始まりは暗黒...
次に光が差し込んだ。
そして赤子が生まれるかのごとく、叫び声と共に始まりを迎えるのだった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「ここは... どこだぁ?」
崩壊した都市の中で目付きの悪い少年[爆豪勝己]が言う。
「神野区?いや、ここまで酷くねぇ。」
彼は何故このような場所にいるのか分からず、今までの事を思い返してみた。
ヒーローの仮免をとるために個性の練習をしたところまで覚えていた。
爆豪は次に自分の格好を見る。手榴弾のようなものが腕に付いてる。彼のヒーローコスチュームだ。
(ヴィランの攻撃か?いや、こんな簡単に雄英のセキュリティを突破できるワケがねぇ。)
爆豪は思考を回転させるが、ハッキリとした答えは出てこない。
その場に留まっても仕方がないので、彼は歩くことにした。
見渡す限り廃墟、廃墟、廃墟。
こんな町見たことがない。
「あれ?お前死んだんじゃなかったの?」
突然後ろから声をかけられ、爆豪は振り返る。
「クソ髪...?」
そこには彼のクラスメート[切島鋭児郎]がいた。
「てめぇ!勝手に殺すんじゃねぇ!」
「ああ、わりぃわりぃ。てっきり死んだと思ってたよ。お前が生きてることを知ったらオールマイトが喜ぶぞ。」
(俺が死んだことになってる?どういうことだぁ。)
「にしても爆豪、お前髪染めたのか?」
「地毛だ!」
「お前そんな性格だったか?」
爆豪は訳が分からなかったが、取り敢えず切島についていくことにした。
自分が死人扱いだったことに驚きと怒りが湧いてくる。
そんな2人を背後から見ている人物がいたが、2人はその人物に気づくことはない。その人物はどこかへ去っていった。
その時、上空からすごい筋肉の人物がやってきた。
「HAHAHAHAHAHAHA!!私が来た!!」
「オールマイト!?」
爆豪がその名を呼ぶ。彼はNO.1ヒーローの[オールマイト]だ!
「爆豪少年!生きていたのか!」
「俺が簡単にくたばるかよ!」
「いやぁ、私の本気のパンチを受けて生きているとはさすがだな、爆豪少年!」
オールマイトの発言に驚く爆豪。
(オールマイトが俺を殴ったのか!?信じられねぇ... いや、それよりも――)
「オールマイト、怪我はどうしたんだよ!?」
「怪我?何のことだ?」
「・・・・・・・」
(オールマイトは俺のせいで引退しちまったはず... 駄目だ、わからねぇ。)
「まあいい、この再開を祝おうではないか。雄英高校に戻るぞ!」
爆豪は混乱していた。気がついたら崩壊している町にいて、知り合いにあったら死んだと言われていて、その原因が憧れのオールマイトだと言われたのだ。
平常心でいる方が難しい。
しばらくすると雄英高校についた。門から敷地内に入ると、爆豪は信じられない光景を見た。
―――ヴィラン達の死体が校庭内に飾られていた。
「な、なんだよこれ...」
「美しいだろう?校庭を飾り付けるにはピッタリの屍だろう?士気を高めるためさ。ヴィランの力も、強大なヒーローの権力の前では無意味だということを示しているのさ。HAHAHA!」
オールマイトと切島が笑う。
(ホルマリン漬けか。一体全体どうなってやがる?)
