ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
9月頭に引っ越しがあってその準備等で時間が取れませんでした…
―――特別試験無人島6日目の朝。
私―――堀北鈴音が所属するDクラスのベースキャンプは現在、大騒ぎ状態だった。その原因は、特別試験初日から一緒に過ごしていたBクラスの女子生徒―――伊吹さんが見当たらない事に他ならない。
「おい、Bクラスの女がいねぇぞ!?」
「何も言わずにリタイアしたってこと?感じ悪……」
「やっぱスパイだったんじゃねぇのか!?」
皆が思い思いの事を口にしており、収集がつけられなくなっている。平田くんと櫛田さんが男女をそれぞれ宥めようとしているが、焼け石に水だろう。
(……っ、かなり不味い状況ね…)
時折響く怒号が頭に響いてクラクラする。特別試験開始前から体調を崩しており、なんとかここまで我慢してきたがもう限界が近い。
「だいぶキツそうだな」
そう声を掛けてきたのは、クラスで席が隣の何を考えているか分からない無表情がデフォルトの綾小路くん。
「……正直、かなり辛いわ。それに、伊吹さんが居なくなったのは、十中八九私がリーダーだと分かったからでしょうね」
そう口にして、自身の不甲斐なさを痛感し手を握り締めた。纏まらないクラスに自身の体調管理不足、それに加えてリーダーであることを勘付かれるという失態。
「……打てる手はないのか?」
「リーダーを見抜かれたのよ。リーダーを当てられたら、スポットの占有ポイントは無効。しかも50ポイントのマイナスだなんて、今のDクラスには痛すぎるわ」
このままでは、Dクラスのポイントは100ポイント未満の可能性が高い。そう歯噛みし―――
「確かにな。
「―――待って、リーダーの変更……」
綾小路くんの言葉で、1つの案が浮かんでくる。この案であれば、逆に私がリーダーだとバレていることで、Bクラスにカウンターダメージを与えることが出来るかもしれないし、被害を最小限に抑えることが出来る。
(―――迷ってる暇は、無いわね)
身体がふらつくのを我慢し、皆が集まっている所へ向かう。
「少し、いいかしら?」
「堀北っ!堀北もアイツがスパイだと思うよな!?」
私の言葉に1番に反応したのは、運動能力は高いが問題児である須藤くんだ。いつもは喧しく思っている大声も、今は注意を引きつけてくれることに役立ってくれており、慌ただしかった場が一時的に収まった。
「須藤くんの言う通り、伊吹さんはスパイの可能性が高い。そして彼女が居なくなったということは、Dクラスのリーダーが割れた可能性が高いわ」
私の言葉にポイントが減ることを理解し、クラスメイト達の顔が暗くなる。
「でも、リーダー当てを回避する方法が1つだけある」
「堀北さん、その方法っていうのは?」
「リーダーである私が、リタイアすることよ」
「っ!そうか、確かにリーダーを当てられてスポットの占有ポイント無効と50ポイントマイナスより、リタイアの30ポイントマイナスの方が損失は少ない。それに、Bクラスはリーダーを外すことで逆に50ポイントのマイナスになる」
平田くんが言ったのが、私が思いついた策の大半である。これを聞いたクラスの面々は希望が出てきたと言わんばかりに声を上げるが、平田くんが厳しい顔でマニュアルを確認し、口を開く。
「でもリーダーの変更には、正当な理由がないと駄目だと書いてある。もし堀北さんがリタイアしても、リーダーの変更は難しいかもしれない」
「……実は、試験開始する前から体調を少し崩してて、今かなり辛いわ。これなら、体調不良という正当な理由でリーダー変更が出来る筈よ」
そう口にすると皆が驚き、私の下に集まってくる。
「堀北さん、大丈夫なの!?」
「いくらポイントの為とは言っても、そこまで…!」
「……本当は体調の事は隠したまま、最後までリタイアしないつもりでいたわ。でも、バレてしまったからにはリタイアする方が良いと思って話したの」
「堀北さん、話してくれてありがとう。なら、堀北さんは今すぐリタイアして―――」
「いいえ、リタイアするのは今日の夜中。それまでに、出来る限りスポットを占有しに行くわ。リーダーが変わるのだから、それまでにスポット占有するのが得策よ」
平田くんの言葉を遮り、私はクラスポイントを少しでも上げるために【スポット】を巡ることを提案する。
「でも、それだと堀北さんが辛いんじゃ……」
「体調管理出来ていなかったのと、リーダーを勘付かれたのは私の責任だわ。その責任を取らせて欲しいの」
