メビウスの輪から抜け出したくて   作:くまたいよう

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 今回はシリアス寄り?


望みしもの

 宇宙世紀side。

 

「捜索部隊・・・・ですか?」

 

 グラナダに集まった旧エゥーゴの関係者や戦時中に投降した連邦にティターンズ兵士達を中心に再編した部隊、その中でも屈指の軍歴を持つ者が今回の任務に対して感想を述べていた。

 

『カムナ・タチバナ』

 

 軍においては名家であるタチバナ家の出身でありながら現場での戦いに志願して1年戦争途中から、MS部隊を率いて後にグリプス戦役では配属されたティターンズにおいて活躍していた男。

 

『鉄の貴公子』

 

 そんな大層な異名で唄われた程だったが、ダカールやグリプス2の試射による民間コロニー破壊により疑念を抱いて投降した男である。

 

 投降後にエゥーゴにおいては、初期にアーガマに投降したエマ・シーン寄りな人格者とされていたが、異名と裏腹にブルドッグのような執念深さでジオンを始めとした反連邦組織を次々と取り締まっていた手腕で一目置かれた存在である為、エマのように転身を薦めるに躊躇われた存在、今回持ち掛けられたのは口にした事への誘いだった。

 

「うむ、知っての通り?クワトロ大尉にカミーユ・ビダンが戦後にMIAとなっていてな、そのままにするには『危険』と判断したのだ。そこで捜索部隊として、少しでも腕のある人間が必要でな」

 

『危険』

 

 外見以上に、いかにも小役人な言動で自分達に厄介な目を向ける男『メッチャー・ムチャ』が口を滑らせた事に気付いた。

 

 エゥーゴは所詮は寄り合い所帯であり、利害が一致していたから戦っていた組織。

 

『企業の私兵』

 

『ザビ家同様に宇宙か月に属する者達が戦争により地球圏を手に入れるのが目的』

 

 自分達は、ジャブローの件で聞かされていた事を信じていた側だが、決して根も蓋もない言い分ではない。アーガマ隊関連やカラバの主軸を成す精鋭達か、それに目が眩む者達には縁が無い話ではある。

 

「で、引き受けたワケだけど?」

 

「良いんですか、隊長?」

 

 カムナに向き合っているのはエレン・ロシュフィとシャーリー・ラムゼイ、1年戦争から彼の下で戦っている二人、赤毛の美女と美少女と言った外見だが、パッと見た通りな性格の落差が噂になっている。

 

「気になる事があってな」

 

「パミルさんですか?」

 

『パミル・マクダミル』

 

 カムナは頷いた。サイド2の件でティターンズに帰らない事を決めた際に袂をわかって・・・・いや、自分達から離反したと言うべきく?パミルからぶつけられたコンプレックスの爆発・・・・いや違う・・・・自分達も他人事ではない、彼のセリフをひがみや的外れというのは簡単だが、それに気付いてやれなかった自分を恥じる人格な隊長には噛み合わない。

 

「聞いた話だが、カミーユ・ビダン・・・・ゼータに乗ってた少年が敵の強化人間を説得して救えたのだ・・・・俺も、足掻いてみたくなった」

 

 ピクっとなった。あのダカールでゼータと戦わずに撤退した事が宇宙に上がってからタチバナ隊が冷遇された理由でもあるのだから、尤も戦ったところで?『あのジェリド・メサ』みたいになる恐れがあった。せめて、あの時に・・・・パミルや皆と話し合うべきだったとしているカムナの心情と『私的な事』を二人は察していたので、調子を合わす事にした。

 

「ま、たまたま周りが協力したからでも子供が自分なりにやった事なんだから?私達が簡単に諦らめたらバツが悪いからね」

 

「・・・・」

 

 シャーリーはエレンより複雑だが理解はしていた。コロニー落としで死んだ両親の復讐で脱出するジオン兵達まで見境無く撃とうとした際に自分を止めてくれた隊長・・・・だが、その時に見逃した男にデラーズ紛争時にしてやられたせいでエレンは日常生活が時々ぎこちなくなる負傷を負った。ここで善意で動くのが正しいのか否か?

