ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

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挿絵が、尊い……(感涙
愛里可愛過ぎて暇あれば挿絵ずっと見てます(尊
改めて、挿絵描いて頂いた【塩おにぎり】様、ありがとうございます!!



Episode 14 邂逅:バタフライエフェクト

 

 

 

 

 

 

月明かりが木々の間から薄っすらと辺りを照らす中、俺―――虎城優斗は伊吹の来た方向に向かって声を掛けた。

 

(微かに視線を感じたから、カマ掛けてみたが……)

 

あのストーカーに刺されて以来、再び愛里が狙われないかという不安から、人の気配に気を回したりした結果―――所謂気配感知の真似事が出来るようになっていた。勿論超人的な能力ではなく、視線を感じる等が人より過敏といった程度のものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――だからこそ、ガサリと音を立てて綾小路が草陰から出てきたのには、かなり驚いた。

 

 

 

 

「……綾小路、か。伊吹をつけてきたのか?」

 

驚きを表情に出さないように努力しつつ、綾小路に声を掛ける。

 

「あぁ。トイレに行ったら伊吹が何処かに行くのが見えてな。そしたら虎城と会ってるんだから、驚きだ」

 

無機質な目で俺を見据え、綾小路は答える。綾小路の実力を知ってる身からすれば、白々し過ぎる嘘だと分かるがそれを指摘するのは危険なため、本題に入ることにする。

 

「それで、どうするんだ?俺が残っていることをDクラスに知らせるか?」

 

「……」

 

俺の言葉に即答せずに黙る綾小路に、俺は違和感を覚える。Dクラスの綾小路からしたら、Bクラスの人間()が残っており伊吹と会話している時点で、リーダー当てをしようとしているのは分かっている筈だ。ならば、それを利用して原作のように立ち回るのが理想的だろう。実際は石崎達が仮設本部を見張っているため、堀北のリタイア(リーダー変更)を確認することが出来るがその場合、原作では綾小路自身にリーダーを変更していたが、此処でもそうとは言い切れないため当てることはほぼ不可能となる。視線を感じたからってカマをかけるんじゃ無かったと後悔しだした直後、綾小路の口が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処でのことは誰にも話さない。それとは別で、虎城……オレと取引してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取引、だって?」

 

困惑する虎城を見つめながら、オレ―――綾小路清隆は考えを巡らせていた。

 

(虎城がカマをかけてくれて助かったな(・・・・・・・・・・・・・・)

 

盗み聞くために来た方向から位置を移動していた結果、虎城の視線と声を掛ける方向のズレ(・・)から、先程の言葉がカマ掛けであることには気付いていた。それでも敢えて姿を現したのは、他でもない自分の今後のためである。

 

(今のDクラスはクラスポイントは少なく、他クラスとの交渉もままならない、正に針の筵だ。そんな中で、まともに交渉してくれる可能性があるのは、Cクラスの一之瀬帆波とBクラスの虎城優斗。この2人だけだ)

 

虎城優斗と直接話をしたのは図書室と数日前の偵察の時だけだが、一之瀬から聞いた話も合わせて考えると、件の暴力事件はBクラスを束ねるもう一人―――龍園という男の策である可能性が高く、虎城は善人であると見ていい。一之瀬が相談した前例からDクラスだからと邪険にせず、こちらの話を聞いてくれる可能性は高い。

一之瀬相手に交渉する手もあったが、それではオレの目的が達成出来ないので選択肢から外した。

 

「……内容による、としか言えないな」

 

此方を警戒しながら言葉を紡ぐ虎城を見て、一先ず頭ごなしに否定されなかったことに安堵し―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「今後、オレが手に入れたDクラスの情報を渡す。その代わり、オレを虎城のクラスへ入れて欲しい」

 

 

 

 

 

 

―――綾小路清隆(オレ)自由と勝利(・・・・・)のための最善手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!?」

 

綾小路の言葉に、声が出そうになったのを何とか抑えることに成功したものの、内心は嵐のように荒れ狂っていた。

 

(いやいや、流石にこれは予想外過ぎるっ!)

