ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
鬼龍院先輩のキャラを壊さないよう注意していたのと、小グループの内訳を考えてたので遅くなりました(汗)
いつも感想・評価・ここすき、誤字報告ありがとうございます!
それでは、どうぞ!
───時は、十数分前に遡る。
嘗てない大規模な特別試験である無人島サバイバルの開催を控え、俺───虎城優斗含む生徒会の面々は準備に奔走しており今日は桐山会長と2人で事務作業を行っていた。
「虎城。この予算案の記録も頼む」
「分かりました」
桐山会長から書類を受け取り黙々と記録をつけていく。端から見ると地味な仕事だが、こういった積み重ねは個人的にとても重要だと感じているため苦ではなかった。
「次の無人島サバイバルだが、葛城と手を組んだのは意外だったな」
「桐山会長自ら探りですか?」
書類が残り僅かとなってきた頃、桐山会長の言葉に俺が苦笑しながら返すと桐山会長は少し呆れたような表情をする。
「俺達の学年だけでなく教師陣の一部すら掌握していた南雲をあっさりと退学させたお前を警戒しない奴は、3年生では俺の知る限り
「……はい、善処します」
去年の夏休みに神崎にも同じことを言われたのを思い出しつつ、桐山会長の言葉を受け入れた。
「説教染みたことを言ってしまったが、俺はお前にとても感謝している。南雲が退学したことで繰り上げの形ではあるが憧れの生徒会長に就任し、更にAクラスに舞い戻ることも出来た」
「南雲先輩の退学は桐山会長含め、皆が協力してくれたお陰です。それに、桐山会長が生徒会長になれたのもAクラスになったのもこれまで桐山会長が頑張っていたからだと思います」
「……いや、俺はそんな出来た人間じゃない。堀北先輩を尊敬していた一方で、南雲に勝つことを諦めかけていた裏切り者だ」
まるで懺悔するかのような桐山会長の言葉に、俺は何も返すことが出来ずにいた。確かに原作での桐山会長は南雲の強さに勝てないと悟り南雲に服従する道を選んでいる。卒業まで残り1年と短く、クラスポイントが600以上も離れており学年を掌握している南雲をほぼ1人で相手にしなければいけないことを考えると仕方ない部分も大きいだろう。
「図々しいのは俺自身が一番承知している。だが、お前が南雲を退学させたお陰で俺は前を向くことが出来ている。改めて礼を言う、虎城」
「桐山会長の役に立てたのなら、自分としても幸いです。無人島サバイバルではお手柔らかにお願いします」
「あぁ。そうだ、虎城。この後少し付き合って貰えるか?お前と話がしたいという奴が───」
───ガチャリ。
桐山会長の言葉を遮るようにノックも無しに生徒会室の扉が開かれ、自然とそちらに視線を向けた俺は驚く。
「邪魔するぞ、桐山」
「……
呆れたように言う桐山会長を気にせず、白銀の長髪を靡かせた3年Aクラス所属の女子生徒───鬼龍院楓花はソファに腰を下ろした。
「桐山、席を外してくれるか?2人で話がしたいのでな」
「少し待て。……すまんな、虎城。今言いかけたお前と話がしたいと言っていたのが目の前にいる鬼龍院だ。さっき俺が挙げたお前を警戒していない唯一の3年生でもある」
そう言って桐山会長は整理し終えた書類を持って扉へと向かう。
「書類を先生方に提出してくるから、30分程出てくる。虎城はその間、鬼龍院の相手をしてやってくれ」
その言葉を最後に桐山会長は出て行き、生徒会室は俺と鬼龍院先輩の2人きりとなったのである。
◆
「ご存知のようですが、一応自己紹介を。2年Aクラスの虎城優斗です」
「3年Aクラスの鬼龍院楓花だ。さて、では君のことを色々と聞かせてくれるかな?」
此方を値踏みするかのような言葉と視線を向けてくる鬼龍院先輩に、俺は1度ゆっくりと息を吐き出し落ち着く。その後、席を立って2人分のお茶を淹れて1つを鬼龍院先輩の前に置いてから対面に座り直した。
「色々と言われても、何を話せばいいんですか?」
「何でもいい。君がどんな人間であるか探求出来ればそれで十分だ」
「どんな人間かと言われても、俺は恋人と一緒に幸せになりたいだけの普通の男ですよ。探求するなら、龍園や清隆の方が面白いと思います」
「龍園は分からんが、高難易度の試験で全教科満点を取った綾小路については確かに興味を引かれる。だが、現時点で私の興味を一番引いているのは君だ、虎城優斗」
鬼龍院先輩はそう言って俺に視線を合わせてくる。
「それは、南雲先輩を退学させたからですか?」
「
───君に関わった者達の変化に、私は驚いている」
まるで新しい玩具を見つけた子供のように、鬼龍院先輩は楽しげに語り始めた。
「私は興味を引かれた者には1度は声を掛けているが、その後は興味を無くして声を掛けることがない。君の知る者だと堀北学や南雲がそうだった。しかし、卒業直前の堀北学に私は再び興味を引かれた。極めつけは、興味が湧かなかった筈の桐山に対してまで今は面白そうだと思っていることだ」
「……その原因が自分だと?」
