ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ   作:nightマンサー

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お待たせしました!
かなりの難産で何度も書き直したりしましたが、切れた燃料(執筆意欲)を他の作者様のよう実二次小説読んで補充しつつ頑張りました(笑)

いつもたくさんの感想・評価をありがとうございます!

それでは、どうぞ!



Episode 51 因果応報:獅子身中の虫

 

 

 

 

 

 

 

 

───クラス内投票前日。

 

クラスの雰囲気は昨日から変わらずいつも(・・・)通り(・・)の中、オレ───綾小路清隆は放課後を迎えようとしていた。

 

(何もなければ、オレはこのままクラス内投票のターゲットにされ大量の批判票を投じられる)

 

オレが退学した所で、このクラスの生徒達は然程傷付かないだろう。最初のうちは多少の罪悪感があったとしても時間が経てば綺麗になくなる、D()クラス(・・・)内では(・・・)その程度の交流関係しか築いてこなかったのだから当然だ。

 

「それではホームルームを終わる。明日は土曜日だが特別試験だ、寝坊するなよ」

 

そんな茶柱の言葉と共に、学校が終わりを告げる。そうして皆が帰り支度を始めようとする一瞬の静寂の中───

 

 

 

───堀北が席を立った。

 

 

「皆、少し時間をもらえるかしら」

 

凛とした堀北の声に高円寺を除く全員が何事かと注目する。

 

「明日の試験、その退学者について。大事な話があるの」

 

「堀北さん、やっぱり───」

 

「駄目よ、平田くん。私達で色々な人に融資を頼んだ結果、今の時点で2000万を集められなかったのだから退学者が出るのは確定したわ」

 

「っ……」

 

何かに耐えるように絞り出した平田の呼び掛けは、堀北により論破された。堀北はそのまま教壇へと向かい、その前に立った堀北は教室内を一瞥する。

 

「先ず、クラスを預かる身でありながら2000万を貯めることが出来なかったことについて謝罪するわ。つい最近までクラスポイントが少なかったとはいえ、少しずつでも貯蓄をするべきだったと思う。ごめんなさい」

 

堀北の謝罪をクラスメイト達は何も言わずに受け入れていた。何せ夏休み明けに一度、少額でも皆から徴収して貯金を増やそうと堀北は提案していたのだが、それを皆が強く反発し断念したという経緯があるからだろう。

 

「……そして、クラスから退学者が出ることが確定してしまったからには、誰が相応しいか考えなくてはならない。

 

 

───それを踏まえて、私は2()()の生徒を候補に上げるわ」

 

瞬間、教室内の空気が張り詰める。

 

 

「1人目は───山内春樹くん、貴方よ」

 

 

張り詰めた空気の中、堀北は淡々と1人目の名前を告げた。

 

「………は?な、なんで俺何だよ堀北ぁ!?」

 

まさか自分が候補になると思っていなかったのか、山内は数秒固まった後に声を荒げる。

 

「貴方のこれまでのクラス内での貢献度は極めて低い。身体能力や学力、これまでの授業態度と得意不得意の有無を総合的に見れば、クラス内での重要度は貴方が最下位といっていいわ」

 

「はぁ!?ふざけんなよ!船での試験でクラスポイント稼いだこと忘れたのかよ!」

 

堀北が提示した理由に、山内は船上試験での失態(功績)を訴えた。

 

「忘れるわけがないわ。

 

───それこそが、貴方を候補に入れた最大の理由なのだから」

 

「な、なんでそれが理由になるんだよ!?」

 

「あの時、既に私達含めた3クラスがBクラスと契約を交わしていたわ。そんな中で、貴方がしたことは無防備な背中を斬りつけるような卑劣な行為よ。その結果、私達のクラスは1学期以上に孤立し他のクラスとの交渉は絶たれたわ」

 

「それは……!そ、それなら健はどうなんだよ!暴力沙汰起こしてたし、それでクラスポイント減らしてるじゃねぇか!」

 

山内の言葉に須藤はバツが悪そうに目を逸らした。

 

「……確かに、須藤くんもあの頃のままなら候補に上がっていたでしょうね。でも、彼は体育祭で確かな実績を残し学力も目に見えて向上している。貴方と違ってクラスに貢献しようとこれまで努力を重ねて、且つ結果を出しているわ」