 

原作における2年生編にて、確かに綾小路はクラス移動する伏線があったが、原作(それ)ではないのは明らかだ。

 

「それは……Dクラスを裏切って、Bクラス(俺達)につくってことで、いいんだな?」

 

「あぁ。ただ、少し事情があって今回の特別試験はDクラスをある程度勝たせないといけない。だから、取引は今回の特別試験以降から適応したいのだが」

 

俺の確認に即答し、この特別試験以降から裏切ると言い切る綾小路。今のDクラスは伊吹も言っていたように最悪で、普通の感性なら別クラスに移動したいと思って当然なのだが、相手が相手だからこそ受け入れることが出来ないでいた。

 

「提案してきたなら知ってると思うが、クラス移動の金額は2000万プライベートポイント。過去この金額を達成した者はいない程高額だ。そもそもそれに見合うだけの働きが出来ると?」

 

「それについては、今後の働きを見てもらう以外方法がないな」

 

綾小路の本来の実力を知っていることがバレないように、慎重に言葉を選んだ俺の問い掛けに対し、綾小路は淡々と答える。勿論、綾小路がBクラス(俺達)に味方してくれるならば、正に敵無しだろう。だが、綾小路は生い立ちから自分の勝利を第一としており、自分以外の人間は道具としか認識していない。初期の頃はまだ感情らしきものがあった気も―――

 

(―――いや待て。今の綾小路はどういう状態(・・・・・・)なんだ?)

 

綾小路の本性が最初に描かれたのは、正に今実施しているこの特別試験だ。それまでは割と感情らしきものがあるような感じも確かにあったが、原作と違っている現状が綾小路にどのような変化を与えているか、俺では見当もつかない。

 

「……なんで、俺達のクラスに入りたいんだ?」

 

気付けば俺は、1番疑問に思ったことをそのまま綾小路にぶつけていた。今のDクラスが酷すぎるからというのが尤もらしい理由で挙げられそうだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……Bクラスが、一番自由で楽しそうだった(・・・・・・・・・・・・)。それが理由だと、駄目か?」

 

 

 

 

 

 

―――少し間をおいて答えた綾小路の瞳は、ほんのりと光が灯っているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か、虎城?疲弊しているように見えるが……」

 

「いや、大丈夫だ。ちょっと色々あってな」

 

―――綾小路との邂逅から1時間後、俺は契約のため葛城に連絡を取って森の奥で落ち合い、Dクラスのキーカードを撮ったデジカメの写真を見せていた。

 

 

 

 

 

―――綾小路との取引は、いくつか条件を提示し口約束ではあるが、確かに交わした。

 

 

 

 

 

 

 

(龍園に綾小路との取引を伝えるのが、今から気が重いな……)

 

この後の事を考えている間に、葛城は写真の確認を終えたようでデジカメを此方に返してくる。

 

「うむ、確かにDクラスのキーカードの写真だ。感謝する、虎城」

 

「契約条件を達成出来て、こっちも安心してるよ。Cクラスの方は、撮影が厳しそうでな」

 

Dクラスのリーダー情報の提供により、契約条件は達成されたので、これで次のポイント支給日からBクラスに毎月80万プライベートポイントが入ってくることが確定した。

 

「それと、橋本について(・・・・・・)も助かった。想定よりスポットの占有ポイントが減ることになったがな」

 

葛城の言った橋本というのは、Aクラスの生徒で坂柳派の人間である。特別試験3日目、橋本は俺達のベースキャンプにやってきて【スポット】を許可無く使用し、更にAクラスのリーダーを教えるから当てて欲しいと言ってきた。これに対し龍園は今回の目的と真逆なため、当然拒否。スポットの誤使用も、予めAクラスの生徒には許可を出していた為、Aクラスへの被害は0だ。その事を俺が定期連絡時に伝え、葛城は坂柳派の人間に監視をつけることで対応した結果、リーダーを隠せる人数の減少により【スポット】占有数が少なくなったということだ。

 

「Cクラスのキーカード撮影は引き続き狙うけど、あまり期待はしないでくれ。また何かあれば連絡するよ」

 

そう言って俺は自分達のベースキャンプに歩き出す。

 

 

 

 

 

―――特別試験終了まで、あと2日。

 

 




新しいアンケート実施してます!
元々綾小路のヒロインは決めてなかったので、参考にさせて頂ければと思います!
※平田と龍園は入れると1位2位取りそうだったので、今回は入れませんでした(笑)

【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――

  • 葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
  • 一之瀬クラス(初期Bクラス)
  • 不良品クラス(Dクラス)
  • 龍園クラス以外認めない!
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