ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
一年生編がもうすぐ終わりますが1話からここまで約2年掛かっていました。ここまで長く1つの作品を書いたのはこれが初めてです。これもいつも感想を書いて頂いたり評価してくれる読者の皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
いつも感想・評価、誤字報告ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
Episode 59 卒業と総括と密会と
───選抜種目試験の翌日。
学校の各場所にて俺───虎城優斗含む生徒会役員は明日に迫った卒業式と謝恩会の準備に奔走していた。桐山生徒会長と一之瀬は体育館にて卒業式のリハーサル、堀北は謝恩会の会場と料理の確認。そして俺は、葛城と一緒に関係者に挨拶と備品の確認を実行している。
「立食パーティーだから椅子は不要。コップはある程度余裕を持たせるために少し多めで合ってるな。こっちは大丈夫そうだけど、葛城の方はどうだ?」
「こちらも問題ない」
「了解。なら、このまま確認を続けていこうか」
準備していた備品リスト欄を確認しながらチェックを全て入れ終えた俺の問いかけに、問題なしと答える葛城。そうして備品の確認をしていく中、不意に葛城から声をかけられる。
「虎城。選抜種目試験、お前達Aクラスは
「……本気も何も、俺達は一之瀬達に負けた。それが結果だよ」
「龍園が本気で勝ちを狙ったのなら、プライベートポイントで種目の選択権を買うなりして勝つための布石を打つ筈だ。勝利への貪欲さという面において、俺は龍園を信用している。それが、結果次第でクラス変動があり得る特別試験で何もなかったこと自体が不自然だ」
俺の言葉に葛城は淡々と持論を告げて否定する。
「加えて、昨日話をした際に負けた筈の虎城から悔しさをあまり感じられず、むしろ達成感に近いものが見て取れた。今回の特別試験、何か別の思惑があったと考えるのは当然だろう」
「……一之瀬といい、油断ならない相手が多いもんだ」
葛城の予想がほぼ当たりのため、半ば答えのような返事になってしまったがこればかりは葛城の洞察力が1枚上手だったと諦めることにした。
「俺や一之瀬をそう育てたのは、他でもない虎城自身だと思うがな」
「葛城にそう言ってもらえるのは嬉しいが、立場的に少し複雑だよ」
会話の区切りで丁度確認作業が完了したため、葛城と共に生徒会室へと足を進める。
「そういえば、戦ってみた葛城から見てDクラスはどうだった?」
葛城達Bクラスと平田達Dクラスの対戦結果は、Bクラスの種目が4つ選ばれたことも相まって葛城達の5勝2敗という圧勝。ただ、あの悲惨な状況からクラスを建て直し葛城達相手に2勝したことはDクラスからしてみれば上出来といえる結果だろう。
「現状、クラスとしての脅威は感じない。ただ、生徒によっては能力の高い者がいるため、少数戦には注意が必要だと感じたな」
「確かにな。同じ生徒会所属の堀北は勿論、平田や高円寺も普通に優秀だ。俺としても、少数戦はしたくないよ」
「……だから、Dクラスを潰そうとしたのか?」
「色々重なった結果ではあるけど、あれはDクラスの自業自得だよ。それは断言出来る」
「……そうか」
俺の様子にその言葉が事実だと納得したのか、葛城はそれ以上追及することはなかった。
◆
───卒業式当日。
3年Aクラスの堀北先輩の答辞を含め卒業式はつつがなく終了し、在校生である俺達は教室に戻ってきた。
「本日の予定はこれで終了となります。この後は帰宅するも謝恩会に出るも自由です。明日は終業式になりますので、遅刻しないよう注意して下さい」
坂上先生が教壇に立って説明を行うのを、クラスメイト達は静かに聞いていた。
「それから、折角ですので簡単に今期の総括をしたいと思います」
1度咳払いを挟み、眼鏡の位置を直してから坂上先生は改めて言葉を口にする。
「学年末試験では惜しくもCクラスに敗北しましたが、君達が大きく成長していることは、今このクラスがAクラスであることが何よりの証拠でしょう」
「はっ、当然だ」
自信たっぷりで、いつも通り敬語を使わず返事をする龍園を見て、変わらない事もありますがと坂上先生は付け加える。
「君達は間違いなく優秀です。しかし、成長は他のクラスにも言えることであり、Bクラスとのクラスポイント差は僅かです。気を抜かずに今後も成長することを、担任として期待しています」
坂上先生からの褒め言葉と激励を受け、その場は解散となった。
◆
───謝恩会後、理事長室。
「呼び立ててしまってすみませんね、綾小路くん」
「いえ……」
柔和な笑みを此方に向けてくる月城理事長代理にメールで呼び出されたオレ───綾小路清隆は不信感を覚えていた。
「本来であれば、もう少し早く場を設けたかったのですが……私が来た当初、色々と立て込んでいましたので」
「坂柳と南雲の件ですか」
「えぇ。彼らは本当に救えない人達でした。
───ただ、結果的に良い方向に働いた面もありましたがね」
生徒の誹謗中傷と性被害があったにも関わらず良い面があったと言う月城を見て、想定していた中で最も有力なパターンが当たったと確信する。
「……月城理事長代理は、あの男から送られてきた刺客ですか」
「流石、ホワイトルームの最高傑作と言ったところでしょうか。退学にさせるのは容易ではなさそうだ」
もはや隠す必要はない為か、ホワイトルームの名を口にする月城の表情は変わらず笑顔のままだ。
「父上からの伝言です。『これ以上、子供の遊びに付き合う気は無い。すぐに帰ってこい』とのことだそうです」
