押してダメならぶっとばせ!(旧題:バッドエンド多めの魔装ハーレム物に最つよ魔女を登場させて力尽くでハッピーエンドにしていく話)   作:デュアン

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ジークアクス観てきました。
詳細は避けますが、あの緑髪のおじさまが凄く好きになりました。
財団Bは速やかにグッズを出すべきだと思われるが……


決戦前夜

「面を上げよ」

「はっ」

「ほう……其方が勇者を名乗る者か。外見では分からんの」

 

 神聖レイン帝国──この世界において最も広大な領土を持ち、最も強大な戦力を誇る国家である。私達勇者一行はその帝都に来ていた。

 時に神聖暦2197年。私達の勇姿はどうやら帝国にも届いていた様で、城門を潜った私達はすぐに皇帝に呼び付けられたのである。

 

 皇帝を見た印象としては、一言で言えば歴戦の勇士であろう。白髪に深い髭を生やしてはいるもののその肌には未だ闘志が満ちている。

 その鋭い視線は私達を貫いて離さず、どんな秘め事も出来ない様に思えた。

 

「"勇者"カケル・スズキでございます。こちらは右から僧侶のアリシア・ロードストーン、戦士のドルズ・ティアーラ、魔法使いのフェニシア・フィレモスフィア。全員信頼出来る仲間です」

「ティアーラというとあの"戦士の島"出身か。ほう、流石は勇者を自称するだけの事はある」

「アリガトウございます」

 

 ドルズが言う。それに傍らに控えていた宰相が何かを言おうとするが皇帝が収める。

 宰相は彼が勝手に発言した事に怒ったのだ。今、ここで発言を許されているのはカケルだけなのである。最初に言われていた筈だが、まあ仕方ない。

 

「して、私を呼び付けたのは何用でしょうか」

「とぼけおって。お主が帝都に来た理由くらいこの儂に見抜けぬと思うか?」

 

 カケルと皇帝が揃って笑みを浮かべる。

 そして皇帝は謁見の間の片隅に控える衛士に顎で合図をし、衛士は彼の隣にあるタペストリーをめくる。

 その裏には小さな空間があり、そこには一本の剣が台座に突き刺さっていた。

 

「"勇者の剣"──有史以前からこの地に突き立っている伝説の刃。未だ誰一人として引き抜く事は出来ておらず、引き抜けた者は神より選ばれし"勇者"として厄災を打ち破るであろう……さて、お主らはどうかな?」

「お主ら、というと他の者も触ってよいと?」

「うむ。僧侶、戦士、魔法使い、そしてお主の順にやってみるがよい」

「だそうだ。皆、やってみてくれ」

 

 という事で、私達は順番に勇者の剣を引き抜こうとしてみる。

 まずはアリシア、微動だにせず。次にドルズ、同じく。

 そして次に私──

 

「……い、いきます」

「まあ気楽にやればいいさ」

 

 そのカケルの声で、私は恐る恐る柄に触れ──

 

 

バチィッ!!!

 

 

「──フェニシアッ!?」

「か……」

 

──刹那、私を猛烈な刺激が襲う。それが剣から放たれた雷であると気付いたのは、後にこの時の話をカケルに聞いた時だった。

 兎に角、その時の私は意識を保つだけで精一杯だった。何しろ、その雷によって私の右手が消失し、右半身が焼け焦げてしまっていたのだから。

 

「アリシア回復!!」

「え、ええ!! "ハイネスヒール"!! フェニシア、しっかりしなさい!!」

「ふぇ、フェニシア!!」

 

 三人が私に慌てて駆け寄り、アリシアの回復魔法で腕が生え火傷が治っていく。

 だが、感電は一筋縄ではいかない。瞬きすらも出来ず筋肉が痙攣する中、視界の端に真顔で聖杖に手をかける皇帝の姿が映っていた。

 彼は口を開く。その声色は先程の物とは全く異なり、魔の物に対する戦士としてのそれになっていた。

 

