ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

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1年生 冬休み:休日
Episode 34 思惑と警告


 

 

 

 

 

 

 

 

ペーパーシャッフルが終了し、12月の残り日数も少なくなり年の瀬が段々と近付いているある日。

 

―――ケヤキモールに併設されている落ち着いた雰囲気のBARのカウンターにて、1年生クラスの担任教師であり高校の同級生である3人が一同に介していた。

 

「今年の1年生は、誰も退学にならずに年の瀬を迎えれそうだな」

 

初めに口を開いたのはAクラス担任の真嶋智也であり、その声色は喜色を含んでいた。

 

「確かに。これって中々レアじゃない?ねぇ、佐枝ちゃん?」

 

真嶋の言葉に頷くCクラスの担任を務める星之宮知恵は、そのまま隣に座る茶柱佐枝に同意を求める。

 

「……そうだな」

 

例年通りであればDクラスから退学者が数人出ているが故の問い掛けに、Dクラスの担任である茶柱はカクテルを一口味わった後、淡々と肯定する言葉を返した。

 

「それにしても、Bクラスが強すぎるなぁ……」

 

思わずと言った様子で星之宮から溢れた言葉に、真嶋と茶柱は眉をひそめた。

 

「入学時Cクラスが、今やBクラスでしかもAクラスとの差もたった22ポイント。Aクラスが入れ替わるのも時間の問題じゃないの?」

 

「……耳が痛いな」

 

真実であるが故に容赦無い星之宮からの言葉に、真嶋は渋面を作るしかなく手元のビールを呷った。

 

「最初の1ヶ月でBクラスを明け渡した者の言葉には重みがあるな、知恵」

 

「ここぞとばかりに嫌味言うの止めてよ、佐枝ちゃん。まぁ、Dクラスは退学者が出てないだけでクラスポイントは例年とほぼ大差ないから、余裕がないのは仕方ないと思うけど」

 

笑顔でお互いを見つめる茶柱と星之宮の間に火花が散る様子を幻視した真嶋は、昔から変わらないと思いつついつも通り静観することに決める。

 

あの件(・・・)がなければ、虎城くんは入学時Bクラスで今の状況も違ったんだろうなぁ」

 

「知恵」

 

酔いがまわっているのもあり、少し口が軽くなった星之宮を真嶋が静かに咎める。

 

「別にいいじゃない。この店に生徒は入れないんだし」

 

「……それでも、生徒の個人情報を軽々しく口にするのは教師として見過ごせん」

 

「真面目でつまんないなぁ」

 

「……」

 

真嶋の言葉に不貞腐れた様子の星之宮と、人知れずダメージを受けた茶柱はそれぞれのカクテルを飲み干した。

 

 

 

 

―――カランッ

 

 

 

 

そうして話をしていた3人の耳に入店を告げるベルが鳴ったので、反射的にそちらに顔を向けると丁度話題にしていたBクラス―――その担任である坂上数馬が店に入ってきた所だった。

 

「―――おや。奇遇ですね」

 

「坂上先生、お疲れ様です。仕事終わりですか?」

 

「えぇ。折角なので、皆さんとご一緒しても?」

 

相席を提案してきた坂上に真嶋がどうぞ、と隣の席に促した。

 

「坂上先生のクラスは怖いくらい順調ですよね。Aクラスも目前じゃないですか」

 

坂上が注文したワインを一口飲んだ所で、星之宮が言葉をかける。

 

「いえいえ、これも全て生徒達の努力の賜物ですよ。特に龍園君と虎城君の2人は飛び抜けて優秀で、担任として鼻が高いです」

 

模範的な回答をする坂上だったが、歴代最速でクラスアップを成した上にAクラスが目前ともなれば、その口調と表情から喜びが滲み出てしまっていても仕方がないことだろう。

 

「坂上先生から見ても、あの2人は特別ですか?」

 

「勿論です。龍園君と虎城君のどちらが欠けても、今の状況は無かったと断言出来る程には」

 

