ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

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愛里、誕生日おめでとぉぉぉ!!
それから地味に難産で、更新お待たせして申し訳ないです。
タイトルですが、後書きに記載してます!
※後程タイトルの方も更新します。


1年生 夏休み:休日
Episode 22 目一杯の祝福を君に


 

 

 

 

 

 

夏休み開始から約2週間かけて行われた2つの特別試験が終わり、遅れ馳せながら俺達1年生に普通の夏休みが訪れた。

 

 

―――これは、そのうちの一幕である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みもあと1週間と終盤であり、2学期が迫ってきている今日この頃。俺――虎城優斗はというと、寮のエントランスで愛里が来るのを待っていた。

 

「優くん…!」

 

愛里の声を聞き、携帯から顔を上げ―――

 

(―――やっぱり、愛里は可愛い)

 

白を基調としたワンピースを身に纏う愛里を見て、条件反射で内心可愛いと呟いていた。

 

「おはよう、愛里。その服よく似合ってるね」

 

「あ、ありがとう、優くん。それと、ごめんなさい。待たせちゃったよね」

 

「今来たところだから、全然大丈夫だよ」

 

「優くんが待たせないように、15分前には必ず来てること……私知ってるよ?」

 

俺が定番の返しをすると、愛里は微笑んで俺の見栄を指摘してきたので苦笑で誤魔化すことにした。

 

「さて、それじゃ行こうか。愛里」

 

「うん…!」

 

そうして俺は愛里に向けて手を出すと愛里は嬉しそうに腕を抱き締め、所謂腕組み状態で俺達はエントランスを後にし、デートに出掛けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高度育成高等学校の敷地内に存在する複合施設―――ケヤキモールは学生達が必ず利用すると言っていい場所である。此処の生徒は敷地内から出ることが叶わない為、休日に行く場所は割と限られており、複合施設となればその候補で真っ先に挙がるのは必然と言えるだろう。

 

「………」

 

そんなケヤキモール内の本屋にて真剣な眼差しで愛里が見ているのは、陳列した数冊の雑誌や写真集の表紙―――グラビアアイドルが表紙を飾っているものだ。

愛里がグラビアアイドル雫として活動を始めてから、愛里が表紙を飾る時は勿論、飾っていない時でも他の人の映り方を見て勉強したりする為に、先ず本屋に行くというのが俺と愛里のデートにおけるルーティンとなっている。

 

(愛里が嫉妬しちゃうから、俺の視線は愛里の横顔固定なんだけどね)

 

まだ中学生の頃のデートで愛里と一緒になって表紙を見ていた時に、嫉妬した愛里が顔を赤くしながら袖を引っ張る姿を見て尊さで昇天しかけた事を思い出す。それ以来、この時間は愛里が表紙の雑誌か愛里の横顔に視線を固定しているという訳である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くして愛里が表紙を見終わり、本屋を後にする。

 

「ご、ごめんね優くん。待ち合わせでも待たせちゃったのに、雑誌見るのにまた時間掛かっちゃって……」

 

「気にしなくていいよ。それに、あの時間は愛里の真剣な横顔が見れて俺も好きな時間なんだから」

 

「っ!……ぁぅ…」

 

俺の言葉を聞いて愛里は恥ずかしさから顔を赤くし、腕を抱き締める力を少し強めた。そんな愛里を微笑ましく思いつつ、今日の戦果を聞くことにした。

 

「それで、今日はどうだった?」

 

「う、うん。着てみたい服があったから、探してみてもいい?」

 

愛里の言葉に勿論と答え、そのまま服屋が入っているエリアに向かう。愛里が表紙のグラビアアイドルの服装で気に入ったものがあれば、服屋に行って似た服がないか見て回るのも俺と愛里のデートにおける定番の1つだ。

そうして服屋でいくつか服を見繕った愛里が試着しているのだが―――

 

 

 

「ど……どう、かな?」

 

 

 

