ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

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執筆意欲が高ければ、目の前にぽっかり空いた穴(スランプ)に落ちず『絶頂(短期間連続投稿)』のままでいられる…!(某絶頂おじさん風

いつもたくさんの感想・評価をありがとうございます!

それでは、どうぞ!


Episode 49 影のストラテジー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「虎城さん!ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいっすか?」

 

クラス内投票が通達された日の放課後。生徒会の仕事のため生徒会室へと向かおうと席を立った俺―――虎城優斗に、石崎が駆け寄り声を掛けてきた。

 

「すまん、石崎。これから生徒会の仕事があってな。夜なら時間取れると思うが、それでもいいか?」

 

「はい、それで全然大丈夫です!それじゃあ、また夜にお願いします!」

 

そうして駆け足で去っていく石崎を見送った後、改めて生徒会室へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「虎城くん。少しいいかしら?」

 

今日やるべき生徒会の仕事を片付け終えたタイミングで、向かいの席に座る堀北から話し掛けられた。ちなみに一之瀬や葛城といった他の生徒会役員は既に帰宅済みであり、生徒会室は俺と堀北の2人だけだ。

 

「特別試験についての話かな?」

 

「……えぇ。その通りよ」

 

流石にこのタイミングで俺に話す用件なんて1つしかないため此方から内容を切り出すと、堀北は難しい顔をしつつ肯定する。

 

「平田くんも交えて、貴方と話がしたい。ついてきてくれないかしら?」

 

「……わかった」

 

生徒会室の戸締まりを完了させてから、堀北の後について行く。辿り着いたのは寮から程近い海沿いにあるベンチが並ぶ一角、そのベンチの1つに平田が座っていた。

 

「突然呼び出してごめんね、虎城くん」

 

「いや、大丈夫だ。……想像はついてるが、一応聞いておこうか。用件は何だ?」

 

俺の言葉を受けて、平田は深々と頭を下げた。

 

「お願いだ、虎城くん。退学者救済に必要な2000万ポイント、その不足分を貸してもらえないだろうか…!」

 

「……不足分はいくらなんだ?」

 

俺からの言葉に隣で聞いていた堀北は驚いていた。恐らく、にべもなく断られると思っていたのに不足分の額を聞いてきたからだろう。

 

「……1400万位になる、かな」

 

「……そうか」

 

「……っ」

 

俺の相槌に堀北も平田も無言になり、辺りの風の音だけが響く静寂に包まれた。

 

 

 

「―――ポイント借用の打診があったことは、龍園に伝えよう」

 

 

 

そんな静寂は、俺が放った一言に破られる。

 

「ほ、本当かい?」

 

「言っておくけど、受けたわけじゃないぞ。そもそも、クラスの貯金を俺の独断で貸すなんてしないからな」

 

「……でも、断らないのね。正直に言えば、即決で断られると私は思っていたから」

 

「条件次第だよ。こっちに相応の見返りがあれば、考えてもいいってだけだ。話が終わりなら、俺は先に帰るよ」

 

そう言って俺は寮の方に足を進める。そうして数歩進んだ所で、やはり言っておこうと思い平田達に視線を向けた。

 

「―――今のは、龍園クラス(・・・・・)()虎城優斗(・・・・)としての(・・・・)決定だ(・・・)

 

「……え?」

 

「ここからは、俺個人(・・・)としての(・・・・)意見だ(・・・)。嫌なら聞き流していい」

 

そう前置きをしてから、俺は本音をぶち撒けた。

 

 

 

「―――巫山戯るのも大概にしろよ」

 

「「っ!?」」

 

 

 

坂柳の時ほどではないが、怒気を含んだ俺の言葉に平田と堀北は狼狽えるように後退った。

 

「確かに、どのクラスからも退学者を出させたくないのは紛れもない俺の本心だ。だからこそ、干支試験では大量のプライベートポイントの獲得を目指し実行した。

 

 

―――だが、今回退学者を救えないのはお前達のこれまでの行動が原因だろうが」

 

「そ、それは……」

 

思い当たる節があり口籠る平田に、俺は追撃する。

 

「入学1ヶ月でクラスポイントを全て吐き出し、暴力事件を起こす。2000万の重要性を知っているのに不足分が1400万ってことは、干支試験での獲得ポイント分だけでクラスメイトから毎月の徴収もしてないんだろ?

