ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
【塩おにぎり】様から2周年を記念した絵を頂きました!
【挿絵表示】
龍園くん悪い顔で滅茶苦茶カッコいい!虎城くんもイケメン!愛里すっごい美人だぁ!!(語彙力)
改めて【塩おにぎり】様、素敵な絵をありがとうございます!
いつも感想・評価、誤字報告ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
「随分と強気じゃねぇか、葛城。Bクラスに落ちてる上に、ついこの前の特別試験で俺等に負けたのをもう忘れたか?」
───ケヤキモールに存在するカラオケの1室。監視カメラが存在しないという理由から密会場所として重宝されるこの場所で、俺───虎城優斗と龍園はBクラスのリーダーである葛城と密会していた。
「無論、忘れてなどいない。学力の高い1年生をお前達に多く引き込まれたのが1番の要因だが、そういう状況を整えられた点も含め前回の特別試験は完敗といえるだろう」
「ほぉ?そこまで分かっててその態度とは恐れ入るぜ」
葛城の言葉に龍園は皮肉で返し挑発するように視線を向けるが、葛城の表情は変わらない。
「単刀直入に用件を話そう。
───次の無人島での特別試験、俺達Bクラスと同盟を組む気はあるか?」
龍園と話がしたいと葛城から連絡があった段階で幾つか予想していた内の1つだったため驚きは少ないが、葛城から同盟を提案してきたことに俺は少し警戒する。
「無人島での特別試験だから、去年と同じく手を組もうってか?
「……結果的にお前達との契約のお陰で去年の無人島試験で勝つことが出来た。そして、今回もお前達と契約するのが得策と考えたからこその話し合いだ」
そう言って葛城は懐から1枚の紙を取り出し、机に置いた。
「同盟の条件は主に3つ。AクラスとBクラスの大グループで1位を取りに行くこと。下位5グループに入らないように小グループを出来る限り調整すること。
───そして、去年お前達と交わした契約の破棄だ」
(なるほど、そういうことか)
葛城が最後に提示してきた条件を聞き、これが同盟の本当の目的であると察する。龍園もそれが分かって鼻を鳴らす。
「話にならねぇな。今回の1位報酬のプライベートポイントは100万。『増員』使ってBクラス7人の大グループが1位を取ったとしても700万、1年経たずに回収出来る額だ。吹っ掛けるにも程があるな」
「俺達Bクラスと
龍園は馬鹿にしたように告げるが、葛城の言葉を聞いて視線を鋭くした。
「龍園。お前であれば分かっているだろうが、お前達が同盟を拒むのなら俺はこの話をCクラスに持っていき、Dクラスも味方に引き込むつもりだ。今回の特別試験、1年生や3年生に加え同学年である3クラス同盟を相手にするのは骨が折れるのではないか?」
「なら、お前より先に
現在の俺達Aクラスの貯金は2300万程。これに加えAクラスの生徒個々人が保有しているポイントがバラつきはあるものの、平均80万後半辺りと言った所だ。今回の特別試験は退学救済の金額が減額されていることもあり、十分貸し付けられる額になるだろう。
「確かにクラスメイトを大事にする一之瀬であれば、その提案は魅力的だろう。しかし、今回のクラスポイント報酬はクラスで分配される仕組みだ。同盟を組んだクラスとのクラスポイント差は『試練』カードを使う以外では変わらないが、その『試練』カードは一之瀬が引き当てた。この状況であればプライベートポイントで独走しつつクラスポイント差のあるAクラスよりも、俺達Bクラスと組みたいと一之瀬が判断するのは明白だ」
「俺達より雑魚だからこそ、てめぇらは一之瀬達と組みやすいってか?態度は強気の癖に発言は随分と弱気じゃねぇか」
「見方の違いだ。俺達Bクラスの方が一之瀬達と手を組みやすくなったように、弱さが武器になることもある。現に今お前を追い込んでいるのはお前達の強さであり、俺達の弱さだ」
龍園と葛城、両者ともお互いに鋭い視線を向けたまま静寂が訪れる。