淡いピンク色の胸元が開いた短めのワンピースに、黄色の薄手の上着を身に纏った愛里が、少し頬を赤らめながら俺に尋ねる。

 

「―――凄く似合ってて可愛いよ、愛里」

 

大胆に開いた胸元やワンピースの丈が短いから見える太腿が煽情的で非常に眩しいが、なんとか理性を保って返答することが出来た。

 

「あ、ありがとう、優くん。とっても嬉しい」

 

俺の言葉に満面の笑みで感謝を伝えてくる愛里を見て、再び理性と本能の戦いが開戦したのは言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎城と佐倉が先程試着した服の会計をしている後方―――隠れるようにして様子を伺っている2人の生徒がいた。

 

「どうやら服を買ったみたいですね」

 

1人はBクラスで最も学力が高い文学系女子―――椎名ひより。

 

「……意外と普通のデートね」

 

もう1人も同じくBクラスで、武術の心得があるクール女子―――伊吹澪。

 

何故2人が虎城と佐倉のデートを尾行しているのかと言うと、本屋に買い物に来ていた椎名がデート中の2人を発見したのが切っ掛けである。

本当はデートの邪魔をしないように退散するつもりだったのだが、ふといつも一緒の2人がいったいどんなデートをしているのか疑問に思い、好奇心のままに尾行を開始。その様子を偶然見つけた伊吹も巻き込み、現在に至るという訳である。

 

「確かに、一般的なデートですね。……口の中が甘過ぎる以外は」

 

「激しく同意。あの2人の周りだけ別空間になってない?」

 

そんな佐倉達を盗み見る2人は虎城と佐倉が作り出す想像以上の甘さに、普段なら絶対に飲まないブラックコーヒーを飲みつつ尾行を続けていた。

 

「前に聞いた話だと中3の夏から付き合ってるからもう1年は経つ筈なのに、付き合いたてのカップルみたいな初々しさって……2人共純情過ぎでしょ」

 

「私は恋愛をしたことがないですが、虎城くんと愛里さんがカップルの中で特別なのは分かります」

 

伊吹の言葉に椎名も同意した所で、虎城と佐倉が角を曲がったのを見て見失わないように追いかけ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デートを尾行するのは、流石に遠慮して欲しいんだけど?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲がり角で待ち伏せしていた虎城と佐倉に、呆気なく捕まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、好奇心を抑えられず……」

 

「……悪かったわよ」

 

尾行していた椎名と伊吹を捕まえカフェに入り話を聞いたのだが、どうやら単純に俺と愛里のデートが気になっただけなのと愛里も気にしてないということで今回は不問にすることになった。

 

「それにしても、よく気付いたわね」

 

「それは、まぁ……例の件以来ちょっと周りに気を配ったりしてたからな。人の気配や視線に敏感なんだ」

 

伊吹の言葉に俺がそう返答し2人を見ると、先程より申し訳無さそうな表情をしていることに気付いて回答を失敗したことに気付く。

 

「あー、すまん。もう終わったことだし、大丈夫だから気にしないでくれ」

 

「そう言って頂けると、こちらとしても助かります」

 

そこから暫し4人で談笑した後、これ以上デートの邪魔しちゃ悪いと言うことで伊吹と椎名が別れようとしたタイミングだった。

 

 

 

 

 

 

「おいおい。ついに佐倉以外も手籠めにしたか?」

 

 

 

 

 

 

誂うような言葉を受け声の方に視線を向けると、そこには案の定ニヤニヤという擬音語が聞こえてきそうな笑みを浮かべた龍園が立っており、その後ろには石崎を含めた真鍋達Bクラスの生徒が何人も居てそこそこ大所帯となっていた。

 

「誤解を生む冗談は止めてくれ、龍園。そもそも、何があっても俺は愛里一筋だから」

 

「優くん……」

 

「はっ、いつも通りお熱いことで結構だ。てめぇと佐倉の仲の良さはクラスの士気に関わるからな?」

 

龍園の言葉に、この場にいる俺と愛里以外の全員が何度も頷いており気恥ずかしさを感じる。

 

