ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
中々に難産で時間がかかりましたが、作者としては上手く出来たと思います!
いつも感想・評価、誤字報告ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
───綾小路が虎城の部屋を訪れる少し前。
私───佐倉愛里は皆で選抜種目試験で行う種目を決めた後、ひよりちゃんから話があると言われて部屋を訪ねていました。
「今お茶を用意するので、好きな場所に座って待っててもらえますか?」
「うん。ありがとう、ひよりちゃん」
机とベッドの他は大きな本棚が置いてある、ひよりちゃんらしい部屋に入り言われた通り座って待っていると、ひよりちゃんが飲み物を持ってきてくれて私に手渡してくれた。
「粗茶ですが、どうぞ」
「あ、えっと。ど、どうも…!」
唐突なひよりちゃんの言葉に少し詰まりながら返すと、その姿が可笑しかったのかひよりちゃんが少し笑った。
「すみません、少しからかってしまいました」
「だ、大丈夫だよ!えっと、それで話って何かな?」
恥ずかしさを誤魔化すため、ひよりちゃんの話を聞こうと口にするとひよりちゃんの動きが止まった。
「ひよりちゃん?」
「───愛里さん。少し、変なことを聞いてもいいですか?」
「……うん」
これまで見たことのないひよりちゃんの表情と瞳に、ただならない雰囲気を感じ取った私はどんなことにも真剣に答えようと決意し頷く。
「愛里さん。
───私は、清隆くんのことが好き……なのでしょうか?」
「……えっ?」
そうして構えていたにも関わらず、私は全く予想していなかった質問に思わず声が漏れた。
「清隆くんとは本の趣味も合いますし、一緒にいて居心地の良さを感じています。ですが、なんと言えばよいのでしょう……こう、ふわふわとした感覚で自分では確信が持てていないんです。それで、虎城くんと恋仲の愛里さんであれば何か分かるのではないかと思いまして……」
ひよりちゃんの相談を聞いた私は、優くんと出会った頃を思い出していた。
「私も、最初はひよりちゃんと同じ気持ちだったなぁ」
「愛里さんも?」
「うん。優くんと出会った最初の頃、私をからかってくる男の子達から守ってくれたことが嬉しくて。それから優くんと一緒にいると心地好くて、胸が温かくなってふわふわしてた」
当時の幼かった私はその気持ちが何なのか分からず、ただただ優くんと一緒にいたいとだけ考えてた。それが、最初の1歩目だと私は信じている。
「えっと、その……ひよりちゃんの気持ちを小さい頃の私の気持ちと比べるのは、失礼なのは分かってる。
───でも、ひよりちゃんのその気持ちは……とても大切で大事なものだと、私は思う」
「……そう、ですね。ありがとうございます、愛里さん」
私の回答に、ひよりちゃんはお礼を返しつつ何かを決めたような表情で頷く。
「愛里さん。不躾なお願いで申し訳ないのですが、
───明日、私と愛里さん、清隆くんと虎城くんの4人でお出掛けすることを虎城くんに提案してもらえませんか?」
◆
───清隆に相談された翌日。
寮のエントランスにて、俺───虎城優斗は少し落ち着きを欠いている清隆と一緒に愛里と椎名が来るのを待っていた。
「なぁ、優斗。オレの格好は問題ないか?」
「大丈夫だよ。あんな会話した次の日に出掛けるってなったら落ち着かないのも分かるが、変に意識し過ぎるのは良くないぞ」
「……そうだな」
俺の忠告を肯定しているものの、やはり意識してしまうのか視線を動かしたりする
(やっぱり、環境が悪かったのが大きいんだろうな……)
非人道的なホワイトルームで育ち、初めて社会に出たと思ったら非常識な面々が多く集まるDクラスでの学校生活。その後も堀北と茶柱、櫛田と個別ではあるが複数人から脅迫されたりすれば原作の清隆になるのも無理はないと思えた。
(この成長が原作より正しいのかは分からないが、最後に良かったと思える結末を迎えたいな。勿論、そうなるよう元から頑張るつもりだが)
そうして改めて気持ちを固めていると、エレベーターから愛里と椎名が降りてこちらに近付いてきた。
「お待たせ、優くん。綾小路くんも」
「すみません。少し身支度に時間がかかってしまって……」
「待ち合わせ時間にはまだ早いし、大丈夫だ。なぁ、優斗」