私の言葉をDクラスの皆は分かってくれたようで、感謝の言葉を述べながら私の周りに集まっていた。そこには先程までの険悪な雰囲気は残っておらず、初めてクラスが纏まったように思えた。
―――だからこそ、後ろに居る綾小路くんの表情を私は窺い知る事が出来なかった。
◆
「Dクラスの猿共の中にも、まともな奴が居たとはな」
特別試験最後の夜、俺―――虎城優斗は龍園と共に仮設本部を見張っていた。既に綾小路との取引は龍園に説明したのだが、移動理由を聞いて龍園は爆笑していた。まさか不満を煽るために見せたバカンス姿が、他クラスのスパイを生むとは流石の龍園も予想外だったようだ。
「色々条件はつけたけど、これでDクラスは実質
そうして話をしていると、
「ほぅ。マジでリーダーをリタイアさせたな」
「リーダーはランダムにしてるらしいから、俺達はリーダー情報を知らない。葛城には悪いが、Dクラスのリーダーがリタイアしてリーダーが変更されたから、指名を止めるようにだけ連絡するよ」
俺の言葉に、龍園は肉食獣が獲物を値踏みするかのような獰猛な笑みを浮かべた。
「あぁ。
―――結果発表が楽しみだ」
◆
―――特別試験無人島最終日の7日目。
試験終了の正午まで残り5分となり、生徒が無人島に上陸した時の浜辺に集合している様を俺を含む龍園、近藤、石崎の4人はすぐ近くの草陰から覗いていた。
A、C、Dの3クラスは既にリタイア者以外は全員集合しており、試験終了を待つその様子はクラス事に様々だ。
「行くぞ、お前ら」
龍園が言葉と共に浜辺に歩き出し、それに俺達も続く。
砂を踏みしめる音が響き、浜辺に集まっていた生徒が此方を見てAクラス以外の生徒が驚愕していた。
「龍園っ!?それに虎城と他にも2人いるぞ!?」
「Bクラスは全員リタイアしたんじゃないのか!?」
「伊吹がいなくて虎城がいるってどういうことだ!?」
各クラスの生徒がざわつき出すが、俺達は気にせずBクラスの集合位置に整列する。
「現時刻を持って、特別試験の終了を宣言する。試験結果をこれから集計するため、各自暫し待機するように。既に試験は終了しているため、お手洗い等は休憩所を利用してもらって構わない」
俺達が整列して数分後。Aクラス担任の真嶋先生が試験終了を宣言したが、辺りを覆う緊張感は一切変わることなく全員が結果発表を今か今かと待ち侘びていた。
―――10分後、クリップボードを持った真嶋先生が拡声器のスイッチを入れた。
「この1週間、我々教員はじっくりと君達の特別試験への取り組みを見させてもらった。真正面から試験に挑んだ者、工夫を凝らし試験に挑んだ者。様々だったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」
真嶋先生の言葉に、多くの生徒が改めて無人島試験を乗り切ったのだと実感し安堵していた。
「ではこれより、端的にだが特別試験の結果を発表したいと思う。なお、結果に関する質問は一切受け付けていない。自分達で結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」
真嶋先生から続いて出た言葉に、生徒達の表情が引き締まる。
「最下位は―――Bクラス。86ポイント」
真嶋先生の言葉に、周りのクラスがざわつく。対して龍園と俺は
「3位は―――Cクラス。140ポイント」
続く言葉に、Cクラスの生徒達から悔しさの籠った声が漏れているのを感じる。恐らくこの特別試験において、小細工無しの正攻法で挑んだにもかかわらず、想定以下のポイントだったのだ。金田がスパイであることを理解したCクラスが今後どういった方針を取るかは一之瀬次第だと思うが、恐らく交渉の難易度は上がってしまったと考えるべきだろう。
「2位は―――Dクラス。160ポイント」
こちらはCクラスとは打って変わって大はしゃぎだ。Dクラスからしてみれば、漸くクラスポイントが3桁になるのだからこの喜びようは当然とも言える。
「そして1位は―――Aクラス。384ポイント」
隠しきれない喜びが見える声色で真嶋先生が1位を宣言するが、件のAクラスはリーダーの葛城を含め喜んでいない訳ではないが何とも言い難い雰囲気を醸し出しており、1位を取ったとは思えない雰囲気だ。
「以上で、結果発表を終了する」
―――こうして最初の特別試験は、Aクラスの圧勝で幕を閉じた。
まだバタバタしてるので、次回も遅くなるかもしれませんが、頑張ります!
次回は無人島試験を終えての各クラスリーダー格の独白を予定してます。
※ポイント詳細も次回開示致します。
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!