕がめくられ、その少女は現れた。
私よりも一回り大きい背丈、ボリューミーなサイドテールをした金髪は頭頂部が髪染めが取れてプリンの様な色合いになってしまっている。
所謂ギャルめいた少女は満面の笑みを浮かべて言った。
「あーしは鈴蘭
「え、いや魔法使いはそっちの紫色の髪をした方だけで」
「え? でもどっちからもまりょく?を感じるよ? ね、ね、二人の名前は?」
底抜けに明るくグイグイと来る彼女に彩芽はタジタジになりながら答える。
「わ、私は菊花彩芽です」
「私は……名前が、思い出せないので、魔女、と読んでください」
「えっそうだったんですか」
「名前思い出せない!? えっ、大丈夫なん?」
「大丈夫、です」
そういう事にしておく。変に誤魔化すよりもこっちの方がいいだろう。彩芽、驚いてないで貴女は察してくれ。私がチラチラと視線を向けると理解した様で誤魔化す様に口笛を吹き始めた。
それは兎も角、姫星はこれで納得した様だ。
「じゃあこれから彩ちと魔女ちって呼ぶね!」
と、そこで彼女が私の異物に気づいたらしい。
「えーっ、魔女ちそれ大丈夫?」
「大丈夫、です」
「まあ大丈夫ならそれでいーけど……でも変な人とか結構いるから隠しといた方がいーよ」
一瞬、彼女の光が陰る。何かよからぬ事でもされたのだろうか……いや、何となく予想はつく。
この世界で魔法という物が発生したのはほんの数日前、人々はまだ魔法という未知の力を見慣れていない。ならばその使い手へ向ける目も好意的な物だけ、という訳にもいかないのだろう。
彼女がパチン、と指を鳴らす。すると虚空に白手袋とモノクルが現れるのでそれを手に取って私に渡してくる。
「はいこれ。なんか幾らでも出せるから遠慮なく使い倒していーよ」
「ありがとうございます……」
「い、今何もない所から……?」
さらりと行われた魔法に彩芽が驚く。
物体生成系の魔法、アレは普通の魔法よりも難易度が高い。となると彼女は補助魔法に特化した魔法師なのだろうか?
「あ、そうだ。もう一人紹介しなきゃいけない人がいるんだった。紹介するね」
彼女がそう言った所で気付く──彼女の背後に濃い顎鬚を貯えた貫禄のある老人が立っている事に。老人は古めかしい軍服を身に着け、胸元には多くの勲章が付けられている。
姫星は彼を見るとニコリと笑い、言った。
「このおじいちゃんは乃木おじ! あーしのけーやく神?らしーよ」
「のっ……」
姫星の不遜極まりない呼び方に、彼の正体が判った彩芽が絶句し、山南も気まずそうに目を逸らしている。
そんな二人の反応を見かねて老神が口を開く。
「……私は所詮敗軍の将、恐縮する必要はないぞ」
「で、でも……」
「彩芽、これから貴女も、色々な神と会う、ですから……慣れた方がいい、ですよ」
「そんなぁ……」
彼女も魔力律動変換不全が治れば契約神と会う事になる。基本的に神に対して物怖じしていては力を十全に発揮する事は出来ないと私は考えているのだ。
しかし、姫星の契約神が乃木大将だったとは。確かに将来陸軍を牛耳っているのも分かる気がする。
「二人は誰とけーやくしてんの?」
「私は、その……分かりません。魔力不全?っていう病気らしくて契約してる筈の神様と話せないんです」
「私、は……関西の方の神、です」
嘘は言っていない。今は交信できないだけで。
さて、そんな交流も終わり私達は皇居内を三人で歩く。右手には長手袋、右目には高反射モノクルを付けたので奇怪な目を向けられる事は少なくなった。
「でもよかった~……魔法使いがあーしだけじゃなくて」
「乃木お……さんは何も言ってなかったんですか? 他にもいるよとか」
「言ってたよ。でも全然現れないからさ、もうここはあーしだけで守るしかないんだって思ってた所だったんだよね。だから二人が来てくれてとっても嬉しい!」
彼女が魔法師になったのは数日前、東京にダンジョンが出現して魔物が溢れ出したのとほぼ同時。
その時彼女は友人らと共に渋谷におり、魔物から逃げ惑う中で魔法に目覚め戦ったのだ。だが魔法師になったばかりの彼女一人ではどうしても限界があり、そんな時に皇居が避難場所として開放され、自衛隊と共に立てこもる事になったのだという。
そして、そんな彼女の魔法は──
カンカンカン!!
「「「!!!」」」
と、そこでけたたましい鐘の音が鳴り響く。
「これは……」
「敵襲の合図だ。丁度いい機会だし二人も来て、あーしの戦い方を見せたげる」
「鈴蘭嬢に乃木閣下! いらっしゃいましたか」
「状況は?」
私達が駆け足で鐘が鳴らされた方角の塀に行く。
そこに待っていた将校が姫星と乃木に気付くと敬礼する。それに乃木も小さく敬礼を返し将校へ訊く。
「はっ。南部日比谷公園より複数の魔物を確認、こちらに向かってきています。既に部隊の配置は完了しています」
「そうか。姫星殿、準備を」
「おっけー!」
乃木の言葉に彼女は頷くとその服が輝きだす。
先程まで着ていた何処かの学校の制服は消え、代わりに乃木が着ている物と似たようなデザインの軍服へと変わる──魔装だ。
「わあ……」
初めて見たならば多少幻想的に見えるのだろうか、彩芽が感嘆している間に姫星は腰の軍刀を抜き刃先を天に掲げる。
「"着剣"!!」
彼女がそう叫ぶと、切っ先から光が飛び出して自衛隊員達の持っている銃に当たり淡い光を纏わせる。
次に彼女の上空に無数の古めかしいボルトアクションライフルが現れ整列する。
「"構え"!!」
その声で整列したライフルが一斉に魔物の方を向く。それと同じように自衛隊員達が引き金にかける指に力がこもる。
そして──
「ってぇーーっ!!!」
刹那、けたたましい破裂音が無数に鳴り響き、迫りくる魔物に向けて一斉に銃弾の雨が浴びせられる。
魔法で生み出したライフルであれば兎も角、自衛隊員の持つ銃は魔物相手には効かない筈だ。しかし彼らの放った弾は魔物の表皮を穿ち、異色の血を飛び散らせている。
その秘訣は先程彼女が剣から出した光にある。どうやら彼女は周囲の武器に魔力を付与できるらしい。
「魔女様、これ……!」
「ええ……」
彩芽が目を輝かせる。
そうだ、ここでは普通の武器も魔に対抗し得る力となるのだ。
無限が戻るまであと六日。生き残る道が見えてきた。
この作品はフィクションです。
△実際の人物とは一切関係ありません!△
姫星ちゃんは親和寮長のひいひいひいおばあちゃんです。
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1/19にてインテックス大阪で行われる関西コミティアにて本作の一章部分を再構成し本にした物を出します。
サークル名は『近畿大学漫画研究会Nuclear!』でスペースはC-36です。
表紙はこれです。よろしくお願いします。
【挿絵表示】
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本のタイトルどっちがいい?
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