ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
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堀北生徒会長と対談した翌日から、俺達Bクラスは体育祭に向けて本格的に準備を始めた。
体育祭までの間、週に1度設けられた2時間のホームルームは好きにして構わないということで、先ずは出場競技を決めるためにクラスの皆で体力測定を実施することにした。因みに龍園はやることがあると言って坂上先生を連れて不参加である。
「それじゃ、男女で分かれて実施しようか。愛里、女子側お願いしていい?」
「うん。任せてっ…!」
愛里のやる気に満ちた返事を聞き、教師から借りてきた握力計やストップウォッチを手渡しそれぞれ測定を開始し、時間内で全員分の記録が完了した。
(予想通り、みんな基本的に運動能力が高いな)
愛里や椎名、金田といった所謂勉強が出来て運動が苦手な面子を何人か含めているにも関わらず平均値がかなり高めの測定結果を見ながら、改めてこのクラスの長所が運動能力であることを確信する。
「皆お疲れ様。今日の結果から全員参加競技は順番と組み合わせ、推薦競技は参加者を決める。ただ、推薦競技の『借り物競走』と『男女混合二人三脚』の2つは運動能力ではなくそれぞれ人脈と息が合うかが必要になると思うからそれを考慮して決めようと思ってるけど、皆いいかな?」
「俺は異論なんて無いっすよ!虎城さんの指示に従います!」
俺の言葉に石崎が体力測定した後とは思えない力強い返事をすると、他の皆も頷いてくれている。
「了解。それじゃ次回からは出場競技に向けての練習になると思う。気を引き締めていこう」
『おぉ!!』
こうして俺達Bクラスは体育祭に向けて順調に準備を進め始めた。
◆
―――体育祭まで残り2週間。
皆の士気も高いまま練習は順調そのものであり、現在は推薦競技と全員参加競技で分かれて練習中だ。その一角で俺と愛里は推薦競技である二人三脚の練習を行っていた。
「愛里。少し速度上げたけど、大丈夫?」
「う、うん。もう少しなら上がっても大丈夫…!」
少し息を切らしながらも力強い眼差しで俺を見てくる愛里に感心しつつ、推薦競技の出場者を決めていた時のことを思い出していた。体力測定を実施した後、椎名と金田を交えて推薦競技の参加者を決めている最中に龍園が突如やってきて―――
『虎城、借り物競走と男女混合二人三脚に出ろ。言うまでもないが、二人三脚は佐倉と組めよ?』
―――とニヤニヤしながら命令してきたので後日クラスメイトにもそのことを伝えたのだが、当然と言わんばかりに皆深く頷いて納得しており不満は一切出なかったことに、夏休みにも感じた気恥ずかしさを再び味わうことになった。
「結構走ったし、少し休憩しようか」
自分の方はまだ多少余裕はあるが運動が苦手な愛里のことを考え、こまめに水分補給や休憩を入れるように心掛けていた。
「うん。わかっ……きゃ!」
俺の言葉に返事をした愛里が歩き出そうとしたその時、愛里が間違えて俺と結んでいる足を出そうとしてバランスを崩した。俺はそれを反射的に支えようと―――
――むにゅん
「ぁ…」
――結果、愛里を支えることに成功したのだが、それと引き換えに咄嗟に出した俺の手は愛里の胸を鷲掴みしてしまっていた。
「ご、ごめん、愛里!」
俺はすぐさま触れていない方の手で愛里の肩を掴んで支え直し、胸から手を離す。
「だ、大丈夫。私がバランス崩しちゃったのが悪い、から。
―――それに、優くんなら好きなだけ、その……いい、から」
顔を赤らめつつ上目遣いで即死級の威力を持つ言葉を放つ愛里の姿を見て、俺の心臓が早鐘を打つ。
「優くん……」
愛里が俺の名前を呼んで見つめる。それが何を意味するか、同じ気持ちだった俺は顔を近付けようと―――
―――瞬間、多数の視線を感じて我に返った。
「っ!?」
慌てて視線を感じた方向に目を向けると、そこには練習していた筈のクラスメイト達ほぼ全員が俺と愛里を見ていたが俺に見られているとバレた途端、何事もないかのように練習に戻る皆を見て違う意味の恥ずかしさが湧いてくる。
「愛里、その……皆に見られてる」
「ひゃう!?」
目を閉じていた愛里が俺の言葉を聞いて驚きの声を上げ、その顔を更に赤くした。