「カケル・スズキよ。その女を殺せ」

「……何故ですか」

「勇者の剣はいずれ来る厄災に対抗する為の物。それに拒絶されたとなれば──その女こそ厄災そのものである証左に他ならぬ」

「衛兵!! 出合え出合え!!」

 

 宰相の言葉で室内の大勢の兵士が雪崩れ込み、槍をこちらに向けてくる。

 それにカケルは立ち上がり、勇者の剣に手をかける。

 

「ならばこの剣を俺が抜く事が出来れば全く問題ないという訳だ!!」

 

 そう啖呵を切り、彼は勢いよく剣を引き抜く──

 

 

──気配はない。剣は微動だにせず、その場の空気が凍り付く。

 

「……あー……」

「貴方、嘘でしょ……?」

「イマのは抜ける流れダッタ」

「お主……」

 

 アリシア、ドルズ、そして皇帝までもが呆れた目線を送る。

 それにカケルはそっと柄から手を離し、私を脇に抱きかかえて言った。

 

「よし、逃げるぞ!!」

「あ、待てっ!!」

「追え!! 決して逃がすでないぞ!!」

 

 カケルの声でドルズがアリシアを抱え、跳躍しガラスを蹴破って城外に出る。

 

 結局私達は帝都から逃げる事に成功したものの、帝国からは手配されてしまう事となった。"厄災の魔女"とそれを庇う"偽物の勇者一行"として……ああ、そういえばこの時にも私はそう呼ばれていたんだな。

 

 その後、カケルは偽物扱いされた事に憤慨し、こんな手配書を出した皇帝に恥をかかせてやろうという事で大物の魔族を討伐しようと提案。

 

 時に神聖暦2197年2月14日。

 魔王軍一等魔将"ミノタウロス"のヴァッキーを討伐した私達の名声は人間界のみに留まらず、魔界にまで届く事となったのである。

 

 

──────

───

 

 

 その日、私は泥の様に眠った。

 タイムスリップしてからの二日間、私は殆どリラックスする事が出来ていなかったのでこうして纏まった睡眠をとれたのは非常にありがたい。

 朝一番、本来起きる時間よりも30分程前にけたたましい鐘の音で目覚めさせられたけれども、別に気にしていない。気にしていないったら気にしていない。

 

「おはようございます」

「状況、は」

「二人共来てくれましたか。これより作戦会議が行われます、出席してください」

 

 慌てて着替えた私達を出迎えたのはここの指揮官代理の山南秀次三佐であった。

 

「あ、彩ちに魔女ち! おはよ~」

「早朝にすまないな。だが緊急事態なのだ」

 

 彼に促されるまま天幕の一つに入った私達を姫星と乃木が迎える。二人の他には隊服を纏った自衛官が数人、私服の者達が幾人か。その中の数人がヘソを出している彩芽に下卑た視線を送っていたのですっと彼女を私の背後に隠す。あとで覚えてろよ。

 

「それでは状況を説明致します。現在、全方位より大量の魔物が接近してきており、昨日までの戦力では対処しきれないでしょう。しかし、今はこのお二方が居ます」

「その二人もあー、なんと言ったかの……そうじゃ、魔法使いなのか?」

「そうです。今回の防衛戦ではあなた方民間人にも彼女らの下で戦っていただきます」

 

 山南のその言葉に私服の者達がざわめく。

 

「わ、我々にも戦えと?」

「戦力が足りないのです。どうかお願い致します」

「ふッ、ふざけるな! そんな危険な事出来るか!!」

「戦うのは自衛隊の仕事でしょ!!」

「大体戦うにしても何故そんな小娘の下につかなきゃいけないんだ!!」

 

 ぎゃあぎゃあと喚く民間人。まあ、この時代の人々は戦いという物から久しく離れていたのでこんな反応になるのも仕方ないのかもしれない。

 でも戦ってくれている者達にそんな言葉をかけるのは如何な物か。私が反論しようと口を開きかけた時。

 

 

「者共黙れ!!」

 

 

