ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
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Episode 67 嵐の前の静けさ
───豪華客船【サン・ヴィーナス号】
全12層からなる700人を越える旅客定員を乗せられるクルーズ客船であり、去年乗船した【
「海が凄く綺麗だね、優くん」
「……あぁ。そうだな」
少し早めに昼食を終えた俺と愛里は、特別試験の説明会が始まるまで人気の少ない後方デッキで景色を眺めていたのたが、俺の頭の中は明日からの無人島サバイバルのことで一杯だった。
(……出来る限りの備えは済んでる。それに、
念のため、愛里には退学救済分の200万プライベートポイントを所持してもらっており、クラスメイト達にもクラス貯金を割り振っているため、俺達のクラスから退学者が出る確率は0に等しいことを考えればかなり恵まれていると言えるだろう。
(
そこまで考えていた俺の思考は、愛里に手を握られた感触で打ち切られた。
「愛里?」
「えっと、その……少しでも優くんの不安を減らせたらって思って……」
そう告げる愛里は頬を赤らめながら、優しく俺の左手を両手で包み込む。そんな愛里の行動に俺は愛おしさが溢れ、残った右手で愛里を抱き締める。
「あっ、優くん……」
「もう少し、このままいいか?」
俺の問い掛けに、愛里は頷きつつ身体を預けてくる。そんな幸せな時間は、1年生への説明会が終了したとのアナウンスが船内に響くと同時に終わりを告げた。
「行こうか、愛里」
「うん」
名残惜しさを感じつつも俺と愛里は一旦身体を離し、恋人繋ぎをして説明会が行われる映画館へと向かった。
◆
愛里と共に映画館に入ると既に多くの生徒が席に着いており、その殆どが小グループで固まっている。その中で俺は目的の人物を見つけ、その隣に腰を下ろした。
「遅かったじゃねぇか、虎城。佐倉とのデートで時間を忘れたか?」
「まぁ、そんなところだよ」
からかうような笑みを浮かべた我がクラスの王───龍園の言葉に、俺は苦笑しつつも肯定する。軽く辺りを見回すと俺とは逆側の龍園の隣には同じ小グループでBクラスのリーダーである葛城、前後の席には橋本と金田に鬼頭とアルベルト、愛里と同じグループの伊吹と神室という今回の主力メンバーが座っていた。
「なぁ、龍園。不思議に思ってたんだが、なんで綾小路を主力に入れなかったんだ?アイツの学力なら十分候補に入ってただろ?」
「別に大した理由じゃねぇ、今回は奴は単独の方が恐ろしいからな?」
橋本の疑問に、龍園は振り返りながら心底楽しそうに答える。
「……それって一之瀬達の不安感を煽るためだよな?それとも、綾小路ってまだ何か隠してるのか?」
「クク、さぁな?」
それ以上は答える気がない龍園が前に向き直したため、話は打ち切られた。ちなみに話題の清隆は俺達よりも少し前の席で椎名と石崎、西野の小グループと一緒に居るところを見るに恐らく椎名と石崎に説明会は一緒にと誘われたのだろう。
───そうして間もなく、学年主任の真嶋先生がスクリーン前に立った。
「ではこれより無人島における特別試験のルールを説明したいと思う」
【特別試験:無人島サバイバル】
【ルール】
○全グループで2週間、得点を集め競い合うサバイバル試験。
○期間中、リタイアによりグループ全員が脱落した場合はその時点でグループは失格。
※集めた得点は全て無効となり、その時点で順位が確定する
○得点の獲得方法は『基本移動』と『課題』の2種類。
※詳細は後述
【腕時計とタブレット】
○全生徒にはそれぞれ腕時計とそれに連動するタブレットが支給される。
○腕時計は得点の獲得に使用される他、装着する生徒の健康状態と位置情報を計測している。腕時計が破損すると得点が得られなくなるため、早急に交換することを推奨。
