【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
僕は星野アクア、俳優だ。
今日も「今ガチ」でみんなと楽しく高校生活(仮)を楽しんでいる。正直に言えばかなと一緒に高校生活を送ってみたいけど、あと一年は我慢しなくちゃいけない。かなり不満だったりするが、年の差だけはどうしようもないと諦めている。
しかし、この「今ガチ」に出演する女優の黒川あかねという少女は侮れない。下手したら僕も食われかねない、そういう意味じゃないからな?と頭の中に浮かんだかなとルビーに断りを入れる。
まず彼女は有馬かなのアンチと見せ掛けてガチ恋しているように見えるけど、やっぱり反転してアンチのように振る舞っている最古参の厄介オタクだ。もしかしたら僕よりかなに詳しいかもしれない。
「星野くん、かなちゃあーーーっ。かあちゃんとは仲良くしてるの?」
いや、それは無理だろ。と、黒川のなんとも言えない話題の切り替えの下手さに呆れながら彼女と一緒に中庭のベンチで話す。
まあ、ほとんどかなに関する話だ。
この前の「今日は甘口で」の話は当たり前として、過去にドラマ化された作品のリメイク作に出演したりした時の話も彼女と話したりする。
いろいろなドラマのことを話題にしながら僕とかなが主演を務めた「まもって守護月天」の話もするとウズウズしているのがすぐに分かった。
たぶん、かなについて語りたいのだろう。
「星野くん、かなちゃんの彼氏なんだよね?」
まあ、そうだね。
僕はそう答える。まだ、告白もしてないのに彼氏を名乗るのはあれだけど。僕がかなのことを好きだと思っているのはホントのことだ。
うっ、なんだろうか。どこからともなくゾワッとする気配を感じる。たぶん、これはルビーのやつだ。あれ?なんで、僕は気配だけでルビーだと特定できるのだろうか。
………まあ、べつにいいか。
「ちゅ、ちゅーはしたのかな!?」
「えっ、うん、したけど」
あっ、やばいやつだこれ。
あまりにも唐突すぎる質問に思わず答えてしまったその時だった。黒川あかねの期待と不安に満ちて紅潮していた顔がスンッとなり。
ジーーーッと僕の唇を見つめる。
「………間接的……」
黒川あかねがそう言った瞬間だった。
僕は彼女から逃げるように駆け出す。なんだか後ろで「いや、ごめんね、違うよ!?」とか「さっきのは間違いだから!ねえ、ちょっとだけ、ちょっとだけだからさ!」という声が聞こえるけど。
兎に角、その声を無視して熊野ノブユキや森本ケンゴ、鷲見ゆき、MEMちょのいる教室に転がり込み、すぐに彼ら彼女らの後ろに隠れる。
「どうしたんだよ、マリンちゃん」
「熊野、あいつはヤバいぞ!」
「あいつって黒川あかねか?あいつのどこが、うん、あの顔を見ればわかるわ、あれはマジでヤバめの雰囲気だぜ…!」
「ほ、星野くん、誤解だから。ほんと、さっきのはちょっとしたジョークだからさ!ちょっと、ほんとにちょっとだけだから!!」
「ケンゴ手伝え!」
「お、おう!」
そう言うと熊野さんは僕の胴体をつかみ、森本さんは僕の下半身を持ち上げる。鷲見さんとMEMちょは黒川あかねを説得するために近づいているが、どうにも困惑している。
「二人とも退いて!!星野くんとキスしたら間接的にかなちゃんとチューしたことになるの!!ファンとして、これだけは絶対に成し遂げる!!!」
その発言に出演者もスタッフも固まった。
「「「「「(こ、こええぇぇっ!!)」」」」」
今日、ある意味では黒川あかねはバズッた。
〈あかかな応援団〉
あかかな応援団。
黒川あかねは有馬かなガチ恋勢。黒川あかねは有馬かなアンチ。もはや、そんな程度の言葉では例えることの出来ないほど高次元の存在となってしまった黒川あかねの恋路を応援する百合カップル大好き人間の巣窟。ちなみにアンチ活動や恋路を邪魔するやつは許さないため、すごくクリーンである。