【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
私は星野アイ、高校受験を控えたアイドルだ。
ママのおかげで勉強で困っていることはないし、わりとアイドルとしても学生としても充実している。まあ、神木のせいで困ることはあるけど。
「アイさん、ここは?」
「ん。こことここが間違ってる」
「………ああ、なるほど」
そんな神木となぜか勉強会をやっている。
こいつの部屋に行くのは怖いのでほんとに仕方なく私の部屋で勉強を見てあげている。いつもこれだけ真面目だったら蹴ったりする必要ないのに。
そう密かに考えて参考書を見る。
ウ~ン、なんか教科書の教え方が気持ち悪いような?ゾワッとする感じがするのは神木のせいだけど。やっぱり参考書と教科書の説明の仕方が違いすぎて分かりにくい。
「アイさん、好きです」
「はいはい。もう聞き飽きたよ」
「なんでOKしてくれないんですか?」
「えっ。ウ~ン、そうだな。いつだったかな?君と会った日の夜にね、変な夢を見たんだよ」
それから私は『星野アイ』としてではなく『アイ』としてアイドルをやっている『もう一人の私』の体験する色んな出来事を夢の中で追想するように体験し、最後は死ぬというところまで話してしまった。
その夢の中の話でカミキヒカルとセックスしたというのは彼にとっても驚きだったらしく。どこか悩むように眉間に皺を寄せて考え込んでいる。
ふと何かを思い付いたのか。神木は目を開けるとすぐに納得したようにうなずき、私のほうを向いた。い、いったい、なにを?
「漸く分かりました。どうしてアイさんのことが好きで好きで堪らないのか。僕はきっと夢の中で貴女と添い遂げようとした『カミキヒカル』の感情と記憶の一部を持っているんです」
そう言って神木は平行世界とかパラレルワールドなど有り得る可能性を持った世界線の話をしてくれた。つまり、私は『アイ』の気持ちを少しだけ持ってる『星野アイ』ということかな?
「ウ~ン、難しいね」
「アイさん、僕と結婚して下さい」
「またそれ?」
「僕は本気です。神木ヒカルとして、僕の本心から貴女と結婚したいんです」
あっ、やばい。
ちょっとだけグラッとした。落ち着け、落ち着け。ふぅーーーっ、私はトップアイドルなんだぞ。いくら夢で付き合っていたとはいえ私達まで付き合う必要とからはないんだ。
でも、赤ちゃんたちは可愛かったな。
「………神木はさ、赤ちゃ「作りましょう!」いや、ちょっ、ええぇ!?」
こいつ、ほんとになんなんだ!?
「…失礼しました。けど、僕は赤ちゃんを見れてないです。僕の最後の記憶はお墓の前だったので……そうか…あれはアイさんの………」
やっぱり、よく分からないやつだ。と、私は呆れながら考えていると「ふぅ、やっと修正完了できた」という女の子の声がどこからか聴こえた。
えっ、やだ、おばけ?
〈二人の夢の話〉
アイとカミキヒカルの記憶。
どこか自分と似ているのに人間として大切なものが欠けてしまっている自分の姿。神木ヒカルは「平行世界の可能性」と推測しており、星野アイもその推測に納得できる記憶の一部を持っているようだ。
〈おばけ?〉
謎の声。
ふと聴こえてきた女の子の声。どこかやり遂げたような達成感と憔悴しきったようにも聴こえる。だが、その声を聴いたのは星野アイだけ。