ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
最近1週間が早くて投稿もこの間隔になりそうです。
「一之瀬か。相変わらず群れるのが好きだな」
絶対的なBクラスの王―――龍園翔。
「こんにちは、一之瀬さん。貴女もいらしてたんですね」
Aクラスの葛城派閥と対立する派閥を率いる者―――坂柳有栖。
「にゃはは。こんにちは、龍園くん、坂柳さん」
Cクラスの人望厚きリーダー―――一之瀬帆波。
―――夏休み最終日。Dクラスを除く3クラスの有力者達が、偶然にも一堂に会していた。
「凄い面子が揃ったもんだな」
「……その中には確実に虎城も含まれると思うぞ?」
俺の呟きに近付いてきた神崎が呆れたように言葉を掛けてきた。後ろの石崎達も同意見なのか深く頷いており、隣に居る愛里は何故か少し誇らしげである。
「あまり自分が凄いとは思えなくてな。基本龍園の策に軽く意見して乗っかってるだけなんだが……」
「虎城、龍園相手に意見出来ることがそもそも凄いことだと自覚した方がいい」
神崎の言葉を受け止めつつ、俺は目の前の3人のやり取りを見守る。
「夏休みも今日で終わりだからね。最後は皆で楽しもうってことで来たんだ。2人もそうじゃないの?」
「えぇ。今日までプールが開放されていると聞き及んだので、折角だからと皆さんと一緒に」
「単なる暇潰しだ。それより坂柳、さっきの言葉はどういう意味だ」
一之瀬の言葉に坂柳と龍園がそれぞれ答え、龍園は先程聞きそびれた疑問を坂柳にぶつける。
「どういう意味も何も、言葉通りの意味ですよ?」
そういう坂柳はゆっくりと俺達の方に歩み寄って―――
「―――虎城くん、Aクラスに来る気はないですか?」
「……え、俺?」
坂柳からのあまりに唐突な勧誘に素で驚いて言葉が口から出てしまった。周りにいた皆は勿論、坂柳の側近に位置する神室や鬼頭、橋本まで驚愕している。
「貴方の素質はクラス対抗において相性が良いと確信しています。その才能、私の下で発揮してみませんか?」
「てめぇ、何勝手な……っ!」
石崎が怒声を上げつつ坂柳に近付こうとするのを手で制して止める。石崎に続こうとしたアルベルトと、手を握って不安そうにする愛里には目配せし頷いてみせて大丈夫だと言外に伝える。
「そこまで俺のこと評価してもらってありがたいけど、Aクラスに行く気も坂柳さんの下につくこともないよ」
「あら、そうですか。理由を聞いても?」
断ったにも関わらず残念そうな様子の見られない坂柳から理由を尋ねられた俺は、紛れもない本心を告げる。
「―――俺は愛里の彼氏で、龍園の右腕だからな」
俺の言葉を聞いた龍園は笑みを浮かべ石崎達は当然と言わんばかりに頷いており、愛里は照れているのか少し顔を赤らめていた。
「それに、俺が知る限りまだ何も成果を上げてない坂柳さんを信用も信頼も出来ないしね」
「クク、虎城の言う通りだ。てめぇの派閥の現状すら認識出来ねぇほど落ちぶれたか、坂柳?」
俺が続けて出した言葉と龍園の煽りに坂柳は笑顔で返してきており、そこに焦りといった感情は見られない。
「これは1本取られましたね。
そう言う坂柳の視線が、俺と隣の愛里に一瞬向けられたのを感じ取った。
「今日はこれで失礼します。それでは皆さん、またの機会にお会いしましょう」
最後にそう締め括った坂柳は神室達を連れてこの場から去っていった。
◆
「……さっきのはどういうつもりなわけ?」
暫く歩いたところで、真澄さんから声を掛けられる。
「私の予想が覆ったので、その元凶を探ってみただけですよ」
Bクラス―――入学時Cクラスでありながら、最速でBクラスへ昇格し私達Aクラスの背中を捉えている異例のクラス。
「元凶って、龍園の方じゃないわけ?リーダーはそっちでしょ?」
「ふふ、確かにそうですね。ですが、その龍園くん――ひいては彼のクラスの生徒を厄介にしている大元が、虎城くんなのですよ」
真澄さんと橋本くん、それと
「彼の支援能力に加え父性とも言える精神的支柱としての安心感は、チームや団体戦で最も脅威に成り得る才能です。だからこそ駒として使ってみたかったのですが、振られてしまいましたね」
「……そういう割には、全然残念そうに見えないけど?」
「断られることは想定済みでした。それに、私にとっては楽しみではあっても脅威ではありませんので」
真澄さんの言葉に、私は笑顔で答える。
「父親の弱点なんて、子供が居なければ1つしかないでしょう?」
◆
「いきなり虎城さんに下につけだなんて、礼儀知らずな奴ですね!」
坂柳が去っていった後、石崎は坂柳に対して愚痴を吐いており、周りにいたアルベルト達も同じ気持ちなのか坂柳が去っていった方向を睨みつけたりしており、皆が慕ってくれていることが分かって嬉しくなる。
「ありがとな、皆」
「これくらいどうって事ないですよ!」
「YES」
石崎達にお礼を言うと石崎とアルベルトは元気よく返事を、他の皆は頷いて返してくれた。
「いやぁ、坂柳さんが虎城くんを勧誘するなんてね」
「良い啖呵だったぜ、虎城。まぁ、仮に裏切ろうってんなら相応の報いは受けさせるがな?」
一之瀬と龍園もこちらに近寄ってきて俺に声を掛ける。
