【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました   作:SUN'S

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私の最後の中学生活と指輪紛失物語・下

私は星野アイ、トップアイドルだ。

 

今日も今日とて神木の「アイさん、好きです!」という挨拶を受けながら教室に入る。指輪を無くしてから静かだったけど、もう見つけたのかと思えばどうやらまだ指輪は見付かっていないらしい。

 

「星野さん、これじゃないの?」

 

「えっ、なにが?」

 

「いや、神木くんの探してる指輪…」

 

そう言われて机の上を見ると小さな箱がポツンと置かれていた。私は恐る恐る箱を持ち上げて箱を開けるとやっぱり指輪があった。

 

えぇ、なんで?

 

ちらりとなんとかちゃんを見る。どこか期待しているような視線にビビりながらソッと箱を閉じて「神木、あったよ!」とまたグラウンドにいる神木に向かって投げつける。

 

「アイさんが僕に指輪をくれた!!もうこれは結婚するしかないですね!!!!みんなこれから僕のことは『神木』じゃなくて『星野』って呼んでほしい!!!!!!」

 

たぶん、私の顔はスンッとなってる。

 

ゆっくりと上履きを脱いで持ち上げる。この距離なら当たるし、なんなら吹っ飛ばすつもりで投げ付けても問題ない!!

 

私の上履きは見事に命中し、神木を吹っ飛ばした。後ろで拍手をするみんなにピースサインを作ってフンスと胸を張る。ああいう、ふざけたことを叫んだりするのは良くない。

 

そんなことを考えながらグラウンドで上履きを持ち上げ、じーーーっと見つめている神木を見下ろす。なにしてるんだろ?と思った次の瞬間、あいつは上履きを頭に乗せた。

 

「………なにしてるんだろうね」

 

「さ、さあ、よく分かんないかな?」

 

「私の上履き、かわいそ」

 

「星野さんが投げたのに!?」

 

いや、それは仕方ないじゃん。

 

あんなこと大声で叫ばれたら誰だって止めようとするし、なんなら私は直接神木のやつを蹴りにいこうとか考えたんだけど。

 

私が向かうのはなんか癪だった。

 

「ところで、どうするの?」

 

「なにが?」

 

「上履き」

 

「……スリッパ借りてくるね」

 

「あ、うん」

 

たぶん、返してくれるだろうけど。

 

私が返してってお願いしにいくのはムカつくし、なんだか負けたような気がするので後回しにする。……なんとかちゃんの「認めてあげればいいのに」という囁きは聞こえてる。

 

しかし、認めてあげるつもりはない。

 

そういうのはほんとに好きになっている人たちじゃないといけないことだから。神木のやつは変態でストーカーっぽくて私の好みも分かってるけど、やっぱりそういうのにはなれない。

 

「アイさん、上履きです!」

 

「……なんか生ぬるい?」

 

「学ランの中に仕舞おうかと………」

 

「私に100回蹴られろバカァ!!」

 

そう言ってまた神木を蹴った。

 

 




〈指輪紛失物語〉

とある中学校の珍事件。

神木ヒカルのオーダーメイドしてもらった結婚指輪は約三週間ほど紛失していた。ところが星野アイの机に箱ごと放置されており、未だ犯人は不明であるが「僕の事は星野ヒカルって呼んでくれ」と神木ヒカルははっちゃけた。

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