ようこそグラドル幼馴染みがいる教室へ 作:nightマンサー
追記
この作品を推薦してくださった『ファブニル』様!
凄く丁寧に書いて頂き感無量です!!この場でお礼申し上げます!
「では、事件の概要を説明します」
進行役の橘さんが手元のファイルを見ながら、説明を始める。
「3日前の火曜日。被害者の虎城は部活棟近辺にある森林エリアのベンチで、お手洗いに行った佐倉を座って待っていたところ、部活帰りの須藤と遭遇し、いくつか会話した後に殴られた。と供述しています」
「……っ!」
橘さんの説明に、須藤が何か言いたそうな表情をするが、意外にも口を挟まなかった。
「殴られた後、須藤はその場を去り、その後、お手洗いから戻った佐倉が虎城の怪我を確認し、保健室へ。診察後、担任である坂上先生に報告し、加害者である須藤を学校側に訴えた。―――以上が、今回の概要になります」
橘さんの説明が終わり、生徒会長の堀北学が口を開く。
「訴えの後、生徒会で事件現場である部活棟付近の監視カメラの映像を確認しました。結果、報告にあったベンチでの犯行をカメラが捉えています。
―――よって、本件は加害者である須藤健に対して、どの程度の処罰を与えるかを話し合って頂きます」
◆
「須藤君。貴方は今回、謝罪以外の言葉を口にしない。これだけを守りなさい」
審議開始の1時間前。Dクラス教室内にて、オレ―――綾小路清隆は、堀北鈴音と共に須藤の付き添いとして、この後の審議に参加する。
―――
「アイツから嫌味を言って見下してきたんだぞ!?なのになんで……!」
「殴った時点で貴方に非があることは明確よ。場所が部活棟付近なら、監視カメラにだって映っているはず。今回の件で出来ることはただ1つ。貴方が深く反省していると示すことだけよ」
堀北の言葉に、須藤は苛立ちを隠すこと無く大きく舌打ちをする。
「……バスケを続けるんでしょう?悔しいなら、今後はその運動神経を暴力に使うのではなく、スポーツで活躍するために使いなさい」
「っ!……堀北―――」
堀北の言葉に感動したのか、須藤は暫し堀北を見つめ、分かったと了承してくれた。
「……どう思う?」
須藤がトイレに立ったタイミングで、堀北から言葉を投げかけられた。
「何がだ?」
「分かっているでしょう?これはBクラスからの攻撃よ」
苦虫を噛み潰したように言う堀北。今回の件、既に勝敗は出ており後は処分をどうするかだけの審議の可能性が高い。
「確かに、偶然にしては出来すぎてる気はするな」
「偶然を装って接触し、須藤君の性格を知った上での犯行。してやられたわね……」
折角中間テストでクラスポイントが増えたにも関わらず、このままではそれが無くなりAクラスになる事が遠ざかる事実に、溜息を溢した。
◆
「我々Bクラス側は、須藤君に2週間の停学とクラスポイントの一部譲渡を要求します」
初めに口を出したのは、俺達Bクラスの担任である坂上先生だ。
「須藤君との会話は、彼の手が出やすい性格について、虎城君なりにアドバイスしていたというものです。だと言うのに、その善意を踏みつけるように暴力を振るった須藤君に、弁明の余地が無いのは明らかでしょう」
坂上先生の正論にDクラス側は何も答えない―――いや、下手に答えられないと言った所だろうか。
「幸いにも、虎城君の怪我は安静にしていれば1週間程で治るとのことですので、その倍の期間の停学とクラスポイントで収めるというのは妥当だと思いますが、如何です?」
あくまで譲歩して落とし所を提示しているといった雰囲気で、坂上先生がDクラスへ問い掛ける。
「須藤の停学については、こちらも承知しています。ですが、こういった個人間の揉め事に対して、クラスポイントの譲渡は推奨されていないのでは?」
「推奨されていないだけで、前例が無いわけではないでしょう?」
Dクラスの茶柱先生がクラスポイントの譲渡について意見を言うが、坂上先生がそれに反論する。
「生徒会長、1つ質問していいでしょうか?」
「……許可する」
「仮に今回の件でクラスポイントが譲渡される場合、どの位が相場なのでしょうか?」
折角だからと今回の様な暴力事件の際の過去の処罰内容を聞くために、生徒会長に質問する。
「茶柱先生の言う通り、個人間の問題でのクラスポイントの譲渡は推奨されていません。過去の事例では、50クラスポイントの譲渡が最大ですが、今回の件で成立した場合、10クラスポイントが妥当でしょう」
