ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
感想がいつもの倍以上送られてきていて少しビビりましたが、滅茶苦茶嬉しいです!
いつもたくさんの感想・評価をありがとうございます!
それでは、どうぞ!
───時は、須藤に退学が言い渡される少し前に遡る。
「それでは、投票結果を発表します」
坂上先生の言葉に俺───虎城優斗を含むBクラスの生徒に緊張が走る。退学しないとはいえ、誰も批判票1位で龍園からの罰を受けたくはないだろう。
「先ず、賞賛票の3位ですが───」
「発表はそれぞれ1位だけで十分だ、坂上」
3位から発表しようとした坂上先生の厚意を龍園はバッサリ切り捨てた。
「敬語を使いなさい、龍園くん。……賞賛票1位は───虎城優斗」
龍園の物言いに呆れつつも、要望通り1位から発表してくれる坂上先生に感謝していると自分の名前を呼ばれる。
(こうして皆に慕われていることを目に見える形で実感出来るのは、結構嬉しいな)
欲を言えばプロテクトポイントは愛里に持たせたかったが、クラス貯金はまだ2000万以上残っているし問題ないだろう。
「続けて、批判票1位は───時任裕也」
名前を呼ばれた時任は不機嫌そうな顔をしつつも騒ぎ立てることなく受け入れていた。
「皆さんご存知でしょうが、念のため宣言しておきます。事前に龍園くんが2000万を支払っていますので、時任くんの退学は無効となります」
時任の退学が無効となったことを坂上先生が改めて宣言し、Bクラスのクラス内投票は終了した。
「坂上、例の手続きはどうなった?」
「敬語を使いなさい、龍園くん。……それでしたら、既に完了しています」
龍園の言葉に坂上先生は怪訝な顔をしつつ回答し、それを聞いた龍園は満足げに笑い席から立ち上がり教壇の前へと移動した。
「てめぇらに伝えておくことがある。
───今回、Dクラスから綾小路っていう男子生徒をうちに引き抜いた。時任の救済と合わせて4000万使ったことを頭に入れろ」
龍園の突然の宣言にクラスメイト達は様々な反応を示す。石崎やアルベルト、椎名といった清隆と交流が深い者は喜色を。金田や伊吹といった清隆を知りつつも交流が浅い者は疑念を。時任といった清隆を知らない者達は驚愕を露にした。
「時任、処分の1つ目だ。移籍してくる綾小路に手持ちのプライベートポイントの8割を渡せ。後は綾小路を連れてきて虎城に説明させてやるから、全員待機してろ」
「お、おい!待て、龍園っ!」
言いたいことだけ言って清隆を迎えに行こうと教室を後にしようとする龍園に、時任が待ったをかける。
「2000万を使ってDクラスの奴を引き抜いただと!?ふざけてるのか!?」
「ククッ、批判票1位になっても噛み付く姿勢が変わってなくて安心したぜ」
「はぐらかすな、龍園っ!」
反発する時任を見ながら笑う龍園に時任は声を荒げた。
「綾小路って、確か私達の賞賛票の半分以上の投票先だよね?」
「うん。何人かは山内って奴に入れるよう言われたけど、殆どが綾小路に入れるよう指示されたよ」
「引き抜く前に退学されると不味いから、俺達に賞賛票入れさせたってことか?」
クラスメイト達が色々と推測する中、龍園と時任の会話は続く。
「答えろ龍園、なんでDクラスの奴を引き抜いたのか。納得出来る理由を!」
「お前のその反骨精神は嫌いじゃねぇが、もっと頭を使え。
───俺が使えねぇ道具を引き抜くと思ってんのか?」
ゾッとする程の威圧感を放つ龍園に気圧された時任は一歩後ずさった。言葉を向けられていないクラスメイト達にも緊張が伝わる程に龍園の言葉には力があった。
「ククッ。まぁ、疑うのも無理はねぇ。今の時点で綾小路に実績はないからな。それは今後の奴の働きを見て、てめぇら自身で判断しろ。虎城、アルベルト、行くぞ」
そう言い残して龍園が教室から出ていくのに、俺とアルベルトは少し遅れて追従した。
◆
龍園達と共に清隆を連れてBクラスの教室に戻ってきた俺───虎城優斗は、クラスの皆に清隆が以前からDクラスで受けた仕打ちから俺に相談し龍園に実力を示して移籍を許可されたことに加え、先程のDクラスでの出来事も追加で説明する中で今回のことを振り返っていた。
(それにしても、見事に策が決まった結果になったな)