――結果、その日の残り時間の練習で俺と愛里の顔の熱が冷めることはなかった。
◆
――体育祭まで1週間を切ったある日の夜中。愛里を部屋まで送った後で俺は綾小路を部屋に招き入れ、ポーカーで遊んでいた。
「体育祭まで1週間切ったな。こっちは順調に練習してるけど、Dクラスはどう?」
「平田に代わって運動能力の高い須藤がリーダーとして皆を引っ張ってるが、地盤が悪すぎて力を充分に発揮出来てるとは言い難いな」
勝負を降りた綾小路が見せた手札はJOKERを混ぜたストレート。こちらはKING2枚とQUEEN3枚のフルハウスだったので綾小路の判断は的確だったと言える。
「それに、『参加表』が漏れているDクラスが勝つことはまず無い」
「それを綾小路が言うと皮肉が凄いな」
JOKERのカードを手に持ちながら言葉を紡ぐ綾小路に苦笑しながら俺はJOKERを受け取って山札をシャッフルし、2戦目を開始する。
「Aクラスはオレ達Dクラスと連携しないから、組対抗の競技で虎城達白組に赤組が勝てる道理はない」
「個人競技はともかく、組対抗競技で連携出来ないのは致命的だろうしね」
先程と同じで綾小路が勝負を降りて手札を公開する。QUEENが孤立したAとKINGのツーペア、俺がハートのフラッシュであり再び綾小路の判断が正しかったことが分かる。
「そう言えば夏休みのプールで皆に紹介したけど、あれから交流出来てるか?」
「あぁ。石崎とアルベルトに金田、それにCクラスの神崎とは見かけたら挨拶したり雑談したりするな」
「そっか、仲良く出来てるなら良かった。椎名とはどうだ?おすすめの本教えるとか言ってたけど」
石崎達と仲良く出来ていることに安堵しつつ、プールでの会話内容から椎名との仲についても聞いてみることにした。
「あれ以来、結構な頻度でおすすめの本を教えて貰っている。読み終わった先からお互い感想を話したりしているから、虎城より会う回数が多いくらいだ」
――綾小路の声が、分かりやすく喜色を含んでいた。
(ん?えっ、ちょっ、んん!?)
先程の綾小路の雰囲気を見て、綾小路がスパイになると言ってきた時と同じ位に内心驚いていた。
「虎城、どうかしたか?」
「いや、その……綾小路が嬉しそうだったから、少し驚いてな」
下手に誤魔化さず思ったことをそのまま伝えると、今度は綾小路が少し目を見開いて驚いているようだった。
「今、オレは嬉しそうにしてたのか?」
「椎名の話をしだした時、明らかに声が弾んでたけど……」
俺の言葉を聞き綾小路は考える素振りを見せる。そうして数分が過ぎたのだが、綾小路は未だに顔を上げようとしない。
「綾小路?」
「悪い、虎城。何故嬉しそうにしたのかオレ自身も分からない。少し考えたいから、今日は帰ろうと思う」
「……そうか、わかった。もし1人で考えて悩むようなら、何時でも相談してくれ」
「すまない、助かる」
そうして綾小路が帰った後、俺はベッドで綾小路の変化にどう対応すればいいかを考え続けた結果寝不足になり愛里から心配されるのだが、それは別の話。
◆
「嬉しそう、か……」
虎城と話をした後、自室に戻ってきたオレ――綾小路清隆はベッドに横になり考えを巡らせていた。
(打算的である点がオレと共通している椎名との会話は有意義だ。本の感想を話している時も、オレと思っていることが同じで話しやすい。……少なくとも、今まで会話したDクラスの面子より良いことは比べるまでもないな)
堀北はコンパスの針をちらつかせ、茶柱や櫛田は自身の要求を飲ませるために脅迫してくる。綾小路清隆にとってまともな会話が成立していた試しがほぼ無いことが会話に対するハードルを極端に下げていた事に加えて、椎名との本の感想をお互い話すことは
(これが、嬉しいという感情……なのか?)
――
今回ポーカーの役でそれぞれのクラスの現状を表現してみました。
・フルハウス(キング2枚、クイーン3枚):龍園クラス
・ストレート(JOKER含み数字順):堀北クラス
・ツーペア(クイーン1枚、Aとキングのペア):葛城、坂柳クラス
・フラッシュ(ハートのスート揃い):一之瀬クラス
活動報告の方で『歪曲王』様から面白い意見を頂いたのでアンケートしています。『歪曲王』様ありがとうございます!
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!