宇宙世紀0088年4月。
グリプス戦役と呼ばれた戦争は終結し、2ヶ月が経っていた。
アクシズのグラナダ落下阻止。
その後のグリプス2付近の総力戦により、各勢力の指導者達は戦死か行方不明と発表された。
カミーユ・ビダンのゼータガンダムにより撃破されたパプティマス・シロッコは経緯はさておき戦死したと断定されたが、シャア・アズナブルにハマーン・カーンは未確認であった。二名の乗機が未確認である為にアクシズ付近での戦闘中にコロニー・レーザーに巻き込まれた可能性がある程度の憶測しかないのだ。
地球圏はつかの間の平穏を取り戻し、このまま平和への道が・・・・開けるハズは無かった。
ティターンズにより一時牛耳られた地球連邦は証拠隠滅を兼ねて徹底したティターンズ残党の処罰を開始。
開戦の景気となった30バンチ事件だけでもそうだが、戦時中に行った非道により投降したか生き延びたかのティターンズ兵は裁判待ちが大半である。
一方で勝者となったエゥーゴにおいてもシャア・アズナブルを担ぎ出した代償が大きかったのだ。
エゥーゴ内においては旧ジオン公国軍の流れ者から生粋の連邦兵の対立が広まっていた。
ダカールにおいてシャアが行った演説内容はエゥーゴの理念ではなく『ジオン・ダイクン』の理念であったが為に、ブレックスを始めとして、それを地球圏の人々に正しく広める事を目的の一つにしていたアーガマやカラバの主要メンバーかそれに賛同する者達以外とのズレもあるのだ。
「これではシャアが生還しても難しいか」
「だろうな、暫くはティターンズの残党狩りが精々だ」
アムロ・レイとハヤト・コバヤシは愚痴り合っていた。現状は決して明るくはない、戦後処理に関して、当初のエゥーゴの理想からは遠い結果だ。捕虜にしたティターンズ兵の慟哭が頭から離れない・・・・元々、ティターンズには非道に耐え兼ねてアーガマに投降した後にエゥーゴに転向したエマ・シーンのように、元々は真っ当な連邦軍人であり上からの指令でティターンズに配属された経緯の人々も多いので、エマのように途中で転校したりしないまま終戦迎えたような者を目の当たりにする覚悟はしていた。
・・・・しかし、ティターンズへの配属を断って、成り行きでエゥーゴに参加した形にもなるブライトに比較されて意気消沈しているか激昂するかな者達だけでも対処が難しい。
途中、たまらずに話題を変えたが、それも辛い方向だ。
「セイラさんには辛い事になったな」
「いや・・・・カツの事も」
「気にするな、命があっただけマシだ」
そう、カツ・コバヤシは宇宙に上がってからパイロットにはなれたが、最終決戦で重症を負った。内臓が損傷だらけでリハビリに一生を費やすかもしれない・・・・だが、生きているだけマシだろう。シャアみたいにMIAと言うワケではない。
(シャア・・・・セイラさんにまた会ってやらなければ駄目だろ?・・・・お前こそ、俺を失望させるな?)
・・・・・・・・。
『う、嘘だっ!違う!これは僕の弱い心が生んだ幻だ!前の女を取り敢えず助けようとはしたり?自分は悪くない、不味い事を秘密にしてると言ってもらえて喜んでしまった僕の都合良い事を望む最低な幻だ!だから、ええい、放せ放せ!幻め!こんな最低な僕だから・・・・『正義』の象徴・・・・『赤いロボット』に乗れないんだ!いつまでも『自由』を悪い意味で体現するようなのにしか乗れないんだ!それを度々承知の上で!それでも、今すがらせてもらってる女の子と、上手くいったらいいなあ!』
・・・・・・・・。
「・・・・」
「おい、どうしたクワトロ?『赤いロボット』好きそうなお前にはお奨めだと思っていたのだが?」
「大佐の命が吸われてるわね」
「私は大尉です・・・・しかし、何だこの番組?」
シャアとララァの気遣いが痛い・・・・赤が正義な世界観はまだ良い・・・・しかし?女性絡みは下手に自分の後ろめたい部分に直撃より痛い、これ以外にも私に対する当て付けなんだと思ってしまう要素がこの世界に来てから多すぎる。中には、私達に例えたら?いや・・・・そんな事を思うのは七年振りに会ったばかりの頃のアムロのハズ、それでもと言わざるを得ない・・・・そう言えば?中には?