真嶋の問いかけに、坂上は迷いなく肯定で返した。仮に龍園だけであれば他クラスを交えてここまで事を上手く運べたとは思えず、逆に虎城だけであれば一之瀬クラス(元Bクラス)の下位互換になっていた可能性が高い。2人が同じクラスに配属されたことは、坂上にとって最上級の幸運であることは間違いなく、それを見逃すほど坂上の野心は小さくない。

 

(―――だからこそ、狙わせて頂きますよ。Aクラスを)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスイブを明日に控えた12月23日。俺―――虎城優斗はとある人物(・・・・・)と会うために少々高めの飲食店の個室に来ていた。約束の時間のより早めに来たが、既に待ち合わせした人物は席に座ってこちらを待っていた。

 

「お待たせしてすみません。堀北先輩(・・・・)

 

「俺が早く来ただけだ。気にする必要はない」

 

元生徒会長であり堀北鈴音の実兄―――堀北学その人である。

 

「急なお願いに応じて頂き、ありがとうございます」

 

「問題ない。突然の電話に多少驚きはしたが、特に予定も入っていなかったからな」

 

そうして俺と堀北先輩はそれぞれ飲み物を注文し、暫し雑談をしたところで飲み物が届く。

 

「―――さて、そろそろ本題を聞こう」

 

店員が個室を出て少し間を置いてから、堀北先輩はこちらに視線を向けてくる。俺が個室を指定した時点で、内密な話をしたいことは分かってくれているようだ。

 

 

 

「―――南雲生徒会長が、堀北先輩に対して何か仕掛けてきそうです」

 

 

 

「……なに?」

 

俺の言葉を聞き、堀北先輩は眉を顰めた。

 

「俺のクラスメイトが偶然聞いただけですが……特別試験、先輩、囮、本命。断片的ですが、これらの単語を聞いたとのことで」

 

勿論この話自体は俺が今日までに考えてきた嘘であるが、話の内容はこれから起こる可能性のある出来事である。

年明けに行われる最初の特別試験―――混合合宿は体育祭と同じく全学年の生徒が参加する試験であり、この特別試験にて元生徒会書記であり堀北先輩と交友のある橘先輩が南雲生徒会長の策略により退学の危機に陥る。

 

「単語的に恐らく先輩、若しくは先輩と親しい生徒が狙いのようですので警戒しておくに越したことはないと思い、連絡させて頂きました」

 

この件は俺達にとって直接的な被害はないため静観することも出来たが、堀北先輩に恩を売ることに加え面倒事の種である南雲生徒会長の出鼻を挫くことが出来るメリットを考えて堀北先輩に警告することに決めた。個室を選んだのも、南雲生徒会長に勘付かれないようにするのと情報の重要性を堀北先輩に気付いてもらう為だ。

 

「……そうか。虎城、情報提供感謝する」

 

「いえ、大したことではないので」

 

暫し難しい顔をしていた堀北先輩だったが、考えが纏まったのか顔を上げお礼を述べてきたので失礼のないように返答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(大したことではない、か……)

 

先程虎城と別れ―――念の為、店を出るタイミングをズラして―――現在は寮への帰路についている中、俺―――堀北学は虎城からの情報について考えていた。

 

(大した情報ではないとは言いつつ、俺に伝える為にわざわざ個室を用意するということは、少なくとも虎城の中では信憑性がある情報ということだろう)

 

あの南雲が誰かに聞かれるというミスを犯すとは考えづらいが、虎城が言っていた通り警戒するに越したことはない。

 

(……次の特別試験では、いつも以上に周りを注意して見ておく必要があるな)

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。
仕事やら私用が重なって遅くなりました……不定期更新ではありますが、文化祭までは必ず続けていくつもりです!
感想・評価いつもありがとうございます!大変励みになっております!

【参考】特別試験のルール改変は―――

  • 堀北、ちょっと黙れよ(改変NG)
  • クラスポイント報酬・損害の増減のみ
  • ルールの一部削除、又は追加
  • 俺は許すぜ、真鍋(改変OK)
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