 

 

―――それで退学者を救いたいだなんて、巫山戯ているとしか言えないだろ。違うか?」

 

俺の問い掛けに、平田と堀北は何も答えない―――いや、答えられない。

 

「……ポイント貸し借りについては、明日辺りに返事する」

 

最後にそう言い残して、今度こそ寮へ向かってその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで石崎、相談ってなんだ?」

 

平田達と別れた後、石崎を自分の部屋に招き入れた。

 

「一応言っとくけど、賞賛票と批判票を誰に入れたらいいかについては龍園が言った通り、自分で考えないといけないから助言は出来ないぞ?」

 

「それは大丈夫です!いや、考えないといけないのはそうなんですけど、相談したいのは他のクラスの生徒への賞賛票で……」

 

そう言う石崎は、意を決したように自身の考えを口にする。

 

 

 

「その賞賛票―――綾小路に入れることって出来ないですかね?」

 

 

 

「……どうして、綾小路に賞賛票を入れようって思ったんだ?」

 

石崎の口から俺が最初に(・・・)考えた(・・・)作戦と(・・・)同じ内容(・・・・)が出て少し驚いたが、念の為清隆を苗字呼びしつつ何故その考えに至ったかを聞き出すことにした。

 

「その、今回の試験でダチの綾小路に退学して欲しくないなって。あいつ、天然で面白いけどDクラスにダチあんまし居ねぇみたいだったんで……」

 

「上げたと思ったら少し落としたな」

 

ボッチなことを清隆に言ったら多分凹むなと思いながら、続きを聞く。

 

「それに、その……そう!プロテクトポイントを持った綾小路を引き抜けばウチのクラスは2人もプロテクトポイント持ちがいる事になって、より安全じゃないですか!綾小路なら虎城さんや俺は勿論、アルベルトと椎名も歓迎しますし!」

 

「後半の理由は今思い付いたみたいだけど……なるほどな」

 

清隆がスパイであることは、俺と龍園しか知らない。椎名はもしかしたら気付いている可能性があるが、石崎は確実に知らない筈だ。それなのに友達という理由だけで同じ作戦を思い付くとは、普通に驚きだ。

 

「石崎は何というか、過程すっ飛ばして本質突くことあるよな」

 

「え?どういうことです?」

 

「いや、独り言だから聞き流してくれ。良い案だと思うから俺から後で龍園に確認してみるよ。返事は明日まで待ってくれるか?」

 

「わ、分かりました!ありがとうございます、虎城さん!」

 

石崎が部屋から出た後スマホを取り出し、龍園に電話をかける。数回のコールの後、電話が繋がった。

 

『どうした、虎城』

 

「もしもし、龍園?ちょっと話があってな」

 

石崎からの相談内容をそのまま話すと、龍園は面白かったのか笑い声が響く。

 

『クククッ。石崎にしちゃ上出来な考えだ。それで虎城、てめぇはどう考える?』

 

「勿論、石崎の考えも充分ありだと思う。俺も同じこと考えたしな。ただ、もう一つ思い付いた作戦とどっちがいいか迷ってる」

 

『ほぅ?どんな作戦だ?』

 

「―――プロテクトポイントを優秀じゃない生徒に押し付けるって作戦」

 

敢えてプロテクトポイントを清隆ではなく、別の誰か―――山内等のクラスが不利になる生徒に渡す。そうすることで実質プロテクトポイントを腐らせ、不和を呼ぶ火種にすることが出来る。

 

(それに、清隆がプロテクトポイントを手に入れた場合、確実に月城が剥がしに掛かるからなぁ)

 