 

「私もやります!」

 

 キッパリ言いきる辺り、自分よりストレートになれるエレンらしいと嘆息するが、それが正しい・・・・そう、自分達はテロやマキャベリズムを許容してはならない、まだ生き恥を晒してでも戦う理由はある。

 

 

 その頃?

 

 

「な、何だよこの計画?」

 

 ティターンズ敗残兵が集まる部隊に身を寄せたパミル・マクダミルは自分に宛てられた任務内容に泣きたくなっていた。簡単に言うと?

 

『カミーユ・ビダンの母親を誘拐してこい』

 

 カミーユの母であるヒルダはティターンズで戦艦やMSの装甲関連を担当する技術者・・・・あのドゴス・ギアの建造にすら関わっていただけあり、戦後に敗残兵達が狙う人材としてならわかるが?

 

『人質にする人間を拐ってこい』

 

 これでは、自分は何の為にティターンズにしがみついたのか・・・・あの時、せめてあの時。

 

「・・・・俺、俺は・・・・」

 

 何処かでわかっていた。慕っていたのは間違い無いカムナを裏切ってまでこうしたのにと、パミルは自分が泣いているのもわからずに呻くのみだった。

 

 

 

 その一方?

 

 

 

「こ、これで・・・・」

 

 密かに解析したデータでノイエ・ジールIIのコックピットが開くが、そこでフランクリンが目にしたのは?

 

「親父?何だよ・・・・?」

 

「カ、カミーユ?何で・・・・?」

 

「調整に熱中してて、コックピット内で一休みしてたら、そのまま寝ちゃったんだ・・・・」

 

「そ、それは・・・・ご苦労だな・・・・ハハハ」

 

 寝惚けてる振りをしているが、カミーユはわかっていた。父がこの機体を持ち逃げする気で来たのだと・・・・偶然、ギュネイが偵察用の試作機のテストで持ち帰ったものに入っていた父との再会が悪い方に傾く予感はしてたのだ。スミレ達がカミーユの言い分を否定していたが?彼の言葉が正しいとする空気が徐々に強くなっていた矢先の出来事・・・・本来、関係者しか来れない区域に入った時点でフランクリンの運命は決した。

 

 

 

 フルカラーside。

 

 

♪♪~~♪♪

 

「良い歌・・・・だな」

 

「うふふ、顔に出てますよクワトロさん?『歌うのを望んでいない歌とわかってますね』」

 

「・・・・」

 

 私は、この世界のララァから会うのを薦められた少女と会い、歌を聞いた。

 

『ラクス・クライン』

 

 この世界での一勢力の主要人物の娘であり、最近に音楽性の不一致を理由に婚約者と定められた者とお互い同意で話を白紙にしたらしい。

 

「クワトロさん?私の歌が誰かに聞かせたい歌とは違うとわかっているようですけど、わかりやすい例を知っておられるのですか?」

 

 そう・・・・私にはわかった。ミネバが私に聞かせてくれたヴァイオリン、アレは私を気遣ってくれたミネバが自分のヴァイオリンで私を励ましてあげたいという想いを込めて弾いてくれたものだ。音楽とは・・・・ああであるべきものだ。聞かせてあげたい、聞いて欲しい心で奏でるもの・・・・技術は、その心を形にする為にある。

 

「では、これで・・・・いつか私が自分でわかって、形に出来たら、皆様に聞いて頂きたいですわ・・・・私が歌いたかった歌を」

 

 何故だろうな、私には眩しく見えた。望んだ歌を歌える事・・・・NTがNTとして生まれてこれる世界を望んでいた私に見えてないものが何なのだと考えてしまった・・・・ミネバは元気で過ごしているのだろうか。

 

 クワトロの懸念は当たる・・・・残された者達の新たな戦いの時が迫っていた。




 クライマックスUCキャラについては、漫画版基準。
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