 乃木の一喝でざわめきが一瞬にして止まる。

 彼は鋭い目線で民間人を見回すと話し始める。その声には、かつて将軍として戦った軍人の威厳がこもっていた。

 

「お前達はここを何処だと思っている! 貴様らが生き残ったのは陛下のご恩情あっての事、それに応える気概の無い者にこの場に居る資格など無いわ!!」

「ッ……」

 

 視線を送られた者が口を閉ざす中、乃木は私達や姫星に一瞬目を向け、言う。

 

「時代がどう移ろい変わったかの仔細は知らぬが、少なくとも民を背に戦う者達を愚弄するなどあってはならぬ。分かったか!!」

 

 天幕内が静まり返るのを確認し、彼は私達へと顔を向ける。

 

「すまない。突然大声を出してしまった」

「い、いえ。私達の為にありがとうございます」

「ありがとう、です……」

「そ、それでは改めて作戦を説明します」

 

 今回、皇居の全方位から魔物の大群が進軍してきている。ここに居る自衛隊は僅か200人足らずであり、姫星が投影し制御できる銃を合わせてもそれらだけでは戦力不足だ。

 そこに私と彩芽、そして民間人を加える。民間人が持つ武器はやはり姫星が投影した物。制御する分の処理能力を回せば民間人の殆どに武器を配る事が出来る。天幕内に居たのは民間人のまとめ役だった。

 ボルトアクション式ライフルなんて初見では扱えない。ただそこは魔法で出現させた物、操作はある程度簡略化されている。

 そして、そんな彼らを指揮するのが私と彩芽。魔法を交えた高度な戦術を期待されている訳ではなく、私達が思う存分動ける様に部隊を動かして欲しい、という思惑からであった。

 

「魔物群、有効射程まであと30秒!!」

「各部隊配置を急げ!! 魔女殿と彩芽殿は民間人の配備完了までの時間稼ぎを頼みたい」

「分かった、です」

「あ、待って。彩ちにはこれ!」

 

 姫星が彼女に渡したのは重機関銃であった。魔法で投影されているので本物よりは軽いが、それでも到底少女が操れる代物ではない。

 だが、魔力で身体を強化した彩芽はそれを軽々と持ち上げた。当の本人は泣きべそをかいているが。

 

「ひ、ひええ……」

「保式機関砲。口径は6.5(ミリ)、有効射程は2000(メートル)だ。拳銃だけでは心もとないと思ってな。弾薬は尽きない様になっている、思う存分放つといい」

「は、はいい……」

 

 乃木の言葉にぷるぷると震える彩芽を横目に私は箒を取り出し跨る。

 

「彩芽、箒大丈夫、ですか?」

「ほ、箒……だ、大丈夫だと思いますっ!」

「それは良かった。なら乗る、ですよ。あ、後ろ向きの方が扱いやすいと思う、です」

 

 彼女が後ろ向きに跨り、箒の穂に機関砲をセットする。ここまですると最早小型のガンシップの様だ。

 箒に魔力を通し、ふわりと浮かび上がる。少し空に行き周囲を見渡すとこちらに向かってくる砂埃が見えた。また空棲魔物もどうやら狙っている様でちらほらと空に向かって銃が放たれている。また、先んじて配備を完了させていた自衛隊が魔物に対して発砲を開始していた。

 

 そして、私も。

 杖を取り出し、砂埃に向けて呟く。

 

「"パルスフェーザー" "三十連装"」

 

 

 

──後の世に名高い"皇居攻防戦"の始まりである。




いよいよ明日が関西コミティア本番ですよ!
むっちゃドキドキしてきた…。
オタクの皆さん、今日くらいは勉強は休んで明日に備えますよね?


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1/19にてインテックス大阪で行われる関西コミティアにて本作の一章部分を再構成し本にした物を出します。
サークル名は『近畿大学漫画研究会Nuclear!』でスペースはC-36です。
表紙はこれです。よろしくお願いします。

【挿絵表示】


5…10秒で終わるので高評価お気に入り登録よろしくお願いします。

本のタイトルどっちがいい?

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