堀北と平田に送られた密会写真付きのメールは、龍園が送ったものだ。写真も数日前に石崎に撮らせたものであり捏造写真ではないためメールの内容は全て事実なのだが、それを櫛田というもう1人の裏切り者を露呈することにより偽物だと錯覚させ、メールとこれまでの違和感から糾弾した堀北に非があるように見せることで清隆の移籍に正当性を持たせることに成功した。
───相手を蹴落としつつ、対外的には正当性を持たせる。
これが、龍園と俺が考えた
「───というのが、清隆がうちのクラスに移籍するまでの経緯だよ」
俺の説明が終わりクラスの皆は清隆に視線を向けていた。その視線は先程の話から同情や心配が大半であったが、流石にこれまで敵対していた他クラスの生徒を歓迎する雰囲気までにはなっていなかった。
「よく来たな、綾小路ぃ!歓迎するぜ!」
そんな雰囲気をぶち壊すかの如く、石崎が綾小路に近付き肩を組んで笑顔を見せる。綾小路が一瞬驚いたように目を見開くが、すぐにいつもの無表情に戻った。
「……あぁ。ありがとう、石崎」
「ったく、嬉しいんならもっと笑ってみせろってんだ、この!」
「悪いな。オレの表情筋はサボりが好きみたいでな」
「あん?なら俺が仕事させてやるよ、ほら!」
石崎と綾小路の漫才のような会話を皮切りに、教室内の雰囲気が清隆を受け入れるものに変わっていく。少なくない質問に対して順番に回答する綾小路を見て、感慨深い気持ちになる。
(そうなって欲しくて行動してきたけど、本当に原作での石崎の提案が成立するなんてな……)
原作では敵として戦いたかった為に実現しなかった龍園と綾小路のタッグ。それがこの世界では確かなものとして実現を果たした。
「話は終わりだ。後は好きにしろ」
「あ、龍園。この後暇なら俺の予定に付き合わないか?」
用事は終わったとばかりに鞄を持ち教室を後にしようとする龍園に提案すると、案の定龍園は怪訝な顔で俺を見てくる。
「虎城。それは俺を呼ぶほどのイベントってことなんだろうな?」
「勿論。むしろ、龍園好みのイベントだよ。
───坂柳への処罰が決まったみたいだよ」
俺の言葉に龍園は怪訝な顔から一転、
◆
───理事長室にて、2人の人物が向かい合っていた。
「……」
1人は1年Aクラス在籍の女子生徒───坂柳有栖。彼女は何も言わずにソファに座り佇んでいた。
「いやはや、随分とお待たせしましたね。坂柳有栖さん」
もう1人はこの部屋の現在の主───月城理事長代理。普段から柔和な笑みを浮かべる男性で、今も笑みを浮かべながら言葉を紡いでいた。
「……いえ。それで、私が呼ばれたということは処罰が決まったということでしょうか?」
「えぇ、お察しの通り。ですがその前に、貴女の成果を聞いておきましょうか?」
月城の言葉に、坂柳は首を横に振った。
「申し訳ありません。Dクラスの生徒を使って誘導しましたが……どうやらBクラスに手を打たれたようです」
「その様ですね。Bクラスの生徒の大半が綾小路くんに賞賛票を投じていましたので、批判票1位にするのは不可能でした」
Dクラスの生徒の批判票の先は綾小路と山内、そして過去の暴力事件から須藤の3人が筆頭となっていた。龍園は前日の堀北の演説を綾小路から聞いており、綾小路に30票、山内に10票の賞賛票をBクラスの生徒に投じさせ2人を退学させないように動いた結果、残った須藤が批判票1位に追い込まれたという訳である。
「ですが、実際Dクラスの生徒の大半は綾小路くんに批判票を入れていたようなので、貴女の策はほぼ成功していたといっていいでしょう。お見事です」
「それはどうも、ありがとうございます」
言葉は好意的であったが、それを言う2人の雰囲気は険悪そのものだった。
「では、本題に入りましょうか」
そうして月城はその笑みを一層深め───
「坂柳有栖さん。
───貴女を退学処分とします。明日までに荷物を纏め、学外に退去して下さい」
「……分かりました」
月城の退学宣言に言葉を返した坂柳はゆっくりと立ち上がり、部屋の扉へと歩き出す。
「おや、あっさりと受け入れるのですね?」
「貴方が私を助けないのは分かっていましたから。それでは」
坂柳が退出していった扉を月城は暫く見つめた後、呆れたようにため息を吐き出した。
「その名の通り、今も
◆
理事長室から帰路についた私───坂柳有栖は明日のことについて考えを巡らせていた。
(本当は特別試験というきちんとした舞台で勝負したかったのですが、致し方ありませんね。後程、綾小路くんへチェスの誘いをするとしましょう)