※腕時計はスタート地点にて無償で交換が可能
○腕時計により生徒の健康状態は24時間学校側に監視され、異常を検知すると『警告アラート』が鳴り響く。2度の『警告アラート』が鳴った後、5分異常状態が続いた場合は『緊急アラート』に変わる。
○『緊急アラート』が鳴った場合、24時間以内にスタート地点に戻りメディカルチェックを受ける。また、『緊急アラート』が5分経過しても切られない際はGPSの情報を元に教員と医療班が現場に急行する。
○タブレットは無人島の地図を閲覧でき、指定エリアや自身の現在地がリアルタイムで確認出来る。
※腕時計が破損している際は現在地の確認が不可能
○『課題』の位置や詳細な報酬などの閲覧も可能。
※実施状況はタブレットからは確認が不可能
○試験4日目から12日終了まで上位、下位10組の得点が確認出来る。
※上位10組と下位10組、自身のグループに限り総得点の内訳も閲覧可能
○6日目以降、全生徒の現在地を閲覧可能になるGPSサーチ機能が解禁される。
※使用するには得点を1点消費する。また、表示される位置はサーチを使用した時点での位置情報となる
○試験全体に影響する問題が発生した場合、タブレットにメッセージが届く。
○タブレットのバッテリーはスタート地点や『課題』が行われる地点で充電可能。
【得点獲得方法➀:基本移動】
○無人島は横をA~J、縦を1~10で割り振られ計100マスのエリアに分けられており、日に4回指定エリアが告知される。
※初日と最終日は3回でランダム指定は無し
※エリア内が全て海上等の物理的に到達不可能のエリアは指定されない
※以下ゴール時間
・1回目:午前7時~9時
・2回目:午前9時~11時
・3回目:午後1時~3時
・4回目:午後3時~5時
○各グループは12のテーブルのいずれかに割り振られ、各テーブル毎に指定エリアが異なる。グループ内のテーブルは同じであり、大グループ結成の際はテーブルは統一される
○指定エリアに辿り着くと到着ボーナスとして全員に1点が与えられる。また、指定エリアに辿り着いたグループ順に1位が10点、2位が5点、3位が3点得る。
※着順報酬はリタイア者が出ていないグループ且つグループ全員が指定エリアに着いた時点の記録を参照
※既に指定エリア内にいた場合、到着ボーナスのみで着順報酬は無効
○1日の指定エリア4回のうち3回は、前後左右2マス斜め1マスの範囲内が選択される法則となっている。1日1回は完全なランダムで指定される。
※ランダム指定が連続で起こることはない
○3回連続で指定エリアをスルーした場合、ペナルティが課せられる。グループの誰か1人が1度でも到達すれば累積値は0に戻る。
※3連続で1点、4連続で2点と連続する毎に減点され、減点点数も増加する
【得点獲得方法②:課題】
○無人島の至るエリアで『課題』が設置される。午前7時から随時出現し、午後5時で終了する。
※初日は午前10時から出現し、最終日は午後3時で終了
○『課題』は3種類に分類され、同じ『課題』が複数回行われることもある。内訳は学力4割、身体能力3割、その他3割となっている。
○『課題』に参加するには『課題』を管理するスタッフに受付を希望し、腕時計とタブレットを介してエントリーを行う。
○『課題』の上位入賞者には得点や食料に水、グループ人数の最大上限を上げる報酬等が与えられる。
※グループ人数の最大上限引き上げの『課題』は4日目から開始
※グループ人数の最大上限引き上げの『課題』は多くなく、全体を通して2、3割程度に留まる
○『課題』出現時間は予測出来ず、実施状況を知るには現地に足を運ぶ必要がある。
【大グループ作成について】
○『課題』によりグループ人数の最大上限を上げた小グループが合流し、腕時計でリンクすることで大グループ作成完了となる。
