ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
混合合宿編の最後になります!
―――混合合宿7日目の深夜。
「予定通りだな」
暫くして静寂を破るように後方から声が発せられた。
「……何か追加の指示か?
返事をしつつ振り返れば、オレを呼び出したBクラスの王―――龍園翔が月明かりに照らされていた。
「クク。お前のその前置き要らずの姿勢は手間が省けて好ましいが、今回は別の用事だ」
そうして龍園はオレに近付き―――
―――オレの顔に向けて右ストレートを放った。
「……!」
無言でオレがそれを防ぐと、龍園は少し驚いた表情をしたがすぐさま攻撃の手を再開する。
―――左フック、膝打ち、裏拳。
幾多もの修羅場を潜り抜けて身に着けた型のない独学の戦闘スタイルから繰り出される攻撃を、回避ないしは受け止めて防ぐ。
「……」
「はっ。
―――時間にして凡そ1分。
龍園からの攻撃をひたすら受け止め、最後の1番力の入った拳を受け止めたオレを見た龍園は、疑問が解消されたような納得した表情を浮かべている。
「これが用事なのか?」
「あぁ。てめぇの本性を知っておくためのな」
先程まで殴っていた事がなかったかのように、龍園は気軽に話を進める。
「てめぇがそこそこ
「……これまでに色々あってな」
「―――クク。いいぜ綾小路、次の特別試験後にBクラスに来い。俺の配下に加えてやる」
◆
―――混合合宿最終日の夕方。
『禅』『スピーチ』『駅伝』『筆記試験』の4つの総合試験を全て終え、俺―――虎城優斗を含む男子生徒全員は小グループ分けを行った体育館へと集合していた。暫くして女子生徒も体育館へとやってきて全生徒が揃った所で初老の男性が壇上に上がった。
「林間学校での8日間、生徒の皆さんお疲れ様でした。それでは、今回の特別試験の結果を発表します」
初老の男性が男子グループから結果発表を行った。結果は1位が俺達が所属する大グループ、2位3位とBCD連合グループが続き、4位に的場のAクラス連合が所属するグループと俺達の想定通りとなった。
「1位獲得、おめでとうございます堀北先輩。流石ですね」
拍手しながら祝辞を述べる南雲先輩を、堀北先輩は真っ直ぐ見据えている。
「この勝負は
「そうですね。俺と堀北先輩との勝負は、俺の負けですね」
意味深な言葉に周りにいる3年の藤巻先輩達の顔が険しくなる。そんな空気の中、結果発表は女子グループへと移っており―――
「えー……誠に残念なことではございますが、女子グループの中からボーダーを下回る平均点を取ってしまった小グループが1つ存在します」
―――初老の男性の言葉に、生徒達が凍りついた。
「まずは最下位のグループですが……3年Bクラス、猪狩桃子さんの所属するグループです」
大グループが発表されると女子側の一部から悲鳴が上がる。恐らくその大グループに所属している女子生徒なのだろう。
「そして次に、平均点のボーダーを割ってしまったグループは―――
―――同じく3年生。責任者、猪狩桃子さんのグループです。以上となります」
そう宣言された瞬間、今まで堪えていたのを解き放つように南雲先輩が嬉しそうに笑った。
「何をした南雲!」
「落ち着いて下さいよ、藤巻先輩。今は結果発表の最中ですよ。それに、Bクラスの生徒が退学になるのはAクラスの先輩達にとって良い事じゃないですか?」
「白々しい真似をっ!」
詰め寄るように迫る藤巻先輩を見て、南雲先輩は鼻で笑う。
「本題はそこじゃないことは分かっている筈だ、南雲」
「あれ、思ったよりも冷静ですね堀北先輩」
これまで沈黙を貫いていた堀北先輩が声を掛けるが、そこに焦りが少しもないことに南雲先輩は違和感を感じたらしい。
「南雲。どうやらお前は信頼を捨て勝ちにきたようだが……だからこそ、信頼を持った俺達に負けたことを胸に刻むといい」
「何を―――」
「えー、一部お静かにお願いします。誠に残念ではありますが、グループの責任を取って猪狩さんの退学が決定致しました。また、グループ内での連帯責任を命じる事が出来ます―――