「丁度良い。お前等も付いてこい」

 

そんな龍園の言葉により、今日の愛里とのデートは午前中で終了することが確定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――龍園の呼び掛けにより大部屋のカラオケルームにて催されたパーティーを、俺達は楽しんでいた。

 

「それにしても、特別試験は2つとも大収穫だったな」

 

「あぁ。今の俺達程盤石なクラスは上の学年のクラスを含めても無いだろうな」

 

ソファーに腰を下ろす俺が特別試験での成果を話すと、隣に座っている龍園も上機嫌に言葉を返した。因みに愛里は伊吹達と会話している。

 

「クラスポイントではAクラスが突出してるけど、派閥争いは継続してるし月々のプライベートポイント支払い契約もある。Cクラスはクラスポイントもプライベートポイントも、言い方は悪いが完全に俺達の下位互換だ。Dクラスは……気にする必要もないだろうな」

 

「クク。Dクラスの猿共の様子は良い見物だったぜ」

 

龍園はそう言って思い出し笑いしている。どうやら結果発表の際にカフェに来なかったのは、騒いでいたDクラスの様子を見に行っていたからのようだ。

 

「あの状況から『優待者』を指名するだけでも能無しだが、まさか声高々に出し抜いたなんて言い出すとは。正に鳥頭だな」

 

「ぶっ!?ちょっ、龍園、それはズルい……」

 

龍園の唐突なギャグに思わず吹き出してしまった。後から龍園と一緒に綾小路に話を聞いたが、やはりというべきか指名してくれる宛てというのは鳥グループに割り振られた山内春樹だった。山内は綾小路が上手く誘導したことによりグループの『優待者』を把握、その後時間ギリギリに指名した後にすぐ友人に自慢気に話したのだと言う。

 

「それで龍園、移動はどうするつもりだ?」

 

「確かに頭はそこそこ切れるが、その程度だ。まだ手駒に加える気にはならねぇな」

 

「まぁ、こっちは船上試験のお陰で既に条件を達成してるからね。後はスパイの頑張りと龍園次第だ」

 

綾小路と結んだ口約束での契約は3つ。1つはこちらが移動費2000万プライベートポイントを貯めるまでは綾小路に依頼するスパイ行為の拒否権があること。こちらが報酬を払えない状態なので、したくないことへの拒否権があって良いという俺からの配慮である。2つ目が2000万プライベートポイントが用意出来た後は完全にスパイとなってもらうこと。そして最後3つ目が移動のタイミングは龍園が決めることだ。

 

「口約束のスパイなんざ使い捨てることしか考えてなかったがな」

 

龍園はその言葉通り最初に綾小路の話をした時、確かに理由が面白いので笑っていたがスパイについてはDクラスの生徒だから使い捨てると言っていたのだ。勿論綾小路の実力を知っている俺はそう言う龍園を必死に説得し、綾小路が龍園が手駒にしてもいいと思えたら引き込むという妥協案に乗ってもらうことに成功したのだ。

 

「結果的に有能なスパイが出来て、将来手駒に出来るならそのほうがいいでしょ?」

 

「はっ。てめぇが必死こいて説得してくるから妥協してやったんだ。使えないと思ったら捨てるのは変わらねぇ」

 

「あぁ、分かってる。龍園がそう判断したのなら、俺はそれに従って最善を尽すだけだ」

 

そうしてジンジャエールを煽る俺と龍園。そんな俺達の下に愛里がカラオケの機械を持って近付いてきた。

 

「優くん、今みんな1曲ずつ入れてて……よかったら、優くんも歌わない?」

 

愛里の言葉を聞いてカラオケには監視カメラが無いためよく来ているのだが、歌うことはしてなかったことに今更ながら気付く。

 

「そうなんだ。じゃあ折角だし歌おうかな」

 

