ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
それでもいつもよりはだいぶ早く出来たので許してヒヤシンス(土下座)
いつもたくさんの感想・評価をありがとうございます!
それでは、どうぞ!
―――クラス内投票が通達された翌日。
唯一退学者救済ポイントが足りないDクラスだけが他の3クラスと違いピリピリとした空気が充満しており、オレ―――綾小路清隆の隣に座る堀北が顔を顰めた。
「……嫌な空気ね」
「今朝の平田とお前の話を聞けば、こうもなるだろうな」
虎城に相談した結果、龍園に話を通してもらえたがポイント借用については断られたことを聞かされたクラスメイト達の反応が酷かったことは言うまでもないだろう。
「龍園に断られた現状、退学者救済は現実的じゃない。どうするつもりなんだ?」
「……退学すべき生徒を選ぶ他ないわ。これは、リーダーとして2000万ポイントをこれまでに集められなかった私が背負うべき責任よ」
体育祭から兄と向き合い始め、平田と共にDクラスを引っ張りながら先月生徒会入りを果たした堀北は入学当初からは見違える程に成長している。もし現状が違っていたら、このまま堀北の成長を促し見定めていたかもしれない。
(―――だが、
―――
◆
「優くん、どうかな?」
「うん。いつも着てる淡い色の服も似合うけど、今着てる黒も愛里の髪色が映えて凄く似合うね」
「あ、ありがとう、優くん」
試着した服を見せてくる愛里に俺―――虎城優斗なりに感想を伝えると、愛里は照れたように顔を赤らめながら笑顔をみせてくれた。今日は生徒会の仕事が休みのため久しぶりに愛里と放課後ケヤキモールにデートに来ているのだが、2年生がゴタゴタしているからかいつもより人が少ないと感じる。
(犯罪者だから心は全く痛まないけど、南雲退学しちゃったな。俺がやったこととはいえ、完全に原作が見る影もない……)
愛里のことを好きな俺は最初から原作通りになんて考えていなかったが、もはや別物といえる程に乖離したことに少し驚いていた。
(これも、俺含め色んな人の成果かな)
「優くん?どうかしたの?」
そんな感情に浸っている所に愛里から声を掛けられ、意識を浮上させる。こちらを見つめてくる愛里の胸元には、去年のクリスマスにプレゼントしたペアリングがチェーンに通され首に掛けられていた。
「愛里と一緒にいれて、めちゃくちゃ幸せだなって噛み締めてた」
「え!?な、きゅ、急にそんな……あぅ」
俺の言葉に照れた愛里は赤くなった顔を隠すように両手で覆った。
「いつ見てもお熱いねぇ、お二人さん?」
そんな愛里の照れた可愛い姿を見ていると声を掛けられたのでそちらに視線を向けると、Aクラスの橋本が軽く手を上げてこちらに歩いてきていた。
「こ、こんにちは」
「橋本か。余裕そうな所を見ると、葛城は誰が最下位でも救済することにしたんだな」
「そういうこと。正直、お姫さんが対象外って言われた時はかなり焦ったけどな。賞賛票を集めることはしておくが、一先ずは安心してるよ」
坂柳が対象外となったAクラスで、無人島試験で裏切っていた橋本が最下位になる可能性は十分にあることは橋本自身も分かっていたから、葛城の方針は橋本にとって願ったり叶ったりだろう。
「余計なお世話だと思うけど、コウモリ外交も程々にしておかないと、こういった試験の時にあっさり切られるぞ」
「手厳しいねぇ。まぁ実際その可能性が高かったから、何も言えねぇけど」
「他に用がなければ、もう行くぞ。デート中なんでな」
「おぉ、悪い。後1つだけ」
愛里とのデート中なので話を切り上げようとした俺に、橋本が耳打ちしてくる。
「これは俺の勘だが、お姫さんが動きそうだ。逆恨み甚だしいが、このまま何もしないタマじゃないからな」
「……まぁ、そうだろうな。葛城は?」
「出来る限り監視は付けてるみたいだが、完全に動きを制限出来る訳じゃないからな。警戒しておくにこしたことはないぜ?」
「分かった。忠告助かる」
「おう。それじゃ、用も済んだしお邪魔虫は退散するとしますよ」
そう言って橋本は寮の方向に歩き去っていった。
「優くん?何かあったの?」
「……いや、まだ何も。ただ、これから起こるかもって感じだな」
「そっか……」
「大丈夫だよ。そんな問題にはならない筈だから」
不安そうにする愛里を安心させるため、愛里の手を取り強めに握る。そんな俺の意図に気付いたのか、愛里からも握り返してきたことを嬉しく思いながら俺達はデートを再開した。
◆
―――クラス内投票まであと2日。
オレ―――綾小路清隆はいつも通り登校し教室に入ったのだが、昨日とは違い過ぎるクラスの雰囲気を感じ取った。
(―――昨日はあれだけ落ち着きがなかったのに、今日は
自分の席に座り改めて教室内を盗み見る。昨日までは全員が全員、他の生徒の顔色を伺うように目線をあちこち向けていたり目立たないように気配を消したりしていたが、それが今日になって普通に友達と会話しており笑顔まで見て取れた。
