ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
最近時間の流れが早すぎる……
第1体育館にて、高度育成高等学校に在籍する400名以上の生徒と数十人の教師がそれぞれ赤組と白組に分かれて一堂に会していた。全員が座ったのを見計らって白組の総指揮を取る3年Bクラスの先輩の挨拶が始まり、1年生へ気合い入れの言葉と各学年で集まって話し合いするように告げたのを皮切りに、一之瀬を筆頭にCクラスの生徒達がこちらに歩み寄ってきた。
「まさかこんなに早くチーム再結成するとは思わなかったよ。あんな啖呵を切っておいて恥ずかしいや」
「流石にこれは予想出来ないから仕方ないよ」
一之瀬が少し恥ずかしそうにしながらこちらに話しかけてきたのでフォローで返した。その後、一之瀬は後ろに離れている龍園を見て首を傾げた。
「龍園君はこっちに来ないみたいだけど、もしかして虎城君が指揮を取るのかな?」
「ご明察の通りだよ。龍園の指示で体育祭では俺が指揮を取ることになったんだ。一之瀬もその方が安心出来るでしょ?」
「にゃはは、正直に言うとありがたいかな」
苦笑いで俺の言葉に肯定する一之瀬に向けて手を差し出す。
「そういう訳だから、体育祭ではよろしく頼む。一之瀬」
「うん。こちらこそよろしくね、虎城君」
差し出した俺の手に一之瀬は手を重ね握手を交わす。
「それじゃあ早速方針から―――」
一之瀬が話し合いを始めようとしたタイミングで、体育館の中が騒がしくなった。
「待って欲しい、葛城くん!」
何事かと思っていると、体育館の1角から男子の声が響き渡る。声のした方向に目を向けるとそこには1年Dクラスと1年Aクラスの生徒が集まっているが、Aクラスは体育館の出口に向かっているようだ。
「お願いだ。話だけでも聞いてはもらえないかな」
Aクラスに向けて声を掛けているのは1年Dクラスの実質的リーダーの平田であり、その表情には焦りが見える。
「体育館に来る前に、Dクラスと関わらないことに決めていた。言うまでもないが、これはAクラスの総意だ」
平田に対して睨みを利かせながら言葉を返すのは、現状最もAクラスのリーダーに近いであろう葛城だ。他のAクラスの生徒も先程の葛城の言葉を肯定するように葛城の周りに集まっていた。
「……Aクラスの皆が船上試験の件で僕達Dクラスを不快に思っていることは分かってる。でも―――」
「無駄だ。悪いが、今は何を言っても詭弁にしか聞こえん」
そう言い残し、葛城達Aクラスは体育館から出て行ってしまった。
「予想通りではあるけど、赤組は大変だな」
「あはは。今回の組み分けは流石にちょっとAクラスに同情しちゃうな」
俺の言葉にAクラスが出て行った方向を見ていた一之瀬が苦笑いしつつも少し安堵した様子で応える。組み分け方法によっては自分達がAクラスの立場になっていても可笑しくなかったのだから、安心する気持ちもよく分かる。
「取り敢えず、俺達は俺達で話し合いをしようか」
「そうだね。先ずは―――」
そうして俺と一之瀬は軽く意見交換を行い、本格的な話し合いはクラス内の意見を纏めた後日に時間を取って実施することに決め、今日の話し合いは終了した。
◆
―――その日の放課後。
いつもなら愛里と共に買い物か寮への帰路についている時間帯に俺は1人、
(それにしても、まさか生徒会長から呼び出されるとはな……)
放課後になってすぐ携帯にメールが届いたため内容を確認すると、生徒会長である堀北学の名前で放課後生徒会室を訪ねてほしい旨が記載されていた。
(龍園には報告済み、愛里は念のため伊吹や椎名と一緒に先に帰ってもらったから問題ない)
原作で知っている堀北学の性格的に非道なことはあまり無いとは思うが、用心に越したことはない。それに、生徒会には俺が個人的に警戒している生徒も所属しているというのも大きい。
「っと、ここだな」
そうして考え事をしながらだった為か、想定より早く目的地である生徒会室に到着した。1つ深呼吸をしてから扉をノックする。
「1年Bクラス、虎城優斗です。生徒会長に呼ばれて来ました」
『入れ』
入室許可を聞いて失礼しますと言ってから扉を開ける。そうして先ず目に入ってきたのは、目の前のソファーに座る生徒会長であり堀北鈴音の兄―――堀北学。その隣には生徒会書紀の橘茜も控えていた。
