ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

50 / 86
今回いつもより短いのと書きたい内容だったので、そこそこ早めに完成出来ました!
いつも感想・評価を沢山頂けてとても嬉しいです、ありがとうございます!

それでは、どうぞ!


Episode 46 愛してる

 

 

 

 

 

 

 

「あの坂柳理事長の娘で優秀だと聞いていましたが、期待外れにも程がありますね。坂柳さん」

 

虎城優斗と坂上先生が退出し坂柳有栖と月城理事長代理の2人のみとなった理事長室にて口火を切ったのは、月城理事長代理の失望の言葉だった。

 

「正式な処罰は先程言った通り次の特別試験後になります。とは言っても、退学までの猶予が少し延びた程度の違いでしかありませんが」

 

「……哀れんでいるつもりなら、もう少し表情の喜色を隠したらどうですか?」

 

「やれやれ。言葉には気を付けたほうが良いですよ?貴女の手綱は、今や完全に私にあるのですから」

 

坂柳からの向けられる怒気を含んだ視線を涼しげに受け流しながら、月城は言葉を続ける。

 

「貴女は次の特別試験で結果を出せば良いと考えているかも知れませんが、それは無駄ですよ。次の特別試験は急遽組み込むことになった試験であり、クラス内の投票により必ず各クラス1人退学者が出る試験内容なのですから」

 

「…っ!?」

 

目を見開き驚愕する坂柳。希望になると考えていた特別試験がまさか自分にとって猛毒だった衝撃は大きい。どう足掻いても退学濃厚という自分の結末を想像し、杖を持つ手が僅かに震える。

 

「このまま学校を去るのは、貴女にとっては何よりも屈辱でしょう?」

 

そんな坂柳の内心を見透かしたように、月城はある(・・)提案(・・)を口にする。

 

 

 

 

 

 

「次の特別試験を利用して、綾小路清隆を退学にして下さい。そう動くと約束するならば、処罰実施を盾に貴女の(・・・)特別試験免除と(・・・・・・・)処罰について(・・・・・・)多少の融通(・・・・・)を約束(・・・)しましょう(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……どうしたら、いいのかな)

 

薄暗い部屋の中、私―――佐倉愛里はベッドの上で座り込んで何もせずじっとしていた。

 

 

 

―――また、何もしなかった(私は動けなかった)

 

 

 

今日のホームルームで坂上先生から、掲示板に書き込みを行わせた坂柳さんには次の特別試験後に処罰が実施されることが伝えられた。不信任案が提出された南雲生徒会長については数日後に全校生徒による投票が行われる予定で、その結果次第となるらしい。

 

(全部、優くんが色んな人に頼んだり動いたりして解決してくれた―――私が原因なのに)

 

 

 

―――また、何もしなかった(優くんが被害を受けた)

 

 

 

署名してくれたクラスの皆にお礼を言って、その後はいつも通り授業を受けた。放課後は寄り道せずに自分の部屋に戻ってきたが、そこで限界がきてしまった。

 

(優くんに、話しかけれなかった……)

 

 

 

―――また、何もしなかった(優くんの優しさに甘えた)

 

 

 

「ゆう、くん……」

 

あの時と同じように溢れる涙が頬を伝い、ベッドに落ちて染みを作っていく。まるで古い鏡のように、あの頃の無力なまま何も変われていない自分をずっと見せ続けられている感覚が襲う。

 

 

 

 

 

―――ガチャリ。

 

 

 

 

 

鍵の掛けた筈の玄関のドアが開かれ、こちらに近付いてくる足音が響く。私の部屋の合鍵を持っているのは、1人しかいない。

 

 

「愛里」

 

 

―――今一番聞きたくて、聞きたくない声がする。

 

 

「………駄目だよ、優くん」

 

 

 

―――また、何もしなかった(優くんに守ってもらった)

 

 

 

「私が、優くんと一緒にいるのは―――」

 

 

 

 

 

