ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
よう実の展示見れて良かったです!
それと、原作最新刊と公式ガイドブックを買ったのですが、ランダム特典のイラストカードがまさかの龍園と綾小路でした(笑)
しかも今日見たら日間ランキング8位!
お陰で執筆意欲もバリバリですので、これからも頑張ります!
また、いつもたくさんの感想・評価をありがとうございます!
それでは、どうぞ!
急遽追加で行われることとなった特別試験―――クラス内投票の説明を茶柱先生が終えると同時に、オレ―――綾小路清隆が在籍しているDクラスの教室は正に阿鼻叫喚という言葉に相応しい状況に陥っていた。
「最悪の特別試験が始まっちまったじゃねぇか!どうすんだよ!」
「山内うっさい!静かにして!」
「何だと!?お前、さては俺に批判票入れるつもりだな!それなら、俺もお前に入れてやるよ!」
自分に批判票が入れられるかも知れないという不安から疑心暗鬼となり、クラスメイト達が互いに牽制し合うのを傍目にオレはこれからのことを考えていた。
(優斗に頼んでBクラス生徒の賞賛票を俺に入れてもらえれば、
平田か堀北が居なくなるのが最も効果的だが、平田はこれまでリーダーをしてきた信用がありほぼ不可能だ。堀北は出会った頃なら簡単だったが、夏休みの無人島からクラスに溶け込んで今では平田に並ぶリーダー格、最近生徒会にも所属したことで現時点ではこちらも同等の難易度だろう。
(平田と同じ理由で櫛田も難しい。一芸特化型の幸村や須藤といった面々の方がリスクも少なく成功させられるか……)
誰を退学に誘導するか吟味する中、軽井沢が思い出したかのように口を開いた。
「そうだ、洋介くん。夏休みに手に入れた大量のプライベートポイントあったじゃない?アレで何とかならない?」
「そうだよ、平田!どうなんだ!?」
池の言葉を受けた平田の顔は、変わらず暗いままだ。
「……干支試験で手に入れた600万プライベートポイントは、僕と堀北さんでそれぞれ300万ずつ分けて持っていて今もそのまま残ってるけど―――」
「言い換えると増えてもいないわ。半分の1000万にも届いていない以上、今から
平田と堀北から退学回避が不可能である現実を突きつけられ、クラスメイト達は何も言えなくなり教室が静まり返る。
「―――虎城くんに、相談してみようと思う」
その沈黙は、平田が
「虎城って、この前彼女のために署名してくれって頼んできたBクラスの?」
「あぁ、そっか!虎城くん達Bクラスってプライベートポイントめちゃくちゃ持ってるんだ!」
池が疑問声を上げるが、それを掻き消すかのような歓喜の声が軽井沢から響いた。
「うん。Bクラスは干支試験で各クラスから1000万ずつ回収してるから、虎城くん達が獲得した分も含めて4700万は最低でも持ってる筈だよ。自分のクラスの退学者を救済しつつ、僕達の不足分を充分補える額だ」
「よ、4700万!?」
その膨大なプライベートポイントに須藤が驚き叫ぶ。クラスメイト達も同じような反応をしている中、櫛田と堀北が難しい顔をして口を開く。
「確かに平田くんの言う通り、Bクラスはプライベートポイントに余裕がある。だけど、問題はそこじゃないと私は思うな?」
「櫛田さんの言う通りよ。確かに、Bクラスの貯蓄であれば私達の不足分を簡単に出すことが可能だわ。
―――ただし、それを龍園くんが簡単に許すかしら?」
「……っ」
堀北の言葉に平田は何も言えない。平田自身分かっていて、意図的に言わなかったのだから。
「虎城くんが善人とはいえ、彼は他クラスの生徒であり龍園くんの配下よ。大量のプライベートポイントをリーダーに相談なく貸すなんて絶対にしないわ。そして、龍園くんであれば貸す条件に無理難題を吹っかけてくるでしょうね」
「………そうだとしても、相談するだけしてみてもいいと僕は思うんだ」
「……わかった。同じ生徒会の私から話を通してみるわ」
平田は折れないと察した堀北は、自分も交渉につくことで勝手に契約をしないようにするつもりのようだ。
―――結果、クラス内投票への不安を何一つ解消出来ずにDクラスの話し合いは終了した。
◆
「なんで坂柳が免除なんですかっ!」
