ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
これもいつも読んで頂き感想や評価してくださる読者の皆様のお陰です、ありがとうございます!
また、この作品を新たに推薦してくださった『kumase』様、ありがとうございます!
それでは、本編どうぞ!
愛里と別れてトイレを済ませた後、俺―――虎城優斗はBクラスの教室に向かう中で1年生での残りのイベントについて考えていた。
(残りイベントは一之瀬潰しにクラス内投票、そして学年末特別試験の3つ。一番の懸念だったクラス内投票も、船上試験で得たプライベートポイントのお陰で問題ない)
俺達Bクラスは勿論、AクラスとCクラスも恐らく2千万は確保しているだろう。Dクラスは今までのクラスポイントから貯まっていないと思うが、こればかりはどうしようもない。
(学年末特別試験は龍園の采配がどう変わるかで対応が変わるし、今出来るのは坂柳が起こす一之瀬潰しをどう対応するかかな……)
原作通り綾小路が一之瀬潰しを裏から止めてくれるのが一番楽ではあるが龍園から直々に綾小路を移籍させることが確定した以上、櫛田の情報精度確認のために一之瀬を助ける確率は低いと考えられる。
(1年生の残り少ない期間にイベントが多すぎる。2年生になったらなったでホワイトルームの刺客が入学してくるし……)
これからの事を考え頭が痛くなるが、取り敢えずこの後起こる一之瀬潰しの対応を最優先で考えることに決めた所で教室に辿り着き扉を開いた。
「あ、虎城さん……!」
「おお、すまん石崎。教室から出るところだったか?」
扉を開くとかなり焦った表情の石崎がこちらに手を伸ばしており、恐らく教室から出ようとしていたのだろうと予想し声を掛ける。
「よかった、今虎城さんを呼びに行こうとしてたんです!」
「……?どうかし―――」
尚も焦った表情で声を掛けてくる石崎に疑問に思いながら教室内を見渡し―――
―――床に座り込んで蹲っている愛里が、視界に入った。
「愛里っ!」
すぐさま石崎の横を通り抜け、蹲っている愛里に近付き声を掛ける。
「……ぁ。優、くん」
浅い呼吸を繰り返し青ざめた愛里の様子は、先程まで一緒に登校していた時と雲泥の差だった。
「どうした、何があった!?」
「だ、大丈夫。落ち着けば、すぐ良くなる……から」
そう口にする愛里だが様子が良くなる様子は一向にない。とにかく保健室に連れて行こうと考えた所で、アルベルトが愛里の身体がお姫様抱っこで持ち上げる。
「アルベルト、頼む…!」
「I got this」
「私も一緒に行く!」
愛里を抱え力強く応えたアルベルトと付き添いを買って出た真鍋が教室を後にする。俺もアルベルトと真鍋の後を追って愛里の傍にいてあげたいが、先ずは愛里が何故あんな状態になったのか理由を知らねばならないと近くにいた椎名達に声を掛ける。
「……何があったか、聞かせてもらえるか?」
「……これが原因です、虎城さん」
そう言って椎名は携帯に表示した画面―――学校の電子掲示板を見せてきた。
◆
佐倉さんがアルベルトに抱き抱えられ教室から出て行った後、虎城さんが椎名から掲示板の存在を聞いているのを俺―――石崎大地は何も言えずただ黙って見ていた。
(佐倉さんの
夏休みに行ったプールで見せてもらった脇腹の傷―――佐倉さんを庇ってナイフで刺された傷と言っていたことから、ナイフで刺した相手がいるのであればそれが掲示板に書かれていた事件であることは予想がついた。
(佐倉さん、ツライだろうな……)
大切な人が傷付いた出来事をこんな形で掘り返されるなんて悪夢以外の何物でもな―――
―――瞬間、教室から音が消えた。
「あぁ、なるほど。そうか……そう来るか。
中学時代によく喧嘩をした自分でも感じたことがない代物が今、教室内に充満していた。
「おい虎城、殺気を抑えろ。雑魚共が使い物にならなくなる。それとも、自分で積み上げたものを壊すのに快楽を覚える変態だったか?」
誰も何も言えなくなった教室でただ一人、いつもと変わらない口振りの龍園さんの声が響いた。瞬間、教室内に充満していた雰囲気が霧散する。
「……すまん龍園、感情的になった。皆もすまない」
そう言って俺達に向かって頭を下げる虎城さんの姿を見て、緊張が解けた俺は無意識のうちに酸素を求めて深呼吸をしていた。周りを見ると他の奴も同じように息を整えている奴が多い。
「クク。それにしても、佐倉に手を出すとは自殺の方法としちゃ斬新だな」
「いいさ。そんなに◯にたいなら、望み通りにしてやるよ。……掲示板の内容については、放課後に話す。厄介事に巻き込んですまない」
未だに怒りが収まってないためか、いつもの丁寧な口調が崩れている虎城さんはそう言い残して教室から出て行った。きっと佐倉さんの所に向かったのだろう。
