ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
今回コラボさせて頂いたのは『田舎狩人』様の執筆する『どうしてこうなった!?よう実!!』作品になります。
・どうしてこうなった!?よう実!!
(https://syosetu.org/novel/321678/)
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。それではどうぞ!
コラボ企画 愛の共演
―――とある休日。
俺と愛里は部屋で一緒に昼御飯を食べた後、寄り添ってのんびりしていると愛里が肩に寄り掛かって眠っていた。その寝顔を見ていると自分も眠気に誘われ―――
―――気付けば、教室の机で1人座っていた。
「これ、夢だよな?……明晰夢って初めてだな」
席に座ったまま辺りを見回すが、特に変わりないいつもの教室であることが分かる。夢だというのにいつもの教室というのは少し味気ない気もするが、見慣れた景色というのはやはり安心する。
「……取り敢えず外に出てみるか」
席から立って扉を開けて教室から出ると廊下の先に愛里の後ろ姿を確認した。
「愛里!」
名前を呼び愛里の下に走り寄ると、愛里も振り向いてこちらを―――
(―――愛、里……?)
振り向いて俺を見る愛里が、何故か愛里ではない気がして言葉が出せない。そんな俺を見て愛里は首を傾げ―――
「えっと、すみません。誰ですか?」
◆
(……どうしてこうなった?)
目の前の出来事に俺―――黒凪絢都は高校生になってからもう何度言ったか分からない程に口癖となっている言葉を内心呟いていた。
(今日は愛里とお部屋デートしてて、俺が眠たげにしてたら愛里が膝枕を提案してくれたからお言葉に甘えて膝枕を堪能しながら眠りに落ちて……)
そうして目が覚めると、いつもの教室の席に座っていた。
―――教壇に神父姿の平田というおまけ付きで。
「目が覚めたようだね、黒凪君」
「平田、その衣装は何なんだ?」
「この世界で僕の愛の在り方を表現するのに、この衣装が最適と判断されたみたいだね」
「この世界って、多分だけど俺の夢……で合ってるよな?」
平田の言葉に俺は自分の予想を口にする。直前の記憶が愛里の膝枕で寝る寸前だったから妥当な線だと思う。平田が神父姿というのも、常日頃から愛を口にしているからそこから繋がったのだと考えると納得がいく。
「黒凪君の予想は半分正解、半分間違いかな」
「…?どういうことだ?」
「正確に言うなら此処は黒凪君の愛の世界でもある、が正しいんだ。この世界は4人の愛によって成り立っているからね」
「愛の世界って言い換えはこの際置いとくよ。ということは、この世界は俺と他の3人の夢と合体してるってことか?」
「うん、その認識であっているよ。因みに僕は監督役だからその4人には含まれていないんだ」
俺の言葉に平田が肯定するのを見て、そういう俺の夢の設定なのかと取り敢えず納得した。
「なるほど。それで、俺以外の3人は誰なんだ?」
「それは僕から教えられない。でも、黒凪君の愛ならきっと大丈夫だ」
「うん、いつも通りの平田で安心したよ」
「今回僕は黒凪君に教わった語らない愛を実行するつもりでね。手助け出来ないのは心苦しく思うけれど、これもまた愛だと感じているよ。それじゃあ頑張ってね、黒凪君」
「うぉっ、眩しっ!?」
言葉が終わると共に平田から光が放たれ思わず目を瞑る。そうして暫くして目を開くが、そこに平田の姿はなかった。
「……取り敢えず、他の人を探してみるか」
方針を決めて廊下出ると、幸先よく廊下の先を歩いている愛里の姿を見つけた。
「おーい、愛里!」
愛里に声を掛けつつ近付くと、声に気付いた愛里もこちらに振り返った。
(―――あれ?)