───沈黙を破ったのは、龍園の心底愉しそうな笑い声だった。
「クククッ!随分と潰しがいのある獲物に育ってるじゃねぇか、葛城」
「……褒め言葉として受け取っておこう」
少しだけ呆れるような顔をした葛城を気にせず、龍園は葛城が出した紙を手に取り内容を確認する。
「2年の他のクラスとの結託禁止、それから『便乗』カード2枚の譲渡を契約内容に追加しろ。まさか、その程度の旨味も用意出来ねぇなんて言わねぇよな?」
「良かろう。ただし、Aクラス側にも同じく同学年との結託禁止を明記させてもらうぞ」
「好きにしろ」
ぶっきらぼうに答えた龍園だったが、その後差し出された葛城の手を拒むことはしなかった。
───こうして去年と同じ無人島での特別試験にて、
◆
───無人島サバイバル特別試験が通知されて、2週間が経過したある日。
1年生の教室が並ぶ廊下にて1年Bクラスの八神拓也に1年Cクラスの宇都宮陸、1年Aクラスの高橋修と各クラスの主力といって遜色ない生徒3人が一堂に会していた。
「八神。宝泉がこの話し合いに来ると思ってるのか?」
1年Dクラスの教室の方を横目で見ながら、宇都宮はこの場を設けた八神に問い掛ける。
「半々かな?でも、僕達1年生が経験豊富な2年生や3年生に勝つためには、学年での協力関係が不可欠だから協力してほしいけどね」
そう言って八神も宇都宮と同じく1年Dクラスの教室へと視線を向ける。無人島サバイバル特別試験が通知されて最初に動いたのは2年生達だった。2年AクラスとBクラスの生徒が纏まって小グループを結成し出し、それに対抗するように残りの2年CクラスとDクラスが纏まって小グループを結成しており2年生は真っ二つの対立構造となっていた。対して3年生は個々人で動いているようでクラス同士の結束は見られない。現状、学年単位で結束出来る可能性を残しているのは1年生だけであり1年生のみに与えられた小グループの最大数4人を活かすためには1年生全クラスが協力することが一番なのは言うまでもないだろう。
───しかし、事はそう上手く進まなかった。
グループ作り解禁後、八神が全クラスでの協力案を提示した結果AクラスとCクラスは協力する姿勢を見せたのに対し宝泉和臣率いるDクラスが小グループ作成とカード交換の拒否に加えてポイントの要求を行ったのである。これに各クラスの生徒は憤りDクラス以外の3クラスでの協力体制で進めようとしたが、発案者である八神が暫し様子を見ることを提案。その期限が今日のこの話し合い開始までであり、あと5分を切っていた。
「……もうすぐ約束の時間だ。このまま3クラスでの協力体制で話を進めたい」
「いや、どうやらそうはいかないらしいぞ陸」
宇都宮の言葉を否定した高橋の視線の先、ゆったりとした足取りでこちらに近付く男が1人。
「来てくれたんですね、宝泉くん」
「気安く喋り掛けるんじゃねぇよ、腰抜け」
爽やかな笑顔で迎え入れる八神を、宝泉は見下すように言葉を吐き捨て侮辱する。
「来て早々に暴言とは、協力する気は無いという意思表示か宝泉」
「協力だ?てめぇらだけじゃ力不足だから、安い頭下げて俺達に媚びてきてるって話じゃねぇか」
「ちょいちょい!陸も和臣もそんな喧嘩腰になるなって!今は1年生同士で争ってる場合じゃないだろ?」
宇都宮と宝泉の一触即発な雰囲気を高橋が何とか治めようと動く。高橋は1年Aクラスのリーダーではないが他学年にも多くの友人がいる程にコミュニケーション能力が高く、こういった会議に良く呼ばれる人材で話を円滑に進めるという点に関してはこれ以上ない適任者だ。
「高橋くんの言う通りです。今回の無人島での特別試験、1年生全員が協力体制を敷きつつ最強の4人グループを作るのが最も大切だと僕は考えています。宝泉くん、どうか僕達に協力してくれませんか?」
高橋に続いて言葉を告げる八神は、先程の罵倒を気にしていないといった姿勢で宝泉に協力を持ちかける。これまで否定的だった宝泉がそれで頷くとは思えず、宇都宮は眉を寄せた。
「そこまで必死こいて頼むなら、手を貸してやってもいいぜ」
そんな宇都宮の心情を否定するかのように、宝泉は八神の提案に肯定的な言葉を告げる。