―――1年Aクラスの教室に、戸塚弥彦の叫び声が響く。
「落ち着け、弥彦」
「無理ですよ、葛城さん!」
それを止めるため俺―――葛城康平は弥彦に声をかけるが、逆に弥彦はヒートアップしていく始末だ。
「無人島では葛城さんの足を引っ張ろうとして、挙げ句に犯罪行為まで!こんな奴、退学したほうが―――」
「弥彦っ!」
「か、葛城さん……」
言葉を遮るように怒声を上げた俺を、何で止めるんですかといった表情で見てくる弥彦に視線を合わせる。
「弥彦が俺を想って言ってくれていることは重々分かっている。だが、今は落ち着くんだ。いいな?」
「……………葛城さんが、そう言うなら」
葛藤の末、俺の願いを聞き入れて席に座る弥彦を嬉しく思いつつ今度は真嶋先生に視線を向けた。
「真嶋先生、騒がしくして申し訳ありません」
「……いや、大丈夫だ。クラス内投票のルール説明は以上だ。
―――皆が、無事に特別試験を乗り越えることを願っている」
何処か悲痛さを感じさせる真嶋先生が教室から去った後、最初に立ち上がったのは坂柳だった。
「私が居ては空気を悪くするだけですので、一足先にお暇させて頂きます」
いつもなら神室か橋本辺りが必ずついて行くのだが、掲示板の件以降は坂柳は完全に孤立し殆ど1人でいるようで今も1人だけで教室から出て行った。
(……坂柳の性格からして大人しくする訳がないというのに、
不安は残るが、先ずは今回の特別試験について俺の考えを皆へと話すために口を開く。
「皆、聞いて欲しい。俺の想像だが、今回の特別試験での学校側の狙いは退学者を出すことではなく、2000万プライベートポイントをプロテクトポイントに入れ替えさせることだと考えている」
「入れ替える、ですか?」
弥彦の言葉に俺は頷いて見せて、説明を続ける。
「俺達の学年は、夏休みに行われた干支試験で大量のプライベートポイントを保有している。そのプライベートポイントを使用されるのを、学校側は阻止したいのだろう」
「干支試験で配ったのが6000万近く。しかも俺等とBクラスは夏休み明けからクラスポイントが1000を超えてて、毎月の支払いも10万以上だからな。Cクラスも今は900近くを維持してるし、幾らDクラスが200辺りでも去年の支払いだけでも1億を超えてくる」
俺の言葉を補足するように橋本が学年全体のプライベートポイントの総数を概算で見積もると、それを聞いたクラスメイト達はその総額に驚きを露わにしていた。
「……2000万プライベートポイントは使用の幅が広すぎる。だからこそ、退学回避限定のアイテムと入れ替えさせたいというのが学校側の本音だろう。そもそも、退学者を出すことが目的であれば、この特別試験時のみ救済不可等で絶対に出来ないようにする筈だ」
「確かに、葛城の言う通りだな」
俺の考えに橋本が同意しクラスメイト達も納得を示す中、神室が徐ろに俺に聞いてくる。
「それで、葛城はどうするの?」
「……坂柳の処罰が決まっていない中、大量のプライベートポイントを使うのはリスクが高い行為だろう。
―――
無論、今回は干支試験での虎城の温情と今までの積み重ねで退学回避が出来る事実を重く受け止めることが大切だ」
俺の指針と釘刺しにクラスメイト達が安堵しつつも気を緩めていないことを確認し、他クラスへの賞賛票については明日考えるとして今日は解散することにした。
◆
「皆、大丈夫。クラス貯金は2000万を超えてるから、問題なく救済出来るよ」
星之宮先生からクラス内投票のルールが説明された後、私―――一之瀬帆波は皆から預かっているプライベートポイントの総額が2000万以上あることを確認し伝えると、教室内に充満していた重苦しい雰囲気が霧散した。
「ありがとう、帆波ちゃん!」
「お陰で、この理不尽な試験で誰も退学せずに済むな!」
クラスの皆が矢継ぎ早しに私に向かってお礼を言ってくれたり、喜んだりする。
―――
(不甲斐ないなぁ……)
自身の端末に表示される2000万を超えるプライベートポイント。その内の550万は干支試験で獲得したものであり、これが無ければ現時点で2000万には届いていなかった。
(追い付きたいのに、全然追い付けない……)