「清隆の言う通りだよ。俺達が早く来ただけだから」
椎名の言葉に問題ないと言いながら、愛里と椎名の服装を見る。愛里は以前デートした際に買った黒のブラウスにミニスカートの色が強めの衣装に対して、椎名は水色のワンピースに白のカーディガンを羽織った落ち着いたコーディネートだ。
「……その服、似合ってるな。ひよりらしさが出てる」
「ぁ、えっと……ありがとう、ございます。清隆くん」
清隆から服装を褒められ少し詰まりながらも感謝を口にする椎名を見て小さく頷く。昨日4人で出掛けることが決まった後、これまで2人で会っていた時のことを教えて貰ったのだが服装に言及したことがないと言うものだから、それとなくアドバイスしておいたが正解だったようだ。
「全員揃ったし、そろそろ行こうか」
俺の言葉に全員頷き、目的地であるケヤキモールに向かって歩き出した。
◆
ケヤキモールに着いた俺達は、椎名の提案で映画を見るためにチケットを購入し上映時間まで適当に店を見て回ることにした。
「あ、この服。ひよりちゃんに凄く似合うと思う!」
「そ、そうでしょうか……?」
「うん!あ、この服ならこっちのパーカーが合いそう!ね、綾小路くんもそう思うよね?」
「……そうだな。服の造形や色合い的にも、佐倉が提案してくれた服はひよりに似合うと思う」
俺と愛里のデートの時によくお世話になる服屋に入った途端、愛里が椎名に色々と服を見繕いそれを清隆が確認するという流れが出来ていた。そうして幾つか選んだ服を持って、椎名と愛里は試着室へと入っていった。
「それにしても、的確にひよりに似合う服を選ぶ佐倉の見立ては凄いな」
「愛里はよくファッション雑誌読んでるし、コーディネートとか好きだから詳しいんだ。俺の服も、殆ど愛里に見立てて貰った奴だしな」
「なるほど。もし優斗と佐倉が良ければ、オレの服も見繕ってもらえないか?今の服もマネキン買いしたものでな……」
「それくらい大丈夫だよ。後で愛里にお願いしてみようか」
そうして清隆私服新調計画が決まる中、試着室の扉が開かれる。
「……ど、どうでしょう?」
黒のワンピースに白のパーカーを羽織り、黒タイツを履いた椎名が恐る恐るといった様子で聞いてくる。
「ひよりの落ち着いた雰囲気の良さが出てて、よく似合ってると思う」
「っ!ありがとうございます、清隆くん」
清隆の言葉に感謝を返す椎名を見て感慨に耽っていると、愛里がこっそりと近付いてきた。
「ん?愛里、どうかしたのか?」
「えっとね、優くん。映画を見た後なんだけど───」
愛里からのお願いを聞いた俺は、少し驚きながらも頷いて了承した。
◆
「映画、原作での描写を上手く落とし込んでいて面白かったですね」
「あぁ。原作の流れを壊さずに、上手く登場人物の背景を深掘りしていたな」
「確かに。原作読んで知ってたけど、あの深掘りのおかげでキャラへの愛着が増したよ」
「うん。結末は知ってたのに、私泣いちゃった」
あれから映画の上映時間間近まで、愛里に清隆の服を見繕ってもらったり別の店を見て回った。映画を見終わった今は近場の飲食店で少し早めの夕食を食べながら映画の感想に花を咲かせているが、時間的にもそろそろ
「そろそろ良い時間だし、店を出ようか」
「っ!そ、そうだねっ!」
俺の言葉を愛里が肯定し、椎名と清隆も賛同する。そうして会計に向かう際、男が奢ると言って清隆を巻き込みつつ一旦男女で別れるように仕向けた。
「そうだ、清隆。この後なんだけど、少し愛里と2人で散歩して帰ろうと思うから、悪いけど椎名と2人で寮に帰ってもらってもいいか?」
「?……あぁ、
「ありがと、清隆。助かるよ」
了承してくれた清隆に感謝しつつ会計を済ませた後、愛里達と合流し店から出て少し歩き、待ち合わせでよく利用される広場で愛里と一緒に清隆達と別れた。
「───これで良かったか、愛里?」
2人から十分離れたタイミングで、俺は愛里に問い掛ける。
「うん。映画の感想を皆で話した後は、綾小路くんと2人きりにして欲しいって」
「……そっか。なら、後は当人達次第だな」
◆
優斗達と別れた後、オレ───綾小路清隆はひよりと一緒に少し遠回りしながら寮へと向かっていた。
「───ひより。オレに何か話があるのか?」
人が居ない海岸沿いの道に入ったタイミングで問い掛けると、ひよりは申し訳なさそうな表情でオレに視線を合わせてきた。
「……やはり、清隆くんには気付かれてしまいましたね」
