【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました   作:SUN'S

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おまけ
もしも彼女と出会っていない世界に飛ばされたら「…うそ……おかあさん…」と言われても答えにくい。私は『星野アイ』のママだけれど『アイ』のお母さんにはなれない


私は星野アイのママでおばあちゃんです。

 

いつものように幼稚園に通っている愛久愛海くんと瑠美衣ちゃんの二人を迎えに行く途中、真っ黒なワンピースを着た女の子とすれ違ったその時だ。明らかに私のいた場所と違っている。

 

ふむ、ふむっ。私のいた時代と風景が少しだけ違っている。ここにはアイの写真や映像ばかりでB小町やヒカルくん、愛久愛海くんと瑠美衣ちゃんの映像や告知もいっこうに流れてこない。

 

町中だというのにスマホも圏外になっている。どうやら本格的に異世界、あるいは平行世界に迷い込んでしまったと考えたほうがいいわね。

 

それにしても私が白蘭とおんなじ超能力を使えるなんて知らなかったわ。………たぶん、こうなった切っ掛けは黒い女の子なんだろうけど。それよりも通貨や平行世界について調べてみるのもありね。

 

しかし、愛久愛海くんと瑠美衣ちゃんのお迎えはどうしたらいいのかしら?なんて考えながら歩いているといきなり肩を掴まれた。

 

「おかあさん、だよね?」

 

アイっぽいけど、アイじゃないわね。

 

そんなことを考えながら彼女を見つめる。アイよりもほっそりとした身体つき、ちゃんとご飯を食べていないのは一目瞭然だけど。それを言うことは私にはできないし、しちゃいけない。

 

「おか、あの…えと…」

 

ごめんね、私は貴女のお母さんじゃないの。そう言って私は彼女から離れるために歩こうとした瞬間、か弱い力だけど。しっかりと彼女にシャツの裾を掴まれてしまった。

 

………はあ、少しだけお話ししましょうか。

 

「…ぅん……」

 

星野アイ(仮)と一緒にカフェに向かう。それほど地理は変わっていないので、それほど迷ったりすることなくお店につけたのは喜ばしいことだ。

 

「えと、おかあ……貴女はだれですか?」

 

なかなかに哲学的な質問ね。

 

けれど、貴女の望んでいる答えとは違うわ。私は貴女のお母さんにはなれないし、貴女のために残ることはできない。

 

「アイ……さん、私は貴女のお母さんじゃないわ。少なくとも『ここにいる』貴女のお母さんにはなれない。私の娘はあの子だけだから」

 

「……いいなあ」

 

本当に羨ましくて妬ましくて悲しくて辛そうに彼女は呟き、私と顔を合わせないために俯いてしまう。ありがとうというのは違うけど、貴女が生まれてくれたことは本当に嬉しい出来事よ。

 

「愛してるわ、アイ」

 

「私もッ!私も愛し───」

 

そこで世界が戻った。

 

ふと私の後ろから「つまんない」と吐き捨てる声が聞こえたかと思えば女の子は忽然と消えてしまった。いったい、彼女は何者なのだろうか。

 

 




〈愛してる〉

貴女は最高の贈り物。

星野ママの贈った本心。たとえ自分の娘と違っていると分かっていながらも本当に彼女を愛していると伝えたことで元の世界に戻ってきた。もしも嘘の愛を言ってしまったら………。


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