「……何かあったの?」
今しがた教室に入ってきて隣に立った堀北も、この雰囲気を感じ取ったようで眉を顰め呟いた。
「堀北も感じたか」
「ちょっと嫌な雰囲気ね。昨日までお互い牽制し合ってたのが嘘のようにいつも通りだわ」
「そうだな」
堀北に返事をしながら、この雰囲気の原因に当たりをつけていた。
(……特定の誰か1人を蹴落とそうとする大きなグループが出来たのが、可能性として高いか)
仮にクラスの4分の1にあたる10人が同じ人物に批判票を入れるだけで、平田や堀北といった重要人物でなければ十分危険領域になるだろう。
(仮にオレがターゲットなら、
そうしてオレは
◆
―――もうすぐ日付が切り替わろうとする深夜。
寮から程近いベンチの一角で俺―――虎城優斗は
「遅くなってごめんね、虎城くん」
「いや、呼び出したのはこっちだから気にしないでくれ。わざわざ来てくれてありがとう、
寮の方から走り寄ってきたのは、1年Dクラス所属―――櫛田桔梗である。
「それで、話って何かな?」
「……プライベートポイントを貸さない癖に図々しいとは分かってるけど、Dクラスはどんな状況か少し気になってね。今回の特別試験で退学者が出るのは、多分Dクラスだけになるだろうから」
「そうだね。特別試験が言われた時は酷かったけど、今はそうでもないかな」
「……平田がいるから可能性は低いって考えてたけど、もしかして大勢で1人の生徒を蹴落とそうと動いてるのか?」
俺がそう聞くと櫛田は少し考える素振りをみせた後、1つ頷いた。
「虎城くんになら、いいかな。虎城くんの予想通り、クラス内で大きなグループが作られて1人ターゲットにされたみたいなの」
「なるほどな。そのターゲットにされた生徒は運がないな。それとも、それだけのことをされる程に嫌われている生徒なのか?」
「うーん、私から見たらそんな事はないかな。クラスだとあんまり目立たない生徒だから、むしろターゲットに上がったことが意外だと思ったよ」
櫛田の言葉を聞いて俺は頭を抱えるような仕草を行う。多少驚きがあるのは事実だが、こうすることで櫛田に完全に想定外だったと思わせることが重要だ。
「櫛田さん。俺さ、Dクラスに友達が居るんだよね。目立たないって聞くとその友達が頭を過るんだけど、そのターゲットにされてる生徒って―――」
「そ。綾小路くんだよ」
俺の言葉にあっさりと答えを提示する櫛田を警戒しつつ、俺は大袈裟に溜息をついてみせた。
「教えてくれるのは俺にとっては助かるけど、良かったのか?」
「このまま知ってたのに綾小路くんを退学させたら、虎城くんを敵に回しちゃいそうだからね。私としてもそれだけは避けたいの」
「……そうか。教えてくれて助かったよ、櫛田さん。以前に言ってた件も、対戦することになったら必ず」
「うん、その時はよろしくね。それじゃ、またね虎城くん」
そう言い残した櫛田が寮へと足早に去って行ったのを確認し、
『首尾は?』
「上々だよ。狙われてるのは清隆だった。ただ、俺と交流のある清隆が狙われるのは出来過ぎてるから、恐らく坂柳辺りが裏で絡んでそうだな」
『クククッ!まさか、まだ自傷したりないとは流石に驚きだ。とんだ変態だな」
「それだけ俺に復讐したいんだろうな。俺本人じゃなくて周りに手を出す時点で、たかが知れてるけど」
『違いないな。まぁいい、明日何も動きが無ければ作戦通りに動くよう綾小路にも伝えとけ』
「了解」
―――
次回予告
堀北鈴音「クラス内投票も終盤ね」
綾小路清隆「あぁ。それで、退学にする生徒を誰にするか決めたのか?」
堀北鈴音「……えぇ。投票前日に理由も含めてクラス全員に話すつもりよ」
綾小路清隆「そうか」
堀北鈴音「随分余裕なのね、綾小路くん」
綾小路清隆「そう見えてるだけの虚勢だ。今の堀北はクラスのリーダーとしてやってきた実績と、生徒会役員の肩書きがある。そんなお前に指名されれば、平田や櫛田でもない限り覆すことは厳しい。仮にオレが指名されれば、何の抵抗も出来ずに退学になるだろうな」
堀北鈴音「なるほど、覚悟を決めてると言うわけね。なら、静かに見ているといいわ」
綾小路清隆「そうさせてもらう」
堀北鈴音「次回『Episode 51 因果応報:獅子身中の虫』」
綾小路清隆「……この結末は、お前が招いたんだろう?」
【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?
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読んでみたい!
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本編の執筆に影響がなければOK!
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それより本編を進めるんだよぉ!