「優斗はともかく、佐倉の方は分かりやすくオレと椎名に気を遣っていたからな」
「そこが愛里さんの良いところですから」
そうしてひよりは近場のベンチを指差し、座ることを提案してくる。それに従って座ったオレのすぐ隣にひよりは腰を下ろし、口を開いた。
「今日のお出掛けは、私が愛里さんにお願いしました。気付いた自分の気持ちに向き合うため……というのが近いと思います」
───ゆっくり、しかし確実にひよりは言葉を紡いでいく。
「清隆くんとは、最初は本の趣味がとても合うお友達でした。でも、清隆くんと会う度に居心地の良さが増していって……離れがたいと、思うようになっていました」
───その瞳は、オレをまっすぐ見据えている。
「清隆くん。
───私は清隆くんのことが、好きです」
───そのたった一言が、全てを物語っていた。
「……オレも、オレ自身の気持ちについて考えてた」
ひよりの言葉に、オレも自分の気持ちについて考えていたことを打ち明ける。昨夜、優斗に助言を貰ってから自分の本心について考えていた。
───最後にオレが『勝って』さえいれば、それでいい。
それがオレの原点であり、行動原理。
───だが、この高校での出会いと出来事は……
「───オレも、ひよりのことが好きだ」
オレの言葉を受けたひよりは大きく目を見開いた後、笑顔で口を開いた。
「───清隆くんの笑った顔、初めて見ました」
次回予告
龍園翔「ちっ。いつから俺のクラスはお見合い会場になったんだ?」
虎城優斗「まぁまぁ。むしろこれで清隆はクラスに馴染みやすくなるだろうし、クラスの為に更に頑張ってくれるだろうからいいんじゃないか?」
龍園翔「はっ、わざわざ奴の得意分野を種目に入れてやったんだ。結果を残して貰わねぇとな?」
虎城優斗「次回『Episode 57 選抜種目試験開始』」
龍園翔「さぁ、ゲームの始まりだ」
【参考】石崎のヒロインを考えてるのですが、読者様のご意見を聞きたいと思いアンケートさせて頂きます。※個人名で出しているのは、作者の中での候補者になります。
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龍園クラス:真鍋志保
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龍園クラス:諸藤リカ
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葛城クラス:神室真澄
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葛城クラス:山村美紀
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葛城クラス:森下藍
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一之瀬クラス:姫野ユキ
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平田クラス:佐藤麻耶
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平田クラス:松下千秋
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平田クラス:長谷部波瑠加
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先輩、もしくは後輩の女子生徒
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龍園クラスの他の女子生徒
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葛城クラスの他の女子生徒
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一之瀬クラスの他の女子生徒
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平田クラスの他の女子生徒
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石崎にヒロインなど不要!