【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
私は星野アイ、中学三年生だ。
お仕事でやっているアイドルと学業を両立するのは難しいけど。スケジュールの合間に登校したり、ママと勉強したりしているから成績に関しては学年でも上位に入っている。
そんな私には悩みの種というか。
ムカつく後輩………のようなものができた。そいつは私を追いかけ回して「好きです!」や「結婚してください!」なんて叫ぶからいつも以上に注目されるし、ほんとに迷惑している。
「此処に居たんですね、アイさん!」
「……なんで分かるわけ?」
「アイさんのことだから屋上に隠れると見せかけて校舎裏にいる。なんとなくそう思っただけですよ。あと今日のプレゼントです!!」
そう言ってクズキは花束を差し出してきた。
なんか花束を見るとゾワッとする危険を感じるのはなんでだろう?と考えながら花束を受け取り、サッと続けて私に差し出される指輪は無視する。
「アイさん、指輪はダメですか?」
「そういうのは受け取らないよ。花束は可愛いから嬉しいけど、君と結婚……っていうか年齢的に無理なのは分かってるでしょ?」
「そこは愛があれば問題ないですよ」
「……キモ………」
「ん゛っ、ありがとうございます」
ほんとに気持ち悪いやつだな。と、地べたに正座しているクズキを見下ろしながら思う。そりゃあ私が可愛くて美しいのは自覚してるし、完璧で究極のアイドルなのも自覚しているけど。
えーっと、ドエムーだっけ?
そういうのとは付き合いたくないし、今はママと過ごしていれば幸せだから結婚とかもあんまり私は興味ないんだよね。
「ねえ、なんで私なの?」
「…アイドルをやり始めたばかりのアイさんが僕に似ていると思ったんです。けど、演劇指導を受けに来たアイさんを見てあれは違うと分かったんです。どうしてだろう、なぜだろう、色々と考えてようやく辿り着いた答えは『母親』でした」
「ママが答えって……やっぱり熟女が!?」
「そ、そうじゃないです!!アイさんは母親に全力で本心から愛されていた。はじめて見たアイさんは僕と同じで『愛を知らない』と感じたんです。………だから僕もアイさんが変われた理由を、母親の愛を知りたいんです」
まあ、私がママに愛されてるのは当然のことだから納得できるけど。どうして、私と結婚すれば分かると思っているのかは謎だ。
彼は本心を語っているのは分かる。
私もママと再会するまで屈折してたし、わりと他人のことなんて考えずに愛を知ろうとがむしゃらにアイドルをやっていたのも事実だから否定できない。
しかし、私と結婚したい理由はなに?
「それはアイさんが好みなので」
「ていっ!!」
私は正座しているクズキの頭を回し蹴りで吹き飛ばす。ウ~ン、やっぱり人間を蹴るのって難しい。もうちょっと蹴り方を考えようかな。
〈星野アイのキック〉
中学校の名物(?)。
星野アイと神木ヒカルの騒動の終わりには必ずと言っていいほどキックが放たれる。お仕置きや説教、拒否の返事として多用される。星野アイはちゃんと加減しているらしく、派手に吹っ飛んでいるのは神木ヒカルの演技のクセによるものだそうだ。