 

「鈴音…!」

 

これまでの努力を認める堀北の言葉に須藤は感激しているが、実際ワースト3位以内には入る可能性は濃厚だろう。そんな須藤を尻目に堀北は話を続ける。

 

「それに対して、山内くんは船上試験以降目立った活躍はない。更にクラスのために努力する様子も皆無な面も考慮して、貴方を今回の候補に上げたわ」

 

「な、納得いかねえ!そんなんで納得出来るかよ!」

 

「貴方自身の納得は関係ないわ。これまでの貴方を見てきた皆が判断することよ」

 

感情のままに騒ぎ立てる山内に堀北は至極冷静に対応する。そしてその矛先は、2人目に向けられる。

 

「そして、2人目は───

 

 

 

 

───綾小路清隆くん、貴方よ」

 

瞬間、山内を含めたクラスメイトの半数以上が僅かだが反応した。恐らくオレに批判票入れようとしている面々だろうが、今と(・・)なっては(・・・・)無意味(・・・)なことだ(・・・・)

 

「……理由を教えてもらっていいか?流石に理由が分からず候補に上げられるのは、オレも納得出来ない」

 

言葉の間を置いて動揺しているように見える演技をしつつ質問すると、堀北は冷静を装いながら答える。

 

「貴方が、Bクラスのスパイ───裏切り者の可能性が高いからよ」

 

堀北の言葉に今度はクラスメイト全員がざわついた。

 

「Bクラスと繋がった裏切り者が居るって話をペーパーシャッフルの時に堀北がしていたのは覚えている。ただ、なんでオレになるんだ?」

 

「私と平田くんは誰がBクラスと繋がっているのか、体育祭が終わってからずっと探していたわ。けれど、裏切り者は体育祭の参加表の横流し以降動く気配がなかった」

 

「それなら、オレが裏切り者だという証拠は無いのに候補に上げたのか?」

 

「……今朝、私と平田くんに匿名でメールが届いたわ。

 

 

───『綾小路清隆は裏切り者である』の一言と、貴方が虎城くん、そして龍園くんと夜中に会っている写真がね」

 

そうして堀北はその写真をDクラスのチャットに投下し、確認するように促した。確認すると恐らく盗撮であろう写真にはオレと虎城、そして龍園がまるで密会しているような場面が写っていた。

 

「勿論、これだけでは裏切り者だという証拠にはならないわ。けれど、貴方は体育祭で参加表を知る生徒の1人であり、混合合宿では龍園くんの提案に乗るように平田くんを制した。これだけ違和感が揃えば、疑うには十分ではないかしら?」

 

堀北の詰め寄る言葉に平田が心配そうにオレを見てくるが、それを無視して堀北に反論する。

 

「夜に会っただけで疑われるのは流石に無理がないか?参加表は手伝ったから知っていたが、混合合宿で平田を制したのは流れが龍園にあると思っての判断だ。疑われるのは心外だ」

 

「……会っていたことは認めるのね」

 

「龍園は違うが、優斗とは友人だ。友人と会うのは、そんなに不自然なことか?」

 

「虎城くんだけならそこまで問題ではないわ。龍園くんが一緒なのが問題なのよ」

 

「優斗と龍園の関係なら、一緒にいることも多い。偶々その時に話しかけたのが撮られただけだ」

 

オレと堀北の言葉の応酬をクラスメイト達は黙って聞いていたが、クラスメイトがオレを見る視線から堀北が優勢なのが読み取れる。

 

「……それが、貴方の言い分なのね」

 

「あぁ。オレは裏切り者じゃない」

 

堀北は一度目を伏せてから、再度全員に視線を向ける。

 

「───私からは以上よ。この話が気に入らない人もいるでしょう。なら、私の名前を書きたい人は書けばいい。それでも、私は自分の意見を言うべきと判断したわ。後は、皆の意思を尊重する」

 

 

 

 

 

 

 

 

───クラス内投票、当日。

 

既に投票は完了し後は結果を待つだけであるが、唯一退学者が出るであろうDクラスの教室内が他のクラスと同様に落ち着いている様子を私───堀北鈴音は感じていた。

 

(昨日の演説で、クラスに必要な人物が退学になることは避けれた筈……)