私達に例えてみると?
・・・・『私が参加していないMk-II奪取から始まった戦争』を戦い抜いたが、戦後に廃人となってしまったカミーユ』
それが復帰後にフォウとロザミィのどちらかを助けるか?選ばれない方は死亡の選択を強いられるような展開のもあった。
「何やら・・・・かなり前から戦争としての部分よりロボットのカラフルさだったりドロドロした人間関係描くの優先したりなロボットものが多くてな、即席アニメみたいのも作れる時代なせいかこういうのが多いのだ」
正直、戦場でラブ・ロマンスとは坊やらしいよとガルマを笑っていた頃が懐かしい・・・・MSの性能差が戦力の決定的差でないと教えてやるを始め大言壮語が後になって・・・・認めたくないものだな・・・・自分自身の若さ故の過ちというものを。
「しかし、実戦とはドラマのように格好良いものではない、そんなのを主軸には出来んハズだろう」
「ダークが付いたりするが娯楽と言うものだ。そもそも我々みたいに、MSとして生まれたハズが、ちゃらんぽらんな日々を過ごしてるような連中なら友軍の戦闘をフルーツ牛乳飲んだりブロッコリーよりカリフラワーが好きとか語りながらテレビ中継で彼女と一瞬に観てたりしてもわかるが、真面目な世界でそんなのやってるのがバレたら修正どころではなかろう」
多少違うが、本筋が変わらんから何度目かわからん針の筵とやらだな、思えば私は欲求不満の捌け口を求めていただけなのかもしれん・・・・観た番組を参考にした場合は、サイコガンダムのジェネレーターを破壊して行動不能にし、フォウを助け出したカミーユが?サイコミュシステムを破壊したらパイロットへの負荷が心配だが?自由飛行不可能な機体で簡単に拡散ビームを掻い潜って懐に飛び込んで体当たりや接触回線を何度もやれるくらいなら其方が楽だろうと言える形が創作ものでは都合上不可能・・・・やれるだろうにやれない理由は何なのだ?と問いたい。
「何を考えているかは知らんが、私のナギナタが?あの形、黄色くしたらバナナとか下の方はメロンとか考えてたとこを?私にしばかれて鼻血出してたガンダムみたいにならないようにしろよ?」
尤も過ぎる・・・・私がアムロに成す術が無くなった頃に乗ってた私専用カラーにしたゲルググの姿になっているシャアに言われると、グワダンの時以上な無様さだ。一番戦場を甘くみていたのは私なのかもしれん・・・・他に食べる方法を知らないから軍人をやっていると言ってしまった時すら眩しく思えて来たな・・・・。
・・・・・・・・。
休憩室で俺はシミュレーションをやっていた相手に何か同情された目を向けられた。何故か逃げてたシャトルに乗ってた親父を保護したんだけど、真性なメカフェチそのものとやらな言動で事情説明よりノイエ・ジールIIを見せてくれとか言ってくる親父にスミレさん達も辟易しているからな。
「なあ、元気出せよカミーユ?」
「ああ、悪いな『ギュネイ』」
向かいの席で俺と同じようにドリンクを飲んでるのはギュネイ・ガス・・・・まだ13歳くらいだけど、強化人間候補だったらしい・・・・志願したらしいけど、ナナイさんがアクシズにいた頃やフォウみたいに元々普通にNTの素質を確認されたのに強化人間にされた例があるから普通に見習いとかから始めた奴らしい、最初突っ掛かられたりしたけど、シミュレーションをやりまくったりフォウの事を話したりして多少マシな関係になった時に親父が来たお陰でこうなった。
「俺さ、強化人間に志願したのは・・・・まあ、クワトロ大尉として戦ったシャア大佐と戦時中一緒にいたお前の前で言うのはアレだけど、連邦が悪い意味でイメージするシャアみたいの止める為にって、動機だったんだ。けど、フォウやお前の・・・・親父、見てたら・・・・」
「ああ、それは正しいよ・・・・」
俺もそう思ってるんだよ・・・・そもそも親父みたいなのが自分の興味対象が『強化人間』みたいなのの見本が多いから・・・・それに、周りは俺が親父と話そうとしないのを何となく察しているけど・・・・怪しまれないだけマシだ。そもそも俺はわかってるんだ・・・・『母さんの事を聞いたらどうなるか』・・・・。
生き残ったりしてるの割と多い。