「た、大変なことになりましたね。龍園さん」
「クククッ。大変なのはこれを仕掛けた奴の方だがな。虎城がどこまでやるのか愉しみだ」
◆
「皆、残ってもらってありがとう」
放課後になっても早退した愛里を除くBクラスの全員が席についたまま残ってくれており、俺―――虎城優斗は壇上に立ちお礼を述べた。
「それじゃあ、皆も気になっている掲示板の件について話そうと思う」
その言葉を皮切りに全員の視線が俺に集中する。前世からの性格的に人に注目されるような事は苦手な筈だが、今の俺の心は驚くほどに凪いでいた。
「初めに言うと、この掲示板に書かれていることは
「……つまり虎城、お前は犯罪者ってことか?」
俺の言葉に大半のクラスメイトが息を飲む中、時任が強い口調で問い掛けてくる。
「今回のポイントはそこなんだ、時任」
「なに?」
「確かに俺は犯罪事件に関わった。
続けた言葉により発言した時任を含むクラスメイト達はその顔を驚愕に染めた。
「中学3年生の夏、男にナイフで刺されてな。龍園含む一部知ってる人もいるが、横腹に傷跡もある。水泳や無人島の時にラッシュガードやパーカーを着てたのはその為だ」
そうして見たくない人は目を逸らすように言った後、制服を少し捲って傷跡を見せる。俺の傷跡は男が俺を刺した後も愛里を刺そうとして動かした事で、蜘蛛の巣のような形で広く残っており見た目はかなり酷く見える。
「なっ……」
クラスメイト達は各々目を逸らすか、傷跡の酷さに言葉を失っておりそれは時任も例外ではなかった。
「でも、その……なんで虎城くんは刺されたの?」
制服を整え直した後、真鍋が皆が傷跡を知った次に知りたいと思っていることを恐る恐るといった形で質問してくる。
「……その男は、愛里のストーカーだったんだ。その男は愛里を刺そうと道の真ん中で襲ってきてそれを一緒にいた俺が庇ったというのが事の顛末だ。それが、愛里が原因と書かれた理由だろうな」
「な、何よそれ。そんなの、佐倉は何も悪くないじゃない…!」
驚愕から怒りを露わにする真鍋に他のクラスメイトも同調する。この様子であれば、この件で内部争いが起こることはなさそうだ。
「ですが、これでは相手の意図があまり読めないですね。我々への撹乱が目的だとしても虎城氏が事実を話せば、こんな掲示板は全く意味を成さないどころか今のように相手への怒りが沸くだけだというのに」
皆が掲示板に書き込んだ相手に対して怒りを露わにしている最中、金田は冷静に今回の件について何が目的なのかを考えていた。
「多分だが、これは最初から愛里を傷付けること自体が目的なんだと思う。だからこそ、この掲示板には言葉通りではあるものの事実しか書かれていないんだ」
「…っ!そういうことですか。つまり、佐倉氏の罪悪感を助長させることが今回の目的だと」
―――過去は消えない。
言葉が足りないとしても、事実であるそれを再び認識させたことで愛里は苦しんでいる。そしてそれは俺が近くにいることで思い出し、更に苦しんでしまう。
「今は、俺が愛里の傍にいることは逆効果になる。俺の存在が愛里を傷付けるなんて、皮肉だよな」
「虎城さん……」
不安そうに俺を見つめる石崎達に、心配は要らないと分かってもらうために力強く宣言する。
「だからこそ、俺は今の俺に出来ることをする。
―――龍園、いいか?」
「クククッ、あぁ。今回の件は虎城、お前の好きにやれ」
「……助かる」
龍園からの許可も貰い、改めて教室内を見回す。
「この掲示板の相手には、文字通り地獄を見せる。皆、協力してくれ」
俺の言葉に、クラスメイト達は力強く肯定を持って応えてくれた。
次回予告
堀北鈴音「掲示板に書かれた内容で、1年生の話題は持ちきりね」
櫛田「それはそうだよ。あの虎城くんのスキャンダルだからね。皆が食いつくのも無理ないかな」
堀北鈴音「それでも、あんな噂話で彼程の人望が揺らぐとは思えないわ」
櫛田「そうだとしても、人は誰かの不幸を喜ぶ生き物だからね。対処は早いに越したことはないと思うな?」
堀北鈴音「次回『Episode 43 4クラス会議』」
櫛田「噂話で人間関係が壊れないように、皆は注意してね」
【参考】今回よう実3期風の次回予告をやってみたのですが、どうでしょうか?
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今後も是非やって欲しい!
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別に要らないかな…
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そんな事より愛里可愛いっ!!