愛里から機械を受け取り、曲を見ていく。意外にもこの世界での音楽は前世とほぼ変わりない。そんな中で俺は1つの曲に目が止まり、そのままその曲を選択した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遥か遠くに浮かぶ星を、想い眠りにつく君の選ぶ未来が望む道が、何処へ続いていても共に生きるから」

 

 

――この世界に来て、最初は困惑した。

 

 

「ずっと昔の記憶、連れられて来たこの星で君は願い続けてた。遠くで煌めく景色に飛び込むことが出来たのなら」

 

 

――そんな中で、俺は愛里と出逢った。

 

 

「一人孤独な世界で祈り願う。夢を描き未来を見る」

 

 

――せめてこの世界では、愛里が最後まで楽しく高校生活を送れるように。

 

 

「逃げ出すよりも進むことを、君が選んだのなら」

 

「誰かが描いたイメージじゃなくて、誰かが選んだステージじゃなくて、僕達が作っていくストーリー(けして一人にはさせないから)」

 

 

――この世界では、あの悲劇は起こさせないと誓った。

 

 

「いつかその胸に秘めた刃が鎖を断ち切るまで、ずっと共に闘うよ」

 

「決めつけられた運命、そんなの壊して僕達は操り『キャラ(人形)』じゃない。君の世界だ君の未来だ、どんな物語にでも出来る」

 

 

――俺にとってここはもう現実だ。だからこそ、別の未来を勝ち取るのだと。

 

 

「逃げる様に隠れる様に乗り込んで来たコクピットには、泣き虫な君はもう居ない。いつの間にかこんなに強く」

 

 

――伊吹を助けるために動いた愛里は、とても眩しく見えた。

 

 

「これは君の人生(誰のものでもない)、それは答えなんて無い(自分で選ぶ道)」

 

 

「もう呪縛は解いて定められた原作(フィクション)から今飛び出すんだ、飛び立つんだ」

 

 

――愛里となら大丈夫だ。頼もしい龍園達(仲間)もいる。

 

 

「誰にも追いつけないスピードで、地面蹴り上げ空を舞う。呪い呪われた未来は、君がその手で変えていくんだ」

 

「逃げずに進んだことで、きっと掴めるものが沢山あるよ。もっと強くなれる」

 

 

――愛里はきっとこれからもっと成長するだろう。そんな愛里に誇れる自分でいれるように、これからも頑張ろう。そして―――

 

 

「この星に生まれたこと、この世界で生き続けることその全てを愛せる様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――目一杯の、祝福を愛里()に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんな、愛里。折角のデートだったのに」

 

「ううん、私も澪ちゃん達と話せて楽しかったから」

 

パーティを堪能して寮に帰ってくる頃には日が沈み始めており、愛里と夕飯を作っている間にすっかり夜になっていた。そうして今は夕飯を食べ終え、愛里と肩を並べて座りまったりしているところだ。ただ、愛里の様子が少し落ち着かない感じではある。

 

「愛里、どうかした?」

 

「……ゆ、優くん」

 

愛里が俺の名前を呼んだ後、手に触れ小指同士を絡ませる。

 

 

 

――それは、愛里がシたいという合図の仕草だ。

 

 

 

愛里のこの合図は中学生の頃から数えて片手程しか行われていない位に貴重であり、この仕草をする時の愛里は顔を真っ赤にしつつ上目遣いという最強コンボで迫ってくるのだ。そんな愛里からの誘いが嬉しくない訳がなく、俺は肯定の意味も含め愛里の肩をそっと抱いた。

 

「愛里、愛してる」

 

「私も、優くんを愛してる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――翌日。肌が非常につやつやした佐倉と幸せそうな虎城が目撃されることとなり、Bクラスの生徒達が色めき立つのだが、それはまた別の話。

 

 

 







Episode 22 目一杯の祝福を君に




あ、最終回みたいな感じになってますが勿論続きますので、今後もよろしくお願い致します。

【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――

  • 葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
  • 一之瀬クラス(初期Bクラス)
  • 不良品クラス(Dクラス)
  • 龍園クラス以外認めない!
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