○グループ人数の最大上限を6人にまで解放したグループは、以後グループ上限を引き上げる『課題』には参加不可。
○大グループが結成された場合、得点は平均化される。
【物資購入について】
○全生徒には無人島限定で使用出来る5000ポイントが与えられる。現時点から明日の朝6時までの間、ポイントを使用しマニュアルの商品を購入出来る。
※『先行』カードを持つ生徒は追加で2500ポイント与えられる
○試験中もスタート地点で購入することは出来るが、販売ポイントが2倍に設定される。
【その他】
○スタート地点には無償で使用出来るシャワーとトイレを完備。2日目以降は水分補給出来る場所も設けられる。
※水の持ち出しは不可能であり、その場で飲むことが条件
○歯ブラシやシャツ下着等のアメニティ用品は無料で配布され、試験中スタート地点でも無償で提供される。
「それでは、最後に月城理事長代理よりご挨拶を賜りたいと思います」
無人島サバイバルの説明が一通り終わったタイミングで、真嶋先生は姿を見せた月城理事長代理にマイクを手渡す。
「理事長代理の月城です。この無人島試験はこれまで前例のない大規模な特別試験になります。気を引き締めるのは当然として、学生としての自覚を忘れることのないよう取り組むようにして下さい」
その後、月城理事長代理は性的トラブルについては退学を含む厳しいペナルティを躊躇なく与えると警告した他、偶発的な小競り合いは容認するが悪質だと判断した場合は容赦なく介入し退学を含む厳罰を与えると宣言した。
「クク、
「……」
龍園の言葉を聞いて葛城は何ともいえない顔をする。恐らく
(実際、龍園が暴力を使ったのは入学間もない頃に石崎達を従わせたのと去年の無人島で擬装のために金田を殴ったこと。それと、後から聞いた混合合宿で清隆の実力を確認したことだけだからな)
ただ、それは決して龍園が丸くなった訳ではないことを近くで見てきた俺はよく知っていた。むしろ、そのカリスマ性と実力は研ぎ澄まされた刃のように鋭さを増しているように感じる。
「バックパックの容量とマニュアルの商品を直接確認出来るように、今からサンプル品を置く。各自、自由に確認するように。展示は別室にて今から日付が変わる夜の12時まで行われる。また、時間は限られているが質問のある生徒は近くの教員に聞いて構わない」
真嶋先生はそう締め括り、説明会が終了する。大半の生徒はサンプル品を見るために前方に集まっていくが、俺達のグループは1人も動かずにいた。
「おい、坂上。プライベートポイントで各グループのテーブルの確認と決定は可能か?」
「残念ですが、今回その権利は販売していません。それと、敬語を使うように」
「……テーブルの決定が出来れば色々と有利に事を運べたが、流石にそう上手くはいかないようだな」
龍園が質問することを分かっていたかのように俺達の近くで待機していた坂上先生の回答を聞き、葛城はそう口にする。
「取り敢えず、連絡手段のトランシーバーは購入する必要があるな。『先行』カードを持ってるグループに買ってもらって、開始時にそれぞれ配布するのがいいかな?」
「あぁ、元々連絡手段は手に入れる予定だったから問題ねぇ。それと、雑魚共の一部グループを使って食料生産ラインを作る。マニュアルの商品ラインナップなら、ジャーキー1択だ」
「『課題』の報酬で手に入るとはいえ、水も重要だ。高額ではあるが、ボトル型浄水器を幾つか購入しておいて同じテーブルのグループ間で共有すれば、利益を大きく得られる上に精神的負担も軽減出来るだろう」
俺と龍園、葛城はマニュアルに目を通しながらそれぞれ意見を出し、主力メンバーも含め明日から始まる無人島サバイバルへの対策を立てていった。
次回予告
虎城優斗「いよいよ始まるな、龍園」
龍園翔「あぁ、
虎城優斗「次回『Episode 68 無人島サバイバル開幕』」
龍園翔「───さぁ、精々楽しませてくれよ?」