ふと、そこで俺は違和感を覚える。何かいつもの愛里ではないような、そもそも別人のような奇妙な感覚。
「えっと……その、誰でしょうか?」
◆
「えっと、つまり……君は俺の知ってる愛里じゃないってこと?」
夢の中で愛里を見つけたと思い声を掛けたのだが、まさかの知らない宣言で少し呆然と立ち尽くしてしまった俺に愛里が話しかけてくれたことで再起動し、情報交換を行った所だ。
「そうだと思う。私の幼馴染で恋人は絢都だけ。これだけは何があっても揺るがない」
そう宣言する愛里の眼差しはとても力強いもので、芯の強い部分も完全に愛里だなと感心してしまう。
「そっか。じゃあ愛里って呼ぶのも彼氏に悪いし、取り敢えず名字の呼び捨てでいいかな?」
「うん、それで大丈夫だよ。私は虎城くんって呼ぶね」
そうして俺と佐倉は取り敢えず学校内の探索を始めようとした時―――蒼い蝶が目の前を横切った。
「蒼い蝶?」
「綺麗……」
蝶はそのまま廊下の曲がり角まで飛んでいくと、その場に留まるように浮遊しだす。
「……これはよくあるあれか、付いてこいって奴かな?」
俺が蝶に近付くと、蝶は少し先に飛んでいき数メートル離れた辺りで再びその場に浮遊しだす。明らかに俺達を案内するための動きに思える動きに、俺と佐倉はついて行ってみることにした。
「何処に案内してくれるのかな?」
佐倉と一緒に蝶を追いかけること数分。階段を下り中間にある踊り場に降り立った時、下の階から同じ色の蝶がこちらに向かって飛んできていた。その後ろに見えた2人の人物のうちの1人は―――
「「愛里っ!」」
俺ともう一人の男の声が、見事に重なった。
◆
「ほ、本当に私だ……」
「全然嫌じゃないけど、少し変な感じだね」
愛里と佐倉が困惑しつつも興味深そうにお互いを見ている最中、俺はもう一人の人物―――黒凪絢都と共に現状把握に努めていた。
「それにしても、ここまで俺と同じ境遇の人がいることに驚きだよ」
「確かに。『よう実』世界に転生、愛里と幼馴染で恋人って所まで全部一緒って凄い確率だと思うわ」
黒凪の言葉を肯定するように俺は頷く。このトンデモ状況が故に俺達は確認するように質問し、お互いが転生者であることを把握したのだがまさかここまで状況が同じだとは思わなかった。
「ただ、こっちは確かに『よう実』世界なんだけど所謂パラレルワールドって奴でな―――ギャグ時空なんだ」
「ん?ギャグ時空って、よう実でギャグって想像出来ないんだけど……」
「先ず、入学式の朝に校門で漫才みたいなやり取りをする綾小路とその父親に邂逅した」
「――はい?」
黒凪は懐かしい過去を思い出すように口にするのだが、この時点で俺はかなり困惑していた。
「Dクラスの面子も凄くてな。愛の宣教師である平田、アマゾネスクイーン軽井沢、女の子に首輪を着けるのが趣味の櫛田。この3人の名前が最初に上がるな」
「あ、愛の宣教師?アマゾネスクイーンに、首輪趣味……?」
「他のクラスだと苦労王龍園に本吸いの椎名、英語喋れないアルベルト。メイド一之瀬にそのご主人の神崎。みんなの妹である坂柳と―――」
「―――」
―――俺は暫くの間、宇宙猫状態になった。
◆
「虎城の方の『よう実』世界は普通なんだよな?」
暫くして脳の再起動が完了した所で、今度は黒凪が俺に質問をしてくる。
「あぁ。まぁ俺と愛里は初期Cクラス――龍園クラスからスタートだったけどね」
「初期Dクラスじゃないのか。でも龍園クラスって大変じゃないか?」
「最初は確かに苦労したけど、今は逆に龍園クラス以外考えられない位だな。ほら、一之瀬クラス以外だと色々と、な?」
「あぁ、なるほど。確かに俺の世界では気にならなかったけど、確かにそうだよな」
俺の言葉に黒凪は原作でのAクラスやDクラスの惨状を思い出したようで、納得しつつ苦笑いを浮かべて言葉を返す。
「あ、絢都っ!」
そうして黒凪と会話している途中、顔を真っ赤にした佐倉が黒凪の名前を割と大きな声で呼びつつ顔を近付けた。
「ど、どうした?愛里?」
「わ、私のを、その……も、もらってほしいっ!!」
佐倉の言葉に黒凪は何が言いたいのか分かっていないようで首を傾げる。俺も聞いた瞬間は分からなかったが、佐倉の後ろで同じように顔を真っ赤にした愛里の姿を見て1つ予想が立った。
「あぁっと、その、黒凪?聞きづらいことではあるんだが……大人の階段まだ登ってない?」
「え?……っ!?」
俺の言葉の真意に黒凪は気付いてくれたようで、一瞬で顔が赤く染まる。どうやら予想通り、黒凪と佐倉はまだ登っていないようだ。