 

クラス内投票のルール上、話し合いの場が設けられていないため必然的に仲間内で票をコントロールしようとするのは目に見えていた。そうなった場合、クラスに必要な優秀な生徒が退学になる可能性がある。それを避けるため、汚れ役を買ってでも私は退学者候補となる人物を皆に伝えた。

 

(最善ではなかったけれど、最悪は避けられるわ)

 

そう考えている最中、教室のドアが開かれ茶柱先生が入室してくる。

 

「……全員席に着け。早速だが、投票結果を発表する」

 

生徒各々が様々な思いを抱える中、結果発表が開始された。

 

「先ずは、賞賛票上位3名からだ。賞賛票3位は───櫛田桔梗」

 

名前を呼ばれた櫛田さんは安心したように胸を撫で下ろした。彼女の人気から賞賛票上位になることは想定内だったため、驚くことはない。

 

「続いて2位は───堀北鈴音」

 

自身の名前を呼ばれて少しだけ肩の荷が降りる。昨日の大立ち回りで幾つか批判票が入れられても可笑しくなかったが、生徒会入り等で思った以上にクラスメイトから信頼を勝ち取れていたらしい。

 

「そして、賞賛票1位は───平田洋介」

 

私含め殆どの生徒が想定通りの順位であったため、特に誰も何も言わずに賞賛票の順位発表は終了した。

 

 

───問題は、ここからである。

 

 

「───では、批判票1位を発表する」

 

茶柱先生の言葉に教室内が静まり返った。全員が言葉を聞き逃さないように集中し、空気が張り詰める。

 

「批判票1位は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───須藤健、お前だ」

 

 

 

「…………は?」

 

数秒の静寂後、名前を呼ばれた須藤くんが呆けた声が漏れた。

 

「───2位は池寛治、3位は山内春樹。以上が投票結果だ」

 

淡々と2位と3位の生徒を伝える茶柱先生を見て、私もようやく現在の最悪な事態を把握する。

 

「退室だ、須藤。これから退学手続きを行う」

 

「……ちょっと、待ってくれ。俺が、退学?批判票1位だ?」

 

茶柱先生が退室するよう声をかけるが、現実を受け入れられない須藤くんは立ち上がり頭を抱えた。

 

「茶柱先生、その投票結果は本当なのですか?」

 

「……本当だ。投票結果に不備はない。須藤が批判票1位であり2000万プライベートポイントが支払えない以上、退学することは決定事項だ」

 

未だに受け入れられない結果に対しての私の質問はあっさりと跳ね除けられる。

 

「待ってくれ、待ってくれよ!やっと、ようやく前に進み始めたんだ!こんな所で終われねぇよ!まだ、言えてねぇことだって……!」

 

「須藤くん……」

 

顔を悲痛に歪ませる須藤くんの慟哭が教室内に響く。それを止めることはクラスメイトは勿論、私にも出来ない。

 

「……須藤。退室だ」

 

ゆっくりと近づいた茶柱先生が、再度須藤くんの名前を呼び退室を促した。

 

「あ……ああああああああ!!」

 

その叫びが、須藤くんの最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───1人欠けた教室。

 

重苦しい雰囲気に私───堀北鈴音を含め誰も席を立とうとせず、時間だけが過ぎてゆく。

 

 

 

───そんな中、教室の扉が無遠慮に開け放たれた。

 

 

 

「邪魔するぜ?」

 

不遜な物言いで入ってきたのは、Bクラスのリーダーである龍園くんだった。後ろには虎城くんと山田くんも同伴している。

 

「退学したのは去年暴力事件起こした赤髪か。不良品共にしては妥当な人選じゃねぇか、なぁ?」

 

「……わざわざ教室まで来るなんて、何か用かしら?」

 

教室内を見回して須藤くんが退学したことを悟った龍園くんの挑発するような問い掛けに乗らないよう、席から立ち上がり数歩前に出て私が対応する。

 

「クククッ!なに、俺は迎えに来ただけさ」

 

そんな私の内心を見透かしたように笑った後に言い放った龍園くんの言葉に、私は疑問を覚えた。

 

「迎え……ですって?」

 