「……なるほど。見返りは何でしょう?」
「グループの残り2枠にDクラスの生徒を入れること。これは絶対条件だ」
切り替えの早さの理由に気付いた八神の問いに対する宝泉の答えに、宇都宮は嫌悪感を示した。仮にそうして結成した大グループが1位になった場合、クラスポイントは均等に分配されるがプライベートポイントは200万もDクラスが得をすることになる。
「そんな横暴な要求が通ると思っているのか?」
「あぁ?この程度も受け入れられねぇなら手を貸す価値はねぇな。腰抜けの雑魚同士、よろしくやってろ」
宇都宮の意見を宝泉はバッサリと切り捨てた。
「分かりました、宝泉くん。その条件で構いません」
「八神……!」
「落ち着いてください、宇都宮くん。プライベートポイントでDクラスが得をするとしても、それで1年生での協力体制が確定する方が価値があると僕は思います」
「俺も拓也に賛成だ。1年生全員が協力出来なきゃ、1位になること自体がかなり厳しいからな」
「……分かった。だが、要求はそれだけしか飲まないぞ」
八神と高橋の説得を宇都宮が折れる形で受け入れる。
───これにより、今回の特別試験に限り1年生の4クラス全てで協力体制を敷くことが決定した。
◆
───1年生が協力体制を敷いた日の放課後。
ケヤキモールのカフェにて、左腕につけたお気に入りの腕時計を撫でながら宝泉和臣は考えを巡らせていた。
(Sシステムと理事からの特別試験を聞いた時は少しは楽しめそうな所だと思ったが、つまらねぇな)
入学直後、宝泉含む1年生数名は月城理事長代理から特殊な特別試験を言い渡されていた。ランダムに選ばれた生徒1名を退学にすることが出来れば、報酬として2000万プライベートポイントを得るという在校生が聞けば異質で不可解な特別試験。そうしてランダムに選ばれた不幸な生徒は2年Aクラス所属───綾小路清隆だった。宝泉は早速綾小路清隆が所属する2年Aクラスを調べ、そこで自分と同じく悪名が轟いていた龍園の名を発見した。
(ペア試験の動きと直接見た限り、龍園じゃ俺を楽しませられねぇ。俺以外で綾小路の退学に動いてる奴はいねぇどころか、八神は綾小路とペアを組めた癖に何もしなかった腰抜け。楽しみが少なすぎる)
ペア試験では龍園がAクラスの生徒全てのペアを管理し調整するという難攻不落だった故に初手で手を組めなかった時点で退いた宝泉だったが、その動きからAクラスは自分のDクラスと同じリーダーの指示がなければ何も出来ない烏合の衆だと当たりをつけていた。結果、基本的にグループ単位で行動する今回の無人島サバイバルは仕掛けるには絶好の機会。それを活かす計画を既に整え勝ちを確信しているからこそ、宝泉は落胆していた。
「お邪魔しまーす」
そんな機嫌の悪い宝泉が座る向かい側に、ドリンクを持った1人の女子生徒が何の躊躇いもなく座った。
「あ゛?」
「私、1年Aクラスの天沢一夏。1年Dクラスの宝泉くんでしょ?ちょっとお話しようよ」
突然の出来事に宝泉はドスの利いた声を出すが、それに対し女子生徒は小悪魔の微笑みを返す。
「話題は、そうだな。
───宝泉くんが考えてる綾小路先輩の退学計画についてとか、どう?」
◆
───時は進み、7月1日。
先程まで生徒会室で生徒会の仕事を進めていた俺───虎城優斗は、内心驚愕しつつ目の前にいる人物に視線を向ける。
「さて、では君のことを色々と聞かせてくれるかな?」
3年生の高円寺枠───鬼龍院楓花は俺を見ながらそう口にした。
次回予告
一之瀬帆波「協力してくれてありがとう、平田くん」
平田洋介「ううん、お礼を言うのは僕の方だよ。一之瀬さん達Cクラスのお陰で退学の可能性をかなり減らせた上に1位を狙いに行けるからね」
一之瀬帆波「葛城くんが私達よりも龍園くんと手を結んだことは驚いたけど、むしろこれで勝つことが出来れば私達はAクラスに上がることが出来る」
平田洋介「僕達も精一杯協力するよ。一緒に1位を取るために頑張ろう」
一之瀬帆波「次回『Episode 66 対談:インフルエンサー』」
平田洋介「今回、