原作において坂柳が清隆にプロテクトポイントを与えた結果、月城は学年末特別試験に介入し清隆を敗北させプロテクトポイントを消費させた。仮に今回清隆がプロテクトポイントを獲得し、プライベートポイントが潤沢な俺達のクラスに移籍した場合、月城がどんな強行に出るか分からない。それを防ぐためにも出来れば後者の作戦でいきたいと言うのが俺の本音である。

 

『なるほどな。クラスの足手纏いには長く居座ってもらおうってことか』

 

「その通り。それに態々こんな理不尽な特別試験でプライベートポイントを回収しにくる学校が、同じクラスにプロテクトポイント持ちが2人もいる状況を黙って見過ごすとは思えないしね」

 

『はっ、確かにな。……他クラスの票の動きを見てぇから、明日まで様子見だ。どうするかは俺が決める』

 

「了解したよ、龍園。……そうだ、平田から1400万のポイントを貸して欲しいって交渉されたよ。龍園なら条件付きで契約するかもと考えて一応回答は明日ってしてるけど、どうしておく?」

 

平田からのポイント打診について話をすると、先程とは打って変わって龍園は酷く退屈したような素っ気ない言葉で答える。

 

『救えねぇ奴等だ、断っとけ。相手するだけ時間をドブに捨てるだけだ』

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――月明かりと街灯の灯りだけが辺りを照らす真夜中。

 

寮に程近い自販機の前にDクラスの男子生徒―――山内春樹はいた。

 

「ったく、こんな時に限って飲み物なくなるんだもんなぁ……」

 

完全に備蓄を怠っていた山内の自業自得であるのだが、そんなこと露にも思っていない彼は飲み物を購入後自室に戻るためエレベーターに向かうと、丁度誰かが降りてきた所だった。

 

「げっ!?」

 

その生徒が誰か認識した山内は思わず声を上げた。特徴的なベレー帽に杖をつきながら歩く彼女は同じ1年生で今最も嫌われていると言って過言ではない女子生徒―――坂柳有栖だった。

 

「……ぁ。こ、こんばんは」

 

「ど、どもぉ」

 

話し掛けられたので山内は一応返事はしたものの、立ち去るために足早にエレベーターへと向かおうとする。

 

「あ、あの、Dクラスの山内春樹さん……ですよね?」

 

「うぇ!?そ、そうだけど……」

 

そうしてエレベーターに乗ろうとした直前、坂柳から名前を呼ばれたことで山内は思わずといった形で坂柳と視線を合わせた。

 

「っ!お、お願いです。私の話を聞いてくれませんか!?」

 

「い、いや、それはちょっと……」

 

部屋に戻ろうとする山内を必死に引き留めようと、坂柳は山内に近付き裾を掴んだ。

 

「お願いです、少しだけで構わないんです!どうか、どうか…!」

 

「うっ……わ、わかった、分かったよ!少しだけだからな!」

 

坂柳からの涙声の必死の懇願―――結果、山内は少しだけだと言い坂柳の話を聞くことにした。

 

 

 

 

 

―――坂柳の(・・・)口角が(・・・)上がった(・・・・)

 

 

 

 





次回予告

櫛田桔梗「正論ストレートを真正面から叩きつけられて、堀北さん達可哀想……」

橋本正義「櫛田ちゃん。そう思うなら、せめてその見るからに上機嫌な笑顔はやめたほうが良いんじゃない?」

櫛田桔梗「おっと。いけない、いけない。そういう橋本くんは私と違って不安そうな顔してるね。何かあったの?」

橋本正義「いやぁ、なんかお姫さんがまた良からぬことしようとしてそうな嫌な感じがしてな?」

櫛田桔梗「うーん、今の坂柳さんは何も出来ないと思うけどなぁ。力を貸そうなんて考える人も居るわけないし……それこそ、女の子の嘘に簡単に騙されるような単細胞の馬鹿でない限り、ね?」

橋本正義「……なんか、不安感がめちゃくちゃ増したんだが」

櫛田桔梗「次回『Episode 50 活動的な馬鹿より恐ろしいものはない』

橋本正義「おい、マジでいないよな!?」

【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?

  • 読んでみたい!
  • 本編の執筆に影響がなければOK!
  • それより本編を進めるんだよぉ!
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