「あぁ。偶然会っただけで裏切り者扱いされた可哀想な奴でな?そんなクラスに居るのは嫌だっていうから、心優しい俺が手を差しのべてやったのさ」

 

その言葉と共に私を含めたクラスメイト全員の視線が、1()人の(・・)男子生徒(・・・・)に向けられる。

 

 

 

 

「坂上に伝えて、既に手続きは終わってる。

 

 

 

 

───歓迎するぜ、綾小路。俺達のクラスにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、龍園。優斗も、話を通してくれて助かった」

 

龍園と優斗にお礼を言いつつ、彼らの元へと歩き出す。そんなオレ───綾小路清隆の前に堀北が立ち塞がった。

 

「本当に私達を裏切っていたのね、綾小路くん」

 

侮蔑の眼差しを向ける堀北に、オレは心底呆れてしまう。

 

「裏切り?清隆はそんなことをしていないよ」

 

堀北の言葉に優斗が反論し、制服の内ポケットからボイスレコーダーを取り出した。

 

「だって裏切り者は───

 

 

 

───櫛田さんだからね」

 

 

『……虎城くん。こっちはただのお願いになるんだけど、もしDクラスと直接対決することになったら、完全に負かしてもらえないかな。その為なら、私はBクラスに協力する』

 

 

再生されたボイスレコーダーから櫛田が裏切りが露呈される。これには櫛田も含めたDクラスの生徒全員が驚愕の表情を浮かべた。

 

「え、今のって……」

 

「桔梗ちゃんの声、だよね?」

 

「Bクラスに協力するって、マジで?」

 

生徒達が疑問を口にする中、当人である櫛田は誰が見ても分かる位に動揺していた。

 

「な、なんで……!」

 

「Dクラスにもはや価値はねぇ。これ以上てめぇと関係を持ってる方がデメリットだからな。桔梗、てめぇとはこれで終わりだ」

 

櫛田の疑問に、龍園が簡潔に答える。一連の流れにDクラスの生徒は櫛田こそが裏切り者だと認識した。その結果、1つの(真実)が導きだされる。

 

「じゃ、じゃあ綾小路は……裏切り者じゃない?」

 

池が放った言葉にDクラスの生徒の大半が青ざめ始める。恐らく、堀北の言葉を信じオレを裏切り者だと思って批判票を入れた生徒達だろう。

 

「っ……」

 

目の前の堀北は恐らく違和感(・・・)を感じて必死に考えている様子だが、もはや堀北だけでこの盤面は覆せない。

 

「入学当初、堀北はオレに色々と命令してくれたよな?」

 

「あ、綾小路くん……?」

 

「奢るといった食堂のランチを食べたら同意と見なして命令し、時にはコンパスの針を右腕に刺してきた事もあった」

 

「そ、それは……」

 

入学当初の話は、堀北にとっては相当耳が痛いだろう。生徒会入りした今なら尚更である。

 

「勿論、他の生徒に対しても色々あるが昨日の話も大きい。さっきの反応から、皆もオレが退学するのが良いと思っていたのは想像がつく。そんなクラスに居たくないと思うオレは、間違っているか?」

 

オレの言葉に完全に沈黙し顔を俯かせる堀北の横を通り、龍園達の傍に並び立つ。

 

「用件はそれだけだ。それじゃあな、不良品共」

 

そう言い残して龍園が教室を後にするのを虎城達と共についていく。

 

 

───口出しする者は、1人もいなかった。

 

 





次回予告

虎城優斗「清隆も俺達のクラスに移籍して、これで正式に仲間だな」

綾小路清隆「あぁ。優斗は勿論、龍園にも感謝してる」

虎城優斗「それにしても、Dクラスはもうボロボロだな。身体能力の高い須藤は退学、生徒から人気のあった櫛田の裏切り発覚に清隆の移籍。建て直しはほぼ無理だろ」

綾小路清隆「そうだな。建て直しと言えば、Aクラスはどうなんだ?坂柳が処罰待ちだった筈だが……」

虎城優斗「あぁ、それは───この後だな」

綾小路清隆「次回『Episode 52 そして少女は絶望を知る』」

虎城優斗「───とてもアワれすぎて何も言えねえ」

【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?

  • 読んでみたい!
  • 本編の執筆に影響がなければOK!
  • それより本編を進めるんだよぉ!
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