他クラスで戦う相手である筈なのに退学者救済のプライベートポイントを考える優しさがあって、だけど自分のクラスを勝たせるために非情にもなれる。そして、彼女のために全力な―――やっぱり優しくて、そして尊敬出来る人。
「一之瀬」
名前を呼ばれた方へ視線を向けると、そこには私と同じ雰囲気を纏った神崎くんがいた。
「勝手な推測だが……多分、一之瀬と同じことを俺も感じている」
「……うん、雰囲気で何となく分かるよ」
私と近い立場から
―――
「―――皆、私の話を聞いてくれないかな?」
私は意を決してクラスメイト達に呼び掛ける。私の雰囲気を感じ取ってくれたのか、皆すぐに静かにして聞く態勢を取ってくれた。
「―――今の段階で2000万を貯めることが出来たのは、私のお陰じゃない。夏休みの時点で大量のプライベートポイント獲得を実行して、敵である私達に救済について考えさせてくれた……Bクラスの虎城くんのお陰」
私の言葉を受けてクラスの皆がそれぞれ何かを考え出す中、私は話を続ける。
「今回の特別試験、私達のクラスが退学者を出さずに乗り越えることが出来るのは……敵である虎城くんのお陰なの。
―――私は、それが堪らなく悔しいっ…!」
流れ出る涙もそのままに、私は心に渦巻く感情を皆に伝える。
「クラスの皆は私を信じてついてきてくれているのに、その私自身が虎城くんに助けられてばかり。クラスのリーダーとして、不甲斐なくてごめんなさい」
「帆波ちゃん……」
「一之瀬……」
「―――でも、だからこそ、
また間違ったりするかもしれないし、今度こそ退学者が出るかもしれない。
―――それでも私は、
思いの丈を全て伝えて問い掛けた私は、改めてクラスメイトの皆を見る。最初に口火を切ったのは、私と同じ気持ちを持っていた神崎くんだった。
「俺達は、これまで一之瀬を頼って任せてきた……任せ過ぎていたんだ。
―――これからは、俺達も変わらないといけない。クラス全員で考え、Aクラスを目指そうとしなければ前に進めないんだ」
「神崎……」
神崎くんの発言も、皆には届いているように見える。それでも、意識改革というのはそんな簡単に出来ることではない。そう、私は考えていた―――
「帆波ちゃん、ごめんなさい…!」
「麻子ちゃん?」
―――入学してから1ヶ月でCクラスへの降格。
―――Bクラスに昇格した生徒からの嫌がらせ。
―――初の特別試験で思うように増えなかったクラスポイント。
「私達、全部帆波ちゃんに任せてた……ううん。責任を帆波ちゃんに押し付けて、逃げてたんだ」
「神崎にも負担を掛けたな、ほんとごめん…!」
―――スタートで差を付けられ、その後も暫くの間差を広げられ続けたCクラスの生徒達の危機感と対抗心は、
「勿論、一之瀬がリーダーで良いに決まってる!でも、これからはもっと
「私達も、帆波ちゃんと一緒に頑張るから…!」
次々と賛同の声が上がる中、私は再び涙を流していた。
「みんな、本当にありがとう…!」
―――Aクラスで卒業する。その目標に向けて、私達は確かに大きな一歩を踏み出した。
次回予告
虎城優斗「何気に俺が出てないのって、独白除けば初じゃないか?」
石崎大地「主人公の虎城さんが出ないこともあるんすね。まぁ、どのクラスの話でも虎城さんの名前は出てきてますけど」
虎城優斗「干支試験は偶々全部上手くいっただけなんだが、退学者が殆ど出ることがなさそうで安心だよ」
石崎大地「でも、Dクラスは流石に厳しいそうっすね。そうだ、虎城さん!ちょっと後で他クラス生徒への賞賛票について相談があるんすけど、いいっすか?」
虎城優斗「ん?あぁ、別に構わないぞ」
石崎大地「次回『Episode 49 影のストラテジー』」
虎城優斗「石崎からの相談って、何だろな?」
【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?
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読んでみたい!
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本編の執筆に影響がなければOK!
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それより本編を進めるんだよぉ!