「急な呼び出しにも関わらずよく来てくれた。座ってくれ」
生徒会長の言葉を受け、失礼しますと一礼し生徒会長の対面にあるソファーに腰を下ろした。
「橘、悪いがお茶を用意してくれ」
「かしこまりました、会長」
橘先輩がお茶を淹れる為に部屋の脇に移動するのを少し目で追った後、視線を感じて生徒会長に意識を向け直した。
「虎城、お前の活躍は数多く耳に入ってきている」
俺が視線を戻したのを確認し、生徒会長は話を切り出してきた。
「入学数日で【Sシステム】に気付き、最初の1ヶ月でBクラスに昇格。その後順調にクラスポイントを増やし、先の特別試験では5000万近いプライベートポイントを獲得した。これはこの学校史上初といって過言ではない、誇るべきことだ」
普通なら賛辞を述べられ喜ぶ所だが、俺は原作知識というある意味カンニングしているようなものであるのに加えて急に接触してきた生徒会長への警戒もあり、賛辞を素直に受け取ることが出来ないでいた。
「……ありがとうございます。生徒会長にそこまで言ってもらえるとは、とても光栄です。ですが、自分はクラスのリーダーである龍園をサポートしているに過ぎません」
「謙遜することはない。そのサポートが的確だからこそ、先程言った結果を出しているのだからな」
生徒会長から続けて賛辞を受け、これ以上受け取らないのは失礼であると思い再度感謝を述べた所で橘先輩がお茶を淹れたカップをお盆にのせて戻ってきた。
「どうぞ、粗茶ですが」
「ありがとうございます。頂きます」
お茶を一口飲んで落ち着いてから、今度は此方から話を切り出す。
「それで、今日自分が呼ばれた理由は何でしょうか?」
「そうだな、そろそろ本題に入ろう。
―――虎城、生徒会に入る気はないか?」
生徒会長の言葉に多少驚きはしたものの、いくつか予想していた内容の1つだったのでほぼ平常心でいられている。逆に橘先輩は驚いている様子だ。
「総選挙には少し早いが、俺からの推薦であれば然程問題はない。どうだ?」
そうして生徒会長は口を閉じ俺を見る。そして俺は―――
「――光栄な申し出ですが、申し訳ありません。謹んで辞退させて頂きます」
生徒会への勧誘を断った。
「……そうか。理由を聞いても?」
「今の自分に龍園のサポートと生徒会の役職が同時に務まるほどの能力はありません。それに、これから生徒会長になるであろう人物の補佐はしたくないので」
後半の俺の言葉を聞いた生徒会長は少しの驚愕と安堵が入り混じった様子で俺を見てくる。
「なるほど。その言葉が聞けただけでも、今日お前を呼んだかいがあった」
そう言った生徒会長は徐ろに端末を取り出し操作をし始め数秒後、操作が終わると同時に俺の端末が震えた。一言断りを入れてから端末に目をやると、生徒会長から50万プライベートポイントが振り込まれていた。
「急な呼び出しに応じてくれた礼だ。今後の活躍も期待している」
「ありがとうございます。こちらこそ、生徒会長と話が出来て光栄でした」
こうして生徒会長との対談は、実りのある結果で幕を閉じた。
◆
「会長、よかったのですか?」
虎城優斗が生徒会室を退出した後、隣に立つ橘から声を掛けられ、俺―――堀北学はソファーから立ち上がりつつ言葉を返す。
「問題ない。成果はあった」
そうして俺は先程の虎城優斗の言葉を思い出す。
『これから生徒会長になるであろう人物の補佐はしたくないので』
次に生徒会長になるであろう人物は、現状1人しかいない。2年生の全てを掌握している現生徒会副会長―――南雲雅。
(虎城優斗が南雲の手に掛かっていない、更にはよく思っていない事が分かったのは大きい。南雲が行うであろう改革に対抗する勢力作りが出来ていないことが最後の気掛かりだったが―――少し希望が見えたな)
体育祭ですが、本作の状況が原作と乖離し過ぎててどう進めるか結構迷ってます(苦笑)
龍園君は堀北に興味ないし、AクラスとDクラスの仲最悪だし、龍園クラスが強すぎるし……まぁ、全て自業自得なのですが。
次回は早めに投稿出来るよう頑張ります!
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!