【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
アイと生活を始めて三ヶ月ほど経った。
彼女はお米を食べるときは探るように食べるので土鍋を使って目の前で雑炊やお粥、お鍋の〆など見えるところで料理すると安心してくれる。けど、やっぱり動きが止まることもある。
まあ、それは仕方ないと割り切っている。アイの心身の安定は私の最も優先しなくてはいけないことだし、彼女の心に残っている「お母さん」を取り除くため徹底的に彼女を愛する。
「ママ、さっきのどうだった?」
すごく可愛かった。
そう言いながら汗だくの彼女の顔をタオルで優しく拭いていく。アイはまだ小さな女の子なのに頑張れて偉いね、やっぱりアイは良い子だねと言って彼女の頭を怖がらせないように撫でる。
「流石だね、アイ」
「えへっ、そうでしょう!」
私に抱きついて匂いを確かめるアイを優しく抱き締める。彼女のやりたいと思っていること、やってほしいと思っていることは何でもやってあげる。そうしなければ彼女はきっと壊れてしまうから。
しかし、今日のレッスンはなんだったのか。
ダンスのレッスンなのは分かるけど。ただのボクシングにしか見えなかった。ひょっとしてあれがシェイプボクシングというやつなのかしら?
「ねえ、ママはさ…私を産んだこと後悔しない?」
どうして後悔するのかは知らないけど。
少なくとも私はアイと
………ところで、斎藤社長とミヤコ副社長はなんでビデオカメラを構えてるんですか?と問いかけると静かに「いや、証拠は必要だろ」と言われた。
ほんとにそういうところですよ?
まあ、いいですけど。今日はバゲットを作ったのでアヒージョにしましょうかとアイに伝えると「あひ、ん?」と困惑している。ああ、そういえば料理の名前を教えたりしてなかった。
それも帰ってから教えるわね。そんなことを話しながら満足げに笑っている斎藤社長とミヤコ副社長に今月だけで依頼された各B小町のメンバーの仕事についての書類と資料を手渡す。
ここから先は二人の仕事なのでよろしくお願いします。あと動画は消さずにコピーして私のところにも搬送してもらえると嬉しいです。
アイ、明日はどんなパンを作ろうか?
「えっ、うーん、また長いやつ!」
明日もフランスパンか。
じゃあ、明日はパリジャンにしよう。
「よく分かんないけど、わかった!」
私たちはそんなことを話しながら駐車場へと向かって歩く。やっぱり、アイのために車の免許証を取得して良かった。いつもバス通学だったから、たまには送迎もありかもしれない。
〈星野家のパン〉
星野家の伝統料理。
星野アイの「作ってみたい」「食べてみたい」と言ったパンは次の日あるいは明後日には食卓に出てきたり、お弁当に入っていたりする。よく作られるのはフランスパンなど「かっこいいやつ」である。