 

 

「愛里、ごめんな」

 

 

 

 

 

 

「―――ぇ?」

 

想像もしていなかった謝罪の言葉に驚いて、私は顔を上げて優くんに視線を向ける。

 

「入学時のクラス分けの話をした時に、ちゃんと俺の気持ちを話しておけば……いや、そうじゃないな。病院での告白のタイミング、俺はそこを間違えたんだ」

 

私から一歩引いた位置に立つ優くんの顔は、過去を悔やむ顔(私と同じ顔)をしていた。

 

「あの時、俺は自分の気持ちを優先して愛里に告白した。

 

 

―――愛里が、何かに悩んでいたのを聞かずに」

 

「…っ!」

 

その言葉を聞いて、私は胸の奥から何かがゆっくりと込み上げてくるのを感じる。

 

 

 

「……愛里、遅くなってごめん。

 

 

―――愛里の気持ちを全部、聞かせてくれないか?」

 

 

 

 

「ゆう、くん……」

 

立ち上がった私は、込み上げてきた想いをゆっくりと言葉にしていく。

 

 

「―――優くんのことが、好き。

 

―――小さい頃、揶揄われてた私を助けてくれた優くんが、好き。

 

―――私を大切なものみたいに優しく触れてくれる優くんが、好き。

 

―――私を、守ってくれる優くんが、好き」

 

 

 

言葉は、止め処なく溢れてくる。

 

 

「―――でも!私は、ずっと優くんに守ってもらってばかりだった!そんな私が、優くんの隣に居ていいのかって……守られて嬉しいって気持ちと、何も出来ない自分が嫌だって気持ちがいつもあって!」

 

 

泣き叫ぶように、私は想いの丈を全て吐き出す。

 

 

「そんな弱い私が恋人で、優くんは……いいの?」

 

 

優くんと恋人になってからずっと胸の奥にしまい込んでいた想いを吐き出した私を、優くんは―――

 

 

「―――愛里のことが好きだ。

 

―――俺が不安な時、隣で支えてくれる優しい愛里が好きだ。

 

―――友達のために、勇気をだして守ろうとした愛里が好きだ。

 

―――俺を、幸せにしてくれる愛里が、好きだ。

 

 

 

 

―――愛里がいいんだ。

 

―――誰でもない、佐倉愛里を俺は愛してる」

 

 

 

 

あの頃と同じ優しい目で私を見て、愛を伝えてくれた。

 

「ゆう、くん……!」

 

私と優くんとの間にあった一歩分の空白。優くんが私を想って空けてくれていたその距離を、私から踏み出してゼロにする。

 

 

「私も、優くんのこと、愛してる……!」

 

 

あの時と同じ酷い涙声での告白は、あの時よりもお互いの心を強く紡いで。

 

 

―――月明かりが差し込む部屋で、2人の影は1つに重なった。

 

 

 

 





次回予告

虎城優斗「これで今回の件は全て解決だな」

佐倉愛里「うん。その……ありがとう、優くん。私、優くんのか、彼女で、幸せ、だよ」

虎城優斗「俺こそ、愛里の彼氏でいられて幸せだよ」

佐倉愛里「あ、あぅ……」

虎城優斗「……っ」

龍園翔「てめぇら、いつまでもイチャついてんじゃねぇ。さっさと次回予告しろ」

佐倉愛里「ご、ごめんなさい…!」

虎城優斗「次回『Episode 46.5 独白Ⅳ』!」

佐倉愛里「―――優くん。愛してる」



クラスポイント(掲示板事件終了時点)

Aクラス(葛城クラス)   :1243cp

Bクラス(龍園クラス)   :1226cp

Cクラス(一之瀬クラス)  :953cp

Dクラス(堀北クラス)   :219cp

龍園クラス貯金:5900万ポイント

【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?

  • 読んでみたい!
  • 本編の執筆に影響がなければOK!
  • それより本編を進めるんだよぉ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。