生徒会長の言葉にDクラスから多少の安堵の雰囲気が流れる。そもそも暴力事件を起こしたことにより、クラスポイントへの影響がほぼ確定しているのに、更に現在のクラスポイントを譲渡もするとなるとDクラスとしてはかなり厳しい筈だ。そのポイントが低いことに安堵するのも無理はないだろう。
「では、プライベートポイントの譲渡だとどうでしょうか?」
続いて出た俺の言葉に、綾小路と堀北が反応する。Dクラスはクラスポイントが0ポイントだったので、仮にプライベートポイントの譲渡になったとしても難しい筈だ。
「プライベートポイントならば、過去の事例とクラスポイントとの兼ね合いを考慮し、10万ポイント辺りが妥当になります」
10クラスポイントの代わりが10万プライベートポイント。クラスは各40人のため、10クラスポイントで貰えるプライベートポイントは全員分で4万ポイントなので、如何にクラスポイントの方が重要視されているかが覗える。
「特に問題がない様であれば、当初の要求から変わりはありません。それとも、他になにかありますか?」
坂上先生の言葉に沈黙するDクラスの面々。
「……話は纏まったようですね」
こうして、何とも呆気なく須藤暴力事件は決着した。
◆
―――暴力事件終息後。
改めてクラスポイントが発表され、プライベートポイントが支給されたが、Bクラスはクラスポイントが増えたことに湧き、対照的にDクラスはクラスポイントが増えはしたものの当初の予定ポイントより下がった事で荒れた様子だった。
「ククク、まさかてめぇが俺好みの策を使うなんてな?」
そうして現在、俺は愛里を連れて龍園の部屋に訪れていた。
「評価してもらってて悪いけど、本当に偶然だからな?」
「はっ。偶然だろうが何だろうが、結果奴等のポイントは減り、俺等のポイントが増えたんだから上出来だ。クラス貯金からお前と佐倉は5万ずつ受け取れ。クラス連中には既に話してある」
「了解、有り難く頂くよ」
「あ、ありがとうございます」
上機嫌な龍園がそのままジンジャエールを呷るのを見て、俺と愛里は龍園の部屋を後にし俺の部屋に戻ってきたのだが―――
「な、なぁ、愛里?」
「………」
暴力事件以来、愛里が俺にべったりな状態なのである。怪我を気遣って右腕側にくっついてるのは有り難いのだが、愛里は身体をかなり押し付けてくるため、愛里の柔らかさをこれでもかと言わんばかりに意識させられる。
「……私、今回も何も出来なかった」
ポツリと、愛里の口から零れた想いを聞いた。
「手当てしてもらったし、何も出来てないことないよ。そもそも愛里は殴られた時居なかったんだから、気にしなくていいよ。それに、あの時みたいな怪我じゃないから、だいじょ―――」
「怖いのっ!」
言葉の途中で、愛里からのあまり聞かない大声に、俺は驚いて言葉が途切れる。
「あの時みたいに。優くんが傷付いて、居なくなっちゃうんじゃないかって……」
言葉を紡ぐほど、愛里の抱き締める力が強くなるのを感じる。
「愛里」
「…あ、んっ……」
そんな愛里の唇に、俺はキスを落とした。
「……大丈夫、居なくなったりしないよ。約束した時に言ったろ?愛里の傍に、これからも居たいんだって」
愛里と俺のおでこ同士をくっつけた状態で、本音をさらけ出す。
「っ、うん、優くん……」
「……んっ…」
そうして10分程、愛里とキスをした後いつも通り一緒に夕飯を食べたのだが―――
「優くん。その手だと器を支えられなくて、食べ辛いと思うから、その………
あ、あーんっ」
愛里がほんのり顔を赤らめつつしてくれた「あーん」は最高だったことを記憶しておく。
クラスポイント(1学期終了)
Aクラス(坂柳・葛城クラス):1004cp
Bクラス(龍園クラス) :880cp
・Dクラスから譲渡:+10cp
Cクラス(一之瀬クラス) :660cp
Dクラス(不良品クラス) :57cp
・Bクラスに譲渡:-10cp
・暴力事件 :-20cp
龍園クラス貯金:240万ポイント
【参考】もし虎城と佐倉の2人が龍園クラス以外だったら――
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葛城・坂柳クラス(初期Aクラス)
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一之瀬クラス(初期Bクラス)
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不良品クラス(Dクラス)
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龍園クラス以外認めない!