退学することになったが、私にとってこの学校で卒業することに興味はない。私の興味は昔からたった1人の人物に向けられているのだから。
「よぉ、坂柳。退学の祝いに来てやったぜ?」
呼ばれた方に視線を向けると、そこにはBクラスの龍園くんに虎城くん。それに加えて綾小路くんまで一緒に佇んでいた。
「わざわざ出待ちしているとは、良い趣味をしていますね?」
「ククッ、自傷癖のお前には負けるさ。本当なら俺が潰してやる予定だったが、あっさり退学になるとは……口ほどにもなかったなぁ、坂柳?」
「龍園くんの挑発に付き合ってあげても良いですが、今は時間がありませんので遠慮しておきます」
龍園くんとの安い挑発のし合いは不毛なため早々に切り上げ、綾小路くんへと視線を向ける。
「こんにちは、綾小路くん。お元気そうで何よりです」
「……オレに何か用か?」
綾小路くんの返答に
「えぇ。残念ながら、私は明日までに出ていかなくてはなりません。その前に、私とチェスで勝負してもらえますか?」
綾小路くんのことを知った私は去年の冬休みに彼と会話をしており、その際に私がホワイトルームを知っていることを伝え宣戦布告を行ったため、彼ならばこの誘いを受けると考えていた。
「───お前は、何をふざけたことを言っているんだ?」
「…………え?」
───綾小路くんからの返答を飲み込むのに、数秒掛かった。
「その反応……まさか、優斗の彼女を傷付けたお前からの勝負を受けると本気で思っていたのか?」
「……受けて、くださらないと?」
───言葉の意味を考える、当たり前のことが出来ない。
「お前は自分のことを相当高く評価しているみたいだが、犯罪行為で人を貶めるような奴が凄いわけないだろ」
「そ、れは……」
───頭が考えることを放棄し、上手く息が出来なくなっていく。
(私は、貴方に……人肌の温もりを知って欲しくて───)
「理解したなら、今後オレに関わらないでくれ。
───はっきり言って、不快だ」
───少女は絶望によって、夢から醒めた。
◆
(……なんというか、アワれすぎて何も言えなかったな)
清隆の言葉を受けた後、まるで脱け殻のように生気をなくしながら寮の方へと向かう坂柳を俺───虎城優斗を含め龍園と清隆は見送った。原作知識から清隆の台詞が坂柳にとって最も効果的だったことを悟ったが、これも今までの坂柳の行いのツケだと思うと何も言えなかった。
「何かは知らんが、てめぇの言葉がクリーンヒットしたみてぇだな、綾小路?」
「偶然だ。もしかしたら、淡々と事実を突きつけられたのが意外と効いたのかもな」
「クククッ、まぁいい。今日は色々と面白いものが見れたからな。帰るぞ」
そう言って龍園が歩き出し、俺と清隆はそれに追従する形で帰路につく。
───こうして、
次回予告
一之瀬帆波「ついに退学者が出ちゃったね……」
葛城康平「あぁ。だが、Dクラスの生徒はともかく、坂柳はそれだけのことをしていたのだから同情はしない。それに、そればかりに気を取られていられる状況でもないからな」
一之瀬帆波「……そうだね。私達だってやれるんだってみせてあげるんだから!」
葛城康平「次回『Episode 53 1年生最後の特別試験』」
一之瀬帆波「負けたままで終わらないよ!」
クラスポイント(クラス内投票終了時点)
Aクラス(葛城クラス) :1043cp
・坂柳退学(温情処置):−150cp
・掲示板事件の賠償:−50cp
Bクラス(龍園クラス) :1276cp
・掲示板事件の賠償:+50cp
Cクラス(一之瀬クラス) :953cp
Dクラス(不良品クラス) :219cp
・須藤退学(ペナルティ無し):±0cp
龍園クラス貯金:2060万ポイント
・時任救済:−2000万
・綾小路移籍:−2000万
【参考】短めの小話(日常の一部切り取り的な話や入学時別クラスの番外編等)って需要ある?
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読んでみたい!
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本編の執筆に影響がなければOK!
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それより本編を進めるんだよぉ!