「坂柳さんの反応的に、俺が断ること分かってたみたいだけどね。それと、龍園はもうちょい言い方何とかならないか?前にも言ったけど、裏切ろうなんて微塵も思ってないから」
その立ち振る舞いからお淑やかに見える坂柳だが、原作知識からその性格が冷酷で攻撃的且つ陰湿であることを俺は知っている。そんな彼女の下につきたくないというのは紛れもない本心であるし、龍園を裏切るなんて考えたこともない。
「でも、勢力を落としてる坂柳さんがあれだけ冷静なのは少し引っ掛かるね。何か仕掛けてくる気かも」
「はっ、やることは変わらねぇ。全クラス潰すだけだ。先ずはDクラスを完全に潰す。その次は一之瀬、お前だ」
そう宣言する龍園の視線を、一之瀬は真正面から受け止めていた。
「私達は特別試験で惨敗した。でもだからこそ、
その言葉に呼応するように、神崎と他のCクラスの生徒が一之瀬の周りに集まる。
「……ふん。どうやら中々楽しませてくれそうじゃねぇか」
一之瀬と神崎の様子が船上試験の時と違う事に驚いていると、龍園も同じことを思ったのか一之瀬達に獰猛な笑みを浮かべてみせた。
◆
その後、一之瀬から折角だから一緒に遊ぼうと提案され、龍園を石崎達と共に説得し急遽BクラスとCクラスの混合チームでプールを楽しむことになった。それから原作にあった水泳コートにて現生徒会副会長の南雲雅の活躍を確認するイベントを経てプールを巡っていると、
「綾小路も遊びに来てたんだな」
「……あぁ。期間限定で大型プールが開放されているから、折角ならと思ってな」
正に偶然会ったように会話を行う。本来ならスパイである綾小路とは周りにバレないように接触を最低限にする方が定石だが、仮に龍園から許可が下りてクラス移動した場合にある程度Bクラスの生徒とも交流を持っておかないと後々亀裂を生んでしまうのではないかと考えた結果、交流する方を選んだという訳だ。
「船上試験のグループディスカッションでも思ったけど、2人仲がいいよね」
「一之瀬も居た図書室の出来事の後に本の趣味で繋がってな。偶に本を交換し合ったりしてるんだ」
一之瀬の疑問に以前設定した内容を話す。一之瀬には遠く及ばないが、俺にも他クラスの友人が2〜3人程おりAクラスの葛城もその1人だ。その友人の中に綾小路を組み込むことで違和感を出来る限り消すことが出来るという訳だ。それと偶々ではあるが船上試験で同じグループだったというのも交流に舵を切った要因の1つである。
「折角会ったんだし、綾小路も一緒に遊ばないか?皆にも綾小路のこと紹介しておきた―――」
「是非頼む」
「お、おう。紹介してやるから、少し落ち着け?」
昨日の電話よりも食い気味に返事をする綾小路を宥めつつ、石崎達に紹介する。
「俺の友人の綾小路清隆だ。Dクラス所属ってだけで彼自身は良い奴だから、皆も仲良くしてくれると嬉しい」
「えっと、綾小路清隆です。趣味は読書で、ピアノと書道を習っ―――」
「読書がお好きなのですか?」
綾小路の自己紹介で設定した読書が趣味であることに、椎名が目を輝かせて言葉を被せて食いついてきた。
「あ、あぁ」
「でしたら、今度おすすめの本をお教えしますね…!」
椎名の本好きの熱量に当てられた綾小路は、少し戸惑いながらも頷き返していた。
「ひより、少し落ち着きなって。アンタまだ名前すら言ってないよ?」
「す、すみません。椎名ひよりです。よろしくお願いします」
伊吹の言葉にハッとした椎名は改めて自己紹介を行った。
「ひよりは本の事になると話が止まらないから、ある程度覚悟しておくのをおすすめするよ」
「……忠告助かる」
そうして龍園以外が自己紹介を済ませた後、綾小路を含めてAクラスを除く3クラス混合チームとなってプールで遊び倒すこととなった。
◆
「プール、楽しかったね」
「そうだな。少しはしゃぎすぎた気もするけどね」
プールで遊び尽くした後、愛里と一緒に部屋に戻って今日の出来事を振り返っていた。
競技用レーンで男子限定泳ぎ対決をして綾小路がぶっちぎり1位を獲ったり、流れるプールで愛里とまったりしたり、綾小路&石崎&神崎vs龍園&アルベルト&俺でバレー対決をして龍園チームが勝利したりとかなり濃い1日だった。
(……綾小路、確実にテンション上がってたな)
原作では表立って実力を出すことをあまりしなかった筈だが、今日の勝負では明らかに隠してる実力が見え隠れしていたので一之瀬達が不審がらないか少し心配だったが、様子を見た感じでは大丈夫そうだった。
「今日で、夏休みも終わりだね」
「そうだな。愛里は、夏休み楽しめた?」
「うん。優くんとデートしたり、澪ちゃんやひよりちゃんとお出掛けしたり、クラスの皆とパーティも―――」
嬉しそうに夏休みの出来事を語る愛里を見て、心が温まるのを感じる。
(他クラスの有力者の動向や今後の特別試験をどうするかとか、色々考えないといけないことはあるけれど――)
―――今はただ、笑顔の愛里が隣りにいる幸せを噛み締めた。
次回は2学期、そして体育祭に向けての話になると思います。
コラボの方も製作中です!
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!