「いやいや、ちょっと待って。え?もしかして虎城ってもう―――」
「既に登ってる。その……愛里と一緒に」
俺と愛里に視線を交互に向ける黒凪の問い掛けに、俺は少し恥ずかしさを覚えつつも回答する。その言葉を受けて黒凪は先程の佐倉の言葉の意味を完全に理解し呆然としているが、目の前に迫る佐倉はそんな黒凪を逃さないとばかりに変わらず見つめていた。
「愛里。その……男らしく俺から誘うので、もう少し待ってもらいたいんだけど、いいかな?」
「……わかった。絢都のこと信じる。だから、絶対だよ?破ったら―――ユルサナイカラ」
最後に佐倉から凄くヤンデレな発言が聞こえたが、これもギャグ補正なんだと無理やり納得することにした。
◆
「やぁ、黒凪くん。どうやら無事自分の愛を見つけ出せたみたいだね」
「平田、急に出てこないでくれ。お陰で虎城がまた宇宙猫状態になりかけだよ」
「……マジでギャグ時空なんだな」
そうして暫くの間、会話を楽しんでいた俺達4人だったが突然目の前に神父服を着た平田洋介が現れたため、再び宇宙猫状態になりそうだったが事前に聞いていたので耐えることが出来た。
「それはごめんね。ただ、この空間の時間が迫っているから許してほしい。正規の方法でないと帰れなくなるからね」
「平田?今さらっと物騒なこと言わなかった?」
黒凪の言葉に笑みを返す平田の後ろに、黒色と黄色の2つの扉が現れる。
「黒色が黒凪くん達、黄色が虎城くん達の扉だよ。間違えないよう気を付けてね」
そう言い残し神父姿の平田は光と共に消えてしまい、俺達4人はお互い目を合わせる。
「……なんだが、あっという間だったな」
「確かに。でも、結構楽しかったよ」
「虎城くんとお幸せにね、
「う、うん。
俺と黒凪はお互い手を差し出し握手をし、佐倉と愛里もお互いの幸せを願い言葉を交わす。
「それじゃあ、もしまた縁があれば」
黒凪の言葉に全員頷き、それぞれの扉を開き―――
◆
「……っ」
重い目蓋を上げて視界を確保する。部屋の時計を確認すると時刻は17時過ぎを指しており、かなり寝入ってしまっていたことが分かる。
「……んっ。ゆう、くん?」
隣で寝ていた愛里も起きたようで、寝起きのせいかぼんやりと此方を見つめるその姿はとても愛らしい。
「ごめん、起こしちゃったか?」
「ううん、大丈夫だよ。楽しい夢が丁度終わって目が覚めたから」
そういう愛里は笑顔を浮かべており、その夢の内容を語る。
「私がもう一人のいて、でもその私は優くんと別の人と恋人で―――」
「……黒凪?」
愛里の言葉に思わず自分が見ていた夢の人物の名前を口にすると、愛里が驚いた様子で俺を見てきた。
「え?優くん、その名前……」
「俺も夢を見てたんだけど、それに出てきたのが黒凪って男とその恋人がもう一人の愛里だったんだ」
そうして俺と愛里は夢の話を共有し、同じ夢を見ていたと確信し話に花を咲かせた。
(転生者の話もしてたから、本当に夢で別世界の人物達と繋がったのかもな)
―――これは、1人の愛の宣教師によってあり得たかもしれない日常の1ページ。
おまけ(黒凪帰還後)
「絢都、まだ?」
「愛里さんや、まだ目覚めて2分なのよ。某目の人でも後1分は待ってくれるのよ」
「なら、その、1分後に……きゃっ」
「流石に日単位で待ってほしいのですが…」
1時間の説得の末、無事先延ばしに成功。
おまけ(虎城帰還から数日後)
(……どうしてこうなった?)
「優くん。ど、どうかな?」
「愛里?それは、あの……首輪、だよね?」
「うん。その、夢の私からのアドバイスで」
「そ、そっか」
「やっぱり変……かな」
「変じゃない。驚きもあるけど、その……可愛いと思う」
「っ!そ、そうなんだ。嬉しい」
お互い暫くの間、恥ずかしさから顔を赤くし無言で寄り添いあった。
読んで頂きありがとうございます。
今回コラボさせて頂いた『田舎狩人』様の『どうしてこうなった!?よう実!!』は自分もいつも楽しく読ませて頂いてます。愛里ヒロインということもあり勝手に親近感が湧いて今回のコラボを打診した次第です。
改めまして、コラボの許可を出して頂いた『田舎狩人』様、ありがとうございます。
仕事が忙しく年内はこれが最後の投稿になると思いますので早めの挨拶を。
読者様方のお気に入り登録に評価や感想、大変嬉しくここまで執筆してこれています。本当にありがとうございます。来年も頑張りますので、応援して頂けると嬉しいです。
では皆様、良いお年を!
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!