「あぁ。私の勘がそう告げている。君は私から見れば、他人の思考や行動に大きな影響を与えるインフルエンサーだ。だからこそ、君自身がどういう人間であるか一層興味が湧いている」
確信を持った雰囲気で告げられたことで、俺は内心で盛大にため息をついていた。高円寺の行動原理が自身が定めた美学に則ることだとすれば、目の前にいる鬼龍院先輩の行動原理は興味が引かれ面白いかどうか。まるで幼い子供のようだが、その者が相当の実力を持っているのであれば厄介な事この上ない。
「……先程も言いましたが、俺の思想や行動原理は世間一般で言われるような普通のものです」
「確かに、直接この目で見ても特段引かれるものはないな」
何でもないように失礼な事を言う鬼龍院先輩に呆れつつも───
「ただ──」
「ん?」
───
「───
───お互い視線を合わせたまま、数秒の沈黙。それを破ったのは、鬼龍院の笑い声だった。
「フフ、なるほど。これは思った以上に凶暴な虎が出てきたものだ。そう威嚇せずとも、虎子に手を出したりしないから安心するといい」
そう告げる鬼龍院先輩はソファから立ち上がり、扉へと足を向ける。
「あぁ、1つ言い忘れていたな。次の特別試験、私も上位を狙うつもりだ。
───君と、君に影響を受けた者達と戦えるのを楽しみにしている」
◆
───虎城が鬼龍院と対談している同時刻。
ケヤキモールにあるカラオケの1室にてCクラスの私───一之瀬帆波と神崎くん、Dクラスの平田くんと軽井沢さんは話し合いを行っていた。
「それじゃ、小グループはこれで一通り決まったかな」
テーブルに置いた紙に書かれた小グループの内訳を見ながら、私は平田くんに確認を取る。
「うん。確認したけど大丈夫だと思う」
「結構時間掛かったけど、無事小グループ作成出来て良かったね、平田くん」
同じく内訳を確認した平田くんが問題ないと返事をし、軽井沢さんが安堵の言葉を漏らした。事実、1位を狙う小グループの目処は立っていたのだが、下位に沈まないよう小グループを調整するのにかなりの時間を要したのだから安堵するのも当然だろう。
───1位を狙うため、私達が作った小グループは2つ。
私、平田くん、小野寺さんの3人グループと神崎くん、麻子ちゃん、みーちゃんの3人グループ。CクラスとDクラスで優秀且つ信頼出来るメンバーを揃えた正に精鋭と言える小グループだ。星之宮先生の説明で希望する大グループを作ることは難しいということだったが、この小グループ2つで大グループを結成することが1位を取るのに必須だと私は考えていた。
「そうだね。ただ、僕達が1位を取るのは相当頑張らないといけないと思う」
「平田の言う通りだ。俺達の主力である小グループの2つで大グループを組むことは必須と言えるだろう」
私と同じ考えに至った平田くんと神崎くんの視線の先。現時点で確定している中で警戒すべき小グループを記載した一番上に書かれた
龍園翔・葛城康平・虎城優斗
橋本正義・金田悟
鬼頭隼・山田アルベルト
佐倉愛里・伊吹澪・神室真澄
「龍園くんに葛城くん、そして虎城くんの小グループ。間違いなく、今回の特別試験の1位最有力候補だね」
「あぁ。Bクラスの戸塚が持っていた『増員』が金田に譲渡されていることを考えれば、大グループの最終形は十中八九この7人だろうな」
「佐倉さん達のグループは多分第2候補だね。『増員』は男女比に左右されないから、橋本くん達と鬼頭くん達のグループとも大グループを組める」
「何て言うか……正直、このグループ相手に1位取れるか不安になっちゃうね」
軽井沢さんの弱気の発言も無理もない。同盟と特殊カードの『増員』を最大限利用した隙のない布陣。最強とも言える相手に、私達は1位を取らなくてはならないのだから。
「それと、ペア試験で全教科満点だった綾小路くんが未だに単独なのが逆に不気味だね」
龍園くん達の小グループの記載から少し下に1人だけ書かれた綾小路くんの名前を見てそう呟くと、平田くんが一瞬苦い顔をした。元クラスメイトがあれだけの実力を持っていたら、色々と思うことがあるのだろう。
「一之瀬の言う通り綾小路のことも気になるが、単独であることを考えれば恐らく他の小グループのサポート役だろう。それよりも、龍園達の小グループを警戒する方が得策だ」
「そうだね。それじゃ調整した小グループを伝えないといけないし、今日はこれで解散にしようか」
私の言葉に平田くん達が同意し、その場は解散となった。
───無人島特別試験開始まで、残り僅か。
次回予告
佐倉愛里「……」
伊吹澪「愛里?大丈夫?」
佐倉愛里「……うん、大丈夫。私は平気だよ」
伊吹澪「いや、その顔で言われて信じる奴いないからね?」
佐倉愛里「うぅ。優くんと別の小グループ……2週間も会えない……」
伊吹澪「多分だけど、去年の無人島みたいに連絡手段があると思うから声は聞けると思うわよ」
佐倉愛里「っ!私、龍園くんに頼んでくる……!」
伊吹澪「ちょ、愛里!?全く……次回『Episode 66.5 独白Ⅵ』」
伊吹澪「───ほんと、お似合いよね」