「それで帰るようなら、あの男が直接来た時に従っていますよ」
「そうでしょうね」
オレの回答に肯定を返す月城の態度に少し違和感を覚える中、話は続く。
「ただ、丁度入学して一年という節目です。父上との軋轢が大きくなる前に戻るのなら、このタイミングがベストだと思いますよ?」
「あの男の手から逃れた時点で……いや、そもそも最初から軋轢が出来るほどの関係をオレはあの男と築いてない。あの男はオレを自身の成果か使える道具としてしか見ていないのだから、戻るのが今でも卒業後でも変わらないですよ」
「戻る気はないと?」
「はい。
───そもそも、月城理事長代理もオレの退学が
変わらず笑顔を浮かべる月城に、オレは感じていた違和感の正体をぶつけた。
「何を言うかと思えば……後学のため、何故そう思ったのか聞いても?」
「オレを本気で退学させるなら、クラス内投票で票を操作して出来た筈です。あの時は月城理事長代行の存在を知らなかったですし、クラスの批判票もある程度オレに集中していた」
実際優斗達が称賛票を入れていなければ、オレか山内のどちらかが批判票1位であった可能性は高い。票の操作程度であれば、代理とはいえ理事長の地位に就いている月城からしてみれば簡単な仕事だろう。
───しかし、月城はそれをしなかった。
「それに、理事長代行であればオレがクラス内投票後にクラス移動することを知れた筈です。プライベートポイントが潤沢な現Aクラスへ移動した後では、Dクラスにいた時以上に退学させるのは困難になるのは明白でしょう。であれば、尚更クラス内投票で動かなかったことが不自然です」
「……それだけの理由で、私の目的が別にあると?」
「あの男が依頼したのであれば、理事長代行が相当優秀であることは想像出来る。そんな貴方が意図的ではない限り、タイミングを見逃すことはないでしょう?」
「はは。そこまで評価して貰えて、悪い気はしませんね。
───綾小路くん。1つ、ゲームをしませんか?」
そう言って笑みを深める月城は、改めてオレへと視線を向ける。
「4月に入学してくる新入生にホワイトルーム生を
「……今の情報とゲームの内容が事実であればオレに得しかないようですが、いいんですか?」
「問題ありません。やり方は私にほぼ一任されていますし、招き入れるホワイトルーム生も優秀ですから」
月城の言葉を全て信用することは出来ないが、新入生にホワイトルーム生を送り込んでくることは確実だろう。理事長代理では特別試験への関与は出来ても参加することは出来ない部外者である限り、取れる戦略が限られることからも理に適っている。
「分かりました。そのゲーム、受けさせて貰います」
「それはよかった。結果を楽しみにしていますよ、綾小路清隆くん」
次回予告
佐倉愛里「高校生になって、もうすぐ1年が経つんだね」
虎城優斗「そうだな。特別試験とか色々と大変だったけど、何とか乗り越えられたな」
佐倉愛里「皆が居てくれたら、これからも大丈夫だよね?」
虎城優斗「……あぁ。きっと乗り越えられるさ」
佐倉愛里「次回『Episode 59.5 独白Ⅴ』」
虎城優斗「何があっても、俺は必ず愛里を守るよ」
【参考】石崎のヒロインを考えてるのですが、読者様のご意見を聞きたいと思いアンケートさせて頂きます。※個人名で出しているのは、作者の中での候補者になります。
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龍園クラス:真鍋志保
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龍園クラス:諸藤リカ
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葛城クラス:神室真澄
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葛城クラス:山村美紀
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葛城クラス:森下藍
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一之瀬クラス:姫野ユキ
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平田クラス:佐藤麻耶
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平田クラス:松下千秋
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平田クラス:長谷部波瑠加
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先輩、もしくは後輩の女子生徒
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龍園クラスの他の女子生徒
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葛城クラスの他の女子生徒
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一之瀬クラスの他の女子生徒
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平田クラスの他の女子生徒
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石崎にヒロインなど不要!