―――ですが、教師陣の監視の結果、3年Aクラスの橘茜さんを連帯責任者として指名することは出来ません。以上を踏まえて連帯責任者を選出してください」
初老の男性の言葉に、此処にきて初めて南雲先輩が驚きを露わにした。
「堀北、これは……」
「皆、隠していてすまない。知らない方がいいと俺が判断した」
何が起こっているのか分からないと言った藤巻先輩を含む3年Aクラスの生徒達に、堀北先輩は謝罪しつつその視線は南雲を捉えていた。
「南雲。方針こそ違えど、俺はお前を信用していた。だが、それもここまでだ」
最後にそう口にした堀北先輩は動かない南雲先輩に背を向け、橘先輩を含めた3年Aクラスの生徒達とその場を後にした。
―――堀北先輩と南雲先輩の勝負は、堀北先輩の完全勝利で幕を閉じた。
◆
「改めて礼を言う、虎城。お前の情報のお陰で、南雲の作戦に素早く対処することが出来た」
「いえ、堀北先輩の役に立てたのなら幸いです。それに、実際に手を打ったのは堀北先輩自身ですから」
「昔生徒会に誘った時と変わらず、謙虚なままだな」
高度育成高等学校へと戻る前の僅かな自由時間の最中、俺―――虎城優斗は堀北先輩と密会していた。堀北先輩が実施した方法は意外とシンプルで、猪狩先輩のグループが橘先輩を道連れを使用して退学を目論んでるため生徒にバレないように監視を強めるよう依頼しただけである。結果、大グループで橘先輩を追い詰めたことを学校側は認知し、橘先輩をボーダーを下回った『一因』として認めない意向を示させたということである。更には生徒にバレないようにすることで、ボーダーを下回ることを止めなかったため相手にだけ被害を出させるというオマケ付きだ。
「それと橘から話を聞いたが、悩んでいた所を佐倉に助けられたそうだ」
「確かに、少し橘先輩と話をしたって聞きましたね」
4日目の夕食時に橘先輩と昨日話をしたと聞いた時は驚いた。橘先輩が堀北先輩に助けを求める後押しをしたのが愛里であることが自分のことのように嬉しくなったのを思い出す。
「今回はお前達2人に助けられた。卒業まであまり時間はないが、この礼はいずれ返させてもらおう」
「ありがとうございます。もし迷惑でなければ、何かあった時に相談させてもらいます」
お互い手を差し伸べ握手をした後、自分のクラスが乗るバスへと向かうため別れた。
―――その機会はすぐに訪れることになることを、誰も知らない。
次回予告
愛里「あの……龍園くんは優くんのこと、どう思ってるんですか?」
龍園「あぁ?虎城は1番使える駒だ。そして佐倉、お前はその虎城を使うための鍵だ」
愛里「か、鍵、ですか?」
龍園「仮にお前に何かあれば、奴を制御するのは難しいだろうな」
愛里「あの、だ、大丈夫です!私も、少しづつですけど成長してると思いますし、それに今は優くんだけじゃなくて澪ちゃんやひよりちゃん、クラスメイトの皆がいます。勿論、龍園くんも…!」
龍園「クククッ!良い啖呵じゃねぇか、佐倉。殆ど他力本願なことを除けばな」
愛里「す、すみませんっ!」
龍園「次回『Episode 41 蠢く悪意』」
愛里「優くん。私も頑張るから、これからも隣に居させて、ね」
クラスポイント(混合合宿終了時点)
Aクラス(葛城・坂柳クラス):1243cp(+105cp)
Bクラス(龍園クラス) :1226cp(+110cp)
Cクラス(一之瀬クラス) :953cp(+203cp)
Dクラス(堀北クラス) :219cp(+152cp)
龍園クラス貯金:5740万ポイント
【参考】今回よう実3期風の次回予告をやってみたのですが、どうでしょうか?
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今後も是非やって欲しい!
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別に要らないかな…
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そんな事より愛里可愛いっ!!