【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました   作:SUN'S

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私の最後の中学生活とお菓子の贈り物

私は星野アイ、中学三年生だ。

 

家庭科実習の課題で作ったクッキーを貰おうとひしめき合っている男子生徒の熱気に気圧されそうになっているけど。こういうのはライブで経験しているのでなんとか受け流せている。

 

ただ一人を除いてだけど。

 

まあ、異様に目立っていた金髪も顔も人混みに呑まれたせいで片手を突き上げ、わちゃわちゃと指を動かしているクズキカスルを見つけるのは、わりと苦労してしまった。

 

それにしても「俺にクッキーをおぉぉぉっ!!」とか「僕にクッキーをくださいぃぃ!!」とか「俺も蹴ってくれえぇ!!」等々と騒ぎ立てる男子生徒にドン引きする女子生徒の側に歩いていき、ポンッとクッキーを入れた袋を手渡す。

 

「じゃあ、君にあげるね!」

 

「ヒェッ、顔が良すぎる…!」

 

私の顔を見て倒れそうになる女の子を受け止め、近くの席に座らせてあげる。しかし、私より胸が大きいのになんで誰もこの子のクッキーを貰おうとしないんだろうか?

 

そんなことを考えていると私の右足に踏まれまくったのか。さっきまで真新しかった学ランの背中を靴跡で汚しながらも這いずってきたクズキが私を見上げようとするので顔を踏みつけた。

 

「へぐっ!?」

 

「さすがにスカートの中は見せないよ?」

 

いや、最初から見せるつもりはないから見上げないでもらえるかな?なんて言いながら「ふ、ふまれて、うぅ、さいこうだ」とブツブツと呟き、鼻血を垂らすクズキの顎を蹴り上げる。

 

クズキはさっきまで寝そべってたのに顎を蹴られたことでバク転するように跳ね上がり、私の目の前に見事に着地する。その身体能力の高さを「これは演劇のためです」と素直に言えるのは凄いと思う。

 

やっぱり、ムカつくから頭を蹴っとこ。

 

軽くジャンプしてクズキを蹴りつけ、ゆっくりと着地する。確かローリングソバットっていう技だったと思うけど、家に帰ったらまたママの本棚で調べてみようかな。

 

「星野さん、また蹴るの強くなった?」

 

「なんとかちゃん、よくわかるね」

 

「これだけ見たら分かるよ。あと『なんとかちゃん』じゃなくて私は南波藤花だから変な略し方はやめてね?」

 

「わかったよ、なんとかちゃん!」

 

「……あはは」

 

そんなことを話しながらビクンビクンッと嬉しそうに笑って痙攣しているクズキカスルを私は蔑むように見下ろす。

 

…なんで、そんなになってるんだろ?

 

ちらりとなんとかちゃんを見れば顔を真っ赤にしている。ウ~ン、私はアイドルで忙がしいから学校で習ってないことも多いし、そういうときに習ってるのかな?なんて考えて納得する。

 

 




〈南波藤花〉

星野アイの友達。

星野アイは中学入学式に出会って以降、彼女と同じクラスで三年間を共にしている。それなりに遊んだりしているし、とっくに名前も覚えているのに「南波藤花(なんとか)ちゃん」と呼ばれている。
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