「ムーンフィッシュ、レディ・ナガン、マグネ。反逆者達の絶望した顔は素晴らしいだろう?」
「お、おう...」
(取り敢えず話を合わせておくか。)
そして爆豪はオールマイトに案内され、
「教室じゃねぇのか?」
「君に見せたい
―――処刑場さ!」
「処刑場...?」
入り口からUSJの中に入ったが、そこは自分が知る光景とは全然違った。
広間には大きな穴があり、底にはブラックホールがある。穴の上には板橋があり、その上に学ランを来た子供拘束されていた。
爆豪のクラスメイトも何人かいたが、何か違和感があった。
「マスタード、君は破壊行為、窃盗、スパイ行為、サボタージュ、反政府組織への加入、秩序破壊の罪で刑に処されるけど、弁明ある?」
「ふざけるな!その口を閉じろ!」
クラスメイト[緑谷出久]が書類を読み上げ、学ランの少年が声をあげる。
その光景には爆豪も声をあげる。
「おいっ!どういうことだ!?」
「どういうこと...? ああ、忘れていたよ爆豪少年。君は処刑担当だったな!今は緑谷少年がやっていたから忘れていたよ。13号のブラックホールで消される奴らの悲鳴を君は覚えているかい?」
「俺が処刑担当...?」
「さあ、その手で奴らを殺す名誉を君に与えよう。これをもって再開の祝いとしよう!!」
しかし爆豪は動かない。
「爆豪少年、どうしたんだい?」
「・・・・俺は殺さねぇ。」
「爆豪少年。君が言いたいことがわからないな。まあいい、これからマスタードの処刑が始まるんだ。高みの見物で楽しもうじゃぁないか。」
オールマイトのセリフに爆豪は黙っていられない。
「楽しむだとぉ!?訳もなくそいつを殺すことはねぇ!奴はヴィランかもしれねぇが、囚人として豚箱にぶっこめばいい!!」
爆豪は思いっきり反論した。
「ああ、愚かな。」
オールマイトがそう言った瞬間。クラスメートの1人[麗日お茶子]がナイフで爆豪の背中を刺し、頭を思いっきり殴った。
「なっ!!??」
爆豪はその場に倒れる。
「「「「「「HAHAHAHAHAHAHAHA」」」」」」
爆豪とマスタードを除く全員が笑っていた。
爆豪は意識が薄れていく中、周りの声が聞こえる。
「爆豪少年、君には生きていてほしかったよ。私の頼れる生徒だったのに。君はヒーローの存在意義を忘れてしまったようだ。飯田少年。」
「呼んだ?」
「爆豪少年を商店街のゴミ捨て場に捨ててきてくれ。時期にくたばるさ。」
「あいよー。」
「かっちゃんを捨てるの?まだいじめたかったんだけどなぁ。」
「
「死亡扱いにしていた時に何かあったのだろう。臆病だったのが乱暴な口調に変化している。しかし処刑を反対するのには驚いたな。」
「捨ててくるー。」
「
「マスタードは僕が処刑する。」
クラスメイトの残酷な声が聞こえてくる中、爆豪は意識を失った...
商店街のゴミ捨て場。
爆豪は飯田によって捨てられていた。ゴミ捨て場にはゴミの他に死体がいくつも放置されている。
ゴミ捨て場というより死体置き場といったほうが良いだろう。
そこにスラリとした人物が現れ、ゴミ捨て場のガラクタを漁っていた。そして彼は、意識を失って身体から血が出ている爆豪を見つけた。
「ん?彼は雄英の生徒?たしか名前は爆豪勝己だったはず。オールマイトのお気に入りの彼がどうしてここに...」
彼は爆豪を担ぎ、ワープ能力を使ってこの場を去った。
「んん?一体何が――」
爆豪は目を覚まし、知らない天井が視界に入る。
傷は治療されており、身体には包帯が巻かれていた。
「目が覚めたようだな?」
突然、声をかけられて振り向くと、そこには敵対しているヴィランの1人[黒霧]がいた。
「てめぇ!どきやがれ!」
「うわっ!」
爆豪は黒霧を押しのけると、部屋の出口に向かって走り出す。
「俺をまた捕まえたって意味ねぇえぞ!! ――だぁっ!!」
しかし爆豪は誰かとぶつかり、尻もちをついてしまう。
爆豪は顔をあげると、2人の人物がいた。
「おっとすまない。大丈夫か?」
「いや、ダイジョーブじゃねーだろ。」
1人は[死柄木弔]。敵対人物だ。もう1人はクラスメイトの[耳郎響香]だ。なぜか右腕が機械になっている。
「てめぇは... 耳女!なんでヴィランなんかと一緒に行動してんだ!!」
「心配するな。僕たちは君を助けようとしただけだ。耳郎は僕が連れてきた。彼女が君たちと袂を分かったからな。」
「はぁ?何言ってんだてめぇ。」
会話が通じないようだ。
「・・・・・だいぶ混乱してるみたいだな。オーバーホールに診てもらった方が良いかもしれない。」
「2人きりで話をしてもいいか?」
耳郎が言う。
「わかった。黒霧、行くぞ。」
「了解。」
死柄木と黒霧は部屋を出て、扉を閉める。残った爆豪と耳郎は会話を始めるのであった。
「で?話っつーのは?」
「あんたは私の知ってる爆豪とは別人みたいだけど、色と性格を除いたら瓜二つ。まるで幽霊を見てる気分だ。」
「耳女、いや、俺が知ってる奴とは別人かもしれねぇが、要件をさっさといいやがれ。」
「あんたが知ってるヒーローの特徴を言って。」
「・・・そりゃ、個性を無断で使用するヴィランを捕まえる職業だろうが。」
「人を殺すか?」
「いや、殺さねぇな。」
「・・・今度は私が知ってるヒーローを言おう。個性社会で力を持った一般市民の反乱を恐れた政治家達が作った職業だ。普段から残虐な行為をしていれば政府に反発出来ないって思ったんだろうな。恐怖による支配。逆らったらヒーローが殺しにくる。一番強いオールマイトは皮肉も含めてこう呼ばれた。[平和の象徴]ってね。」
「なっ...」
「そして残虐なヒーローや社会に対抗する人達が現れた。不自由な生活、いつ死ぬかわからない恐怖、自由と安全を求めた者は[ヴィラン]となって反乱を犯した。あんたと私の話は食い違ってる。」
「確かにな。さっきのデク達の行動を見れば嘘とも思えねぇ。 」
「あんたの頭も正常。洗脳された様子はない。」
「――まさかっ!」
「そう、
「それだけじゃねぇ。善と悪が反転してやがる。ここは俺がいた世界じゃねぇ。」
爆豪は頭が良かった。それにより、自分が別の世界にいるということを理解した。
しかも、善と悪が反転しているという恐ろしい事実も。
「つーことは、この世界ではオールマイトは死柄木より狂ってんのかよ。」
「そっちの世界の死柄木は狂ってんの?こっちではめっちゃいい奴だけど。」
「次元移動なんて俺たちの世界にはなかったはずだ。」
「でも善と悪の戦いなんてどこも同じ。立ち場が違うだけ。」
自分の境遇を理解した爆豪。
だが、疑問に思ったことがあった。
「・・・・・・・・ちょっと待てよ。なんでてめぇはヴィラン側にいる?ヒーロー側のスパイか?」
「裏切ったんだよ。ヒーローを。」
「裏切り者かよ。」
「ああ。元々は人を殺す快感が楽しくて雄英に入ったんだけど... 爆豪、こっちの世界の爆豪と上鳴と瀬呂が命令違反でオールマイトに殺されたんだよ。敵を殺す目的のヒーローが同士まで殺す残虐性に怒りを感じてね。」
「だから俺が死人扱いだったのかよ。」
「ああ。だからあんたが生きてるって聞いてビックリしちゃったよ。」
「その腕は?」
「裏切るときに芦戸に攻撃されて溶けちゃった。」
「そうか... てかお前快楽殺人鬼だったのかよ。」
「そーだよ。殺した相手の
そう言って耳郎は腰に付いてる
「あんたのことは死柄木に私から報告しとく。落ち着くまでここにいな。」
「ああ。」
普段からキレ散らかしている爆豪だが、今回は冷静だった。
耳郎は部屋から去っていった。
「なんで俺はこの世界に来たんだ?」
彼の疑問に答える者はいなかった...